2012年01月07日

のうりん 2巻/白鳥 士郎

のうりん 2 (GA文庫)のうりん 2 (GA文庫)
白鳥 士郎 切符

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四天農、現る。

 相変わらずの田茂農林高校の日常。今度は林檎が大豆育てに熱中!? 農はいつもと変わらず、耕作に夢中! そして現れたのは――『四天農』と呼ばれるヤツらだった。大笑い必死の飛び出せ・耕せ・ハーベストスクールラブコメ、第2弾!!


 今回も非常に大きく笑わせていただきました。
この作者の書くギャグはキレがあっていいね! とてもいい!

 一つ一つ取り上げて突っ込んで行きたいんですが、膨大な数のギャグなのでそれは叶わず……アウチ!
とりあえず、目についたところから。
「蒼穹のファフナー」ならぬ「双丘のファスナー」。これぞまさにおっぱいのShangri-La! ってうるさいわ!w
「良田さんのおっぱいはね、自分一人だけのものじゃないんだよ! 規格には収まりきらないけど……あえて表現するなら、そう……」「W(ワールド)カップ。ここは挿絵と相俟っていて笑いました。
・ヒンドゥーならぬヒンヌー教徒に、カースト制度ならぬバースト制度。そして最終的にはブラフマンならぬ「ブラ不満」の登場だよ! もうここまで好きにやってくれると拍手しか起こらない!w
・アラフォー幻魔拳は元ネタ知らないからあんまり笑えなかったなー。
幽☆遊☆白濁ワロタww合わせでの「飛影はそんなこと言わない!」も強いな、これは。
・岐阜では死体が見つかるのが日常茶飯事なの? マジで? 個人的には自分の家の床下に埋めた方が安心だと思うけど……。安眠は出来ないだろうけどね!
四天農キタ――! バイオ鈴木は腐女子ならぬ「発酵の美少女」。ウッドマン林太郎「F組のFはフォレストのF! フューチャーのF! フィーメイルのFだあああ!」とか言っちゃう。ローズ花園は……哀れ、ズキュゥゥゥン! 効果付きで耕作がファーストキスを奪われる。あ、ちなみに花園くんです。相手は男の子です。マネー金上は「萌え卵」という商品を開発し、萌え産業を利用して金儲けをする。ボイン良田は……みなさんもご存知の通りの良田さんです。え、「四天農なのに5人いるじゃないか」って? 気付きましたね。この世の真理に気付いてしまいましたね……。それは言わないのがお約束ってもんですよ。
・それにしてもローズ花園とのポッキーゲーム勝負は面白かった! 耕作は相手がノンケだと思っているから花園の巧妙なテクニックに翻弄されつつ、最終的には唇をいただかれましたー、っていうアンサーは……orzとしかw
「君の唇を奪ったのは他の誰でもない、このローズ花園だァーーーーッ!!」
「お前なんてことしてくれるんだよ!」
 泥水でもいいから口を洗いたい心境だ!

そして繰り出されるジョジョネタの数々! 「ディ・モールト(非常に)」「アリーヴェデルチ!(さよならだ)」「この味は、嘘を吐いている味だぜ!」はもちろん、4部の吉良のパロで「いえね、中学生のころ……ミケランジェロの『ダビデ』を見てしまって……下品なんですが興奮してしまいましてね……フフフ」などなど。耕作は可哀想だが仕方がないのだよ。面 白 け れ ば そ れ で い い(ズバリ)。
・これはある意味メタネタかな? イラストレーターの切符さんのことが作中に出てきます。「萌え卵」のパッケージデザイン者として。そして切符さんがご家族に「つい最近も農業高校を舞台にした下ネタとパロネタ満載のラノベのイラストを引き受けて、ご家族の方から『いくらなんでも、もうちょっと仕事を選んでくれ』とけっこう真剣に説教された」という嘘か真かわからないネタを仕込んできていますwイエーイ、ご家族の方見てるー? 切符さんは安定して「のうりん」にスパイスを与えてくれているのでご心配なく! むしろ切符さんがいなきゃ「のうりん」は始まらないぜ!!
・そして今回の帯文で気になっていた……「そう……そのまま収穫して。ぼくのマッシュルーム」は「萌え卵」で味を占めた金上さんが今度はBLの層を新規開拓しようとしてたくらんだ、股間からキノコの生えてくる男子フィギュア付きキノコ栽培セットでしたー。と来たもんだ! さすがエクスカリバーのパロネタとして引けを取らないぜ!
・祭りシーンはネタとしてはまあまあ面白かったけど全体的に薄味で長いので見たい方は本編をご購入下さい。

 そしてラストシーンへと笑いの超スピードのまま突入します。
ラストは林檎が大事に育てていた大豆の苗が、土壌の白絹病という病気のため、焼き払わざるを得なくなります。
泣く林檎。慰める耕作。ここでの耕作は熱かった! 「どうしてこんな辛いこともあるのに耕作は農業を続けられるの?」と訊く林檎に、「林檎、すぐに芽が出るものなんてないんだよ」と言う耕作のなんとカッコいいことか!
それからの林檎の回想シーンは1巻から気になっていた耕作への愛情の根源がようやくわかりましたね。
し・か・し、
林檎が耕作のことを好きな要因はいつも届く野菜と一緒のファンレターでした。ですが耕作はそんなもの書いた覚えはありません→ファンレターは農が書いたものでしたー。そして林檎と農は耕作を取り合っていた関係もどこ吹く風でラブラブちゅっちゅになります。ってなんやねんそのアンサーは! もっと三角関係(トライアングル)押して行こうぜ!?
っていうか農のやったことがリアルにひどすぎるよね、これって。あえて言うなら母親が息子の書いたラブレターを勝手に加筆修正しました、みたいな?
その辺ちょっと減点して……今回は星4つ★★★★☆ですね。ギャグだけなら秀逸です。

posted by mukudori at 18:38 | Comment(2) | TrackBack(0) | GA文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月02日

双子と幼なじみの四人殺し/森田 陽一

 今日は第3弾! 私も大好き貴方も大好きGA文庫の登場だ!
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森田 陽一 saitom

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人を殺しておいて、幸せになる覚悟はある?

 菱川迷悟と新山一縷・朽縷の双子の姉妹は幼馴染だ。三人はある時、両親を失って以来一つの家で同居している。そんな三人が高校に進学してから――なんと飛び降り自殺の現場に遭遇する。しかし一縷は言う。「これは殺人だ」、と――。第3回GA大賞奨励賞受賞作品の登場!


 いやーいやいやいや、なんでやねん。
これが読み終わった後の第一感想でした。あ、最初に言っておきますが、この本超地雷です。
むしろ本全体が地雷原? 突っ込みどころが多過ぎてまともに歩けません(読めません)。
なんでこれが奨励賞なんか取っちゃうかなぁ。「俺はまだ恋に落ちていない」 の方が期待賞(奨励賞の一つ下)でしたけど、まだまだずーーーーっと面白かったですよ。とりあえず630円返せちくしょう。

 この作品はミステリ風、ジュブナイル風世紀末ヒャッハーものですね。
 ……なんで「世紀末ヒャッハー」だって?
それはだね、この作品の登場人物たちほぼ全員が、暴力・殺人に関する倫理感のハードルが低すぎるからだよ! てやんでえ!

 個々人のプライベートな問題なのに第三者的立場の主人公が無理矢理介入して、口出しする? そして女子相手に手まで出そうとする? けれど一縷にたしなめられて(現実は黒板で頭をかち割られて)落ち着く? 

 3万円もらったからって男子どもが女子2人と男子1人(双子と迷悟)を鉄パイプとバットで校内で襲撃する? しかも返り討ちにあって頭蓋骨陥没させられる? それで刑事事件にならない?

「話し合うのが面倒」だからと言って、一縷が学校の教師をワンパンで黙らせる? しかもその後、全治一か月の怪我を負った教師は普段から素行の悪い一縷を停学にも退学にもしない? 心が広すぎるだろう常識的に考えて。教師も人間だぞ?

 っていうか、彼氏に振られたぐらいで逆上して警官二人を殺して拳銃を奪い、更に元彼をも殺して元彼の新しい彼女を殺そうとするか? 殺された警官二人涙目だろう。殺るなら拳銃なんて手段に頼らず、最初から包丁一本で行きなさい。
 

 ……とまあ、こんな感じですね。
最初の問題に関しては、主人公が馬鹿過ぎるとしか。兜森くん(主人公のクラスメイト)が主人公に相談した訳でもないのにあっちが勝手に首を突っ込んできて暴走している。しかも兜森くんの名前を出さない、と誓った数ページ後ではそんなことすっかり忘れて「兜森から聞いたぜ!」とか言っちゃってる。
2番目の問題に関しては今まで体術が得意とかそんな描写の無かった朽縷が何故か「お前たちは……迷悟が作ったお弁当を台無しにしたんだぞ!」と訳のわからない理由で逆上して敵の頭蓋骨陥没。敵さん重傷で入院騒ぎ。

 あ、「敵」で思い出しましたが、序盤の飛び降り事件。あの時一縷は何故か「(私たちが)敵に攻撃された!」とか電波なことを言ってるんですよね。何度読んでもそこが納得出来ない。事件性があるにも関わらず、警察に頼み込んで学校側が自殺にしてもらったというのも訳がわからない。あ、あのまま起こったことを話すぜ……! 俺はいつの間にか……(ポルナレフAA略)

 っていうか、双子である必要性も無いよね。
ちなみに迷悟と双子の関係は、両親同士の不倫でした。両親と自分たちの血液型の違いで判明します。つまり三人は腹違いか種違いの兄妹(になるのかな?)です。
 そんでもってタイトルの「四人殺し」の肝はここですよ。自分たちのルーツを知って、正しくないことを許せない三人がお互いの両親たちを自殺に見せかけて殺したのが四人殺しの真相でしたー。と来たもんだ! 全く話の本筋に関係ない!
そんなことにページを割くぐらいなら、清水が投身自殺と見せかけて男子を殺したときの詳しい描写とか、胡桃沢への歪んだ愛情の根源、最終的に繋がる二人の気持ち……などを描写して欲しかったですね。

 あと、この世界の警察は馬鹿なの? 死ぬの? ああ、そういえばだから殺されたんでしたっけね。可哀想なことに二人も。ごく一般的な女子高生(脇キャラ)の手によって。
事件性があるなら買収されんと捜査せんかい! 最終的な犯人を頭のイカレた保健医の手によって作り出されたもんだと見抜け! 四人殺しの現場で、一つの部屋に(言わばお隣同士という共通点以外関係のない)四人の遺体がある時点でおかしいことに気付け! 四人に抵抗の跡は? 薬物の使用の有無は? それと遺書の筆跡鑑定ぐらいしろ! せめて子供たち三人の指紋ぐらい取っとけ!

 ……ふう、突っ込み疲れました。
星はもちろん1つ★☆☆☆☆、地雷も地雷。超地雷です。
0個にしたいぐらいですが、挿絵だけは良かったので。

posted by mukudori at 00:00 | Comment(6) | TrackBack(0) | GA文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月25日

俺はまだ恋に落ちていない/高木 幸一

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高木 幸一 庭

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俺はまだ恋に落ちて……いない?

 赤井公は友人の田所から妹、恵衣美(えいみ)と詠羅(えいら)を紹介される。そして渡されてくる「アタックけん」。これは二人の妹にアタックをしてもいいというものなのだが……? 活動的な恵衣美と物静かな詠羅。どちらも類いまれな美少女だ。しかもどうやら好意を持たれているらしい!? 果たして公はどうするのか!? GA文庫期待賞受賞作!

 どうでもいいことなんですが、詠羅と聞くとこれを思い出しますね。
↓↓↓
中二病エピソード 影羅

中学生の頃、妹は二重人格だった。
なんでも、火を見ると「影羅(エイラ)」という魔族の人格が現れるそうで、
真っ暗な部屋の中で唐突にマッチを擦っては、
「……ヘヘ、久しぶりに外に出られた。この小娘は意思が強すぎて困るぜ(笑)」
などと乱暴な口調で叫んだりしていた。
ある日、夕食の時に「影羅」が出たことがある。
突然おかずの春巻きを手掴みでムシャムシャと食べ始めて、
「久々の飯だぜ(笑)」と言った。
食べ物関係のジョークを一切許さない母が、
影羅の頭にゲンコツ振り落とすと影羅は涙目になっておとなしくなった。
それ以来、食事時に影羅が出たことは無い。
そして別人格とやらは、妹が高校に入った辺りでパタリと出なくなった。
最近になって、大学生になった妹にその頃のことを尋ねたら、
クッションに顔を埋めて、手足をバタバタさせてのた打ち回っていた。

http://www.geocities.jp/sittodesuka/episo-doより

 影羅のことはおいといて、本書の感想はというと、なかなか面白かった!
最初こそ、1ページに何人も登場人物がいきなり出てきて読む気を無くさせるんですが、そこさえ乗り切ってしまえば後は面白い。まあ、要らないだろ? というキャラもいましたが……山城とか空河とか。特に空河は三角関係に入ってくるのかと思いきやまったく関係ないし。なんのために出てきたんだこいつ。

 あと不完全燃焼なのは公の父親の話ですね。「父親がいなくなった日だからクリスマスは嫌いなんだ」なんていきなり言われても読者も登場人物も「ハア?」ですよ。結局伏線は回収されないままだし。
 それと恵衣美と詠羅の姉妹間の確執が無くなったようで無くなっていない。これはちょっとマイナス。

 でもこの作者は会話劇が上手い!
「もーエイラってばいい加減、その鬼が血の池地獄に落ちた人間の溺れる様にひとりほくそ笑むような笑い方やめなよ。コウさんがおびえてるじゃん」
「何言ってるの。私は今、傷つき倒れた前線の兵士へそっと舞い降りた天使のように温かく微笑みかけたのよ。眼球腐り落ちてる? それとどさくさまぎれにいきなり初対面の殿方を下の名前で呼ぶなんて、さすがは世界のトップブリーダーも推奨するメス犬エイミ。何人も男をとっかえひっかえしている履歴はダテじゃないわ。その手口、少しは学ばせてもらうことにする」
「あーん? 誰がとっかえひっかえしてるって? 勝手に言い寄ってくるウザいやつらに文句言えよこのサルノコシカケがぁ!」
「過去現在そして未来。私となんら関係を持たない菌類ごときを比喩に持ち出して悪態をつくところがなんとか阿呆な自分より下に見せかけようというまさにサルノコシカケならぬ猿の浅知恵。これは一本取られましたわお姉様。年の功ですね。さすがシワの数だけ知恵がある、夢がある、無駄がある。ふふふっ」
「表に出ろやクソガキィッ!」


 恵衣美と詠羅の喧嘩シーンですが、これが一気に読んでしまうほど面白い!
こういう喧嘩シーンが何度もあって、テンポよく挟まっているので心地いいんですよね。
ただ、他の描写になると、けしてお粗末ではないんですがちょっとくどいというか……。
あ、でもここの描写は綺麗でした。恵衣美がおばあちゃんの形見の琥珀の腕輪を見せるシーンなんですが、
「……(中略)琥珀色のブレスレットを月に照らした。それはまるで白魚のはじく水滴が、水面できらきら輝くように美しく、俺の目をひきつけた」
白魚のはじく水滴、というところに瞠目しましたね。これはいい美文。

 そしてみんなが気になっている結末ですが……公は恵衣美も詠羅も選ばず、どっちつかずの状態でしたー……です。
詳しくは、恵衣美と詠羅の家にお泊りをして翌日蔵に連れて行かれるんですけど、課題を出されます。それは「この蔵の中からお宝を見つけ出してこい」というもの。
そこでおばあちゃんの日記を見つけるんですが、そこにはアナグラムの暗号が……。
暗号を解くと「宝は孫。よろしくキミを」かと思えば、その実は「孫をよろしく。宝はキミ」だったんだからおばあちゃん侮れない!!
 そして蔵から出て、「どうも、お宝の赤井公です」と言うと二人がバーン! と抱きついてくる訳なんですよ。これで基本的な骨子は終了です。
どちらも選ばず、傷つけず、選択としては非モテ人間からしたら「ふざけんじゃねー! このヤロー!!」と言いたいところではありますが……だって恵衣美も詠羅も二人ともいい子なんだもん! 傷つけたくない気持ちはよく分かる!
普通ならどっちかに肩入れしちゃうんですが、そこまでヒロインキャラを両方とも魅力的に書ききってくれた作者の力量がすごいと言うべきか。

 見過ごせない瑕疵はあったものの、勢いで読ませたこともあって星4つ★★★★☆ですね。

posted by mukudori at 00:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | GA文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月30日

彼と人喰いの日常/火海坂 猫

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火海坂 猫 春日 歩

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人を喰って何が悪い?

 高校生の少年、十夜はいじめられっ子だ。いつものようにイジメグループの3人に河川敷で殴られ蹴られ……けれど今日は常軌を逸していた。そう、殺されそうになるほど。その時頭に、どこかから声が響く。「我と契約する代わりに、助けてやろうか?」と。無我夢中で声に頷くと、イジメグループたちは一瞬で消えていた。その瞬間から――美しい妖魔、黒衣(くろえ)との契約が始まったのだった。GA文庫大賞、奨励賞受賞作!


 なかなか面白かった!
私は、悪いヤツは死ぬか、死よりもひどい目に遭わされるかしないと気が済まない性質なので、1ヶ月に1人、契約により黒衣に人を喰わさなければならないというギミックは爽快でしたね。

 でも主人公の十夜がいつまでも契約で黒衣に人を喰わせることに対して、うじうじしていているのがネックかなー。

 最初は十夜も恐る恐る「テレビのニュースで流れている、裁判で決まった死刑囚を喰わせる」とかしているんですが、黒衣がぺろりと「喰うてきた」というだけで現実味がないんですよね。

 話は変わりますが、主人公には立夏という女の幼馴染がいます。
彼女は父親の家庭内暴力に悩まされているんですが……毎日毎日痣をこしらえてくる立夏に我慢できなくなった主人公は黒衣にその父親を喰わせることを思いつきます。
そして実行。
父親は死ぬ前に最大限の苦痛と恐怖を味わわされて、黒衣にぺろりと食べられちゃいましたー。
このときは、「爽快」そのものでしたね。DV、虐待、ダメゼッタイ。
 そして主人公は黒衣に頼んで催眠術で立夏の記憶から「父親を殺した自分の記憶が無い方が幸せだろう」と自分を消してもらうんですが……これはちょっと不自然でしたね。毎日顔を合わせるクラスメイトでもあるのに、すれ違ってもガン無視になる、とか。二人のこれまでの関係を知っているクラスメイトたちが不自然に思うでしょうがよ。

 それにしても、この辺りから主人公は黒衣に人を喰わせることに慣れてきたように思います。
主人公にはダークヒーロー的に黒衣に犯罪者をどんどん喰わせて行って欲しいですね。
……ハッ、これってデスノートの月じゃねえの!?
でもデスノと違って、黒衣が食べるので死亡方法を選択出来ないんですよねー。いくらなんでも独房に入っている死刑囚が何人も消えて行く……となったら御上も動くでしょうし。

 それと一言いいたいのが、キャラクターデザインですよ、絵師さん。
いくらなんでもいじめられっ子である主人公が鼻に絆創膏をいつも付けているような髪の毛ツンツンヤンチャ系坊主なワケないだろ!? と。

 最後に一つ、口絵カラーにもなった黒衣のシャンプーシーンはいいものでした。
「主、目が、目が沁みる!」
「お前、シャンプー知らないのか……?」


星4つ★★★★☆ですね。次巻があるなら国の呪捜官とのバトルとかはいらないので、黒衣との甘々な日常と胸のすくような犯罪者一掃シーンをお願いします。

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2011年10月17日

Happy Death Day 自殺屋ヨミジと殺人鬼ドリアン/望 公太

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今日は一生に一度のHAPPY DEATH DAY

 大学生のシドはある日突然、死ぬことを決意した。
そして依頼したのは「自殺屋」――ヨミジと名乗る男が自宅に来訪してきた。ヨミジは言う、「これからあなたには、遺書を書いて自殺してもらいます。そうですね、期限は一週間後でしょうか」と。
シドが人生最後の一週間で出会うのは、大学の親友に、美少女殺人鬼ドリアンと、超能力者のモリリンに自分の兄貴――!? 果たして自殺は遂げられるのか!? 第3回GA大賞優秀賞受賞作!


いやー薄っっすい本でした。
あ、「恋のキューピッドはハンドガンをぶっ放す」的な意味でなく、物理的に。
なんと全ページ数205ページ。これで他と変わらない630円取るんだから不思議だよね! GA文庫さんよぉー? 電撃だったら500円で売ってるぞ?

 内容は、最初のシドが語る「自分の人生完成理論」についていける(同意出来る)かどうかですね。
「人生はドミノに似ている。
コツコツと自分が組み立てたものなんだから、倒すのももちろん自分であるべきだろう。
だが、世の中には事故やなんかで自分のドミノをあっけなく他人に崩されることがままある。
ならば――と俺は思う。
俺のドミノはすでに完成している。だからもう崩すべきじゃないのか?
さあ、死のう」

 ……こんなもん、戦争を生き延びた高齢者に見せたら、「何を甘っちょろいこと言っとるんじゃこの若いモンは! あの時代は生きたくても死んで行ったやつらが何万とおったというのに!」……と説教されて張り飛ばされますね。私も同感でした。
シドめっちゃ殴りたい。
だからこの本は「主人公うぜーなー……」と思いつつ読んで行くのが正しいスタイルだと思われます。

 最初の章ではヨミジが来訪してシドを自殺へと保険のセールスマンのように誘うんですが、描写がホモくさい
「じゃあ、ヨミジ?」
「はい?」
 小首を傾げた。
 ちょっと可愛いと思ってしまった、俺の馬鹿。

とか、
 ヨミジは人差し指を唇の前に当てて片目を閉じ、女子中学生のように可愛らしく笑った。
 ……だからなんでこいつはこんなに笑顔が可愛いんだよ!
 最悪だ。ちょっとドキッとしちゃった。あー、俺のバカバカ! 相手は男だぞ。

とかね。
 後は2章で
 俺には親友が一人だけいる。そいつの名前は不破。
 こいつのことは個人的にものすごく好きだ。そいつとなら、肉体関係を持ったっていいと思っている。

とか……もうお腹いっぱいです(^q^)ふう……腹の中がパンパンだぜ……。

 女の子も、ドリアンとかモリリンとか出てくることは出てくるんですが、男メンツに比べるとキャラ付けっていうかシドの中での存在感が薄いんだよなー。
もっとドリアンとの添い寝とか、シャワーシーンチラ見とかあっても良かったと思います! 思います! (大事なことなので2回言いました)

 あ、ちなみにこの話は終始こんな感じでシドたちが自分の死生観を述べたりするだけなので、淡々としていて萌えの欠片は一切ないです

 でもシドの言葉で一つだけ共感出来るものがありました。
「そもそも、人を殺してはいけないと言い切るのには無理がある。
 死刑があったり、正当防衛だったらオーケーだったりと、例外が多過ぎる。
 だいたい、俺らは大昔に戦争やら合戦やらあった大量殺人者たちの子孫な訳だし。
 人を殺してはいけないというのは、ただ法律で倫理で道徳なだけであって、真理ではない。
 法律や宗教で殺人を禁止しておかないと、社会が回らないというだけの話」

これには頷きましたね。

 それと最終的に、シドが死ぬ前にうんぬんかんぬん言わずにさっさと見切りをつけてちゃんと死ぬのが良かった!
遺書がこの本書であるということは、一人称の時点からなんとなくわかってたのはちょっとマイナスポイントですね。
そんな訳で星3つ★★★☆☆です。

 ですが最後に作者先生に言いたいことがあります。お酒は二十歳から。19歳のシドが飲んでいい訳ねーだろうが! それとも貴方の住む国では未成年の飲酒はオーケーなんですか?
この作者、まだ大学生らしいので邪推かもしれませんが、未成年時からの飲酒疑惑が持たれますね。
あれ、「B.A.D.」のときも同じような苦言をしたような気が……。

posted by mukudori at 18:19 | Comment(2) | TrackBack(0) | GA文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月08日

のうりん 01巻/白鳥 士郎

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ガイアが俺にもっと耕せと囁いている

 ここは県立田茂農林高校――通称「のうりん」。主人公の畑耕作はアイドルオタクだ。しかしアイドルといったら一級品種の肉牛様ぐらいしかいないこの侘しい農業高校に……なんとアイドルが引退転入してきた!? しかもそれは耕作の大好きな「ゆかたん」で……。爆笑必死の飛び出せ・耕せ・ハーベストスクールライフ!!


 いやー、久々に笑わせてもらいました。大笑いですよ

 今回もキャッチコピーを帯文から取らせていただきましたが、この時点でもう卑怯だよね。読者を爆笑の壺に放り込もうと必死。
それが口絵カラーにもかかってるんだから、もうwww

こうさく age16
セットアップが決め手のオーソドックスなワーキングウェア。
メロー感を大事にしつつも、アグリカルチャーな男らしく上下で揃えているセンスには脱帽。
鍬(クワ)は備中で軽めに


……これですよ。メロー感って何さ。アグリカルチャーって聞いたことないよ! 備中産まれだけどうちの鍬が軽いなんて初めて知ったよ!!
これがカッコつけた耕作の絵と一緒に繰り出されるもんだから攻撃力半端ない。是非実物をお手元に!!
 
 他にも
「だって僕、ゆかたんに送るために野菜作ってたんだもん……」
「ええんやない? 返事とか来たん?」
「くる訳ないよ。匿名で送ってたから」
「あんたそれどこの笠地蔵やの?」
「もしくは『ごんぎつね』だな」

など軽いジャブも忘れてはいない。
「生存戦略、しましょうか」
などのネタの鮮度も申し分ない。
あと、「君に届け」君に届け 1 (マーガレットコミックス (4061)) [コミック] / 椎名 軽穂 (著); 集英社 (刊)「銀の匙」銀の匙 Silver Spoon 1 (少年サンデーコミックス) [コミック] / 荒川 弘 (著); 小学館 (刊)が実名で登場している辺り、これらの作者さんに許可は取ったのか、と読者の肝を震わせてくれます。

 しかし真骨頂はこれに尽きるでしょう。
2chネタ。
イラストとの組み合わせで見開きを贅沢に使っての「ば〜っかじゃないの?」には心打たれました。世の中の執筆者がうらやむ挿絵師さんをも巻き込んだなんという贅沢なページ使い……!! こやつ、デキる!!
後は小粒なのでいけば「おめーのメシ、ねーから!!」とか「まさか、きゅうりの(クライムの)害虫を(カタリストを)《軍手(オラトリオ)》無しで!?」とかですね。

 ですが笑いの影に隠されて、苦言もあります。
林檎(アイドルの本名)がなんで耕作に初っ端から好意を抱いているのかがわからなかったり。最後のオチがちょっと微妙だったり。フォント弄りを使用しすぎて、「ここいらねーんじゃねえの?」ってところにまで使用しているので笑いが半減したり。

 ですが1ページ1笑い。これをまさに体現しているラノベですね。
今からでも遅くない! ギャグセンスを身に付けたい貴方はこれを是非手に取るべし!!(ただしこのラノベに使用されているギャグを使用されて周囲から冷たい眼で見られても責任は取りかねます) ここまで笑ったのは久しぶりなので星5つ★★★★★あげちゃいます。

posted by mukudori at 17:50 | Comment(2) | TrackBack(0) | GA文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月12日

月見月理解の探偵殺人 5巻/明月 千里

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明月 千里 mebae

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愛してるよ、悲しいくらいにね、れーくん。

 月見月の豪華客船「ナグルファル」で探偵殺人ゲームの決勝戦が行なわれる。僕、理解、交喙は共同戦線を張って連理に対抗するが!? 頼みの綱の理解の《無数に扉のある高座(フリズスキャルヴ)》が失われてしまった!? 連理に翻弄される僕たちに、勝機はあるのか!? 今ここに、最後のゲームが幕を開ける――。


 今巻で最終巻……。寂しいものですね。
GA文庫では他にない色で、このシリーズ好きだったのになぁ。

 さて、感想はというとほぼ予定調和(予想通り)ですね。
やっていること自体は「探偵殺人ゲーム」なので4巻とそう変わりません。

 そして今回もライフポイントが0になると本当に殺されてしまうんですが、死体の細かな描写が無く、つまらない。ああ、やっぱり最近ケモノガリに毒されて(ry

 つまるところ、結局理解は《フリズスキャルヴ》を失ってやけっぱちになるんですが、初に「ヤケになってるようだけど、それも演技なんだろ? 僕の知っている『月見月理解』はそういうヤツなんだ!」と叱咤されていつもの調子を取り戻します。
「教えてやろう……。この俺様の前では、お前の言う『真実』なんて何の役にも立たないことをな!」
 ……と、車椅子を捨て、松葉杖を突いて自分の脚で歩いて理解はゲームのテーブルを翻弄し、惑わし、引っ繰り返します。

 最終的には理解が連理もグラウンド・ゼロも殺すんですが、その方法が「ゲームに敗退したのでゲームの主催によって殺される」というものなので最後はあっけなかったですね。死体が見たいんだよ! 死体が! 死んだという確かな証拠が!
 ここからは妄想ですが↓
負けた連理が敗北を認めようとせず、舟のデッキ際に小物っぽく逃げて、理解との間で銃撃戦とかあっても良かったと思います。それで理解が撃たれるものの、結局は真理が連理を無惨に殺して終わり、とか。

 あとは3巻でその存在が明らかにされて個人的にドキドキしていた「ゾディアック」についての伏線が未消化なところでしょうか。まだ理解、真理、久遠の3人しか出てきてないのに! 「次作ではゾディアックの1人を出します」と作者は後書きで言ってますが、それでも「あと8人どこ行った?」ですよ。ゾディアックについては最後まで書ききって欲しかったなあ。

 でもあそこまで最高のハッピーエンドを見せてもらっては、批難の言葉を飲み込まざるを得ない。
あの理解が! 車椅子が特徴的なあの理解が! なんともまあ、自分の二本の脚で立って、再び「れーくん」の元を訪れるんですよ。優勝した初の願いを、月見月家がそこまで柔軟に物事を捉えて、叶えてくれるとは思いもしませんでした。

 たしかに消化しきれなかった伏線や詰め込みがちな展開はありました。しかしながら――最高のハッピーエンドを与えてくれ、2年もの間書き続けてきて私たちを楽しませてくれた明月先生に敬意を込めて――そして最後の最後まで、乳首立ちの心意気を見せてくれた(笑)mebaeさんに敬意を表して(表紙の理解をよーく見ればわかりますw)これはもう、星5つ★★★★★出すしかないでしょう!
 先生には次のシリーズでもドッキリするような仕掛けで私たちを楽しませてくれることを願っています。

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2011年07月09日

月見月理解の探偵殺人 4巻/明月 千里

 ……最近、月見月シリーズの更新が続いてますね、って?
それはだね、やっと最終巻の5巻を読めたからだよ! だから5巻をレビューするまでは続きます。お付き合い下さい。
月見月理解の探偵殺人 4 (GA文庫)月見月理解の探偵殺人 4 (GA文庫)
明月 千里 mebae

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真実は残酷だ。そうわかっていても、求めることをやめられない

 僕の妹、遥香が探偵殺人ゲームに参加しているとわかった。しかも行方不明者の噂のある、コミュニティ『黒の箱庭』に――。僕は理解、交喙、委員長と共に参加する。しかしそこは――ゲームでの死亡が本当(リアル)に起こる殺戮の宴だった!


 この巻は……うーん、普通かなぁ。
結局、妹との不和も距離感も『信頼』の一言で済まされたわけだし。

 あと、前巻に続いて真犯人わかりやすすぎ(笑)。それとドッペルゲンガ―、引っ張り過ぎ。
忌月は格好といい言動といい、どう考えてもブラフですね。真犯人の連理が用意した。
そこから穿って見て行くと、もう新キャラしか真犯人いないだろ! となる訳です(笑)

 それとこの巻ではちょっとあらすじ詐欺ですねー。
「殺戮の宴!」とか銘打っていますけど、実際に殺害される現場を見た(描写された)のは忌月の死のみです。他の『死亡』したプレイヤーは突然失踪したようになって、殺されたかどうかわからないんですよね(書き方からすると確実に殺されているとは思いますが)。
 いっそもっとぶっ飛んで、『ショー』とでも称しながら『死亡プレイヤー』を利用して殺戮の宴を演じて欲しかったなあ。……GA文庫ではさすがにやりすぎ? ……いかん、最近ケモノガリに毒され過ぎているようです。

 そして連理も真犯人とするには小物過ぎる。「にゃはは」が口癖の真犯人なんて軽過ぎます(偏見)。
5巻の決勝戦ではもっと巨大な黒幕と、月見月の組織の一端でも見れればいいなぁ。星3つ★★★☆☆。

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