2013年01月08日

魔法少女育成計画/遠藤 浅蜊

魔法少女育成計画 (このライトノベルがすごい! 文庫)魔法少女育成計画 (このライトノベルがすごい! 文庫)
遠藤 浅蜊 マルイノ

宝島社 2012-06-08
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魔法少女も楽じゃない

『魔法少女育成計画』――そんなソーシャルゲームがこの日本のN市では出回っていた。噂によると、何万人かに一人の割合で本物の魔法少女になれるとか――。現在N市には16人いるそんな彼女らに、共通マスコットの「ファヴ」からある特例が通達された。なんでも「このN市には魔法少女が多過ぎるから、半分に減らしてもらうぽん。だからみんな、現実でも死なないために頑張ってぽん」――と。第2回このライトノベルがすごい! 大賞栗山千秋賞受賞者の書く、暗黒魔法少女ゲーム!


 いやー、舐めてましたわー
「魔法少女育成計画」? どうせ表紙からしてキャッチーなロリ系魔女っ娘ものなんだろ? ……と。
……実はそれが全然違う。超ダークな物語です。

 ネタバレあらすじー。
 プロローグ。家の鍵を失くしたとある中学生の女の子の前に、魔法少女が現れて助けてくれる。その魔法少女は、とても美しく、優しかった。→リップルという忍者スタイルの魔法少女が新たに作成される。そこに俺女なトップスピードという空を飛べる魔法少女が現れて、この世界のことをレクチャーしてくれた。スノーホワイトとラ・ピュセルというリアルでの友人同士の魔法少女もいた。……ただし、魔法少女は別にアバターであって、誰でもなれる。つまり、ラ・ピュセルは男でしたー。→そこにファヴから「魔法少女たち、次の集会チャットでは重大なことを発表するからちゃんと来てほしいぽん」と言われる。チャット当日、みんなが集まるとそこで「魔法少女を削減するゲームを行うぽん。この後加わる新人さんも合わせて16人でね。人助けによって集められるマジカルキャンディーが、その週一番少ない人が削除されるぽん。8週やるので8人ね」と言われる。みんな「楽しい力が使えなくなるのは残念だが仕方ないか」というような雰囲気で解散。その翌週の第一回の発表で、ねむりんという魔法少女が首を切られる。しかし――その本体らしきリアルの人間も、その日に心臓麻痺で死んでいた。ある魔法少女がファヴに問い合わせると、「魔法少女としての生命だけでなく、現実の身体ごと引退してもらうぽん。ちなみにこのゲームから下りることは出来ないぽん。みんな頑張ってトップを目指してねー」……と残酷な言葉が返されてくる。→キャンディー集めに必死になる魔法少女たち。そして端末にも「キャンディーを相手に譲渡出来る」という新たな機能が加わった。いま現在、トップは「困っている人の声を聞ける」という能力を持ったスノーホワイト。しかし、「一定の条件下で他人に命令出来る」という能力を持った他人を見下しているルーラという少女が、率いる軍団(スイムスイム、たま、ピーキーエンジェルズ:ユナエル・ミナエル)に命令してスノーホワイトとラ・ピュセルの会合場所に待ち伏せ。そして二人を引き離したところでスノーホワイトの端末から2000のキャンディーを奪い取る。それを不均等に分配するルーラ。もちろん、自分がいなきゃ作戦が成り立たなかったんだから当然よね? と言わんばかりに。→そして2週目の結果発表。最下位は……なんとルーラだった。実はスイムスイムは5万あるスノーホワイトのキャンディーから3万7千を奪い取り、急いでたまの端末に3万5千を与えて、ルーラには「2000しかない」と嘘の報告をしていたのだった。そして残りをこのゲームに集まっているみんなに均等に分け与えて、ルーラを最下位に落とす。そう、全ては人の上に立っていて鼻につくルーラを殺すために、軍団のみんなと示し合わせていたのだった。→シスターナナとヴェス・ウィンタープリズンは同性同士だが、まるで恋人同士のような生活をしていた。彼女らはみんなに「こんな争いはやめよう」と声を掛けて行くが、みんな耳を貸してくれない。そこに、クラムベリーという魔法少女から誘いの言葉が掛けられてくるので向かう。しかしそれは戦闘狂のクラムベリーが「強い」と噂されているウィンタープリズンに喧嘩をふっかけてきただけだった。そしてなんとか、「音を操る能力」の強いクラムベリーから二人で逃げ出す。その後も、ウィンタープリズンの仕事は待っていた。新たに加わる魔法少女に先輩としてレクチャーしなくてはいけないのだ。ハードゴア・アリスという新人魔法少女に説明をしていると、「スノーホワイトについて」を訊かれた。そしてずっと黙っていた彼女は去って行った。スノーホワイトとラ・ピュセルが会合して別れたところでクラムベリーがやってくる。こちらも「強い」と噂されているラ・ピュセルと戦闘しに。そしてその第3週、ラ・ピュセル――スノーホワイト、小雪の幼なじみの颯太くんは「事故での死亡」として取り扱われ、3週目の犠牲者となった。→新ルールが追加。先着順にアイテムを配付する。しかしそれは課金代わりに買った者の寿命をもらう、というものだった。マジカロイド44という魔法少女は強者であるカラミティ・メアリとコンピを組もうとしていた。だがその代償に、「誰か殺してこい」と言われたのでスノーホワイトに目標を定める。探してみると、スノーホワイトとアリスが出会っていた。そこに背後から奇襲してアリスを殺す。スノーホワイトも手に掛けようとしたところ、首を刈ったはずのアリスが再び立ち上がり、マジカロイド44は殺された。第4週目の犠牲者はマジカロイド44となる。→舞台は魔法少女同士の殺し合いとなる。みんなに和平を訴えるシスターナナはウィンタープリズンと一緒にスイムスイムの拠点へとやって来ていたが、そこを奇襲される。ウィンタープリズンはなんとかナナを逃がすが、自分も致命傷。ユナエルを道連れにして、そこで死亡。同時期、メアリがリップルを殺すために国道を走る車を狙撃する。あっという間に炎上する国道。その現場は、他の魔法少女たちにも伝わっていた。→メアリの行動に怒るリップル。その激情のまま相対するも、メアリに一歩及ばず、そこをトップスピードの魔法の箒によって死ぬギリギリのところを救助される。二人はメアリを一緒に倒そうと結託し、メアリ目がけてリップルの魔法――「投げたものが百発百中」というのを使って――防火壁を投げつけ、フェイントをかました上で更に苦無や手裏剣の束を上空から投げつけてメアリを殺す。だが安心したそこにスイムスイムがやって来て、トップスピードを殺す。「せめて、あと半年は生きねーとな」が口癖のトップスピードの正体は、十代後半の妊婦だった。唯一の親友を失ったリップルは慟哭する。同時期、シスターナナはウィンタープリズンを失ったショックで自殺した。→チャット。7名になった生存者だが、「みんなに使ってもらってるアイテムのお蔭でまた魔力供給が足りなくなったぽん。もう半分になるまで戦ってぽん」と、ファヴがふざけたことを抜かしやがる。実は参加者の一人であるクラムベリーは、『魔法の国』から派遣されてきた『マスター』だった。幼いころに魔法事故に遭って以来、脳の中のタガが外れたのか、強者を求めて、ファヴにそそのかされて日本で魔法少女検定試験をやっているのだった。そして、魔法少女は最後に一人しか選抜されないという事実も知っていた。その後日、アリスがプロローグの鍵を失くした少女だということが明かされる。その恩義で、スノーホワイトを助けていたのだった。しかしそこにミナエルの「生き物以外なら変身出来る」という能力を使われて、いつも抱いている兎に化けてアリスの正体を探った。そして通学途中にスイムスイムに襲われて、魔法少女になる暇も与えられず死亡。→クラムベリーをスイムスイムたちが呼び出す。マスターであるクラムベリーには誰も敵わないと思っていたら、スイムスイムが攻撃を受けて小学校低学年の正体を露わにしたところでクラムベリーが動揺。その時を狙って、たまの「掘ったものならなんでも一メートル以上掘り下げられる」という能力によってクラムベリーが殺される。たまはスイムスイムを助け起こすが、「ルールなら、正体を見破られてはいけないんだったわね」という非情な一言でたまを殺す。そして、ファヴの新しいマスターとなる。→スイムスイム、スノーホワイト、リップルの三人が残る。しかしリップルはスイムスイムをトップスピードの仇として殺る気満々。二人の対決。ファヴによってスイムスイムの弱点を教えられていたリップルは、メアリの使っていたアイテム「四次元袋」からスタングレネードを出して、気絶させ、スイムスイムを殺す。そして、この舞台を作り上げたファヴもマスター端末を壊すことによって殺す。→エピローグ。生き残ったスノーホワイトとリップルは魔法の国から謝罪と監視者権限を与えられ、魔法少女として活躍する。特にスノーホワイトは、外国のテロ鎮圧など目覚ましい活躍をしていた。そしてリップルからたまにメールが送られてくる。「次の候補地でまた改ざんが見つかった」との――。全ての悪辣な魔法少女育成計画をぶち壊すために、スノーホワイトは今日も各地を走り抜けるのだった。
終わり!

 ……改めてあらすじに起こすと、文章量パネェっすね……。
でもこれが約280ページに書き起こされてるんだから、凄いとしか言いようがない。
ちゃんと伏線も回収してるし。あ、でもアイテム「ウサギの足」は使い所が無かったかな?
 絵も可愛いし、星5つ★★★★★。グロに耐性のある方には非常にオススメです。

2011年04月26日

伝説兄妹! 1巻/おかもと(仮)

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我ら愛しの『伝説』兄妹!

 主人公、柏木はダメ男だ。金はない、夢はない、才能もない、と三拍子そろったダメ男だ。しかしそんな柏木が山の遺跡で出会った謎の少女は天才的な詩の才能を持っていて――? その少女(デシ子)の才能を金儲けのために利用しようとする柏木。やはり、ダメ男である。風変りな兄妹(?)が織りなすポエミーハートフルコメディ!?


 ……ごめんなさい。(なんか最近謝ってばっかりだな)
この作品、「ポエミーハートフルコメディ」なんて紹介しましたが、全然違います。
一言でいうと、訳のわからん作品です。

 コメディ? 
そんな要素、皆無ですね。まず、登場人物たちの掛け合いが面白くない。ミジンコたりとも面白くない。
才能のない柏木の詩も、頻繁に出てくるんですが全然笑えない。
例: 
 俺の大胸筋  作、柏木
おお、俺の大胸筋!
肌が白いぜ……ホワイト!
マッスル……Oh、マッスルセクシー!
乳首から毛が生えているけど、とてつもなくセクシー!
やばいぜ、マジでやばい……
(※合いの手 はあはあ、俺はエロティック)
モテモテテ、モテモテテ、モテまくり……
(※合いの手 はあはあ俺はセクシャルボンバーエロティック)
俺ってなんてイケてるんだ……WOWWOW
俺はセクシービースト……!!


……ああ、寒い。寒いよパトラッシュ……。作者的にはウケ狙いのつもりなのかもしれませんが、もうちょっとギャグを洗練させてほしいですね。

 正直、この作品は冒頭のカラーページが大量にあってあらすじが漫画風に描かれているので、そこだけ読んでいれば支障はありません。
しかし、絵も下手なんだよなぁ……。たとえば後半、小学生の姿のデシ子が大人へとフォームチェンジするのですが……原文では「美女」として書かれているのにこれがまた、なんともいえない挿絵でした……。あえて言うなら土偶? みたいな。個性的という点ではちょっと好きですが、もうちょっと進歩して欲しいですね。

 そしてここからはカラー漫画にない、本編の詳細についてバシバシネタバレしていきます。
デシ子はでした。それも、猿に言語を与えて人間にした、というお偉い神様。詩の才能は、そこの伏線だったんですね。
 しかし、破滅思考を持った人間(トオル)がデシ子の存在に気づき、世界を破滅させようとたくらみます。
それをなんとかして止めようとする柏木。
 ここの奮闘は良かった! 柏木が今までデシ子の詩をパクって売って得たお金を惜しげもなく使って、デシ子のいる高い塔へと登るシーンは良かったですね。金にそんな利用法があったのか! と驚かされる部分です。
まあでも、これまで人の詩をパクって金稼ぎはするわ、いざとなったらデシ子を殺そうとするわで正直、人間のクズでしたからね。不良が雨の中、子猫を拾うと途端に善人に見えるのと同じ理論ですね。

 最後の神(デシ子)を説得する場面では、しっぺやら頬つねりやらの応酬でなんとかします。……仮にも神様なのにそんなことでいいのか? とか思っちゃいけません。
 これは神でなく、柏木とデシ子という二人の、壮大な兄妹喧嘩だったのです。まったく、はた迷惑な話ですね。

 まあ新人補正もあって……ぎりぎり及第点というところでしょうか。星3つ★★★☆☆です。

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