2015年07月31日

(仮)花嫁のやんごとなき事情 ~離婚できたら一攫千金!~/夕鷺 かのう

(仮)花嫁のやんごとなき事情 ~離婚できたら一攫千金!~ (ビーズログ文庫)(仮)花嫁のやんごとなき事情 ~離婚できたら一攫千金!~ (ビーズログ文庫)
夕鷺かのう 山下ナナオ

エンターブレイン 2012-06-15
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ド庶民根性なめんなよ!!

 孤児院で暮らす、一週間に29ものアルバイトをこなすバリバリアルバイター、フェルディア(フェル)。しかし彼女の美貌はそのユナイア王国の病弱な姫君・シレイネとうり二つなので、度々影武者生活をやらさせていた。だが、今回王国から来たのは、つい先日まで戦争をしていたエルラント国の第三皇子……通称『毒龍公(どくりゅうこう)』と畏怖の感情で呼ばれるクロヴィス(クロウ)の元に嫁ぐことだった。シレイネの兄であり若きユナイア王であるシスコンなセタンタ陛下は「次の『ワルプルギスの夜』までに嫌われて離婚してくればいいから。嫌われるだけだから簡単だろう?」と、「報酬は馬車一杯の金貨でどうだい?」というのにフェルは釣られてしまった。はたしてどうなる、「お金の方が大事ですから!!」と言い張るフェルの命!


 少女向け小説も、結構面白いのが多い!!
 この前のビーズログ文庫記事の「死神姫〜」が良かったので、本屋で少女向けラノベ棚をざっと見て、表紙&タイトル買い(笑)しました。滅多に来ない本屋だから、旅の恥は掻き捨て……とばかりに、「瑠璃龍守護録」とかやら一迅社アイリス文庫のものやら、いろいろ買いましたよ(ただしレジでは裏表紙を向けて&店員さん「カバーはお付けしま……」私「――えっ!? いえいえ、結構ですから!!」)www
 さて、この本はですね……普通のビーズログ文庫とは違う点があります。読み終わったら一度、カバーを外してみましょう。少し嬉しいですから……と、2巻以降を買った後に気付きましたw

 ネタバレあらすじー。
 フェル、いつもの王国からの呼び出しに応じると、エルラントの第三皇子・クロウの元へ嫁いで欲しいと言われ、躊躇するが報酬の大金に目が眩んで即決。→行った先のエルラントのクロウのお城は庭には毒草を生やしていたり、クロウ自身も毒草を好んで食べて耐性を持っていたり、「部屋から出るな」と言われたり、初夜には髪の毛を引っ張られて窓の外にフェルの頭を出され、剣を首に当てられて「これでわかっただろう。お前を殺すことなど躊躇しないぞ、俺は。せいぜい死にたくなければ大人しくしているんだな」と言われるも、フェルも「首を切るのは構いません。ですが、このドレスはユナイアの国民の税金で作られた大事なものです。それを血で汚さずに殺せるというのでしたら、いつでも殺していただいて構いません」と対抗する。ここまで大人しそうに見せていたシレイネ姫(フェル)からの意外な反論にはクロウも驚き、その夜は退散する。元より、この国々で広まっているワルプルギスの婚約で初夜は特段『体を繋げる』というものではなかった。→部屋に籠もっていろ、とは言われたものの、先の戦でのユナイア国に恨みのある使用人たちにもどうやらシレイネ姫は嫌われているらしく、誰も入ってきて料理を持ってきたり掃除をしたりはしなかった。なのでフェルはセタンタが持たせてくれた荷物の隠し底からこのお城のメイド服や伊達メガネを取り出すと、それを着てこっそりと部屋から抜け出す。するとラナという下女に出会い、「あなた、新入り? 夕飯を食べ損ねたなら、キッチンを使ってもいいわよ。ただし、火は使っては駄目だけどね」と、おそらくこのお城の使用人の中では一番シレイネの担当でシレイネを嫌っているらしい少女にキッチンに案内してもらえる。そこでフェルが何を食べようかと迷っていると、誰かがランプを持ってやって来たので、その人物は「新入りのメイドか? 別に、俺がいるなら火は使って構わないぞ」と言われたのでカボチャのチーズ焼きを作ると、相手がカボチャの皮を取って食べようとするのでフェルが思わず「カボチャに種の綿以外で食べられないところはありません!!」と近寄って叱ると相手は笑ったが、それでランプの方に近寄ると相手がクロウだったことに気付いてフェルが蒼ざめる。しかしフェルの変装には気付かれておらず、フェルは名前を聞かれて咄嗟に自分の名前を答えてしまう。→その後、フェルは暇なのでたまにメイド服に着替えてお城を探索したり、孤児院時代の癖で部屋の中を掃除したりしていた。だがある日、お城中の使用人がクロウによってフェルの部屋の前に呼び出され、「お前たちは、自分に与えられた仕事を放棄していたというのだな?」とクロウは怒り心頭。ラナたちを庇うためにフェルは「いいえ、旦那さま。ちゃーんと私のお部屋は掃除されていますわよ。埃や塵一つありませんわ。どうぞお確かめ下さいませ」と言って室内を見せる。確かにフェルのアルバイトスキルで室内はピカピカだったが、「なら、これはなんだ? お前は食べられるのか?」と言われて、部屋のドアの前に置かれていたスープの皿を出される。それにはジャスミンの葉っぱに似たものが添えられており、疑問を持つフェルだがクロウは「これは葉をたった三枚口にすれば死に至る猛毒だが、それでも食べられるというのか? どうやらお前たちは、一応とはいえ俺の妻を殺そうとしたらしいな」と言われたのにはフェルも言葉が詰まった。ラナは死ぬとまでは思っておらず、腹を下す程度だと思っていた、と弁解する。しかし変装姿の時に優しくしてくれたラナたちを庇うと決めた手前、いっそ最期まで庇ってその毒草を口にしようとしたフェルの手をクロウは止め、毒耐性のある自分が食べた。フェルはこの後で再度クロウに立場を自覚するように脅される。しかしその分、命を助けられたラナたちはその後日からフェルに対して従順になる。→ある日、庭のベンチでラナと一緒に刺繍の手芸をしていたフェルはシレイネ姫の影武者としての教育&アルバイトスキルで見事な刺繍を完成させていたが、後ろから貴族らしき男が刺繍を奪って布を破る。その相手は翠龍公(すいりゅうこう)――エルラント国の第二皇子であり、クロウの兄のイグレックだった。ラナが思わずフェルを庇うと、イグレックはためらいもせずにラナの顔を殴り、剣を抜いて殺そうとしたところを孤児院で院長先生から教わった体術でフェルがイグレックの剣の鞘を奪って剣筋を受け止める。対峙していたところにクロウがやって来て二人はなんとか助かった。→メイドフェルがラナのところに行って先ほどのことを話して「あいつらの毛根、ハゲてしまえ!!」などと悪口を言っていると、後ろからクロウが「残念ながら、毛根は安泰な家系なのでな」と。蒼ざめる二人。しかしクロウはラナに何かの細い水晶で「これで傷を冷やしておけ。後で使うから失くすなよ」と言って渡し、フェルは毒草園に連れて行って「この中で好きな花はなんだ?」と訊き、フェルは「(そう言われても全部毒草だし……)あ、鈴蘭ですね。これは好きですよ」と言って、シレイネ姫との思い出を語った。→また後日。イグレックが「この前の謝罪をしたい」と言ってクロウの城に来て、フェルも混ぜてお茶会に。イグレックは、「エルラントとユナイアの境界の村に出た盗賊を倒したら、着ていたのはユナイアの軍の鎧だった」と言って血に塗れた革鎧をテーブルの上に出した。目を逸らしたフェルが紅茶を飲もうとしたら、クロウがそのカップを取り上げて、自分が飲み――倒れた。イグレックが「誰かが茶に毒を盛ったぞ!!」と声高に言うと、クロウの城の召使いや兵隊たちはイグレックによってクロウの城の地下牢に閉じ込められた。イグレックに「本来なら、あの紅茶はお前が飲むはずだったのだ。そうすれば一口で死ぬはずだったのに、無駄に毒耐性のあるクロウが飲んだ所為で……。お前はあの愚弟の本当の気持ちを知らなかったのだな。せいぜい、地獄で気付いてねぎらいの言葉でも掛けてやるがいい」と言われてフェルは自分の部屋に閉じ込められる。逃げ出すためにメイド服の格好になってシーツを切り裂いたものを繋いで窓の外に出し、「ああっ、奥方さまが!」と叫ぶとイグレックの兵がドアの鎖を外して飛び込んできたところにモップなどで攻撃して気絶させる。そうして意識朦朧としているクロウとイグレックが対峙しているところにフェルは小麦粉の袋を投げ込んで、パン屋さんのバイトで教わっていた粉塵爆発を起こさせる。二人で逃げ出すが、途中で柱の陰にいたイグレックの兵の剣からフェルを庇うクロウ。その傷は深く、血の痕跡を残して行くので追手は楽々と二人を追跡する。二人は物見の塔の最上階に上る。そこでクロウは息も絶え絶えにフェルに『婚約の神誓(ゲッシュ)の言葉』を述べ、フェルからも肯定の返答を求める。しばらくして追いついたイグレックはラナたちクロウの召使いを連れて来て、一人ずつ二人の目の前で首を刎ねてやる、と言うが、しかしそこに――クロウの側近のケイという褐色の肌を持った人間が、エルラント皇帝の兵士たちを連れて来て、イグレックたちを捕縛した。クロウは前々からケイにイグレックの調査をさせていて、イグレックの城にユナイアの武器や甲冑やらがストックされており、このような状況になるのを予見していた、と言う。ラナに持たせた水晶も役立ち、使用人たちはそれで閉じ込められていたクロウの城の牢屋ではそれを使って逃げおおせることが出来たのだった。→エピローグ。「こんな事件があったのだからやっとユナイアに帰れる! あの塔のところで約束しましたわよね、旦那さま?」と思っていたフェルだったが、そこでクロウが「何を言っているんだ? そのすぐ後で交わしたじゃないか、神誓を。『二人が生きのびることが出来たら……』なんだろう?」と返す。実はクロウはとっくに『嫁いできたシレイネ姫』が五年前のパーティ会場で肉を両手いっぱいに持っていて、「(可憐な妖精みたいだな……)お前は毒が仕込まれているかもしれないものをよく食えるもんだな。俺は勘弁だ。捨ててしまえ」「食べ物を粗末にするんじゃありませーんっ! ほら、美味しいでしょう?」といきなり口にスペアリブを突っ込んで食わせてきたフェルであり、メイド服のフェルも同じだと気付いていた。しかし、嫁いできた当初は気付いていなかったので、自分の初恋の相手の首に剣を突きつけてしまったことや冷たく当たってしまったことやらをひどく後悔していたのだった…………。

 うん、甘酸っぱいな!
クロウも実は最初っからシレイネ=フェルだと気付いていたのではなく、実は後からメイド姿のフェルと話をしていてそれと擂り合せたら……と気付いて、普段はクールな表情を取り繕っているなりに後悔していた、とか笑いどころもあって面白かったですね。
 しかし、弟夫妻を殺そうとしていたイグレックの処分などを1巻のうちに詳細に語ってくれなかったのがどうにも。
あと、イグレックがラナを殴った後での若い少女であるラナの顔への痛々しい描写が「そこまでは要らないだろ」と言いたくてね……。
 とりあえず、掴みである最初のこの巻は面白かったので、星5つ★★★★★です。オススメ!

posted by mukudori at 01:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | ビーズログ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月15日

学戦都市アスタリスク 08. 偶像峻烈/三屋咲ゆう

学戦都市アスタリスク 08. 偶像峻烈 (MF文庫J)学戦都市アスタリスク 08. 偶像峻烈 (MF文庫J)
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偶像峻烈

 綾斗たちは二年生になり、ついに団体戦の獅鷲王武祭(グリプス)が開催された。クローディアを主格とする綾斗たちのチーム・エンフィールドは危なげなく予選を突破し、本選へと進む。そして、これまで秘められてきた獅鷲王武祭優勝時のクローディアの願いが初めて明かされ――!? アニメ化決定!! 大驀進中の第8巻!!


 うーむ、期待していたルサールカのメンバー、ほとんどが可愛くねえなあ……。
最初の設定では、「クインヴェールは基本的に入学時に顔面偏差値審査もあり、6校の中で一番弱いお嬢さま系女学園」という設定のはずだったのですが……それにしては、どいつもこいつも女学園の所属にしては性格、言葉遣い、知略・策略の巡らせ方……今巻での描かれ方では、ルサールカの全てにおいてどうにもお嬢さま学園所属生徒っぽい品格が足りないというか。
ラノベのキャラだからって、顔だけが可愛ければ良いってもんじゃないんッスよ……?┐(´д`)┌ 上にも書きましたが、ただでさえ学戦都市最弱のクインヴェール所属キャラなら、せめて内面だけでもお嬢さまっぽくしてくれ。普段は何を教えてんだよ、ここの教師は。特に『オレ女』なトゥーリアはレヴォルフ黒学院に転校させた方がいいんじゃないのか? きっとあそこのイレーネと気が合うと思う。
ミルシェはリーダーシップのあるお馬鹿、モニカとパイヴィは腹黒、そしてトゥーリアは言動荒い『オレ女』……と、正直に言っておどおど系でありながらも仲間には自分の意見をちゃんと言えたり、戦況を冷静に見ることが出来ているマフレナが一番好みですね。
まあ序列一位のシルヴィアが一番お嬢さまっぽい穏やかでお茶目な性格と料理が上手というスキル持ちでありながら世界的アイドルなので、そこの配置を忘れていないのはさすがというか。
あと細かいことですが、5人もいてみんなカタカナな名前なんだから、ルサールカメンバーの名前のせめて子音たちは全部違う語行から取ってきて欲しかったなあ。
マフレナ、ミルシェ、モニカ、ついでに四文字のパイヴィ……と、綾斗たちと戦う時に合計10名もいるバトルの最中にこの4人が何回も出て来る時は、頭の中でキャラの動きを把握するのに混乱しました。それぞれの茶色系の髪の毛の色も似ていますし(青系色のパイヴィ除く)。
トゥーリアだけはなんとなく、最初のカラー口絵を見た時に「ああ、こいつは緑キャラか!w」と憶えていたのと、一人だけ一人称が「オレ」で口調がかなり荒いので本文を読んでいてもよく頭に残っていました。けど私としては『俺女』は苦手というか、嫌いだなあ。『僕っ娘』なら、「神メモ」のアリスや「ペルソナQ」で例のあの娘が中盤からやけに役立ってくれたから、ま、まあなんとなく許容範囲になったかな……?

 ネタバレあらすじー。
 獅鷲王武祭開催。紗夜は新しい自分の武器を開発するために工房に籠もりっきり。心配した綾斗が紗夜の好きなアイスを持ってラボを訪ねると、紗夜は昔、綾斗と鍛錬をしていてもらった『なんでも一回だけ言うことを利くチケット』を「綾斗はこれ、憶えてる? まだ使用期間残ってる?」と言って出してきた。綾斗ももちろん憶えていたので頷く。→獅鷲王武祭開催まで、星導館の女教師であり、現役時代は獅鷲王武祭で優勝したこともある谷津崎(やつざき)先生に綾斗たちは特訓をしてもらう。そしてチームの力や連携能力は大幅アップ。綾斗はそこでこっそりとシルヴィアに手作りのお弁当をもらったり。その光景をルサールカのミルシェたちが見ていて、「スクープだ!」と驚きつつも、シルヴィアを失脚させる手段の一つとして取っておく。→綾斗たち、予選の一回戦は楽々突破。そこでクローディアはインタビューを受け、「『翡翠の黄昏』の真相を知りたいんです」とアスタリスクにとっての重大な出来事の単語を述べる。そしてクローディアはいつも自分が寝る度に手持ちである純星煌式武装の『パン=ドラ』が見せてくる『絶対に自分が死ぬ悪夢』にて、星導館の歴代の会長だけが使える『影星(かげぼし)』という暗躍部隊に所属している、綾斗の友人であるパッと見は普通の男子生徒な英士郎によってナイフで殺される夢を見た。「彼に殺される夢は久しぶりですわね……。やはり、影星は私が使える人材とはいっても、あまり信用しない方が良いですわね……」と憂鬱げ。→綾斗と紗夜が煌式武装のパーツを買いにショッピングの最中、二人は誰かに付けられていることに気付き、ひと気の少ないところに誘い込んで相手に「出て来い!」と言うと、それはルサールカのメンバーたちだった。シルヴィアとの仲を詮索され、あわや5対2のバトルになりそうだったところに、いきなりレヴォルフの魔剣使いが乱入してきて、そのエリアが壊れて紗夜とミルシェが地下に落ちる。しかし携帯の電波は通じていたので、綾斗に連絡を取りつつ、二人は地下からなんとか出られないかと散策する。するとどうやら最近開けた形跡のある扉に出くわし、それを開く紗夜。そこはコロシアムになっており、綾斗がやっとやって来た時に、そこが――姉の遥が戦っていた『蝕武祭(エクリプス)』の場だと気付く。しかし警備隊長のヘルガが駆け付けてきたので、それ以上は探索が出来なかった。→とりあえずは全員無事で、ヘルガによる少しの尋問の末に、綾斗たちには建物の破壊と戦闘になりそうだったことへの非は無い、という判断をされて解放される。そして紗夜が「早く帰ろう」と綾斗を引き摺って行く。ヘルガの監視が無くなったところで紗夜が綾斗に渡したハンカチの中には――遥の掛けていたメガネが包まれており、紗夜は「あの場所で偶然拾った」と言って、ヘルガには黙っていたことなども綾斗だけに全てを話した。→獅鷲王武祭、本選。準々決勝にてルサールカと対決。今回の綾斗たちのリーダーは煌式武装の改造が間に合った紗夜。ルサールカの武器は、威力があまりに強力なために扱える人間がいないので、わざと5つの楽器型に分けた純星煌式武装だった。その中でも、モニカとマフレナのものは『敵の弱体化』と『味方の活性化』という、敵に回すと非常に戦いにくい武器だった。しかしそこはクローディアがパン=ドラの未来予知を使って、自分も相討ちになりつつ、モニカの校章と『敵を弱体化させる武器』を破壊。それで本気を出すことを決意したルサールカたちは『共鳴(レゾナンス)』という、自分たちの精神や身体にもかなり負担が掛かる純星煌式武装の攻撃体勢に移る。それに対抗してユリスと綺凛は、自分たちの校章を犠牲にして綾斗と紗夜の行く道を作る。そして限界まで素早さや防御力を上げたミルシェが綾斗たちのチームリーダーの紗夜に襲い掛かるが、紗夜は綺凛が最後に投擲していた愛刀――千羽切が自分が改造していた煌式武装に突き刺さっていたのでそれを引き抜き、幼いころに遥と綾斗と一緒に少しだけ学んでいた剣術の技を見よう見まねで繰り出して、ルサールカのリーダーであるミルシェの校章を十文字に切り裂いたのだった。→エピローグ。ルサールカは、クインヴェールの理事長に怯えつつ呼び出されながらも、綾斗のチーム相手に健闘したことでテレビや音楽の仕事が山のように来ていたので、とりあえずは怒られずに、むしろ「3年後の獅鷲王武祭でまたリベンジしなさい」と言われる。綾斗は部屋に戻って英士郎と話していたが、紗夜が「あのチケット……いま使いたい」と言うので従い、二人でアイスを食べつつ歩いていると、紗夜は綾斗に振り向いて、「……好き。わたしは綾斗のことが、ずっと好きなの」と告白をしてきたのだった――。

 お、おう……。
 あのですね、始めに突っ込みたいのは……たぶん2つ目のカラー口絵の左ページ上の金髪の男キャラってガラードワースの会長のホモ聖騎士さんですよね? なんかokiuraさんがわざとやっている光の加減(ライティング)もあるんでしょうが、左下のロリなのに悪役面な星露(しんるー)と併せて、すっっっっっげえ……悪巧みしてるっぽい顔付きなんですが……。あれれ? こいつ、本当に聖騎士なの? なんか裏でなんかディルクさんと繋がっていたりしてそう……だけど、ホモ聖騎士さんの純星煌式武装の『白濾の魔剣(レイ=グラムス)』の性格は素直で、校章は斬っても人間は斬らないようなやつだしなあ……?
それと50P……お前ら、何回握手すりゃいいねんww こりゃあ完全にホモですわ((((゜Д゜;)))) 少なくとも聖騎士さんの方からの綾斗への好意はガチな気がします(笑)。
そんでもって、やはり気になるのは黒、白……と来まして、『赤霞の魔剣(ラクシャ=ナーダ)』や『青鳴の魔剣(ウォーレ=ザイン)』と、四色の魔剣の名前がやっと出て来たー!!
赤と青はまだ使い手が現れていなかったり、封印されているそうですが、こうなったらやはり個人戦の王竜星武祭(リンドブルス)にて、適合者の四人が揃って対峙&対戦して欲しいですね。
まあいまのところ四色の魔剣の適合者は男ばかりなので、残りの二つは新しい女性キャラでもいいのですが……もう結構キャラが多いので「赤魔剣=ユリスさん(魔女だから適合性低いだろ、って突っ込みはナシでお願いします)」、「青魔剣=綾斗の姉の遥(操られている状態)」とかな!!

 さて、今回の評定は……ルサールカの見せ場にちとページ数を使い過ぎた感じがあります。後半の準々決勝のルサールカ戦は描写がわかりにくいところもありましたしね。
それと、キャラと新情報を1つの巻に使い(入れ)過ぎかなー。
前巻のシルヴィアのは少し冗談めいた告白でしたが、今巻の最後の紗夜の告白は真剣で、綾斗も本気っぽく受け止めていましたしね。クローディアは最初から綾斗のことは「使い勝手のいい手駒」ぐらいにしか思ってなさそうですから、ユリスさんと綺凛ちゃん……君ら10馬身ぐらい紗夜に遅れてるから、頑張れ!!(笑) 「ライトノベルな日常」の管理人は綺凛ちゃんを応援しています。ロリ巨乳! ロリ巨乳!( ゚∀゚)o彡°
 面白いのは面白かったのですが……正直、本読んでこの記事を書くのに私、約3日を要してますからね?ww
ということで、星4つ★★★★☆だ!

posted by mukudori at 02:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | MF文庫J | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月25日

ロウきゅーぶ!〈2〉/蒼山 サグ

 なんだか最近、ちょっと真面目なやつ()しか更新していない気がしたので、原点に立ち返ってこれだ!! まあその……ぶっちゃけ帯があっても、実店舗で買うのに、小学生の赤ブルマは厳しいよね……。正直、「コミックLO」(ロリ系の成人コミック雑誌です)の方がまだ買いやすいような。
うん? 私のことかい? 「このロリコン野郎!!」と蔑んだ感じで呼んでくれても構わないぜ!!
ロウきゅーぶ!〈2〉 (電撃文庫)ロウきゅーぶ!〈2〉 (電撃文庫)
蒼山 サグ てぃんくる

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「俺でさえ、小学生は4人なのに……」byばらスィー

 1巻で昴(すばる)との約束を達成した智花(ともか)は、まだ朝の登校前に昴の家に通っていた。溢れる智花のバスケセンスと技術が成長して行くのを見届けるため、昴は毎日智花が来るのを待っている。しかし、近く智花の学校では球技大会があり、バスケの種目にエントリーした智花たち仲良し5人組。足りない控えの1人の選手は――前巻で倒した男子クラスメイトの竹中夏陽(たけなか なつひ)!? 竹中と真帆は竜虎の仲であるので、そこをなんとか取り持って欲しい……と従姉の美星(みほし)に頼まれ、昴は奔走する。やっぱり小学生は最高だぜ! 近くに15巻が発売されるそうですよ! まだ5巻までしか読んでないのに……とか言っている場合ではないのに……という100%私情の籠もったネタバレレビュー!!


 あー、これだよ。こういうテンションが懐かしいんだよねー!(孤独のグルメのゴローちゃん風に)
イラストレーターのてぃんくるさんが忙しくって、ラノベ一冊分に入っている平均的な枚数のモノクロイラスト(大体6〜10枚)にまでは着手出来ていないのかもしれませんが、ところどころ、章の区切りにキャラのラフ画を見せてくれたり、蒼山先生が考えたのか、編集さんが考えたのかは知りませんが、女子バスケ部五人での、現在で言うLINEみたいなチャットも息抜き加減であってくれたり……――あ! 蒼山先生って流行の一歩先を読んでいる慧眼をお持ちでいらっしゃるのかな? それなら「狼と香辛料」の支倉先生と組めば一攫千金が狙えるやもしれませんね。

 ネタバレあらすじー。
 智花の学園。球技大会があって、他のクラスとの勝負の天下の分け目的な感じでバスケ対決が期待されている。なので美星は昴に女子バスケ部の5人(主に真帆)と竹中の確執をなんとかしてくれ、と頼む。→美星の策略で、昴は週末に智花たちの通う慧心学園にて球技大会のバスケ種目出場メンバーであるこの6人を集めて合宿をすることに。しかし美星は「たーだーし! お前の指導下でみんなにバスケはやらせるなよ。この合宿だってかなり無茶して来させてんのに、他のクラスの子に『贔屓』だって言われるからな」と言いつけられた。昴は智花だけにはこの計画を教えていて、協力してもらうことにする。しかし、かなり無理矢理連れてきた竹中に話を訊く限り、「真帆はいつでもなんでも、みんなの中で一番最初に物事が出来た。こっちがやっとのことで追いついても、『え? 何だよそれ。もう飽きたし。それより違うことして遊ぼうぜー!』とか言うヤツなんだぞ!!」と憤っている。ひとつ間違えば恋心にも成り得るのに、ある種の嫌悪にも似た、真帆への感情だった。→次の日も昼ご飯の後に昴と竹中がまた話す機会があって、少しだけ心の内を見せてくれた。他の女子たちは自由行動の時間にしている。昴がボール回しをしていると、竹中にそれを教えてくれ、と頼まれたので週末とは言えど他に部活動で来ている生徒たちにバレないような場所を教えてもらうことに。山の方の神社のところに結構広い公園があると言われて2人で行くと、5人の女子たちの気配があったのでこっそりと観察。見ていると、5人は愛莉が真帆を肩車してゴミとして捨てられていた穴空きバケツを木の高いところに括り付けようとしていた。簡易なバスケットゴールを作ろうとしているのだ、とわかる。そこで堪らず竹中が出て行って、昴も「な? 自由時間なのにこんなことをするぐらい、あの子たちもバスケが好きなんだよ。真帆も今度ばかりはかなり本気みたいだぞ」と追い掛けて竹中を肩車。二組の肩車が協力して、簡易のバスケットゴールは出来上がった。その後は3on3で軽く対決。→合宿が終わり、球技大会が一週間後に迫ることに。竹中は合宿が解散する前に、「自分が控えに回る……というか、『バスケには出ない』から、女子バスケ部のみんなが主にコートに出て、因縁のある6-D組を倒して見せろ」と言う。しかしその宣言を竹中の逃げや妥協ではないと感じた昴は「それなら、お前は俺と同じくコーチに回れよ。真帆とひなたちゃんの担当でな」と告げた。→一週間きっちりと女子バスケ部メンバーにコーチをした昴と竹中。竹中はサッカーの組に回ったがやはりそこでも決勝で6-D組に負けたらしく、このバスケ対決が山場になっているらしい。昴も本当なら部外者なので試合を見れなかったが、美星の提案で跳び箱の中に入って、隙間から試合を見ることに。→試合開始で最初は男子を含む6-D組が先制点を取る。しかし意外にも、D組が歯牙にもかけていなかったひなたがゴールを決めたことで焦る。その後は女子バスケ部の息の合ったパスの応酬でどんどん点が追加されて行く。一旦休憩で6-D組の士気が顧問に一喝を入れられて復活するも、こちら側もまだ見せていない作戦を敷く。それはディフェンスを片側に敷いたもので、一芸を持った選手を特攻させて行くもの。その攻撃役を請け負ったのは真帆で――ほとんど『ブザービート』と言ってもいいシュートを、コートの枠線ぎりぎり。ゴール枠からほぼ0度な位置から打ったのだった。→エピローグ。以前もあった、七芝高校の男子高校生のわいせつ行為! 今度は小学校の体育館に侵入して女子児童の着替えの覗き見&盗撮行為か!? ……真実は、あなたの目でお確かめください(笑)。

 けれどまあ今巻では、180Pの竹中が可愛いんですよ!(本日一番声を大きくしたいところ) 竹中よ……お前って実は男の娘じゃね?(ぼそっ)
「お前が真帆に教えたんだろ? 指先でやるボール回し、教えてくれよ。あいつは出来てたのに、俺が出来ないのは悔しいし」と言われて竹中にちょっと懐かれている昴は「裏山!」だと思いました。しかも昴からも「うん、俺もこいつ、嫌いじゃないわ」とかなー! オイ! なんだよアレ! 肩車もするしな! 小学生男子の太腿は柔らかいのか!?w 昴はロリじゃあなく、ショタにも目覚めてすぐに手が出せる楽園(パラダイス)にいるのか! 悔しい! 蒼山先生……「ショ、タっきゅーぶ!(たぶん卓球部の話です)」……出してもいいんですよ?(チラッ)
 あ、萌えに燃えた今巻ですが、40Pの葵のモノクロイラストは、ちょっとなあ……orz JKの縞パンチラで嬉しいはずなのに、どうにもキックの構えをしている葵の右脚が右の股関節を脱臼している感じで……orz
 それとちょっと引っ掛かったのが、先述した竹中の「真帆はいつでもなんでも一番先に出来るけど、俺たちが追い付くころにはもう飽きて〜」という台詞が、私が「いま一番ジャンプで熱い漫画っすわ!」(笑)と愛読しているワールドトリガーの村上鋼のサイドエフェクト(超能力みたいなやつです)&性格と真逆な感じで、この2つを同時に読んでみたら、「なるほどなー」と真帆と鋼の能力は似ているのに相反するお互いの性格と、鋼が真剣に向き合っている能力への苦悩がよくわかりますね。だから同じく男子なのもあるのでしょうが、竹中の心境は鋼に近くって、性格も鋼に似てるんだなーと思って、最初にこの2巻を発売当時に読んだ時よりも竹中のキャラが手に取るようにわかりやすかったです。
 そしてひなたちゃんよ……。君ねぇ、イイ歳して(まだ小6の11歳ですが)「自分の白いおぱんつをハンカチと間違えて持ち歩く」のはやめましょうか。キャラ作りのためとはいえ、「純粋無垢キャラ通り越して頭の弱い子なの?」と考えて切ない心境になりますから……ね?

 今回も面白かったです。星5つ★★★★★!! 超オススメだ!!

posted by mukudori at 02:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月14日

クリムゾンの迷宮/貴志 祐介

 今回の記事は、漫画・ライアーゲームの最終巻のネタバレがありますので、ご注意ください
クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)
貴志 祐介

角川書店(角川グループパブリッシング) 1999-04-09
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シャボン玉が弾けた後には……。

 藤木(ふじき)という40歳の男は、一流の証券会社に勤めていて、バブルの時代を謳歌していた。――けれどそれも、一時のこと。すぐに転落人生を歩み、家は手放し、妻と子供とは離縁し、ホームレスへと堕ちようとしていたが、何故かある日、目覚めたところでは真っ赤な砂塵と岩の風景に囲まれていた。そこではたくさんの他の日本人もいて、おこなわれるのは他人を蹴落とすサバイバルゲーム……と推理する。はたして藤木は生き残れるのか!?


 あっ! 命が懸ったVer.ライアーゲーム(漫画のやつです。けど、ゲームに負けたら一生返せないぐらいの負債を負うこともあるので、『命が懸った』と書いてもいいかもしれませんね)だよ、コレ!!(小説のバトロワでも可)
なーんか既視感あるなー……と思いつつ、この作品をちびちびと読みながら、先日最終巻が発行されたライアーゲームLIAR GAME 19 (ヤングジャンプコミックス) -
LIAR GAME 19 (ヤングジャンプコミックス) - をネカフェに「最終巻が発売したみたいだし、10巻ぐらいまで読んでたけど纏めて読みに行くかー」と読みに行ったら、この作品とライアーゲームのラストのほとんどが似ています。
そこでまた思い出したのが、一世を風靡した小説・バトロワバトル・ロワイアル -
バトル・ロワイアル - でしたね。あの時の私はまだ鼻水垂らしていたガキでしたよ……( ´ー`)
そしてちょっと調べてみたら……この作品とバトロワって同じ年に発行されていたんですね。ノストラダムスの予言が目前に迫っている西暦1999年。
他人を退けて、自分だけが生き延びる道を探さなければいけない椅子取りゲーム……。
別にこの2作品は発行時期が近すぎるので、小説を書くのは時間が掛かるでしょうし、「どっちかの作者がアイデアをパクった!」と声高に言うつもりはないのですが……なんでしょうか。『世紀末』ということで、どちらの著者も厭世的な気分になったから書いて世に出したのでしょうかね?

 ネタバレあらすじー。
転落人生に陥った藤木、頭が痛むところを目覚めたら、周囲は赤い岩に囲まれていた。近くには少しの食糧と水と女性も倒れていたので救助。名前を藍(あい)と言って補聴器をしている職業はエロ漫画家と言う二十代らしき彼女と一緒に、バッグの中にあったゲーム機にソフトを入れて立ち上げてみる。するとディズニー的なキャラが出て来て、説明をしてきた。→説明通りに藍と一緒にその地点に向かうと、そこには他に5人の日本人がいた。どうやらここは、オーストラリアのバングル・バングルという地域らしい。各々話し合うと、それぞれのゲーム機に表示されている情報は違って、唯一藍のゲーム機だけが最初から壊れていたのでソフトごと捨てていたため、5人の内のオバサンから糾弾される。→そして全員で話し合いの末、『情報』・『食糧』・『サバイバルグッズ』・『護身用グッズ』が四方に別れているので、藤木と藍はみんなが避けている『情報』のところに行くことに。→『情報』のある北に行くと、またゲームソフトがあり、立ち上げると「よう! ここに来たお前さんたちは勘がいいな! つーことで、俺がいろいろ教えてやるよ! サバイバルグッズや護身用グッズを取りに行ったやつらとは仲良くしておいた方がいいぞ。……けどな、食糧の方に行ったやつらとは……もう会わない方がいいぜ。後半になってくりゃあわかるはずだ。ちゃんと頭と目を働かせろよ」と情報をくれた。→そして藤木は藍と二人きりでいる長い時間の中でセックスをしたり……と情を交わす。いろいろ歩いていると、最初に置かれていた鞄の中に入っていた『受信機』というものが何だかわからなかったが、すぐ近くで誰かのグループが動いているのを感じて、藤木は藍の補聴器から受信機を動かすための単三電池を借りようとするが、何故か藍はものすごく嫌がっていたので、諦めて自分のゲーム機からデータが消えるのも辞さずに電池を外して話し声を盗聴する。すると、食糧チームに行っていた楢本(ならもと)ともう一人が、7人の中で一番体格の良い妹尾(せのお)という男を殺す算段を付けていた。妹尾が殺された後、藤木が楢本たちがいたと思われる洞窟に入ると……そこには藍に噛み付いてきたヒステリーオバサンが殺されて食われていた。→戦慄する藤木たち。受信機を駆使しつつ、楢本たちから逃げようとする藤木たちだが、その途中で最初に7人が集まった時に「四方に別れて探索を」など、さり気なくゲームの導きをしていた野呂田(のろた)という男が傷を負っていたので、治療をしてやった。そこで藍は野呂田に「あなたが『ゲームマスター』なんでしょ! こんなもの、早く終わらせてよ!!」と何かを知っている様子で詰め寄っていたが、すぐに楢本たちがやって来たので、動ける藤木と藍は野呂田を置いて逃げる。→バングル・バングルには毒性の強い毒蛇がたくさんいるので、藤木は楢本たちをそいつらの巣窟におびき寄せて殺そうとする。しかし一度目は失敗。必死に東に向かって走っていると、いつの間にか草原になって、木の下で眠ってしまったところにアボリジニの青年がサンドウィッチと水を持ってきて、「どうしたんだ? 病院に連れて行ってやろうか? ちょっと待ってくれ。人手を呼んでくる」と言ってくれたが、藤木は懐疑的に見ていた。そこに青年が乗っていたと思われる車に空から落とされる、焼夷弾のような爆弾。これで、受信機を使った時点で監視カメラがあったことがわかったりと、ほとんど気付いてはいたが、藤木はこれがとんでもなく悪趣味な金持ちどもが開催&監視しているデス・ゲームなのだと心底わかった。→藍と一緒にバングル・バングルに戻り、ついに食鬼(グール)ともいえる楢本だけになった敵に向けて、夜になった周囲を火で包んだ。火を点けたと同時に、藤木と楢本は目がなかなか火の光に慣れない。なので藤木はそこまで目を閉じていた藍に手を引いてもらい、逃げる。楢本も追おうとするが、そこは――毒蛇の巣だった。楢本の絶叫を聞きながら、藤木は思う。北の『情報』で得た、「『食糧』の方に向かったチームにはもう会うなよ」という理由。それは南のルートを選択して違法薬物が入った食糧を食べて興奮させられ、ここにいる毒蛇たちも、それで興奮しているのではないのだろうか――? 関係ない民間人を簡単に殺すようなやつらだから、それぐらいはやりかねない……と。そして藤木は気絶した。→日本に戻り、優勝賞金の500万円をもらうも、あそこまでの命を賭けたゲームでは割に合わない。だからせめて、藤木はこの金を使う先として、『藍』という女がエロ漫画家でもなく、この日本には存在しておらず、スナッフムービーの線を辿ってくれ、でもそんなものって、本当にあるのかねえ? ……と顔見知りの探偵に頼んで知ることになるために使ったのだった。終わり。

 うーむ……。やっぱり、一種のパニックホラーで、いま流行りのデス・ゲームではあるのですが、貴志先生の代表作の「黒い家」のインパクトと比べたら落ちますね。
 しかし……この作品と比べたら、ライアーゲームの終わり方はちょっとマズイんじゃないか?
ライアーゲームの作者は、前作の「ワンナウツ」も良い出来だったので非常に頭が良いのはわかるのですが、もしかしたらいままでに資料として読んだ作品の中にコレがあったから、最終巻である19巻を半分以上超えたところからディーラーたちが、
「すみません、参加者のみなさん。ライアーゲームはもうお開きで−す。抜けた人たちの借金も全部チャラですよー。だって、このゲームは昔『ライアーゲーム』っていう小説を書いた人がいたんですが、面白かったのに最終巻が出版されなかったので、闇の権力者が続きを見たいあまりにお金を積んでキャラに似た性格の人間を集めて、開催したんです……18年前に。その時は失敗しまして、現在もまた……同じような状況になっています。でもみなさん、気付いたでしょう? 人々の絆が何よりも強いってことを。ここまで記録していた映像を、世界中に配信していいですかー?」「いいですよー」→後日。神崎「あっ! 福田さん、そういえば今日からyoutubeとかでupされるんですよね、私たちのライアーゲームの映像。……あれっ!? 途中で止まっちゃった!?」福田「あら、あたしが坊主頭だったところはせめて直して欲しいのにー……――えっ、削除された!? 他のネット動画サイトのも全部!?」秋山「おい、神崎……。これは、闇の権力者の持つ闇は……もっと深いってことだ……」
と、もう失笑するしかない展開ww 編集に打ち切り宣言された甲斐谷先生が切羽詰まった挙句、無意識に取り込んでいた……とかなのでしょうかね?
ただでさえ世間では「これって打ち切りじゃねえの?」「展開遅かったし、なかなか終わりが見えなかったしなー」「いっつも始めはヨコヤ有利からの秋山&神崎で攻略がデフォだしなー」「ドラマも映画もやったから、もう金稼ぎは充分なんだろw きっと『ライアーゲーム・真のFINAL』とか劇場でやるってww」と言われているのに……(最終巻を読んだ私の周りの反応では、ですので怒らないでください)。

 少し、最近少年漫画でもラノベでもドラマでも……「どこでもええから、とりあえず自殺やいじめか仲良し同士で殺し合いさせときゃあええんやーー!!」な風潮の、ある意味日本での先駆者ですね。まあ世界的に言えばスティーブン・キング先生が一等賞ですが。
 そんな感じでちょっと食傷気味なのですが……星4つ★★★★☆です。私は貴志先生のアイデアと着眼点と迫り来るような文章力は、いつも素晴らしいと思っています。
……ただちょっと、現在のデス・ゲームなフィクション作品の多さに辟易しているだけで……orz。

posted by mukudori at 00:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月05日

公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)/堀内 公太郎

公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
堀内 公太郎

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お嬢さん、お逃げなさい。

 ネットの大手掲示板を賑わせているのは【森のくまさん】という、連続殺人鬼。ただし、悪い子しか殺さないよ! 掲示板にターゲットの名前や銃所、悪質行為の所業などを書いておけば、くまさんは即座に動いてそいつを殺しにやってくる。国民や警察、マスコミたちの緊張や推理を弄ぶかのように、くまさんは今日も動くのだ。これで殺人カウントは五人を超えた。さて、次のターゲットは誰だろうか? 『このミス』大賞、最終選考作!


 あーあ……。
ここまで【森のくまさん(もりの くまさん)】って大々的にタイトルにも、面白みを出すための掲示板にもいちいちついてますからねえ……。その登場人物の名前が出た瞬間に主犯がわかりましたよ
一度読まれたら、みなさんもすぐにわかると思います。
この作者はいっそもう、最初っから犯人の正体なんて隠すつもりはなくって、単に残酷描写や森のくまさんの『お仕置き劇』を淡々と描写する感じで進んで行っているんですね。だからなのでしょうか? 約310P、結構早く読めました。

 ネタバレあらすじー。
 森のくまさんによって、世間は大賑わい。たくさんの人間が掲示板に殺して欲しい人間の情報を書き込むが、そこは運営が即時に書き込みを消去。そんな中、同じ高校の不良女子たちにいじめられている明日香(あすか)という美少女は、琴乃(ことの)という正義感が強くて太り気味な少女によく助けられていた。しかし明日香の精神はもう限界。二人でいじめっ子の城之内美加子(じょうのうち みかこ)を殺そうとするか、二人で屋上から飛び降りようとする。そこに声を掛けてきた男性がいた――。→明日香たちは城之内を殺すことを考えながら、声を掛けてきた『本物の森のくまさん』と名乗る男に、ネットカフェでの掲示板の『森のくまさんスレ』を使って、IPアドレスには細工をしてこちらの足跡を残させずに、次々とターゲットを選定する任務を遂行していた。男は準備が整ったら城之内を殺してやる、と言ってくれたが、まだいじめられている明日香はもう限界だった。→そして琴乃と一緒に城之内を急襲し、ひと気の無い廃工場に連れ込んで城之内を金属バットでボコる。明日香は指示をし、琴乃が主にバットで城之内を叩いていた。そこに現れたのは、制服姿の警察官。城之内が助けを求めるが――そいつこそが、『森のくまさん』だった。明日香たちの独断専行を少したしなめ、森くまは銃を抜き、城之内を殺そうとする。→しかしそこに、森くまの付き合っている彼女が、森くまの最近不審な言動を見て追いかけてきて、実の兄(本物の私服警官)に告げる。その兄がやって来て、「その制服も、その拳銃も、俺の上司を監視カメラに映らないところを狙って、バットで襲って奪ったものだな!?」「そうですけど、何が悪いんですか? この一見平和に見える日本で使わないものを持っていても仕方ないでしょう?」と飄々と答えてくる。そうして琴乃たちを人質に取った森くまと対峙する彼女の兄だが、なんとか森くまに致命傷は与えずに撃って無力化させる。→森くま、ついに逮捕。ネットの掲示板も大騒ぎ。そして城之内だけでなく琴乃も人質になった時に脚を撃たれていたので、病院に。明日香は最初から捕まった時のことを決めていたらしく、「全ては森くまに脅されてやった」ということにしたので、保護観察処分に。しかし、琴乃と二人きりの部屋で話しているところで明日香は豹変。「あーあ。アンタも、あんな男も信じたのが間違いだったわ。やっぱりあの人のところに行かなきゃね。知ってる? 城之内にはアンタが直接手を下したから、あたしよりも罪は重いわよ。しかもあたしってね、取調べの時に刑事たちの前で泣いてみせたの。だから同情を引けたわ。こういう時、美少女って便利よねえ? まあ、アンタみたいに気持ち悪い外見だったら使えない手段だろうけど。本当に、ここまで醜いアンタがベタベタとレズっぽく触ってくるのが不快で仕方なかったわ。じゃあね。城之内はもう一生歩けないみたいよ。でもまあ一応あたしは転校するけど、琴乃もその脚が早く治るといいわねえ?」と、全ては裏で明日香と【真の森くま】が糸を引いていたことを知らされる。友人だと思っていた明日香にも見放された琴乃は、復讐を決意し、そしてだんだんと集まる人も少なくなって行く森くまのスレッドを追っていたら明日香らしい書き込みがあったので、それにレスをしたのだった。終わり。

 うん……あのだねえー……。
致命的なのは、やはりココ!
森くまの真犯人は、やっぱり名前を見た瞬間から、「えっ!? やっぱりお前なの!? これってミスリードのために、わざと付けている偽名じゃなかったの!?」とか思って読んできましたが……最後までその通りで、ちょっと拍子抜けでしたね。
 あ、ついでに気になった&言っておきたかったことをここで一つ。
せっかく「2ちゃんらしき掲示板を使っているんだから、トリップやIDを付けて生かすなどの工夫はして欲しかった」……ってところですかね。
特に、最後のくまさんスレに、HNが「トゥモロー(おそらく、明日香)」だけが人もいなくなって行っているのに、一人だけで淡々と書き込んでいるところに、HNが「KOTO(おそらく琴乃)」が「トゥモロー」に対して「>>8 もう脚は治ったよ。近い内に会いに行くね、親友ちゃん」とか、これにトリップ(実際の2ちゃんに名前を入力するところで「#(半角シャープ)」の後に好きな文字を8文字まで入れると「◆」の後に適当なアルファベットなどが出てきて、『名無し◆abcdefgh』みたいになります)を付けていて、それに読者が気付いて実際の2ちゃんの自由な宝島社の本を語るスレやトリップ確認スレなどで確かめると、「おっ! 琴乃の氏名を全て【#】の後に入れると、『名無し◆DEATHask』になるじゃん!」とかのオマケ要素も欲しかったですかね。まあ、こんなにも綺麗なトリップが出来ることなんて滅多に無いのですけどww それだけ、作者の後書きが無いのが惜しいです。

 まあ、タイトルとあらすじのインパクトでうっかり購入してしまいましたが……やはりここは「このミス大賞」応募作であるのにミステリー要素があまりないところと、かと言って「日本ホラー大賞に応募した方が良かったんじゃない?」と思わせる要素も無い、微妙な感じ……。
「このミス大賞の最終選考にまで残った作品」というよりも「この出来ならば、やはり受賞は出来ず、最終選考で落ちる要素はふんだんにあったよなあ……」という思いが強く残ったので、星2つ★★☆☆☆。プチ地雷です。

posted by mukudori at 02:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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