2014年08月12日

サクラコ・アトミカ/犬村 小六

 結構な沈黙を破って俺参上!!
お盆に入ったので、15日まで連続更新するよー! このために読み溜めていたのだよ……くくくw
いつも通り、なるべくレーベルが被らないような更新にして行きますのでー!
サクラコ・アトミカ (星海社文庫)サクラコ・アトミカ (星海社文庫)
犬村 小六 文倉 十

講談社 2014-08-08
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サクラコの美しさが世界を滅ぼす

丁都(ていと)の悪魔のような魔術師であり知事であり科学者のディドル・オルガによって阿岐ヶ原(あきがはら)という国の国王の娘であって連れ去られたサクラコ。オルガは彼女の『世界一の美しさ』を原子炉に使って、自分の国以外の七国を滅ぼそうとしている。「あの変態の手に掛かるぐらいなら死んだ方がマシじゃ」と、牢獄の豪邸から飛び降りようとするサクラコ。それを助けたのは、サクラコと同い年の少年兵士のナギ。いまここに、犬村小六の新たなボーイミーツガールが展開される――!


 うん……やっぱり犬村先生の作品はイイ!!
描写と文章力はパネェし、サクラコがナギに、ナギがサクラコにデレて行く過程もぐいぐいと惹かれる。
イラストが変わったけど、表紙だけなら前の単行本のままでも良かったかなーと思っていたら、観覧車でのフルカラーのサクラコとナギの姿で思わず涙。
さすがに高いだけあるな、星海社文庫……。まあ、以前のアレは価格も内容も最低だったんですけどね。表紙使い回しのピンナップはあったけど、中身には挿絵も無かったし、作者のオ○ニー小説だったし……。作者と主人公の名前を一緒にしていいのは「ダレン・シャン」ダレン・シャン 1 (小学館ファンタジー文庫) -
ダレン・シャン 1 (小学館ファンタジー文庫) -
ぐらいにしてくれ。頼むから。でもこれもクレプスリーが死んだ以降では、だんだんと熱が冷めて行ったしなあ……。
 それと「ディドル」っていうネーミングが何度も「えっ、ディルド!? そんな卑猥な名前なんて……!w」と空目したので、そこは変えて欲しかったなあ。なお、18歳未満の人は私の勘違いした単語を調べないように(笑)。

 ネタバレあらすじー。
 オルガに拉致されたサクラコ、幽閉されている塔から侍女の目を盗んでバルコニーに出て飛び降りる。だがその途中で大尉の軍服を着た少年――ナギに助けられる。それからナギとサクラコは話をするようになる。→とある時、ユキノという丁都の軍の女幹部は飛空艇を泳がせながら、サクラコのいた国がサクラコを奪い返そうとしてきている軍隊と渡り合う。サクラコの国は『幻妖(げんよう)』という大型秘密兵器を出してきて、ユキノの部下たちを蹂躙する。→サクラコと一緒にご飯やお茶をするようになったナギは、サクラコにせがまれて自分の昔話をする。ナギはオルガに作られた人型兵器で、目覚めた時は同じ顔の人間が目の前にいて、その相手から「このテーブルの上のシチューを食べたければ、ぼくたちは殺し合いをしなければならない。ぼくはこれまでに百人以上のクローンを殺してきたよ。主は、いつまでやったらこの馬鹿げたことをやめてくれるんだろうね? さて、闘技場に行こうか」と言われて話がわからないまま殺し合うと、なんとかナギが勝てた。それからナギは説明をしてくれたクローンと同じように、何百人もの後輩クローンを殺して行った。ナギにはコピー能力があったので、いろいろと力を付けてくる後輩クローンの力をコピーしたりして、無敵の存在に。そして最終的に、いままでの姿形が同じなクローンとは違う、怪物のような相手と戦わせられて辛勝し、そこの闘技場から出される。オルガの狙いは、『無敵の個体を作ること』だった。そこでユキノとも出会い、彼女がオルガの『理想の女性』として作られたことを知る。→それを聞いていたサクラコは、「変身出来るんなら、パンダにもなれるんじゃろう? わらわはパンダと遊んでみたいぞ!」と言われてナギは渋々変身する。まさに本物のパンダになったナギにサクラコは大喜びでじゃれるが、数時間すると「ごめん、この変身ってかなりパワー使うんだ」と言われて変身解除。でも今度は背中に羽を生やして、サクラコを抱いて丁都の空中散歩。その途中に「おんしは『自分にはこころが無い』と言うが、これも一つのこころじゃよ」とサクラコがナギにキスをしたり。それで帰ってきたところに、赤司源一郎(あかつかさ げんいちろう)という阿岐ヶ原の間者が忍び込んできて、侍女たちはみんな殺されていたので、血の匂いに気付いたナギにも襲い掛かる。ナギが度重なる変身で疲弊していたのもあるが、赤司はかなりの実力者だったので、その場ではナギが「(最低でも、『倒れても死なない』というのをイメージしておこう……)」と考えつつ、「サクラコ、困った時があったらぼくを呼んで。すぐに君のところに駆けつけるから」と告げ……ナギは赤司によって胴体を切断された。ナギの身体を抱いて泣くサクラコを引っぺがして、赤司は一先ず借りている宿に戻った。そこで風呂に入ってナギの血などを清めて、風呂から上がると赤司が『サクラコの美貌避け』のためにしていたサングラスを外していて、獣のような瞳でサクラコに迫ってきた。宿の中で逃げるサクラコが「助けて、ナギッ!!」と叫んだと同時に、復活したナギが赤司の魔手からサクラコを守る。そしてリミッターが振り切れたナギは赤司に「お前は十秒後にこの世から消えるよ」と告げて、剣戟を交わし合っていると……十秒後にナギは自分が前に赤司にやられたのと同じように袈裟懸けに赤司を斬り捨てて、その亡骸は本当に世界から消滅した。ナギに再び出会えて喜ぶサクラコに、ナギも自分の心に気付く。そして二人は、これまでの牢獄生活からでも見えていて、サクラコが「一度行ってみたいのぅ」と言っていた丁都の遊園地に出掛ける。観覧車に乗っている時に、サクラコは自分の過去もナギに話す。サクラコは実は――産まれてすぐに死んだ国王の娘の肩の腫瘍に入って生きていた細胞から出来て、脳などのパーツも研究者によって作られたものだと語る。『人造されたバケモノ』の二人は、そこで改めてお互いを好きになっていることを知り、一緒に逃げることを決意する。→二人がバスを使って逃げているところに、十二単や変な化粧で女装した変態知事のオルガが現れる。ナギは抵抗するも、オルガの強力な思念に手も足も出ない。手足を失ったナギが芋虫のようにして苦しんでいるところにサクラコがへりくだった命乞いをして、ナギはそこに捨て置かれ、サクラコはオルガによって原子炉に連れて行かれる。「そうねぇ。あなたの美貌を吸い尽くすまで、三週間ぐらいかしら? アハハ、それまでせいぜい苦しんでちょうだい」と、ケーブル付きの針などでサクラコは苦しめられた。そのころのナギは、オルガによって与えられた消えない炎を全身に纏いつつ、「地理はよく知らんが、ここからわらわの国は北東を目指せばいいはずじゃ! そうじゃ、おんしは海も見たことはないのか? ならばこの国から出たら、一緒に海に行って遊ぼうではないか!」というサクラコの言葉を心の底で思いつつ北東に進み、ついに海に辿り着いた。オルガに与えられた痛みで発狂していたナギが思い出すのは、サクラコのこと――。→間幕にちょくちょく挟まれていた、実は現在進行形だったユキノたちの戦闘描写。本当は自分たちが苦しめられている怪物は敵国の『幻妖』ではなく、可愛がっていた義弟――ナギがサクラコを助けるために自分のコピー能力……というか、消化吸収能力を使って変貌した姿だった。120メートルを超える身体は岩で固められて紫色の炎を纏い、背中にはナギの持っていた青銅色の美しい翼、右手にはナギの得意としていたフランベルジュ……。それに気付いたユキノは艦隊を引き上げて、たった一人の愛した義弟が恋する少女のために街に進んで行くのを応援した。→丁都まで入り込んだナギにオルガは、「どうせなら、あなたのフィールドで戦ってあげるわ。そっちの方があなたが負けた時に面白いもの」と言って大きな黒い鎧の騎士に変身して相対する。ナギも奮戦するが、やはりオルガには勝てずに原子塔のすぐそばで黒騎士の剣を胸に刺される。サクラコもナギを想いつつ、原子塔のケーブルに命を奪われて身体が崩れて行く。→そして誕生した、『巨大な七本の原子の光の矢』たち。オルガが他国を滅ぼすために飛ばそうとするが、何故か丁都の周りを離れずに、しかも範囲を狭めてまた原子塔に収まろうとしてくる。その一つの光の所為でオルガの黒騎士の鎧は剥ぎ取られ、ナギもその隙に復活する。オルガは「サクラコ!? あんたの仕業なのね!?」と、これまで初めて焦りつつナギに剣を向けるが、サクラコの心がわかったナギには勝てなかった。オルガはナギに斬られて瀕死になり、「トドメ、刺して欲しい?」「いえ、いいわ。あーあ、あたしって負けられるのねえ。これなら、あたしの力でもっと世界を楽しめば良かったわ」「それなら、良いことばかりをすれば良かったのに」「そんな『楽園』は嫌よ。善人ばかりの世界だなんてつまんないわ」と皮肉を飛ばしつつ、最期は生にしがみつきながら絶命した。ナギも原子塔に向かって収束してくる原子の矢たちに焼かれて粒子になるのだと思っていると、そこに天から光輝く美しいサクラコが。そして会話をし、二人は細かく溶け合った。→エピローグ。ユキノはナギがオルガを倒すところも、原子の矢で消滅するところも見ていた。そんなユキノの前には、どこかで見たことのある風切り羽を持った二羽の白い鳥たちが、北東を目指して飛んで行ったのだった。

 もうね……卑怯! 文章上手過ぎて、ラストの方のナギの感情に引き込まれること引き込まれること……!
 でもちょっとだけ不満があります……。
あのですね、犬村先生。作中で赤司が最初のバトルでナギにトドメを刺す時に「南無三」って言ってますけど、それって基本的には「しまった!」とか「なんだと!?」みたいな風に使うんですよ……。漫画の封神演義でも韋護が「南無三!」って言って十天君にトドメ刺してましたけど、「悪ぃな」とか「すまんな。勘弁しろよ」みたいな意味じゃあないですからね? 後ろの方に「以前発売された単行本より加筆・修正されています」って書かれているのに、そこは誰も指摘しなかったの? いやあ、素晴らしい人たちですね、自分たちの高学歴を誇っている星海社の編集さんたちは!(笑) まあこの言葉のこんな使い方も、『確信犯の誤用』みたいに日本に浸透して行くのは……少し悲しいなあ。
 あと、サクラコの生い立ちがどう考えてもピノコなんですけど……。いやいや、手塚先生がもうとっくに亡くなってるからって、これは駄目でしょうよ、犬村先生。せめて『出来ていた腫瘍』ではなくって、本物の内親王のDNAを解析して同じ細胞を培養して作った……とかなら既視感を覚えなかったんですけどね。アッチョンブリケ!!
 ついでに私はこの歳でもジャンプを愛読しているので、「え、『あかつかさ』? そこは『あかし』って読むべきだろうJK」って思ってました。サーセンww でも変換も長いのを打つのが面倒なので、最初っから『あかし』で変換してましたからね(笑)。

 そんな感じで星4つ★★★★☆ってところですね。星海社文庫はフルカラーですがイラストが少なくてしかもお高いですから、どうせなら犬村先生お馴染みのガガガ文庫で出して欲しかったなあ。

posted by mukudori at 01:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 星海社 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月08日

エレGY/泉 和良

 今日は連続更新企画最終日! さあ、ラノベ界期待の新星となるか? 星海社文庫です!

エレGY (星海社文庫)エレGY (星海社文庫)
泉 和良 huke

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女の子のパンツには永遠の夢がある

 フリーウェアゲーム作家のジスカルド(本名:泉和良)はある日、突発的に日記を書いた。タイトルは「君のパンツ姿の写真大募集」。内容は……もう想像しての通りだ。そんな馬鹿馬鹿しい日記には正直、苦情メールぐらいしか送られてこないだろう……と思っていたら、一件だけゲームのファンだという女子高生からのメールが送られてきた。しかもパンツ写真付き。ジスカルドは信じてもいない神様に感謝した。心躍らせるエキセントリック・ラブコール!


 ……ごめん、全然応援したくなんない。
初っ端から訳のわからない感想で驚かれたと思います。すみません。
説明しますと、帯のコピーに「この恋、きっと応援したくなる!」とあったわけです。それで読了後の感想がこれ↑です。

 早い話が自由なゲーム作家とは聞こえはいいものの、言ってしまえばプーの主人公・ジスカルドと、そのゲームに惹かれてファンになってしまったメンヘラ女子高生・エレGYの、「お前らちゃんと日本語喋ってんのか!?」と言って、唾を吐きかけたくなるような青春恋物語です。

 ジスカルドは理由を付けてはやる気のないプー太郎だし、エレGYは日本語崩壊した構ってちゃん。こんな二人が出会って、自堕落な毎日に加速をつけて、どんどん悪い方向にばかり話が転がって行きます。こんな話、誰が読みたいと思うんだ?
 乙一と滝本和彦の推薦文はアテにならないことが判明しました。

 っていうか、主人公のジスカルドの本名が作者と同じ名前ってどういうことだよ。しかも作者も同じくフリーゲーム作家だって?
……正直、「うわぁ……」って感じですね。言ってしまえばキモい。

 妄想男が「こんな美少女と付き合いたいな」という妄想を形にして小説になったようなものです。露出癖のある作者のオ○ニーを全国書店を通じて見せつけられたようなものですね。

 そして値段は星海社独特の、本文はたった286Pでイラストは表紙と折り返しとミニポスター(表紙と同じ図柄)だけで驚きの724円(税別)というフルプライス。絵師付けた意味あんの?
 なんというコストパフォーマンスの低さ。
境界線上のホライゾン境界線上のホライゾン1〈上〉―GENESISシリーズ (電撃文庫) [文庫] / 川上 稔 (著); さとやす (イラスト); アスキーメディアワークス (刊)境界線上のホライゾン1〈下〉―GENESISシリーズ (電撃文庫) [文庫] / 川上 稔 (著); さとやす (イラスト); アスキーメディアワークス (刊)境界線上のホライゾン2〈上〉―GENESISシリーズ (電撃文庫) [文庫] / 川上 稔 (著); さとやす (イラスト); アスキーメディアワークス (刊)境界線上のホライゾン2〈下〉―GENESISシリーズ (電撃文庫) [文庫] / 川上 稔 (著); さとやす (イラスト); アスキーメディアワークス (刊)境界線上のホライゾン3〈上〉―GENESISシリーズ (電撃文庫) [文庫] / 川上 稔 (著); さとやす (TENKY) (イラスト); アスキーメディアワークス (刊)境界線上のホライゾン3〈中〉―GENESISシリーズ (電撃文庫) [文庫] / 川上 稔 (著); さとやす (TENKY) (イラスト); アスキーメディアワークス (刊)境界線上のホライゾン3〈下〉―GENESISシリーズ (電撃文庫) [文庫] / 川上 稔 (著); さとやす (TENKY) (イラスト); アスキーメディアワークス (刊)が裸足で逃げ出しますよ。むしろ勝負の場にすら立てない。川上先生はやっぱり偉い。

 そんな訳で地雷です。これを買うくらいなら、「B.A.D.」でも買った方がまだ有益です。そっちの方が安いしねw
星もつけたくないぐらいなんですが……星海社のしおり紐付き製本(一般文芸だと新潮社が取り入れてますね)だけは気に入っているので、しおりの分だけ星1つ★☆☆☆☆です。でもしおりはもっと柔らかい方がいい。

posted by mukudori at 20:27 | Comment(1) | TrackBack(0) | 星海社 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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