2015年07月31日

(仮)花嫁のやんごとなき事情 ~離婚できたら一攫千金!~/夕鷺 かのう

(仮)花嫁のやんごとなき事情 ~離婚できたら一攫千金!~ (ビーズログ文庫)(仮)花嫁のやんごとなき事情 ~離婚できたら一攫千金!~ (ビーズログ文庫)
夕鷺かのう 山下ナナオ

エンターブレイン 2012-06-15
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ド庶民根性なめんなよ!!

 孤児院で暮らす、一週間に29ものアルバイトをこなすバリバリアルバイター、フェルディア(フェル)。しかし彼女の美貌はそのユナイア王国の病弱な姫君・シレイネとうり二つなので、度々影武者生活をやらさせていた。だが、今回王国から来たのは、つい先日まで戦争をしていたエルラント国の第三皇子……通称『毒龍公(どくりゅうこう)』と畏怖の感情で呼ばれるクロヴィス(クロウ)の元に嫁ぐことだった。シレイネの兄であり若きユナイア王であるシスコンなセタンタ陛下は「次の『ワルプルギスの夜』までに嫌われて離婚してくればいいから。嫌われるだけだから簡単だろう?」と、「報酬は馬車一杯の金貨でどうだい?」というのにフェルは釣られてしまった。はたしてどうなる、「お金の方が大事ですから!!」と言い張るフェルの命!


 少女向け小説も、結構面白いのが多い!!
 この前のビーズログ文庫記事の「死神姫〜」が良かったので、本屋で少女向けラノベ棚をざっと見て、表紙&タイトル買い(笑)しました。滅多に来ない本屋だから、旅の恥は掻き捨て……とばかりに、「瑠璃龍守護録」とかやら一迅社アイリス文庫のものやら、いろいろ買いましたよ(ただしレジでは裏表紙を向けて&店員さん「カバーはお付けしま……」私「――えっ!? いえいえ、結構ですから!!」)www
 さて、この本はですね……普通のビーズログ文庫とは違う点があります。読み終わったら一度、カバーを外してみましょう。少し嬉しいですから……と、2巻以降を買った後に気付きましたw

 ネタバレあらすじー。
 フェル、いつもの王国からの呼び出しに応じると、エルラントの第三皇子・クロウの元へ嫁いで欲しいと言われ、躊躇するが報酬の大金に目が眩んで即決。→行った先のエルラントのクロウのお城は庭には毒草を生やしていたり、クロウ自身も毒草を好んで食べて耐性を持っていたり、「部屋から出るな」と言われたり、初夜には髪の毛を引っ張られて窓の外にフェルの頭を出され、剣を首に当てられて「これでわかっただろう。お前を殺すことなど躊躇しないぞ、俺は。せいぜい死にたくなければ大人しくしているんだな」と言われるも、フェルも「首を切るのは構いません。ですが、このドレスはユナイアの国民の税金で作られた大事なものです。それを血で汚さずに殺せるというのでしたら、いつでも殺していただいて構いません」と対抗する。ここまで大人しそうに見せていたシレイネ姫(フェル)からの意外な反論にはクロウも驚き、その夜は退散する。元より、この国々で広まっているワルプルギスの婚約で初夜は特段『体を繋げる』というものではなかった。→部屋に籠もっていろ、とは言われたものの、先の戦でのユナイア国に恨みのある使用人たちにもどうやらシレイネ姫は嫌われているらしく、誰も入ってきて料理を持ってきたり掃除をしたりはしなかった。なのでフェルはセタンタが持たせてくれた荷物の隠し底からこのお城のメイド服や伊達メガネを取り出すと、それを着てこっそりと部屋から抜け出す。するとラナという下女に出会い、「あなた、新入り? 夕飯を食べ損ねたなら、キッチンを使ってもいいわよ。ただし、火は使っては駄目だけどね」と、おそらくこのお城の使用人の中では一番シレイネの担当でシレイネを嫌っているらしい少女にキッチンに案内してもらえる。そこでフェルが何を食べようかと迷っていると、誰かがランプを持ってやって来たので、その人物は「新入りのメイドか? 別に、俺がいるなら火は使って構わないぞ」と言われたのでカボチャのチーズ焼きを作ると、相手がカボチャの皮を取って食べようとするのでフェルが思わず「カボチャに種の綿以外で食べられないところはありません!!」と近寄って叱ると相手は笑ったが、それでランプの方に近寄ると相手がクロウだったことに気付いてフェルが蒼ざめる。しかしフェルの変装には気付かれておらず、フェルは名前を聞かれて咄嗟に自分の名前を答えてしまう。→その後、フェルは暇なのでたまにメイド服に着替えてお城を探索したり、孤児院時代の癖で部屋の中を掃除したりしていた。だがある日、お城中の使用人がクロウによってフェルの部屋の前に呼び出され、「お前たちは、自分に与えられた仕事を放棄していたというのだな?」とクロウは怒り心頭。ラナたちを庇うためにフェルは「いいえ、旦那さま。ちゃーんと私のお部屋は掃除されていますわよ。埃や塵一つありませんわ。どうぞお確かめ下さいませ」と言って室内を見せる。確かにフェルのアルバイトスキルで室内はピカピカだったが、「なら、これはなんだ? お前は食べられるのか?」と言われて、部屋のドアの前に置かれていたスープの皿を出される。それにはジャスミンの葉っぱに似たものが添えられており、疑問を持つフェルだがクロウは「これは葉をたった三枚口にすれば死に至る猛毒だが、それでも食べられるというのか? どうやらお前たちは、一応とはいえ俺の妻を殺そうとしたらしいな」と言われたのにはフェルも言葉が詰まった。ラナは死ぬとまでは思っておらず、腹を下す程度だと思っていた、と弁解する。しかし変装姿の時に優しくしてくれたラナたちを庇うと決めた手前、いっそ最期まで庇ってその毒草を口にしようとしたフェルの手をクロウは止め、毒耐性のある自分が食べた。フェルはこの後で再度クロウに立場を自覚するように脅される。しかしその分、命を助けられたラナたちはその後日からフェルに対して従順になる。→ある日、庭のベンチでラナと一緒に刺繍の手芸をしていたフェルはシレイネ姫の影武者としての教育&アルバイトスキルで見事な刺繍を完成させていたが、後ろから貴族らしき男が刺繍を奪って布を破る。その相手は翠龍公(すいりゅうこう)――エルラント国の第二皇子であり、クロウの兄のイグレックだった。ラナが思わずフェルを庇うと、イグレックはためらいもせずにラナの顔を殴り、剣を抜いて殺そうとしたところを孤児院で院長先生から教わった体術でフェルがイグレックの剣の鞘を奪って剣筋を受け止める。対峙していたところにクロウがやって来て二人はなんとか助かった。→メイドフェルがラナのところに行って先ほどのことを話して「あいつらの毛根、ハゲてしまえ!!」などと悪口を言っていると、後ろからクロウが「残念ながら、毛根は安泰な家系なのでな」と。蒼ざめる二人。しかしクロウはラナに何かの細い水晶で「これで傷を冷やしておけ。後で使うから失くすなよ」と言って渡し、フェルは毒草園に連れて行って「この中で好きな花はなんだ?」と訊き、フェルは「(そう言われても全部毒草だし……)あ、鈴蘭ですね。これは好きですよ」と言って、シレイネ姫との思い出を語った。→また後日。イグレックが「この前の謝罪をしたい」と言ってクロウの城に来て、フェルも混ぜてお茶会に。イグレックは、「エルラントとユナイアの境界の村に出た盗賊を倒したら、着ていたのはユナイアの軍の鎧だった」と言って血に塗れた革鎧をテーブルの上に出した。目を逸らしたフェルが紅茶を飲もうとしたら、クロウがそのカップを取り上げて、自分が飲み――倒れた。イグレックが「誰かが茶に毒を盛ったぞ!!」と声高に言うと、クロウの城の召使いや兵隊たちはイグレックによってクロウの城の地下牢に閉じ込められた。イグレックに「本来なら、あの紅茶はお前が飲むはずだったのだ。そうすれば一口で死ぬはずだったのに、無駄に毒耐性のあるクロウが飲んだ所為で……。お前はあの愚弟の本当の気持ちを知らなかったのだな。せいぜい、地獄で気付いてねぎらいの言葉でも掛けてやるがいい」と言われてフェルは自分の部屋に閉じ込められる。逃げ出すためにメイド服の格好になってシーツを切り裂いたものを繋いで窓の外に出し、「ああっ、奥方さまが!」と叫ぶとイグレックの兵がドアの鎖を外して飛び込んできたところにモップなどで攻撃して気絶させる。そうして意識朦朧としているクロウとイグレックが対峙しているところにフェルは小麦粉の袋を投げ込んで、パン屋さんのバイトで教わっていた粉塵爆発を起こさせる。二人で逃げ出すが、途中で柱の陰にいたイグレックの兵の剣からフェルを庇うクロウ。その傷は深く、血の痕跡を残して行くので追手は楽々と二人を追跡する。二人は物見の塔の最上階に上る。そこでクロウは息も絶え絶えにフェルに『婚約の神誓(ゲッシュ)の言葉』を述べ、フェルからも肯定の返答を求める。しばらくして追いついたイグレックはラナたちクロウの召使いを連れて来て、一人ずつ二人の目の前で首を刎ねてやる、と言うが、しかしそこに――クロウの側近のケイという褐色の肌を持った人間が、エルラント皇帝の兵士たちを連れて来て、イグレックたちを捕縛した。クロウは前々からケイにイグレックの調査をさせていて、イグレックの城にユナイアの武器や甲冑やらがストックされており、このような状況になるのを予見していた、と言う。ラナに持たせた水晶も役立ち、使用人たちはそれで閉じ込められていたクロウの城の牢屋ではそれを使って逃げおおせることが出来たのだった。→エピローグ。「こんな事件があったのだからやっとユナイアに帰れる! あの塔のところで約束しましたわよね、旦那さま?」と思っていたフェルだったが、そこでクロウが「何を言っているんだ? そのすぐ後で交わしたじゃないか、神誓を。『二人が生きのびることが出来たら……』なんだろう?」と返す。実はクロウはとっくに『嫁いできたシレイネ姫』が五年前のパーティ会場で肉を両手いっぱいに持っていて、「(可憐な妖精みたいだな……)お前は毒が仕込まれているかもしれないものをよく食えるもんだな。俺は勘弁だ。捨ててしまえ」「食べ物を粗末にするんじゃありませーんっ! ほら、美味しいでしょう?」といきなり口にスペアリブを突っ込んで食わせてきたフェルであり、メイド服のフェルも同じだと気付いていた。しかし、嫁いできた当初は気付いていなかったので、自分の初恋の相手の首に剣を突きつけてしまったことや冷たく当たってしまったことやらをひどく後悔していたのだった…………。

 うん、甘酸っぱいな!
クロウも実は最初っからシレイネ=フェルだと気付いていたのではなく、実は後からメイド姿のフェルと話をしていてそれと擂り合せたら……と気付いて、普段はクールな表情を取り繕っているなりに後悔していた、とか笑いどころもあって面白かったですね。
 しかし、弟夫妻を殺そうとしていたイグレックの処分などを1巻のうちに詳細に語ってくれなかったのがどうにも。
あと、イグレックがラナを殴った後での若い少女であるラナの顔への痛々しい描写が「そこまでは要らないだろ」と言いたくてね……。
 とりあえず、掴みである最初のこの巻は面白かったので、星5つ★★★★★です。オススメ!

posted by mukudori at 01:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | ビーズログ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月18日

死神姫の再婚 01/小野上 明夜

 俺のブログの「ビーズログ文庫」カテゴリがやっと火を吹くぜぇえええええええええええ!!
えっ、前にも同じ台詞を言っていたじゃないかって? えー、そうだったかな……ん? 「狩兎町〜」? 「ハロウィン〜」……? うっ、頭がぁあああああ……!!
……ごほん。
ともかく、俺のブログのビーズログ文庫カテゴリは、もうほぼ「この作品のために!!」 ……と言っていいぐらいに開設当時に設定したのですが、「やっぱり閲覧者さんには、男子向けライトノベルの紹介をした方がいいのかな……」と思って、読んだのはいいけどずっと紹介してなかったので、今日はちょっと力入ってるよ!
死神姫の再婚 (ビーズログ文庫)死神姫の再婚 (ビーズログ文庫)
小野上 明夜 岸田 メル

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「死神姫」なんて呼ばないで

 先祖代々の自分の領地を守るため、年上の太った貴族と望まない結婚をする14歳のアリシア。だが教会での誓いのキスの前に、暗殺者が現れて旦那の貴族が殺されて!? それで「死神姫」という不名誉なあだ名を付けられて自分の領地に戻るも、財政は逼迫。とうとう困り果てて、お金はあるものの「残酷で悪徳な領主の『強公爵』」と噂されている成り上がり貴族のカシュヴァーン・ライセンの元に嫁に行くことに! 第9回えんため大賞ガールズノベルズ部門奨励賞受賞作!!


 ……うーむ。
この本は単に岸田メルさんの絵が好きなので購入しただけなんですが……少女小説って舐めてたけど……意外と面白い!!(小学生のころの図書館に古い「なんて素敵にジャパネスク」などはありましたが、読んでません) 少女小説家の人たち、舐めててすみません!
そんでもって7年前の作品(よく考えたら、結構古いですねw)とはいえ、「例のアレ」と同レベルの賞を受賞した作品……ということですが、そう考えると「例のアレ」がひどすぎる……。えんため大賞のガールズノベルズ部門のレベルが落ちたなあ……と思いました。いまこれを選考に出したら、きっと大賞ぐらい獲ると思いますよ? えんため大賞のガールズノベルズ部門っていままでに大賞が出たことが無いみたいですし。
キャラはテンプレながらも立ってるし、文章力もある。構成や伏線だって悪くない。内容も全248Pなのに詰められている。そしてラストにきゅんとときめき。……って、乙女か!w
まあ、私の岸田メル絵ファンフィルターが結構掛かっていると思いますが(笑)。

 ネタバレあらすじー。
 シルディーンという国。そこで没落貧乏貴族で、「死神姫」とあだ名を付けられて、貰い手が無くなったアリシア(三つ編みメガネっ子でぼんやり屋な15歳)を伯父がなんとか物好きで家名の威厳を欲しているアズベルグの暴君が統治しているライセン家に寄越す。アリシアの家は没落しているとはいえ、一応名門の「フェイトリン家」の血筋ではあるので。→行くとそこでさっそく、旦那のカシュヴァーンに「(33歳ぐらいね……)」と思いつつ、「安く買い叩いてすまなかったな。別にあなたはこの屋敷に大人しくいてくれるだけでいい。名門の血を俺の血筋に与えてくれるだけでいいんだ。それが後ろ盾にあるというだけで、中央にいる鼻持ちならないやつらが俺を『成り上がり』などと蔑称しないだろうからな」「あらまあ。伯父さまったら、私には余計な商売はするな、っておっしゃってたくせに、うふふ」と、どっちもどっちな初会合。合理的な考えが合って、その場で誓いのキスをしようとしたが、ティルナード・レイデン(ティル)という少し前に家を焼き討ちされたレイデン家の生き残りの少年と「翼の祈り教団」の聖職者のユーランという牧師が入ってきて、「僕は悪徳公爵に無理矢理嫁にされる、フェイトリン嬢を助けにきたんだ!!」と宣言するが、先にカシュヴァーンにアリシアがキスをされる。ティルは「こういう無理矢理な下剋上を許すもんか! 近くで野営しているから、絶対にアリシアさまをお前から奪ってやるからな!」と息巻いて逃走。→屋敷で、アリシアには「赤と黒の派手な部屋」と、ノーラというメイドが付けられるが、ノーラは「私はご主人さまの愛人ですのよ、奥方さま? うふふ」と挑発するが、アリシアの天然っぷりですかされる。そしてカシュヴァーンには「屋敷の外と庭の廃園だけには立ち入り禁止だ」と告げられる。その夜、ノーラに「廃園が気になりませんか〜?」と言われて、やはり気になったので着いて行くと馬車に乗せられて、森の奥に。そこで「あっ、灯りがありますよ!」「あら本当ね。……あら? ノーラに御者さんったら、私を置いて行くなんてうっかりさんね」と言われて外に出された挙句に森の中に置いて行かれる。そこでこの地域では「肥料要らず」と呼ばれている、甘い匂いを出す猛毒の草を食べていると「それは食べては駄目だ、少女よ! 何!? カシュヴァーンの屋敷から逃げてきたのか……! 私はトレイス。前はカシュヴァーンの右腕だったのだがね……」と微妙に誤解されて、山小屋に保護される。→そして夜が明けたところに、地域の代官がやってきて「税金を更に納めろ」とトレイスを脅したので、アリシアも「私はカシュヴァーンさまの妻ですわ! このような暴力はおやめください!」「何!? あいつ……こんな幼気な娘を騙しているのか!」「こんな冴えない娘が? ありえないことを。ふん、気でも狂ったのか」と言っているところにカシュヴァーンが来て、アリシアを強奪がてら代官の悪行を見て剣で殺す。屋敷に帰ると、ティルが来ていて「貴様は幼友達(トレイスのこと)は見逃して、代官は殺すのか!」と言われて思わず殴ると、ティルはとても怯える。ユーラン曰く、ティルは焼き討ちに遭った時からこのような暴力が苦手だと。そして機嫌の悪いカシュヴァーンの部屋にアリシアが近付き、「妻として、旦那さまのことをお慰めに参りました。お腹は減っていませんか? お夕飯を一緒に食べましょうよ」と言う。そこでアリシアはカシュヴァーンのトレイスに対する気持ちや「翼の教団」の矛盾や憎しみなどを聞く。それで二人は、本心を聞いてほんのりいいムードに。→数日後。トレイスはティルやユーランに説得されて、このライセンを統治した当初のカシュヴァーンの気持ちを再度慮り、自分から折れる。そして幼なじみたちは仲直りし、トレイスはカシュヴァーンの右腕に戻る。アリシアはそれを見守った。その後、屋敷の隠し部屋に偶然入ってしまい、そこでルアークという少年と出会う。しかも、そのルアークこそが「あれ? まあ顔を見られてないってのはいいことだけど……俺は前のアンタの旦那を殺した暗殺者だよ、死神姫さま。驚かないの? ははっ、面白いね! ティル&ユーランさまに言われてライセン公も殺す依頼を請けてるから、成功したらアンタの次の旦那にならせてよ!」と暗殺者だった。ルアークが去ったので、カシュヴァーンが危ない、と思って探す。そこで廃園に入ってしまう。中には何人もの女性の名前の墓石があった。それをカシュヴァーンに見られて、「本当に約束を何度も破るな。特にこれは俺のトップ・シークレットだったのだ。あなたには失望したよ」と言われてしまう。アリシアは茫然としつつも、「(ティルナードさまに、ルアークのカシュヴァーンさま暗殺の仕事をやめさせてもらわなければ!)」と、こっそりとまた夜に抜け出して、ティルたちのテントに行く。そこでルアークもいて「お前、まだ殺せないのか! この役立たず!」「だって、あの人って隙が無いんだもん。超一流は、殺せる時に殺すのが基本だし」「ほほう? 『暴力は嫌い』と言っておきながら、暗殺者を寄越すのか、レイデン伯爵は?」とカシュヴァーンが来る。そしてティルが逃げて、ルアークとカシュヴァーンが一騎打ちのところに、アリシアが割って入って「やめてください二人とも! そうだわ! ティルナードさまはもういないのだから、カシュヴァーンさまがルアークを雇って差し上げて!」と、決闘を止めるアイデアを出し、二人は唖然として決闘をやめて共闘する。そして屋敷に帰り、カシュヴァーンは「あの薔薇の廃園には、俺の母親が埋まっている。俺の父親が、愛していた『薔薇育て狂い』の最初の妻を殺して以来、気がふれたらしく次々と妻や召使や領地の娘たちを殺して行った……。トレイスの姉もな。それだから俺は、あの男を殺して同じように薔薇園に埋めてやったのさ」と全てを告白。ついでに「俺は22歳だ。33歳だと!? なんだその具体的な数字は!」と笑うところもあり。→平和な日々だと思っていた数日後。逃げたティルが改めて決闘を申し込んできて、カシュヴァーンが受ける。だがその場にカシュヴァーンの背中から剣を突き立てたのは――トレイスだった。「そこの『翼の祈り教団』の司祭さまが、死んだ私の姉に『天国に行ける翼』をくださると言ったから……!」そのユーランは、「早くやっておしまいなさい、ティルナードぼっちゃん! いまがライセンが弱っているチャンスです!」と言うがティルは出来ない。その上、実はレイデン家が焼き討ちされたのも、このユーランの仕業だった。そして傭兵たちも雇っていたユーランはトレイスに、とどめを刺せ、と言うがトレイスが出来ないので死神姫――アリシアに『肥料要らず』を塗った、「一撃必殺」のルアークの得物の針を貸してもらう。そしてアリシアは「最期に、カシュヴァーンさまにせめて翼を賜る儀式をしてくださらないかしら、ユーランさま?」「いいですけど、変な気を起こさないように。あなたの腕では私に傷すら付けられませんよ」と言われてユーランがカシュヴァーン&アリシアのところに近付いてきたところで――自分の手に、アリシアは針を突き刺した。驚いて、その倒れる身体を受け止めようと近付いたユーランを見計らって、アリシアは「えいっ」とユーランに針を突き刺した。→エピローグ。ルアークの毒針を受けても、アリシアだけは死なずに寝込んでいた。起きると、側には手を握ってくれているカシュヴァーンが。実はアリシアは……貧乏貴族ゆえに、昔から自分の領地にあった『肥料要らず』をむしゃむしゃと食べていて、耐性があったのだった。真相を聞いたカシュヴァーンとルアークは思わず笑う。そしてアリシアの家もティルのレイデン家が面倒を見ることになってアリシアはほっとしつつも、トレイスやルアークやティルたちと笑い合うカシュヴァーンを見て笑顔になったのだった。

 うーん、ちょっと「天然にもほどがあるだろ、この馬鹿娘!!」と言いたくなるところもありましたね。ノーラに騙されて、すぐそこに見える庭の廃園に行くのに馬車にわざわざ乗せられた時点で気付けよ!w
 つーか、ノーラと「秘密ですわよ」という約束してたとはいえ、カシュヴァーンに告げ口しろよ!
そういうところにイライラしました。いくら少女小説で人気な「天然主人公像」なのかは知りませんが、ご都合主義過ぎるキャラ作りだなあ……と思いました。

 でもそこらの男子向けの新人賞を獲った新人作家の作品よりも面白かったですよー。
星4つ★★★★☆かな。オススメです!

posted by mukudori at 19:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | ビーズログ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月25日

狩兎町ハロウィンナイト 陽気な吸血鬼と機械仕掛けの怪物/木崎 ちあき

 俺のブログの「ビーズログ文庫」カテゴリがやっと火を吹くぜえええええ!!ww
 ……本当は、「死神姫の再婚」(岸田メル先生の絵に惹かれて集めているんです(笑))を一番に持ってきたかったんですけどね……。くそっ。
 さあ、新人なのにさっそく我がブログに二作品目をレビューされる木崎作者先生? 「電撃大賞と同時受賞!」の肩書きに恥じないものは見せていただけるんでしょうかねえ……?
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木崎ちあき かる

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正義のヒーロー、ヴァンパイア!?

 ここは狩兎町(かるとちょう)。高校生の日下部陽太(くさかべ ようた)は、ある日同じクラスで隣の席の相沢(あいざわ)という男子が吸血鬼に変身して襲ってきて!? そこに現れたのは、「正義のヴァンパイア」を自称する日本刀を持ったブラッドという美青年。陽太は彼から対ヴァンパイアの戦闘技術を仕込まれることとなり……。第15回えんため大賞ガールズノベルズ部門、特別賞受賞作!


 あー、つまんねえ! 本当にこの作者の作品はクソだな!
 どこを取っても、なんというか……見せ場が無い。読者の期待を裏切ってイライラさせる仕様です。読んでてむかっ腹が立ちます。
「吸血鬼」という手垢の付きまくった題材な上に、作中で「一般人でもそんぐらい知ってるわ、ボケ!!」と言いたくなるような説明をわざわざ語る、作者の薀蓄の披露……という名のページ数稼ぎ。全255Pですからね!

 さー、ストレス溜めるものアレなんで、さっさとネタバレあらすじ行こうか!
 陽太、深夜に町を歩いていると、クラスメイトの相沢と偶然出会って「知ってるか? 吸血鬼って鏡に映らないんだぜ?」と襲われる。そこにブラッドが助けにきて、相沢を追い払う。「大丈夫だったかい、君?」「カーブミラーに姿が映ってない……こいつも吸血鬼だー!!」と陽太はお礼も言わずに逃げ出す。そして両親は幼いころに交通事故で死んでいるので、伯父・伯母のマンションにお世話になっているが、家に帰ると相沢が先回りしていて、伯父たちの血を吸っていた。だが陽太が「けっ、どうせ世間体で俺を引き取っただけだろ……」と思っていた伯父たちは、「陽太、いまのうちに逃げろ……!」と自分たちの身を犠牲にした。そこにブラッドがまた現れて、一先ず陽太を自分の隠れ家の洞窟に案内してくれる。その後こっそりマンションに帰ってみると、伯父たちは生きていた――が、「母さん、夕飯はまだかい?」「安心して、あなた。目の前にこーんなに美味しい夕飯があるんですもの」と相沢によって吸血鬼にされていたので逃げ出し、ブラッドに「だから忠告しただろう」と助けられる。→「陽太くんの血は人間の中でも特に美味いので、吸血鬼に狙われるんだ。だから吸血鬼と戦って、勝てるようになろう!」とブラッドが提案。その底には「実は、陽太くんのお父さんの陽一郎(よういちろう)は手練れのヴァンパイアハンターだったんだ。自分の血が吸血鬼をおびき寄せるから、戦う側に回ったんだよ」「えっ、学者じゃなかったの!?」という事実があった。そして森に入って手ごろな吸血鬼を見つけて、ブラッドは「ほら、戦いなさい。君はちゃんと武器(聖水と木の杭)を持ってるんだから」と言う。陽太はビビりのままだったがなんとか野良ヴァンパイアの一人を殺す。ひょんな出会いもあって、ホストクラブを営む月影聖夜(つきかげ せいや)という普通の吸血鬼とも会話したり。→ブラッドと陽太の二人で夜の公園で話していると、そこに人間(?)が襲ってきてブラッドが対処。だがそいつは、「機械人間」だった。死ぬ寸前に自分の身体全体の「吸血鬼の嫌いな銀」で爆発して、ブラッドは陽太を庇い瀕死に。音に連れられて、見知らぬ吸血鬼が一体やってくる。以前はブラッドが後ろで見守っているお陰で倒せたが、いまはブラッドが瀕死なので恐怖心で動けない陽太の前に、自分のことを「ワタシはアンドロイドです」と名乗るメイド服の美少女が。陽太の持っていた杭を奪い取ると、美少女は楽々吸血鬼を倒した。→美少女に連れられて、近くの無人診療所でブラッドの治療。やはり銀の破片が背中いっぱいに刺さっていたのを抜き取ってやる。だがブラッドは血が足りなくなって、陽太を襲おうとするが、陽太は「お前ならいいよ」と首筋を差し出す。そこでブラッドも正気に戻って、外で野良猫を見つけて血を吸う。美少女は「ワタシは、ヴィクター・フランケンシュタイン博士の発明品です。対吸血鬼用として作られました」と自分の正体を告げた。「――ですが、博士は吸血鬼側に寝返り、自分の発明を悪用するようになりました。ワタシ以外の全てのヴァンピロイドは吸血鬼のために人間を捕獲するようにプログラムを書き換えられました。先ほど、公園であなたたちを最初に襲ってきたのがそのうちの一体です。博士は、『自分がもし道を誤った時はお前が止めてくれ』と言っていましたので、ワタシはその命令にずっと従っているのです」と、美少女――フランケンが言う。そしてブラッドたちも「協力するよ」と言ったので、ブラッドがフランケンに教えてもらった廃工場に行くと、そこには相沢が。そして置いて行かれた陽太はフランケンに「ブラッドさまには偽りの場所を教えました。陽太さま、力ずくでも博士に会っていただきます」と拉致される。→博士の研究所で拘束される陽太。だが、そこに現れたのは――死んだはずの自分の父親だった。「私は吸血鬼にやられて死ぬ寸前に『どうせなら……』と思って吸血鬼になったんだ。そして肉親の血を吸うと、寿命が延びると知ったのでね。悪いが父さんの餌になってくれ、陽太」と言われる。母親が一緒に亡くなったのも、血に飢えた父親が襲ったからだった。だが、「肉親の血を吸うと寿命が〜」は嘘だった。数ヶ月前に相沢と出会った陽一郎が、相沢に「(こいつは、家畜の血しか吸ってきてなかった俺の両親を殺したやつだ! 待てよ、俺のクラスメイトの日下部の父親か……。『肉親の血を飲むと寿命が延びる』と嘘を教えたらどう反応するかな? 『そんなことは出来ない!』って拒否したら即座に殺してやるけど。もしかしたら面白いことになるかもな……)」と吹き込まれていたからだった。→研究所で父親に立ち向かう陽太。銀の欠片で刺し殺した――と思ったら、『人間の皮』が剥がれて、中からはアンドロイドの骨格が出て来た。陽一郎は、自分で自分を改造していたのだ。周りはアンドロイドでいっぱい。逃げ惑う陽太に父親から銃が向けられ――その銃を持っている腕を、フランケンが吹き飛ばした。「さっきまでのは演技です。陽太さまに会わせれば、博士がまた元に戻ってくれると思っていました。ワタシの役目は、博士が人道に外れたことをした時に止めることですから」と言う。そして陽太はフランケンに「日下部陽一郎(メインコンピュータ)を破壊しろ!」と命令する。爆発の瞬間は、相沢を倒して駆けつけたブラッドが陽太とフランケンを回収して空を飛ぶ。そしてフランケンに「陽太さまにご案内したい場所が」と言われて、昔家族全員で暮らしていた家に。そこで陽太は、「お前を、全ての命令から解き放つ」と言ってフランケンを自由の身にした。→エピローグ。相沢は退学していた。陽太は実家から学校に通っている。そこに現れる二名の転校生――ブラッドとフランケンだった。「これから、家でもお世話になるよ、陽太くん。いやー、一度制服って着てみたかったんだよね。僕イケメンだから似合うでしょ?」「よろしくお願いします、ご主人さま」とクラスの席でも二人に挟まれて、陽太は頭を抱えたのだった。

 あのさあ、陽太……なんで、まだ人を襲っていない吸血鬼を殺すの? 「現行犯逮捕」……という単語がありますが、せめて人を襲ってから殺してくんない? 相沢の家族みたいに、もしかしたら人間は襲わない吸血鬼だったかもしれないだろ?
 あと陽太、お前なんで父親を倒した後も普通に高校に通ってんの? 伯父さんたちのマンションにあるだろう必要備品はどこに行ったんだよ。そんで、相沢によって吸血鬼にされた伯父さんたちは結局どうなったの?
 あと一人残っているはずのヴァンピロイド四天王(ネタバレあらすじには書いていませんが、陽太が研究所に拉致された時に一体は倒してます)といい、父親を殺したヴァンパイアの正体が日記で破り取られていることといい……頼むから続刊前提はやめてくれ。あー、ストレス溜まるわー。このまんまの原稿で受賞したんなら、えんため大賞の審査員は目が曇ってますね。落とせよ。
 つーか、最初は「伯父さんたちだって、俺のことを疎んでいる」からの→「いまのうちに逃げろ、陽太……!」という伯父さんたちの本当の愛情を感じての陽太の感情が全然伝わってこない。「いままで勘違いしていてごめんなさい、伯父さん、伯母さん……! 助けられなくて……ごめんなさい!」とでもいいから、台詞にしてくんない? ちょっとは伯父さんたちのために泣けよ。
野良ヴァンパイア一体を倒すのにも勇気を使っていた陽太が、父親に真正面から立ち向かう時も全然カタルシスが無い。
なんというか……「ここぞ!」という時に作者が陽太の心理描写を見せてくれなくて、後から思い出したように出してくるから、肩透かしを喰らった気分です。最悪、欲しいところに欲しかった描写も無いし。

 さーて、評定だよー。もちろんわかっていると思うけど、星1つ★☆☆☆☆! 超地雷だよ! 新刊が出ても、この作者ってだけで敬遠しそうです。
作者はもうちょっと現実(リアル)に触れて大人になろうね!

posted by mukudori at 22:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | ビーズログ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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