2014年11月08日

エロマンガ先生 (3) 妹と妖精の島/伏見 つかさ

エロマンガ先生 (3) 妹と妖精の島 (電撃文庫)エロマンガ先生 (3) 妹と妖精の島 (電撃文庫)
伏見つかさ かんざきひろ

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待望の水着回!!

『ラノベ天下一決定戦』の打ち上げで、マサムネ、エルフ、ムラマサ、獅童国光(しどう くにみつ)というラノベ作家たちが和泉家に集まって打ち上げパーティを! そこからトントン拍子に進んで行くのは、エルフの持っている南の島でのバカンス!? 第一部完な3巻目!!


 やっぱり、伏見先生の文章、大好きだ!!
たとえ300P以上あろうとも、すっきりするすると読める!
肝心なタイトルこそ『アレ』だけどね(笑)。近所のTUTAYAで予約注文する時がすっげえ恥ずかしいですからね!w 綺麗なリア充的な女性店員さんに「え、エロ……? あの、タイトルをもう一度お願い出来ますか?」と言われた時は恥ずか死ぬかと思いましたよ……w 当分は行けないww

 ネタバレあらすじー。
『ラノベ天下一決定戦』で優勝したマサムネ、エルフたちの提案で自宅でパーティを開く。そこには同じくラノベ天下一〜で戦った、同性の年長作家である獅童先生もやってくる。そうしてみんな(+顔をお面で隠して、スカイプで参加しているエロマンガ先生も)で「お祭りに行った気分になる夜店パーティ」を開く。話の流れで、エルフが持っているタイの島にあるリゾート地へ行くことに。紗霧は引き籠もりなので留守番。→エルフの兄である山田クリス編集の監督の下、エルフ家の持っている別荘に着いて、そこでエルフの悩殺攻撃やらムラマサの水着攻撃やらノーパン攻撃を喰らう。マジで「本物のエルフ」っぽいクリス編集に勘違いされて、「妹をよろしく頼む」とか言われたりも。→みんなで和気藹々と過ごすが、やはり編集さんがいるので、普段はヒッキー執筆生活をしているみんなは暑い外の海で遊ぶことよりも、涼しいクーラーが効いている室内で執筆活動をしていたり。缶詰めにされているエルフが抜け出して、王様ゲームとかもやったり。そこでムラマサのヤンデレな面が見られて、マサムネは慄く。→タイから帰ってくると、紗霧が「兄さん、わたしの水着も……見たかったり、する?」とまあ可愛いことを言ってくれるので頷くと、いつものパーカーの下に水着を着ているのを見せてくれる。→天下一〜で優勝した「世界一可愛い妹」が出版されて店頭に並ぶのを、マサムネとエロマンガ先生(タブレットPCから)でアキバに行って確認。そこでちょいオタクな女子たちが「これ面白そう〜」とか言って買ってくれた瞬間をマサムネたちは見て、二人で喜ぶ。しかしその後家に帰ると……なんと、いつものエロマンガ先生のPCに「俺が本物のエロマンガ先生だ!」というエロマンガ先生と同じお面やらを被った男らしき人物が現れて、二人で驚いていた……。第一部、完!

 面白いんだよ……。私の乏しい語彙では伝えきれないほど面白いんだよ!
 途中のムラマサが「私は、原稿の締め切りを落とす度に、爪を一枚剥いでいる」とかのヤンデレ加減とか! エルフの「そりゃ、異性の人間に自分の原稿を『面白い』って言われて落ちない訳ないじゃない」という、マサムネへの迂遠したアプローチとか!
 でも獅童は出て来た意味があったのだろうか……? そりゃ、お祭りパーティの時にマサムネがエロマンガ先生(獅童には男だと思われてる)と仲良しなところを見て、タイのリゾート地で「えっ、僕、男色の人と同じ部屋なのはちょっと……」と言った辺りは面白かったですけどね!w

 アレだね。「つまらない」や「中身が無い」場合も当て嵌まるのですが……あんまり面白過ぎると、書くこと少ない!

星5つ★★★★★。持ってけドロボー!!

posted by mukudori at 20:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月01日

庵堂三兄弟の聖職/真藤 順丈

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真藤 順丈

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死体の言葉を聞く

うらぶれた町にある庵堂(あんどう)家は、代々紡がれてきた遺工師(いこうし)の家系だった。父親が死に、長男の正太郎(しょうたろう)が跡を継いだ。三男の毅巳(たけみ)は、スナックのホステスに熱を入れている。そこに東京から帰ってきた次男の久就(ひさのり)が正太郎の手伝いに入った時、この兄弟たちは団結し、そして瓦解する――。第15回日本ホラー小説大賞、大賞受賞作!


 うーん……。第15回電撃大賞、銀賞受賞者の作品だからちょっと唾付けておくか……と読んでみましたが、普通に面白くないぞぅ?
 なんつーか、これの前にものすごく素晴らしい才能で読み応えのあるものを読んでしまったから、ちょっとハードルが上がっていたのもあるでしょうが……まさか、悪い意味でこれが「日本ホラー小説大賞」の大賞受賞作とは思えない。何考えて貴志先生の「黒い家」と同じ大賞にしたんだ、審査員。
 ほとんど全てが解決してなくて、「伏線? ナニソレオイシイノ?」な作りで、ぺらっぺら。描写に対しては怖くもグロくもないし……どこを買われたんだろう?
まあ文章力がある(別名:「いらねーことばっか、長々と書き過ぎだよこの野郎」)のは認めますが……アレか? この作者が四つ同時受賞の当時の時系列がよくわからないのですが、最初に電撃大賞かポプラ大賞で受賞したのを編集たちが知ったから選考の上に上げて、それを読んだ審査員の一人のツボにものすごくハマったから推されたとかか?
私が「イイ歳のくせしてラノベばっかり読んでるから、一般文学の話の深みがわからねーんだよ馬鹿野郎」と言われても仕方ないかもしれませんが……それでも、貴志先生の「黒い家」は普通に楽しめたよ? ページ数もかなりあったけど、そこすらも忘れて引き込まれましたしね。

 愚痴はこのぐらいにして……ネタバレあらすじー。
 次男、実家に帰るとそこの工房では長男が加工途中の死体と一緒に寝ていた。この庵堂家に代々伝わる職業は……つまるところ、『死体の皮膚や骨を使っての、日用品への加工』というものだった。その所為もあって、この家の人間はちょっと他の町民たちから遠ざけられていた。→美濃田(みのた)という、いわゆるヤクザ一家の幼い一人娘が交通事故で死んだので、少し心が壊れた母親によってその少女の死体の剥製作業を頼まれる。長男が作業に渋っている時、三男はスナックに勤めている美也子(みやこ)というホステスに入れ込んでいた。三男が熱烈なアプローチをするも、美也子はそれに頷かないで逃げてばかり。その実は……美也子は、誰の子とも知れない赤子を妊娠して産んでいて、こっそりと育てていたが、ついにその赤子はぬいぐるみの切れ端を喉に詰まらせて死んだ。美也子はその事実を受け入れられず、三男が訪ねて行った美也子のマンションから逃げ出したのだった。そして長男は美濃田夫人の熱望する依頼を請けて作業していたが、後日、美濃田とその夫人が他のヤクザから恨みを買った所為で銃で撃たれて死んだので、いつも仕事を手引きしてくれる四方木(よもき)という男が「もうその死体は仕事をしなくていい。両親たちと一緒に焼いてやろう」と言ってくるが、長男は自分の何かが変わる気がして、最後まで剥製にする加工をやり遂げた。そこに三男が「赤ん坊の死体を持ち帰ろうとした」という罪で、警察に勾留される。そのころ、次男は少しボケが入っている、妻を亡くした老人のところに『完成作品』を届けるついでに自分の父親のことを訊くと、「明雄(アキオ)の息子は一人だったはずだが?」と言われて、疑問を膨らませて行く。→四方木の手引きで三男は解放されて、「この赤子の死体を遺しておきたい」と言うので、長男は「わかった。これが我が庵堂家の最後の仕事にしよう」と言って、兄弟三人掛かりで赤子の死体を加工する。そして出来たのが、渾身の作品と言っても過言ではない『皮膚を使ったティディベア』だった。美也子はまだ見つからないが、三男はそれで満足だった。→次男は四方木から話を聞いたりして、「自分(次男)だけが父親の本当の子供で、他の二人は美濃田家がヤクザ仕事で無理矢理持ってきた、『人体の生きたままの解剖』などをされたカタギではない男たちが遺した子供を父親が引き取った」……と知ったことを話すと、当時10歳だった長男は意外にもそのことを憶えていた。次男は美也子を探すらしく、「とりあえず沖縄にでも行ってくる。そこにも腕のいい細工師がいるから弟子にしてもらう」と言い、次男は東京に帰る間際に長男がまた遺工師の仕事を再開したことを聞いて、安心して故郷を離れたのだった。

 うおっ……! まさか、「腐れマ○コ」(実際の文章では伏せていません。ちなみに文庫版で221Pです)という文字列をエロ本以外の本の中で見ることになるとは……。これは別段特に内容に関係ないことなのですがねw
あー、なんかふと、「『国(クニ)』じゃねーよ! ク○ニしろよおらぁぁっっ!!」を思い出しましたね……。知りたいお方は『エデンの檻』で検索!w こっちは逆に、当時のマガジン本誌ではそのままで、単行本でわざわざ伏せ字にしたことで話題になりましたがねwww
 そして微妙な読後感……。
最後に長男が割り切ってまた仕事を再開したなら、もういいんじゃないのー? 血は繋がっていなくても、美濃田の娘を見事な剥製にするところでもう自分の才能と天職に目覚めて(死体から離れられないことに気付いて)いるんだから、最後の『兄弟三人で赤ん坊をティディベアに!』とかやらなくてもさあ……。

 読み終わって、作者が『電波ちゃんっぽいの』を意識して書いたような作品であることはわかりましたが、「恐怖」なり「気持ち悪さ」なり……どれも私の心に響くものがありませんでした
星1つ★☆☆☆☆。単純につまらない、地雷です。

posted by mukudori at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月24日

オー・ドロボー! (1) 怪盗淑女は恋きに盗む?/岬 かつみ

オー・ドロボー! (1) 怪盗淑女は恋きに盗む? (富士見ファンタジア文庫)オー・ドロボー! (1) 怪盗淑女は恋きに盗む? (富士見ファンタジア文庫)
岬 かつみ れい亜

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大ドロボウは小粋に盗む

日本に住む、『とある一族』の末裔な十四代目。その「僕」の前に現れたのは、フランス人の美少女!? 彼女の名前はなんと――4代目アルセーヌ・ルパン!? そして「僕」は、先代の父親がルパンと懇意にしている、日本で有名な泥棒の一族――石川五右衛門(いしかわ ごえもん)の末裔だった! アルセーヌ……アルに誘われて、五右衛門が挑むのは『悪党の楽園』で起こる、『世界大泥棒決定戦』!? そこでさまざまな大泥棒たちの末裔に出会いながら、優勝出来るのか! 第26回ファンタジア大賞、金賞受賞作!


 うおぉ……ナニコレ?
……ナニコレ。(大事なことなので(ry)
えーっとあの……もういっそ、アルと十四代目の父親は「『ふ〜じこちゃ〜ん!』なルパン三世」だとか「こんにゃくが嫌いな、日本刀使いの石川五右衛門」とか、大っぴらに出してくれてもいいんですよ……? いや、モンキー・パンチ先生がまだご存命だし、出版社間でわざわざ新人作家のために著作権を借りたりなんかを取り引きしたりするのが面倒だった……とかあったのかもしれませんが。
 つか主人公の五右衛門……「絶景かな絶景かな」とか言い過ぎだし、一応高校生なくせに、言動が変。つか、おかしい。なんだかオヤジ臭い感じが漂っています。なんで「あんまり騒ぎを起こしたくはないんですよ」なのに、「おーい、指名手配のやつがここにいますよー!」って堂々と人を呼び寄せることをするのかイミフ。
 あとイラストレーターさん……序章で五右衛門の容姿について「平凡だが、特徴を言うなら線のような細目」とか地の文では書いてるのに、普通にイラストの五右衛門は目が大きい。
なので最初のそれがどうにも頭に引っ掛かって、読んでいて違和感バリバリ。ちゃんと原文読めよ。でもアルとか他のイラストたちは可愛くて良かったんですけどね。

 ネタバレあらすじー。
 五右衛門、突然の外国人美少女・アルの来襲で「お父さまたちが仲良かったから、一緒に『大泥棒世界選手権』に出て、何者かによって盗まれた優勝商品である自分の家の家宝な『カリオストロ伯爵の金時計』を取り返して欲しい」と言われて承諾。五右衛門的にはまず、「くそっ、なんで僕の家系は女子に弱いんだ!」と言うこと。だがアルには、泥棒スキルは全く無し。使えるものと言ったら、柔術が強いぐらい。そして開催している『悪党の楽園』という地中海の島へ。→そこではいろんな泥棒たちの末裔が集まっていて、みんなで金時計を奪い合う。五右衛門は日本代表だったので、相棒として鼠小僧次郎吉(ねずみこぞうじろきち)の末裔の女子(じろちゃん)とも協力しながら、フランス代表のアルと行動を共にする。ちなみに、先代のルパン(アルの父親)が前大会の優勝者だが、家を空けていて足取りが見つからないので、自分の家の家宝を取り戻すために今回はアルが出ることになったのだった。そしてオークション会場なんかで金時計を見つけるも、銀髪のイギリス人少女――名探偵ホームズのライバルだった悪人、『モリアーティ』に先を越される。→この大会が決めた一週間をフルに使った泥棒たちは、最終的にはビッグ・ベル号という大型客船で閉会式がおこなわれるので、そこに集まる――が。五右衛門はそこでエドガーと名乗る紳士を助けると、「主催者は自分だ。ずっとここに閉じ込められていた。だからいまの主催者はニセモノで、そいつが操っている」と言ってくるのと同じくして……なんと、インターポールたちが船の周りに集まっていた。実はモリアーティは、先代が女性で、なお且つ宿敵のホームズの血を取り入れようとしたので、それで産まれたのが「ホームズ・モリアーティ」という、イギリスでも『名探偵と犯罪者』という二足のわらじ生活をしている少女だった。そいつの手引きでインターポールが集まっていたのだった。だが柔術がめっちゃ強いアルが対峙して、モリアーティから金時計を何とか奪い取り、一週間が終わる時の午前0時の時点で手にしていたアルが優勝者となる。→エピローグ。五右衛門は家宝の錠前が無くなっていることに気付く。そこでエドガー……いや、先代ルパンから電話があって「この大会は、実は自分が苦戦した石川家の家宝である錠前を盗むために、石川家を手薄にするためにやったことだ。だから我が家から盗まれた……とアルが思っている金時計も、実は自分が盗んだ」と伝えられる。五右衛門が愕然としているそこにアルがやってきて、「ムッシュ、もしかしてこれのことですの? ムッシュには助けてもらいましたし、大事なものなら返しますわ!」と家宝の錠前を出してくるが……五右衛門は「いや、いいよ。持ってけドロボー」といつも可憐なアルに伝えたのだった。

 んー、なかなか面白い開幕でしたが……どうにも、最後の方でご都合主義過ぎる。
ドン・ディエゴ(怪傑ゾロ)とか、やけに伏線を寄越してくると思ったら真の姿を現すまでのたったそれだけだし……。モリアーティも、「ふーん。どうせこいつ、イギリス代表だから、出自を隠したホームズなんだろ?」とこちらに思わせておいて、一度その期待を「おお、まさかのモリアーティか!」と良い方向に裏切ったと思ったら、「てへっ。実はホームズの血を取り入れたモリアーティ家の末裔でーす☆ だからどっちにしてもすげー強いんですわよ!」とか要らないUターンはいいんですよ……。
 最終的に出て来るアルの父親(おそらくルパン三世)とか、ルパン三世にしては……キャラが違い過ぎるんですよね。歳を食って落ち着いたにしても、私たちが知っている『あのルパン三世』にしては硬すぎる。どうせやるなら、その辺の口調とかも徹底して欲しかった! 一回でいいから、「いやあ、これまでとっつぁんに捕まらなくって良かったぜ」とか「そろそろ、愛しのふ〜じこちゃんに会いに帰らなきゃなあ〜」ぐらいの読者サービスはして欲しかった。
 文章と設定の軽さは好きです。いや、逆に軽すぎるのか……? キャラがいっぱい出ている割には、活かしきれてないしなあ。
 あと五右衛門……自分が最初にアルに「この中の錠前、一つでも開けられたら君をルパンの末裔だと認めてあげよう」「(三時間経過)出来ましたわ! ムッシュ、これを記念にいただいてもよろしくて?」「いいよ。あげる。どうせ一番簡単なやつだろうし」とやっているのに、なんで最後に「ルパンに盗られた! あれは家宝の錠前だったのに!」ってなってんの? お前が目の前でアルにあげたんだろうが。普通のお嬢さんに見える相手をテストするのに家宝の一番難しい錠前を出す意味もわからないし、家宝が混じっていたなら「あげるよ」と言う前にちゃんと確認するか、それらしく金庫にでも仕舞っておけよ。
この辺がどうにも力づくな仕事なんですよね……。ごっつぁんです。

 うーん、突っ込みどころはたくさんありつつもアルは可愛かったし続刊が出たら買ってしまいそうなので星3つ★★★☆☆ってところですね。

posted by mukudori at 23:12 | Comment(4) | TrackBack(0) | 富士見ファンタジア文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月16日

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い/西尾 維新

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西尾 維新

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並んで歩く

赤神(あかがみ)財閥の令嬢、赤神イリアによって、京都の北の沖にある鴉の濡れ羽島(からすのぬればじま)に集められた、五人の天才たち。その中の一人、玖渚友(くなぎさ とも)に付いて来たのは――ぼく。幼なじみである玖渚の言うところの「いーちゃん」だ。そして天才たちが殺されて行く悲劇を止めようと、「ぼく」たちは奮闘する。第23回メフィスト賞受賞の、一世を風靡し続けている、西尾維新のデビュー作! いや、ここまでが戯言だけどね。なーんちゃって。


 やった……。やっと読み終えたぜ!!
我が家のお茶をデカいヤカンで沸かす時の待ち時間で一日10ページ以上を目標にして読むこと一ヶ月強……。ついに、後書きまで含めて全553ページを読破! 分厚いんだよ、チクショー!!
 まあ「そんで、内容はどうだったのよ?」と言われると、「最初っから最後まで、『西尾節』の片鱗が見えたよ!」……としか言えませんね。
うん、面白くない訳ではないんだけど……さすが、応募原稿のページ数上限の無いメフィスト賞に応募しただけあって、ページ数がちょっと多いんじゃね?と感じましたね。
別段要らない知識や、偉人の言葉の引用や、最後まで意味不明な玖渚の役立たずな立ち位置とか……。いやまあ、玖渚がいることで、「ぼく」もちゃんと玖渚を守るために、結果的に探偵役をこなしているんですけどね。
 でも500ページ超えで分厚いのに、最初っから最後まで西尾節を貫いたのはすごいなあ。
なんだかんだで、島での後半の「やっと一回裏、今度は僕様ちゃんたちの攻撃のターンだよ、いーちゃん。僕様ちゃんは三番キャッチャー、四番のピッチャーはいーちゃんだよ」と来てからは、面白くって一気に読んでしまいましたね。「お茶よ、もっとゆっくり沸いていいんだよ……?」と思ってコンロの火を弱めつつ(笑)。
 つか、この本の元タイトルの「並んで歩く」を探していると、どうやらメフィスト賞の審査員である編集さんたちが「こいつ(西尾先生)って、よくもまあ、長文な原稿をうちに頻繁に送ってくるなあ。仕方ねえ、そろそろ受賞させてやっか」「でも、まだ若いし……ここでこの作者の進路を決めてもいいんすかね?w」「この人にちょっと会ってきたんですけど、一週間に350P書けるってよw」「「「スゲー!!!」」」(一同)的な裏事情を載せているページに当たったんですが……?w 確かにこれ(クビキリサイクル)がそのまま送られて来たなら、二十歳にしては文章力とか引用の引き出しとかがすごいとは思いますが……作家デビューに至るのって、そういうのも「アリ」なんですか?w

 ネタバレあらすじー。登場人物の名前ですが、変換が面倒なのでかなり省かせてくださいね。
 島の主人1人、天才5人、メイド3人、主人の御付1人、天才の付き人2人(一人はいーちゃんです。ちなみにどっちも男。他のキャラは全員女です)……な島の屋敷で、まず芸術の天才の伊吹かなみ(いぶき -)が首を切られて殺される。偶然地震が起こった後だったので、部屋の中にはペンキの大きな川が出来ていて、つまりその奥にいるかなみの死体には誰も触れられなかった『密室殺人』だと言われる。→次は、怪しいと思って密室に閉じ込めていた、学術の天才な『七愚人(しちぐじん)』の園山赤音(そのやま あかね)もまた、首を切られて殺された。→だけど主人公は、誰かの「どっちも首を切られて、肩と同じようにあんなに平らにされて……」という言葉で、全てがわかった。→犯人ではない、と見当を付けた人たちを集めて、一芝居を打つ。そこで一人になった時に襲ってきたのは――なんと、死んだと思っていた赤音だった。そこに他のメイドさんたちもやってきて主人公を守ったりしてくれて、かなみの付き人だった深夜(しんや)という男も共犯として吊し上げる。トリックは単純で、どっちも首無しな死体なのをいいことに、最初に殺されたかなみの死体をリサイクルして赤音の服を着せて、新たな一人の死体を作ったのだった。なので赤音は生きていた。言及しておくと、島の主人のイリアは昔に人を殺していたので警察が嫌い。なので今回の事件も警察に言うつもりは無かった。→そしてめでたしめでたし……とはならずに、主人公が京都の本屋で買い物をしていると、哀川潤(あいかわ じゅん)という、イリアがとても信頼していた『人類最強の人間』と出会って、無理矢理車に乗せられて拉致られる。その道中で、実は「島に来る前から、かなみは赤音と入れ替わっていた」という推理を聞かされて、それで主人公も「深夜が何故か赤音に協力していた理由」がわかってすっきりする。そして連れて行かれたのは……玖渚のマンションだった。終わり。

 うーん、簡潔に纏めるとこんな感じです。
たぶんこんなプロットを元にして他の作家さんが書くと、本作の半分のページ数にも行かないんじゃないだろうか?
それぐらい、ちと、要らない情報なんかが多過ぎるのですが……私が端折った最後の纏めに入って行く辺りでは、きっと「おお、こんな伏線があったとは!」と感動するかもしれませんね。
 ところで、どっかの誰かさんみたいに、「いーちゃん」ってあだ名な名前の無い主人公は、もしかして作者本人のことだったりしますか? 『I』SIN先生? なーんつって(笑)。
 ついでに書くことが少ないのでプチトリビアを披露すると……西尾先生のペンネームは、ローマ字での回文なのですよ。
上から読んでも、下から読んでも「NISIOISIN」!

 評価は……序盤は星3.5ぐらいだけど、最後の100ページの怒涛の追い上げが良かったので、繰り上げて星4つ★★★★☆かな? 2巻も楽しみです!

posted by mukudori at 01:07 | Comment(4) | TrackBack(0) | 一般小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月11日

やっぱチョロインでしょ! 01/吉川 兵保

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吉川 兵保 犬江 しんすけ

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高校一年生の野々宮一平(ののみや いっぺい)は、オタク両親から産まれたサラブレッドだ。異能に憧れ、スタンドを欲しがり、独自の武術をたしなむ毎日……。そんな黒歴史を謳歌している一平の前に現れたのは、異界へのゲート!? いままでに「もしも」、の時を考えてきた一平の妄想生活を生かす時がやって来た! 両親に残すのは、自分の生徒手帳と「異世界キタ! たぶんハーレム。じゃあね〜(´∀`)/」というメモだけ。そして一平がゲートに入ると、召喚されたところにいたのは……65歳のババア魔法使い!? 『小説家になろう』での人気作がスニーカー文庫から登場! キタコレ!!


 嫌いじゃあない……むしろ、好きだよ、こういうの!
 もうね、「ヒロインが65歳のババア」ってことも加味しつつ、最初っから笑いを取りに来ているスタイルな突っ込み文体……嫌いじゃねえぜ!!
 でもなあ……。255Pという薄さで、「のうりん」みたいにイラストやフォントいじりで笑いを取ってくるのは、ちと残念ですね。
だって、元々の『なろう』に掲載していた時って、別段フォントいじりとかは出来なかったんでしょう?
設定自体は面白いんだから、オリジナルを究めて、文章だけで面白さを伝えて欲しかったです。

 ネタバレあらすじー。この話はほぼネットスラングネタやオタクネタを詰め込んでいる感じなので、動きがなくって……そういうのを省いたネタバレあらすじなので、かなり短いです。
 一平、「異世界キタコレ! 召喚相手はチョロインでよろしく!」と異世界へのゲートに飛び込んだら、そこにいたのは……65歳のババア、リュリュだった。だが一平がいろんなファンタジーのサブカル知識を披露すると、「説明する前なのに、なんでそれがわかったんじゃ!?」と驚いたりしているうちに、リュリュ(65歳)は本格的に一平に惚れる。→一平は次元魔法を使える、自称天才なリュリュに「なあ、ババア。昔は綺麗でモテてたんだろ? 若返るとか、出来ねーの?」「出来るが、三日若返る魔法を使うのに、その魔力は三日経たないと回復出来んのじゃ。魔力に変換出来るモンスターの魔石とかがあっても、ドラゴンレベルのやつでも難しいんじゃよ……」「えっ、この世界ってドラゴンとかいるの!? よし、決めた! 倒しに行こうぜ!」と一平はやる気満々でドラゴン退治に。→そこで出会ったのはドラゴン(竜)ではなく……古代龍と呼ばれている、莫大な魔力を帯びたウルフ系の伝説の魔物だった。リュリュは「古代龍じゃと!? い、イッペーよ……。この世界では、古代龍は人生で一度見れたらラッキーなレベルなやつで、人類ではどんな方法でも敵わないから、もう帰ろう……って!?」「よっし、喰らえ! 俺の徒手空拳最強の技――『天乱八手』!!」「……って言ってるのに、なんで行っちゃうんじゃーーっっ!!」と立ち向かうが、古代龍はさすがに伝説レベルに防御が硬くて温厚な性格だったので、一平の攻撃など軽くいなす。その時に何故か空想と妄想の産物だった『天乱八手』はちょぴり効いて、古代龍の外殻の一部を得る。そして古代龍に一平は攻撃の際に負った怪我も古代龍に舐めて治してもらい、リュリュの家に帰った。→そして莫大な魔力を持つ古代龍の外殻をアイテムに使って、リュリュは「怪我が治ったら俺は出て行くからな!」と言っていた一平に着いて行こうと、自分に若返りの魔法をかけると……若返り過ぎて、ロリっ子になってしまったのだった。1巻終わり。

 うん……地の文(三人称)での冷静な突っ込みとかは嫌いじゃないよ。むしろ好き。大好き。キレッキレでイイネ! って感じです。
 でも確かに面白いんだけど……どうにもこうにも、話もページも薄い!
 それとね、イラストレーターの犬江しんすけさん……。一平の母親がどう見てもストライク・ウィッチーズの主人公のコスプレでボブカットなのに、地の文では156Pで「長い黒髪を掻き上げ〜」って書いてるんですが……。
さーて、誰が悪いのかな? イラストを指定した編集さんも悪いし、よく読んでない犬江さんも悪いし、最終確認をしなかった作者も悪いと思うんですよね……。まあ、新人……というかスカウトされた作者なら、自分の文章と違っていても、上の人(編集さんとか)にそう強く、「間違ってるんで、描き直してください!」とかは言えないんだろうなあ。
 でも、リーダビリティはすごく良かったですよ。遅読な私でも、暇を見つけつつ読んで行って、三日ぐらいで完読出来ましたからねー。
それに、リュリュも「コーヒー」を「コーシー」と言ってしまうような、ババアなところとかに萌えました。チクショウ、私はおばあちゃんっ子だったんだよ!

 欠点が結構ありつつも読んでいて面白かったのは間違いないので、星の評価が難しいんですよねぇ……。
よし、期待を込めて(笑)の星4つ★★★★☆! 次巻が出たら買うぐらいには面白かったよ!
でも次の巻ではどうなるかなあ。リュリュが外見だけはババアじゃなくなったから、今巻での「ふざけんな、このババア!」「ババアって言うなー!」って感じの掛け合いがもう見れないだろうし……。

posted by mukudori at 23:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする