2015年06月05日

公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)/堀内 公太郎

公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
堀内 公太郎

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お嬢さん、お逃げなさい。

 ネットの大手掲示板を賑わせているのは【森のくまさん】という、連続殺人鬼。ただし、悪い子しか殺さないよ! 掲示板にターゲットの名前や銃所、悪質行為の所業などを書いておけば、くまさんは即座に動いてそいつを殺しにやってくる。国民や警察、マスコミたちの緊張や推理を弄ぶかのように、くまさんは今日も動くのだ。これで殺人カウントは五人を超えた。さて、次のターゲットは誰だろうか? 『このミス』大賞、最終選考作!


 あーあ……。
ここまで【森のくまさん(もりの くまさん)】って大々的にタイトルにも、面白みを出すための掲示板にもいちいちついてますからねえ……。その登場人物の名前が出た瞬間に主犯がわかりましたよ
一度読まれたら、みなさんもすぐにわかると思います。
この作者はいっそもう、最初っから犯人の正体なんて隠すつもりはなくって、単に残酷描写や森のくまさんの『お仕置き劇』を淡々と描写する感じで進んで行っているんですね。だからなのでしょうか? 約310P、結構早く読めました。

 ネタバレあらすじー。
 森のくまさんによって、世間は大賑わい。たくさんの人間が掲示板に殺して欲しい人間の情報を書き込むが、そこは運営が即時に書き込みを消去。そんな中、同じ高校の不良女子たちにいじめられている明日香(あすか)という美少女は、琴乃(ことの)という正義感が強くて太り気味な少女によく助けられていた。しかし明日香の精神はもう限界。二人でいじめっ子の城之内美加子(じょうのうち みかこ)を殺そうとするか、二人で屋上から飛び降りようとする。そこに声を掛けてきた男性がいた――。→明日香たちは城之内を殺すことを考えながら、声を掛けてきた『本物の森のくまさん』と名乗る男に、ネットカフェでの掲示板の『森のくまさんスレ』を使って、IPアドレスには細工をしてこちらの足跡を残させずに、次々とターゲットを選定する任務を遂行していた。男は準備が整ったら城之内を殺してやる、と言ってくれたが、まだいじめられている明日香はもう限界だった。→そして琴乃と一緒に城之内を急襲し、ひと気の無い廃工場に連れ込んで城之内を金属バットでボコる。明日香は指示をし、琴乃が主にバットで城之内を叩いていた。そこに現れたのは、制服姿の警察官。城之内が助けを求めるが――そいつこそが、『森のくまさん』だった。明日香たちの独断専行を少したしなめ、森くまは銃を抜き、城之内を殺そうとする。→しかしそこに、森くまの付き合っている彼女が、森くまの最近不審な言動を見て追いかけてきて、実の兄(本物の私服警官)に告げる。その兄がやって来て、「その制服も、その拳銃も、俺の上司を監視カメラに映らないところを狙って、バットで襲って奪ったものだな!?」「そうですけど、何が悪いんですか? この一見平和に見える日本で使わないものを持っていても仕方ないでしょう?」と飄々と答えてくる。そうして琴乃たちを人質に取った森くまと対峙する彼女の兄だが、なんとか森くまに致命傷は与えずに撃って無力化させる。→森くま、ついに逮捕。ネットの掲示板も大騒ぎ。そして城之内だけでなく琴乃も人質になった時に脚を撃たれていたので、病院に。明日香は最初から捕まった時のことを決めていたらしく、「全ては森くまに脅されてやった」ということにしたので、保護観察処分に。しかし、琴乃と二人きりの部屋で話しているところで明日香は豹変。「あーあ。アンタも、あんな男も信じたのが間違いだったわ。やっぱりあの人のところに行かなきゃね。知ってる? 城之内にはアンタが直接手を下したから、あたしよりも罪は重いわよ。しかもあたしってね、取調べの時に刑事たちの前で泣いてみせたの。だから同情を引けたわ。こういう時、美少女って便利よねえ? まあ、アンタみたいに気持ち悪い外見だったら使えない手段だろうけど。本当に、ここまで醜いアンタがベタベタとレズっぽく触ってくるのが不快で仕方なかったわ。じゃあね。城之内はもう一生歩けないみたいよ。でもまあ一応あたしは転校するけど、琴乃もその脚が早く治るといいわねえ?」と、全ては裏で明日香と【真の森くま】が糸を引いていたことを知らされる。友人だと思っていた明日香にも見放された琴乃は、復讐を決意し、そしてだんだんと集まる人も少なくなって行く森くまのスレッドを追っていたら明日香らしい書き込みがあったので、それにレスをしたのだった。終わり。

 うん……あのだねえー……。
致命的なのは、やはりココ!
森くまの真犯人は、やっぱり名前を見た瞬間から、「えっ!? やっぱりお前なの!? これってミスリードのために、わざと付けている偽名じゃなかったの!?」とか思って読んできましたが……最後までその通りで、ちょっと拍子抜けでしたね。
 あ、ついでに気になった&言っておきたかったことをここで一つ。
せっかく「2ちゃんらしき掲示板を使っているんだから、トリップやIDを付けて生かすなどの工夫はして欲しかった」……ってところですかね。
特に、最後のくまさんスレに、HNが「トゥモロー(おそらく、明日香)」だけが人もいなくなって行っているのに、一人だけで淡々と書き込んでいるところに、HNが「KOTO(おそらく琴乃)」が「トゥモロー」に対して「>>8 もう脚は治ったよ。近い内に会いに行くね、親友ちゃん」とか、これにトリップ(実際の2ちゃんに名前を入力するところで「#(半角シャープ)」の後に好きな文字を8文字まで入れると「◆」の後に適当なアルファベットなどが出てきて、『名無し◆abcdefgh』みたいになります)を付けていて、それに読者が気付いて実際の2ちゃんの自由な宝島社の本を語るスレやトリップ確認スレなどで確かめると、「おっ! 琴乃の氏名を全て【#】の後に入れると、『名無し◆DEATHask』になるじゃん!」とかのオマケ要素も欲しかったですかね。まあ、こんなにも綺麗なトリップが出来ることなんて滅多に無いのですけどww それだけ、作者の後書きが無いのが惜しいです。

 まあ、タイトルとあらすじのインパクトでうっかり購入してしまいましたが……やはりここは「このミス大賞」応募作であるのにミステリー要素があまりないところと、かと言って「日本ホラー大賞に応募した方が良かったんじゃない?」と思わせる要素も無い、微妙な感じ……。
「このミス大賞の最終選考にまで残った作品」というよりも「この出来ならば、やはり受賞は出来ず、最終選考で落ちる要素はふんだんにあったよなあ……」という思いが強く残ったので、星2つ★★☆☆☆。プチ地雷です。

posted by mukudori at 02:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月20日

イケニエハッピートリガー01/未味 なり太

イケニエハッピートリガー (MF文庫J)イケニエハッピートリガー (MF文庫J)
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この「幸せ」は、苦しい。

 高校生の高松裕(タカマツ ユタカ)は、ある日突然異世界に飛ばされた。荒廃した街で裕を襲ってきたのは、斧を持ったクマのぬいぐるみ!? それを倒した少女――エルとの出会いで、裕は変わって行く。第10回MF新人賞受賞作!


 うん、私的に嫌いじゃない設定に、ヒロインとの距離の詰め方。
そう……嫌いじゃないんだけど……いろいろな面で「まさかお前は突っ込み待ちなのか? 穴や粗がありすぎること、この上なし!」な作品でした。

 ネタバレあらすじー。
 エルの住む世界(ほとんど、いまの日本に似ている)で『自称:カミサマ』が人類にテレパシーで「私はカミサマちゃん! 君たちの世界がつまらないから、勝手に遊ぶよ〜。ここの人類みんなに超能力を授けてみたよ。しかもイケニエをくれたら、この世界を救済してあげよっかなー。食料問題とか環境問題とか、大変でしょ? そんなイケニエちゃんは――この子! この女の子一人だけ犠牲にするだけでいいんだよ〜。でもそんな彼女には、不死の身体を与えてみました☆ だから、殺すには――『彼女を幸せにすること』――以上! あ、ついでに言っておくと、この子が十八歳になっても死ななかったら、逆に人類みーんなを道連れにして殺しちゃうからねー☆」と言って、カミサマはそれ以来出て来ない。そのイケニエは――当時中学生のエルだった。→そんな世界に裕はいつの間にか入って行き、斧を持って空中に浮かんでいるテディベアに襲われる。逃げ回っているところにエルが来ていて、裕を助けてくれる。そして「あなた、なんで私のことを知らないの?」と訊かれても、裕もわからない。問答を交わしているうちに、裕は「じゃあ、俺がお前のことを幸せにしてやるよ」と言ったので、エルは叶わない願いだと思いつつも微笑んだ。そこにエルを保護しようとしてくる集団がやってくるのを感知したので、エルは裕の頭に一撃喰らわせて逃げる。→ベッドで目覚める裕。起きると、リタとアガサという二人の美少女たちが裕を見下ろしていた。リタは自分たちの持っている能力はいわゆる超能力で、個人差があるもの。そんな少年&少女の超能力集団のリーダーがリタだった。そしてリタは、「この世界にいるなら、裕にも超能力が目覚めているはず」と言うと、アガサに調べさせる。裕が持っているのは『約50メートル移動出来る瞬間移動能力』だった。喜ぶ裕だが、「うーん、瞬間移動能力者って結構多い能力な上に、君よりもっと500キロメートルぐらい移動出来る人もいるんだけどね……」と聞かされて落ち込む。→くよくよすることをやめた裕はリタやアガサと過ごしていたら、急に脳内にテレパシーが送られてきて、『次のテディは○○の街に20時ごろにやってくる〜』というのを聞く。それはほとんどの人類に聞かされているようで、リタが率いるチームでその街に行ってテディとエルが来るのを待つ。→20時ごろ。本当にテディが来て、そこにバイクでエルが突っ込んでくる。手榴弾などでテディを相手にするエルだが、そこを攻撃系の超能力者たちが狙うようにするリタたちの策略。リタは「保護のために〜」と言っているが裕は愕然とし、いくら不死だとはいえ、狙われているエルを自分の瞬間移動で庇う。自分を庇い、頭部に傷が付いた裕にエルは驚く。しかも裕は「自分を人質にして、ここから逃げろ」と言ってきたので、リタは手を出せずに二人は脱出。→エルの隠れ家に移っていた裕は、目覚めるとエルがずっと自分の看病をしてくれていたことを嬉しく思う。そして「俺は『お前を幸せにする』って言っただろ?」と言ってきて、二人でいまの隠れ家から離れて、自然のある郊外の誰もいない民家を勝手に借りる。エルが看病してくれたお礼に、裕は料理を作ってあげたり、放牧されて野生化した牛から牛乳を獲ってきて生クリームの載ったケーキを作ってあげる。裕の愛情が籠もったそれを笑顔で食べた瞬間、エルは鼻血を出したり、少しの咳で大量の血を口から溢れさせていた。→しかしそんな二人の幸せな生活も、またテディの襲来警報によって崩される。街に出向く裕とエルだが、テディはかなり強くなっていた。基本は瞬間移動で立ち回る裕だが、ビルの中に小学生ぐらいの少女を見つけたので避難させようと移動するが、その少女は「お前か……」と言ってテディで裕に攻撃してくる。裕はぎりぎりのところで逃げるが、そこでエルの弱点が出て、テディは手榴弾を使ってきて自爆。その近くにいたはずのエルはいなかった。裕は愕然としつつ、エルの姿を探し、名前を呼び続けたのだった――。

 うん、嫌いじゃないんだよ、こういう殺伐としつつもほんわかするようなボーイミーツガールの世界観
……あ、わかった! 以前絶賛しまくった、電撃文庫のこれに近いんだよ!→これ
 けどなあ……受賞作のくせに、なんで1巻で区切り良く終わらせんのかい、MF文庫J編集部よ? 投稿時はどんな原稿送ってデビューしたんだ、この作者は?
 あとは……文章力はかなり低いように感じましたね。さすがピチピチの24歳(1巻発売当初)。
それに加えて、あまり効果を成していないのに、やけに文章の中で使ってくる傍点(たまに強調したい文字の横に付いている「、、、」のことです)にはもう、こっちが恥ずかしいぐらいですよ……。
 それと、なんで最初にカミサマが「人類みんなに超能力を与えちゃいまーす!」って言ってるのに、裕が来た時点では十八歳以下の少年少女たちしか、前線に出て超能力使って活躍してないの?
リタが「団長」というトップリーダーの立ち位置らしいですが、こういう組織にはもっと大人が上にいて統括しているべきだと思います。つーか、大人がまるで絶滅したかのように、現在の時間軸では一人も出てないんですが……(過去の話には、エルの母親なんかも出ていました)。
 ここまで酷評ばかりですが、しかしらいかさんの絵は嫌いじゃないんですよ。私の個人的絵師買いさんランキングで首位を争っている岸田メルメルと庭さん……! そんな庭さんの絵に似ているので、カラーとか最高ですね! だがな、モノクロイラストな29Pのアレは看過出来ねえぞ!! 単にらいかさんがカラーイラストの方が色彩センスが良いので得意、っていうのを言い訳にしたらわかる気もしますが、どんだけだよ……orz 見た瞬間、思わず((((゜Д゜;)))) エッ、コレガプロノシゴトデイイノ? ……ってなったよ!

 イラストは好きですし、1巻で引っ張られてラストを見れないのは悔しいので、今月発売の2巻もたぶん買います。星は3つ★★★☆☆ぐらいかな。

posted by mukudori at 01:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | MF文庫J | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月10日

うちの居候が世界を掌握している! 04/七条 剛

うちの居候が世界を掌握している! 4 (GA文庫)うちの居候が世界を掌握している! 4 (GA文庫)
七条 剛 希望 つばめ

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若手社長の恋のスキャンダル!?

 真哉たちがデパートに買い物に行き、そこで出会った美少女はなんと転校生で!? 桐生愛(きりゅう あい)と名乗った彼女は、初めからぶりっ子全開で「シンくんの彼女にもなりたいなっ!」とアプローチをしているのには桃香がヤキモキ!? さて、今巻で今月にて11巻も発売されることになった「最強居候シリーズ」に、なんとなく「なるほど、こりゃあGA文庫である程度売れててもアニメ化は出来ねえ訳だわ……」と思わず納得した第4巻!


 じゃあ、初っ端からネタバレしましょうか!
愛(日本でのコードネーム)は母親(コードネームはジョン・ドゥ)と二人で各国を股に掛けるフリーエージェントをやっている。
……なんですけれど、最初に「いかにも!」という感じで「ジョン」をキルマンぐらいの男に見せさせようとしているので、そこで愛と通話している母親の声をどう表現するか迷うと思うんですよねー。
まあ、いっそ「いかにも!」な感じを貫き通してスパイらしく機械音声にしてもいいのですが。
それと、愛が「フリーのスパイの仕事をするのは、ずっとママと一緒にいるため」と言っているのがよくわかりませんでしたね。それなら最初っからCIAでもどこでもいいから、国か機関に所属してろよ。
その後で愛のママが、真哉だけでなく愛も巻き込んだ、打ちどころが悪ければ死んでもおかしくないぐらいのパイプ椅子落下事件を起こしたり、ちょっと化粧をしたぐらいで中学校に忍び込んだり……。普通の公立中学校ぐらいなら(一学年五クラスぐらいだと想定するとして)、生徒たちは先生全員ぐらいの顔は覚えてますよ? それで「さっきすれ違ったあのおばさんって誰だろーなー?」とか噂にしたり。
その上、キルマン相手に「だけれども、我々は各国で恨みを買い過ぎました。だから愛の仕事ぶりをオリオンリュートに見せつけて、オリオンリュートの専属になることにします。あの子のスキルは素晴らしいでしょう?」って……。あのぉ、その前にキルマンに愛の前回の機密潜水艦の情報を得る仕事(詳細は下のあらすじに書いています)がすぐにバレて、愛の言うところの『優しいオジサマ』が「愛にやられた!」とわかったから「じゃあまた、あのカフェテリアで待っているよ」とか言われてますよね? ここ、さり気にすごく愛がスパイとして役に立たない未熟な人間だと描写していると思うんですが……。でも一緒に銭湯に行った時の描写では、三時間も猫被ってオッサンにお酌する愛に対して真哉は「君の仕草には心が籠もっているからね。だから、きっとあの人たちにも伝わっているよ。これから先も、力になってくれる」とか抜かしてましたが……うん、確かに力になってくれましたが、「でも、それだと愛の裏切りを許せないカフェテリアのオジサンはどうなるの?」という矛盾が産まれますよね。

 突っ込み終わり! ここからはあらすじー。
 どこかの国。その国の重鎮が行きつけのカフェで仕事をしながらお茶をしているところに、愛はアルバイト店員として潜入していて、秘匿潜水艦の情報を訊き出した。→その後。真哉と愛、デパートで出会う(けれどこれも愛の仕込み)。→新学期、真哉と桃香のクラスに転入してくる愛。クラスで人気者になるが、桃香にはおちょくるようにして態度が悪い。→愛は飯山家に遊びに行ったりして潜入捜査をするも、自分では気付いていないが真哉に惹かれていた。それで桃香も不機嫌になる。→愛は体育館の準備などをしてイイ子を演じるが、そこに愛の相棒のジョンが、真哉たちの上にパイプ椅子が落ちてくる事故を仕掛ける。保健室で、自分を庇ってくれた真哉の怪我を手当てする愛。えっちぃラブムードになりそうなところに桃香が来襲してその空気を壊す。→愛の母親が中学校に来て、真哉にさり気なく接触するも、真哉はそれを看破する。→愛のママ。本来の『オリオンリュートの最重要情報を取ってくる』という仕事の依頼してきた国とは縁を切り、キルマンと話し合いをして示談金も払ってもらい、自分たちをオリオンリュートの専属スパイにしてもらうように頼み込む。愛は驚くが、愛のママは「スパイが無意識にターゲットに惚れちゃあ駄目じゃない」と言って愛を少しだけ叱った。茫然となった愛は学校の屋上に行って柵から飛び降りるが、下には銭湯でお酌をしたオッサンたちが巨大バルーンを荷台に積んで待機していて、愛は生き延びた。真哉はみんなにそのことを「映画の製作だったんです」と説明した。→そうして愛は一旦はまた転校するも、また中学校にやって来て「みんな、これからはきりゅ……『新生愛ちゃん』としての桐生愛で仲良くしてねー!」と真哉だけが、愛のお茶目な苗字のもじりの自己紹介に気付いていたのだった。
さて、次はみなさんご多望のルファ回らしいですよ!!

 あ、それと141Pの挿絵なんですが……希望つばめさん、あのね……背景の竜と虎、全ッッ然迫力ねえわ……。
お願いですから、下書きをそのまま出さないでください。

 んー、今回は読みやすかったけれども詰めが甘いので星2つ★★☆☆☆かな。星3つまで惜しい地雷だ!

posted by mukudori at 03:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | GA文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月01日

ぼくは明日、昨日のきみとデートする/七月 隆文

 ついにやってしまった……。
一ヶ月に一回しかブログの更新をしてない、という愚行を……!!orz
ちなみに今月も結構仕事が忙しい上に、気候が暑いので、読書するよりも夜は除湿&クーラーで速やかに寝ていたい心境でございます。
でも、更新を頑張るつもりはあるんですよ! 一応ね!
ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)
七月 隆文

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君に会えたそれだけが奇跡で始まり。

 京都の美大に通っている南山高寿(みなみやま たかとし)は、電車の中で見かけた美少女に恋をした。一目惚れだ。いてもたってもいられずに告白した彼女の名前は福寿愛美(ふくじゅ えみ)。どんどん惹かれ合う二人だが、高寿は愛美の秘密に気付いてしまう。全ては神の手の平の中での遊びなのだろうか。だからぼくは、別れが待っていようとも、「昨日の君」とデートをするのだ――。


 まずはひとつ、
「読者メーターの感想なんてものは信じるな!」
……と、声を高らかにして言いたいですね。
ちなみに私が本屋で買った時に付いていた帯にあったものです(ちなみに、この時点で九刷でした)。
「電車で読んだのが間違いだった。ここまで涙を我慢しなきゃいけないんだったら、家で読みたかった。」
 う、うおお……。こんな文面を目立つ表帯に持ってくるとか、いきなり、ものすんげえハードル上げてきてますねえ、宝島社!!
まあ読後は、「えーっと、どんだけ涙腺緩いの、この人?」とスタバのフラペチーノでも奢るから、ちょっとこの方のこれまでの読書遍歴を訊いてみたいですね。興味本位で。けしてナンパじゃないですからね!(笑)
ついでに裏の帯にも読メの読者のスイーツ()っぷりをがっちりと感じさせる三人分のコメントがありますので、本屋に入って腹筋体操をしたくなりましたら、この本を探してください。そこらのお笑い芸人よりも単純に、数秒で腹筋を鍛えさせてくれますよ。

 ネタバレあらすじー……なのかな? 今回のは「あらすじ」というにはちょっと微妙なラインです。
 高寿、美大に行くための電車の同じ車内に乗っている愛美に一目で惚れたので、愛美が降りた駅でたまらず追い掛けて行って、「一目惚れしました! 携帯電話の番号を教えて欲しい!」と告白するも撃沈した……と思いきや、高寿が美大のマンガ科で動物園に行ってクロッキーの授業をやっているところに愛美がやって来て、「そのキリン、上手いね。やっぱり教室に張られただけあるんだ。お尻のラインもいい感じ」と言われたので高寿は驚く。そして愛美も「携帯を持っていないのは本当なのよ。でも、よく考えたらやっぱりあなたと付き合いたいかも。だから、今日は逆に追い掛けてきちゃった」と言われて二人は付き合うことに。→ラブラブな日々を過ごす二人。しかし愛美の表情はだんだんと沈鬱になってきており、高寿はある日、愛美の手帳を見てしまう。そこには「五月二十三日、彼にとっては最後の日」と書かれていて、高寿は見なかったふりをするが、愛美にすぐ看破される。→愛美は自分のことを、この世界とは時間が遡行して流れているパラレルワールドから来た人間だと言う。
つまり時間軸を矢印で表すと、
…………←←数十年前の日本の関西で某大震災の日であり、高寿は家に潰されそうになっていたところを見知らぬおばさんに助けられる。
四月某日、二十歳の高寿が一目惚れ。→→→→→→→→→→ 5/23、ここまでが、高寿の人生の中で愛美がいる世界。
愛美が高寿の前から消える日。   ←←←←←←←←←← 5/23、ここから愛美の地球での短期生活は始まっていて、最初の記憶は三十路近くの辺りからどんどん若返って行き、手帳に高寿との思い出のメモを取っているが、最後はほとんど高寿との楽しい記憶が失われて行ったが、高寿に抱き締められて身体ごと消えてしまった。
そうして愛美は故郷のパラレル世界に戻るのを明かす時に、「私が五歳ぐらいの年齢になってもう一度この世界に来た時には、三十路ぐらいのおじさんがお祭りの屋台の爆発から庇ってくれた」と言っているので、おそらくは2013年の福知山での……あの事件でしょう。
このSF的設定を保持しつつ、タイトルでは「パッ!」と目を惹くように「ぼくは明日、昨日の君とデートする」という思考は読者に植え付けられていますよね。
それに加えて、事件の名前こそ出していませんが、日本人にとってはなかなか忘れることの出来ない印象深い関西方面の事件を扱っているのを含めると、この本の中でパラレルワールドを扱っている全てが見えてくる訳です。
なのでもちろん最後にパラレル世界から来た五歳の愛美がお祭りでの事故に遭った時に庇ってくれたおじさんの正体は――……これ以上語るのは、蛇足で無粋でしょうね。

 しっかし……もうちょっと愛美のキャラをパラレルワールドっぽく、いわば『あざとく』作ってくれなかったのかなあ?
 一般向け文庫だから、と言ってしまえばそうなんですが、名前も普通、性格も普通、見た目は美少女……って、これはもういっそMW文庫で出しても良かったのでは? 作者はどうやら電撃出身らしいですし。
 ついでに追及したいのは、見た瞬間にいかにもな矛盾を感じさせる愛美の台詞を言わせることになる、高寿の受けている美大の授業描写の辺りで「このクラスでは実力が図抜けている人がいて、それでいつも一位か二位の技術を争っている徳田くんは、勝手にみんなの作品を教室の内外に張るのだが〜」みたいに書いていますが、そこまで描写するなら、徳田くんのライバル(?)のことにも最後まで言及して欲しい。
こっちが勝手に「おっ! もしかしてそのライバルって、主人公は自分が気付いていないだけで、『俺って絵UMEEE!!』なやつなんじゃね?」とか思っていて楽しみだったのに、最後まで放置でした。それなら最初っから、伏線っぽく張るな。もしくは「美大で実力が図抜けている人たちはやはり頭もどこかおかしいようで、徳田くんと仲の良い林原くん。この実力者二人はいつも突拍子の無いことをしている。今日のはこの前のクロッキーで上手いものを二人が選んで張っているようだ。」とかにしてくれ(この描写は素人がテキトーに書きましたので、お許しを)。頼むから。
 それと変に詳しく描写している、「愛美とのデートを成功させるために、下見として唐揚げ屋に女子高生たちが並んでいるけれど、ぼくは誰も並んでいないピザ屋で一切れ買ってみた。それが意外と美味しいのだった。」ここもその理由とか知りたかったですね。しかもその後で唐揚げも買ってみますけど、「そこまで美味しくはなかった」と感想を言っているのに。京都での作者の実体験を表した、唐揚げ屋への皮肉描写でしょうか? 京都の人ならわかるのかな?
 高寿が美大学生な描写も上手く生きてはいませんでしたね。しかも探してみたら、作中にある木野美術大学って……高寿が乗っている実際の京都の他の造形大学なんかは実際の名称が出て来ているので探してみると、木野美大って作者の卒業した京都精華大学を隠したネーミングじゃないですか……。
なお且つ、愛美に語る高寿の夢は「イラストも描きつつ、小説家にもなりたいな。いま書いているのは、アンドロイドの女の子の話なんだけれど……」って、オイィ! お前さんの過去の作品に、まさにそういう設定のやつがあるんですけれど……?((((゜Д゜;))))
うーむ、「庶民サンプル〜」ではかなり笑わせてもらった七月先生ですが、こういう痛い側面もあったとは……。

 読メで「感動した!」「泣いた!」なんてほざいていらっしゃる人たちには悪いですが、最初の愛美の「ああ、そのクロッキーが張り出されたんだ。やっぱり上手だね」で読み始めて数ページでラストの展開がもうわかってしまったので、評価は辛辣になります。
星2つ★★☆☆☆。今後、映画化でもして古本屋で高く売れることを願っています。

posted by mukudori at 03:09 | Comment(1) | TrackBack(1) | 一般小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月04日

問題児たちが異世界から来るそうですよ? 03 そう……巨龍召喚/竜ノ湖 太郎

問題児たちが異世界から来るそうですよ?  そう……巨龍召喚 (角川スニーカー文庫)問題児たちが異世界から来るそうですよ? そう……巨龍召喚 (角川スニーカー文庫)
竜ノ湖 太郎 天之有

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そう……巨龍召喚

 箱庭にて、本格的に『ノーネーム』の復興をしている問題児たち。飛鳥も耀も頑張っているが、その中でも十六夜は……なんと、この階層の権利書をギフトゲームに勝って奪ってきて!? その後には『龍角を持つ鷲獅(ドラコ・グライフ)』という連盟から、アンダーウッドという巨大樹の麓での収穫祭に招待され、十六夜だけをホームに置いて参加することにするが……耀はいつも一緒だった三毛猫がいないことに気付き、更には十六夜が大切にしていたヘッドホンを壊してしまったことでパニックに!? アニメ化もされた人気シリーズ、第3弾!


 世間では、この問題児シリーズが「第一部完結! 伏線回収スゲー!! それに次からは、タイトルや絵師も変えて六月に発刊だってよ!!!」……と、楽しそうにやっておられますが、うん、ごめん!
三巻とか、マジで「え、いまさらレビューすんの?」と言われても仕方ないっすよねww
ですがね、一応私の中のルールとしては、新作を買う度にさっさと『ネタバレあらすじ&レビュー』をしていたら、これで満足して実際にその本を買わない人もいるだろうなー。
……とも考えているので、最低でも発売日から一ヶ月ぐらいは間を空けて、このような記事を投稿しているのですよー。
でもたまに、大好きな作家さんの作品なら我慢出来ずに読んでしまって投稿することもありますが、そこは勘弁してくださいm(。_。)m

 ネタバレあらすじー。
 飛鳥は『ノーネーム』の持っている畑をディーンで耕す。耀は二巻で知り合った『ウィル・オ・ウィスプ』のメンバーと交渉して、『一度点けたら消えないランタン』を流してもらうように。そして十六夜は、一巻の時に箱庭に来るなり殴り倒した白蛇(白雪姫という女性体も取れる)のギフトゲームにて勝利し、階層の権利書を取ってきたので、ジンは大感激。十六夜が風呂に入っていると、そこにレティシアやリリが十六夜をねぎらおうと背中を流すために入ってくる。そんな時に脱衣所ではいつも耀のそばにいる三毛猫が十六夜の持ち物からヘッドホンを盗って行って、自分も雲隠れ。→なので普通なら十六夜が行くはずだった収穫祭に耀が行く。→十六夜の過去話。あまりに人間として異質な能力を持つ十六夜は、孤児院を盥回しにされていた。誰かがその能力を悪用するために引き取っては捨てられたり、「こんな子供、自分たちの手には負えない!」と思われては捨てられ……。最終的に、悪用される前に相手を陥れることを覚えた十六夜は大金を貯めて、ネットで「俺を捕まえられたら、この金を全てやるよ!」と写真付きの広告を出すが、山の中の小屋でたくさんのアタッシェケースと一緒に待っていても誰も来ない。タイムリミットぎりぎりになって諦めていると、そこにやって来たのは金糸雀(カナリア)という二十代ぐらいの女性だった。そして十六夜は、『カナリアホーム』という十六夜のような特質的能力を持った子供たちが集まるところに入った。ヘッドホンも、ホーム仲間の焔(ほむら)という機械関係に強い少年が十六夜のために作ってくれたものだった。十歳で拾われてから金糸雀が死ぬまで、十六夜はホームにいた。→収穫祭に行った飛鳥たちはいろいろな種族に出会うが、そこには二巻で出て来た『サラマンドラ』のリーダー、マンドラの姉であるサラが現れて、「あの時は妹が世話になったね」と挨拶してくる。『ウィル・オ・ウィスプ』のジャックとアーシャとも再会。そうして収穫祭が始まるのを待っていると、耀は自分の持ち物の中に、十六夜のヘッドホンがあるのを確認して愕然とする。混乱しているところに黒ウサギが来て、「それはまさか、十六夜さんの……!?」「ち、違っ……!」と混乱しているところに巨人族が襲来してくる。収穫祭にやって来たみんなで奮戦していると、一人の女剣士が巨人どもをあっという間に倒してくれた。飛鳥たちはサラに連れられて、「おそらく、これが巨人族が攻めてきた理由だろう」と言って、『バロールの死眼』を見せてくる。サラは「いまはただの岩石にしか見えないが、一度封印を解けば百人程度の魔王ぐらいならば殺せるもの」だと言う。その後、こっそりと耀に着いてきた三毛猫が耀と再会し、ヘッドホンの経緯を飛鳥に話して、「三毛猫だけが悪いんじゃなくって、私の弱さも関係しているんだと思う。だから、これをなんとか直したい!」と告げると飛鳥も「ここは箱庭だもの。こんなに粉々になっていても、直す技術があるかもしれないわ。探しましょう!」と快く手伝うのを約束してくれた。→十六夜の過去、金糸雀が死んでから「弁護士だ」という燕尾服で山高帽の怪しい男が十六夜を訊ねてやってくる。十六夜に遺されたものは、金糸雀との日記のような分厚い原稿だった。読んでいると、あと少しで終わり……というところで金糸雀の文章は「いま君が時計を見ると、○○月○○日の、××時××分、××秒××だろうね。合っているかな?」と書かれていたので時計を見ると、その通りだった。その続きには、箱庭でのギフトゲームに近いものが書かれており、「十六夜が負けたら、ホームのみんなを連れて行くよ。このゲームの期限は十八時までだ」とあったので、十六夜も焦って解く。そして十六夜がそれの答えを提示したのは弁護士の男で、「そういや、生死の境目にやってくるっていう神霊がいたな。確か、名前は十字架の男爵(クロア=バロン)だったか」「お見事。正解だ。金糸雀が目を掛けていただけはある」と看破するとバロンは十六夜を襲ってきた。バロンの能力で異次元に移って攻撃をし合うが、『金糸雀とのゲーム』のタイムリミットが迫っていたので十六夜も本気になる。バロンもそれに気付き、いまいる異次元を収縮させて「このままだと、世界全てが崩落するぞ! 現実世界にいる、君のホームの仲間たちもだ! 助けたいのなら、君の『ギフト』を発現させろ!!」と言われたので、十六夜は異次元を崩壊させる。気付いたらカナリアホームに戻っていたので、金糸雀の手記の最後のページまで読むと、箱庭への招待状を開ける気分になり、喜んで箱庭へとやって来た。→耀、飛鳥、黒ウサギの三人でヘッドホンをどうにかしようと悩むが、そこに巨人族がまたも濃霧とともに襲来する。しかし、「この巨人族がケルト伝説のものならば――」と考えたジンによって、ジンは自分のギフトとなった『精霊使役者(ジーニアー)』を使い、二巻で倒したペストを呼び出して巨人族を悉く圧倒する。耀はその隙に、巨人を操っている竪琴の主を見つけて、一人だけで竪琴を奪った。→戦闘が終わり、ヘッドホンのことをみんなに話すと、最初の巨人襲撃の時に強大な強さを見せつけた女剣士はフェイス・レスと言うそうで、『ウィル・オ・ウィスプ』のリーダーのクイーン・ハロウィンが懇意にしている招待客らしい。彼女によって、耀が祈り、耀がいた元の時代に同じものがあったならばそれを召喚することが出来る、と。耀は「父さんが持っていたから家にはあるはず」と言って、苦しいこともあったけど、それ以上に楽しい友達が出来たので、箱庭に来た自分の判断は間違っていなかったんだ、と吹っ切れていた。→エピローグ。レティシアと一緒にアンダーウッドに来た十六夜。黒ウサギが訊くと、十六夜はポケットから小瓶を取り出し、「周囲に猫の毛がたっぷりと残っていたから、ここまであからさまだと怒る気にもなんねえよ。春日部の様子だと、あいつは関係してないみたいだしな」と、三毛猫の毛を見せた。しかし、そこで夜空の星が一つ、消えた。詩が流れ、耀が奪ったはずの竪琴が鳴り響き……なんと、アンダーウッドのところに巨大な純血の龍が出現した。混乱の中でレティシアも攫われ、十六夜たちは一方的にゲームに参加させられる。レティシアは攫われる前に「いいか、『十三番目の太陽を撃て』……!」と言い残した。最後まで迷い、金糸雀が昔箱庭にいて、そして異世界の日本で死んだということを十六夜には伝えないまま……。

 来たよ……。来たよ……。
またもの、「浮き足立つ」の誤用がな!!
スニーカー文庫リニューアル前の初版の12Pなのですが、本当に最初の十六夜が現代にいたころの内心でこう表現しているので、その後から「十六夜の持つ能力(知識や頭脳含む)は、そこいらの大人たちには理解出来ないぐらいすごいもの」などと描写されても「はあ? こんな誤用をするやつがか?」と思ってしまったので、それで少し冷めた目線になったかなあ。
 そして、165P! なんで地の文で女剣士(フェイス・レス)の格好を表現するのに、「顔の上半分を隠す白黒の仮面」やら「白いドレススカート」やら「美しい白色の髪の毛」、「白銀の鎧」を連ねて書いた後に、「〜これらは余すことなく、巨人族の血で染まっていたのだ。」とか書くのかなあ……。三人称に近い飛鳥の視点なのでしょうけれど、「全部が巨人の血で染まっていた。」なら、色とかはわかんねーだろ。
「巨人の血で全身が染まるぐらいに強い」のを強調したいのか、それとも「全身が白銀っぽい純潔な色で揃えていて美しい」のか……。どちらかを選択しなきゃいけませんよ、作者先生。
両方を兼ね備えたものにしたいのなら、「ほんのわずかに残って見える白銀が、彼女の元の髪の毛(ドレス&鎧&仮面)が美しい白だということを示していた。」とか書くようにしてくれ。
ですがむしろ、全身を血で染まらせない方がそのキャラを強く見せるように思います。たとえば、「女剣士(フェイス・レス)が自分の剣の刀身を払うと、鮮やかな血が散った。」とか。
 その後も読んでいて「あれ?」と思ったのが、190Pの三人称で地の文なのに耀のことを「悩む耀だが〜」「三毛猫を受け取った春日部は〜」と二つの呼び方で書いているので、一瞬「春日部って誰だよ!?」と混乱しました。
それにも関係するのですが、致命的に嫌だと感じたのは、「この三巻だけなのかな?」とは思ったのですが、ライトノベルとはいえ小説なのに、『…(三点リーダ)』や『―』を奇数で使うんですよね、この作者は。『小説 作法』でぐぐれば出て来るのですが、普通『…』や『―』を使う時は、『……』や『――』みたいな感じで二つ並べるのが基本なんですが。小学校高学年ぐらいの時に国語の授業の作文作法で習った気もします。
なので、ラノベだけに限らず他の小説家さんはほとんどそういう基本を守っているので、それに慣れたらこの部分が読んでいて気になって気になって……ちょっと苦痛でした。
 それにさあ、耀よ。竪琴を奪う時に、地の文で「倒すまでは行かずとも、あの竪琴を奪えれば……!」「自分で勝ち取った成果を、この腕で抱き締める。」とありますが……これさ、おまえ(耀)が最初からうじうじ・ぐずぐず悩んでなければ良かったんじゃね? 「あの竪琴を破壊出来たらラッキーだと思っておこう。でも、最低でも奪って、戦闘不能にしてやる!」とか。だから見せ場なのに、カタルシスが無いんですよね。もっと十六夜VSバロンの戦闘みたいに好戦的に行こうぜ! ニア ガンガン行こうぜ!!
でもまあ耀の性格を考えたら、他の女子キャラは明るい&大らか&尊大&突っ込み役な子ばかりなので、作者的にはキャラ被りの懸念があって、耀をボケ気味なキャラ&内向的な性格にするのは仕方ないのかもしれませんが。
 最後の突っ込みは249P。「三毛猫」のルビが「三(き)毛(け)猫(ねこ)」になってますよー。
 まあ、ちょっと苦言ばかりになりましたが、最後の方での耀が「父さんがこのヘッドホンはビンテージ物だって言ってたから」と言うので、「やっぱり耀は十六夜よりも未来から来た人間なんだな! それにこの巻の表紙にて十六夜のヘッドホンを着けている耀の姿を見ても、耳の部分のエンブレムが『炎』だから、もしかしたら十六夜のカナリアホーム仲間の焔が社長か技術者になって、自分の名前をデザインしたものをエンブレムにしたのかも!」とか、憶測するのが楽しくて止まりませんね!
 フェイス・レスもバロンがもう一度箱庭に甦らせた金糸雀なのかなー、とか考えたり。十六夜が戦闘中に嫌になるほど「こいつは生死を操る神! おまえにとっては、ゾンビなんかもお手の物だろ!」とか言ってますし。

 でも結構突っ込み入れたので、評価も同じく下がります。星2つ★★☆☆☆。プチ地雷だぜ!

posted by mukudori at 23:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする