2016年05月14日

ソウ―SAW 1巻/行川 渉、ジェームズ・ワン(監督)、リー・ワネル(原作)

 どうも、お久しぶりです! ……とかばっかり言ってる気がするなあ……(自虐w)
本当はGWに更新したかったんですが、GWは大家さんの幼いお孫さんたちが来られる予定だったので「子供の日用のお菓子の詰め合わせ」をプレゼントするために妖怪ウォッチ系の食玩やらポテチ系やら好みそうなお菓子を買い出しに行ってたり、Wordでフリー素材を使って作った紙をお孫さんたちの名前と一緒にプリントして適当な大袋に貼り付けてあげたり、と……。
・今回分かったこと……Word2013、結構複雑で使いにくいよ!!(笑) やっぱりシンプルな2003ぐらいのころが使いやすかったですね。

今回は、自分でもいまではちょっと笑える話がある映画原作の文庫本をチョイスしてきました。
かといって当時はあんまり笑えないアクシデントがありまして、その映画自体を先に見た訳ではなく、いまも映画本編は見ておらず……orz
ここから先は、下で語らせていただきます(笑)。
ソウ―SAW (角川ホラー文庫)ソウ―SAW (角川ホラー文庫)
行川 渉 ジェームズ ワン リー ワネル Leigh Whannell

角川書店 2004-10
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犯人はこの中にいる!!

 いきなり拉致され密室で目覚めた二人の男性、アダムとゴードン。面識の無い二人の足はお互い反対の壁に鎖で繋がれており、しかも真ん中には血塗れの男性の死体が!? そして密室の中にあるいろんなヒントを拾って行くと、だんだんと自分たちの助かる道……しかし一歩間違えれば、死へと一直線の道が待っていた!! 希代のサスペンス監督、ジェームズ・ワンの大出世作を文庫化!!


 いやね、実はこの映画……私も興味があってSAWの1巻のDVDソウ [Blu-ray] -
ソウ [Blu-ray] -
を借りたんですが……………………見て行くうちに、「んんん?」と思って、「え、なんでこのオッサン警察たち、『ジグソウがまた現れたのか……』とか言ってんの?」とか疑問に思っていて、そしてエンディングクレジットまで見たら「オイ!! これ、『SAW』は『SAW』でも『2』の方じゃねーかバカー!! 『1』から順に見るつもりだったのによ、コンニャロウ!!」
と思わずTS○TAYAで借りたそのDVDのパッケージ(念のために言っておきますが、中身は空ですよ。そしてラベルシールはちゃんと「SAW1」となっていましたが詐欺表記じゃねえかww)を柔らかいソファーに投げつけてしまいました。当時のやるせない気持ちをどうしようというか、脱力したというか……微妙に冷静な頭でしたので、パッケージはどこも破壊させていませんよw
返却時には一応その旨は伝えたのですが、新人さんだったのか若い女性店員さんが「あ、すみませーん。探して直しておきまーす!」と言った対応だけで、カチンときましたがかといって女性相手に怒鳴る訳にもいかず、しばし心がもにょる……というか狭量になり、しばらくそこのTSUT○YAではDVD系を借りていませんね。
いやもうマジで、レンタル店でCDやDVDとかは返却時だけでなく借りる時も、中身の確認は必須ですよ!! 店員さんでも、レンタルする客でもね。遊び半分でそういうシャッフルイタズラをする阿呆もいる訳ですから。
もう五年ぐらい前だから笑える話……としてやっとこういう話題に出来ますね(笑)。ちょっとストレス解消になりました。


 さあ、ネタバレあらすじだ!
 アダムとゴードン、風呂場っぽい密室に片足を鎖で繋がれて閉じ込められ、二人のちょうど真ん中には男の死体が。ちなみにゴードンは医者。そしてレコーダーをなんとか入手して聞くと、二人宛てにメッセージが。アダム宛てのものは取るに足らないものだが、ゴードンへのメッセージは「六時間以内にアダムを殺さないとお前の大事な二人の家族を殺す」というものだった。そしてヒントを更に探ると、アダムの近くにあるトイレのタンクの中に糸ノコギリが二つあって、アダムが鎖を切ろうとするが細い糸ノコギリは壊れてしまう。それを見たゴードンは「きっと違うんだ……。たぶんこれは、僕たちの足を切って逃げられるものなら逃げてみろ、ということなんだろうアダム……」という絶望の推理をする。→殺人鬼、『ジグソウ』を追うタップ刑事たち。そこでは少し太っていながらも満足な生活をしている男の家で、その男が鋭利なワイヤーに刻まれて死んでいた。そこにも条件の入ったテープレコーダーが残されており、太っちょ男が以前手首を切って入院したことに少し怒っているようで、「そんなに死にたいなら手伝ってやろう。それとも生きたいなら、少し身体を刻んでも玄関まで行くんだね。玄関にはあと二時間オートロックが掛かるようにしてあるよ。でも死にたいなら、このままベッドの上にでも寝転んでいるといい」と言われて太っちょ男は焦って玄関まで行った結果、玄関に張り巡らされていたワイヤーにザックリと刻まれて、その上皮膚の一部をジグソーパズルのように切り取られていた。その犯人をタップ刑事たちは追っていた。そしていろんな現場に落ちていた犯人のものらしきイニシャル入りのペンライトを拾ったタップたちが『ジグソウ』として目星を付けていたのは――ゴードンだった。→心身共に衰弱するアダムとゴードンたち。口論で興奮したアダムが手近なミラーガラスを割ってゴードンに「テメェ、これでサクッと殺してやろうか!?」と言ったら、ふと、そのガラスがマジックミラーなことが分かり、その奥に更に強化ガラス……そしてまた奥にビデオカメラが仕掛けてあって『ジグソウ』がライブ中継して自分たちを見ていることを二人は気付く。そしてここまで冷静だったゴードンも落ち着きを失くし、いまごろ『ジグソウ』に誘拐されている妻と娘の写真を見せるために、それを入れている財布をアダムに投げる。すると『ジグソウ』がゴードンに肩入れしていた大きなヒントがアダムに逆に伝わってしまい、アダムのずる賢い性格で、そのヒントが書かれた写真はこっそり抜き取られ、ゴードンは「チクショウ! こんなくだらないことまで『ジグソウ』がやったのか!」と激昂する。→少し過去の話に戻る。タップ刑事がゴードンが『ジグソウ』だと目星を付けていて、何度もこれまでの犯行の監視カメラを見ていたら、そこで『ジグソウ』の拠点が分かる。相棒のシン刑事と共に踏み込むと、そこには『ジグソウ』に捕まって、いまにも残虐な機械に殺されそうになっている男が。シンにその機械の解除を頼んで、タップはなんと『ジグソウ』に出会ってそれを見逃さず捕まえて拳銃で脅すが、一瞬の隙を突かれてタップは喉を浅く切られる。そして殺されそうになっている男の機械を解除することを諦めたシンはショットガンで壊し、タップは「俺のことはいいから、『ジグソウ』を追え!」と言ってシンを送り出すが……それが生きている相棒を見た最後の姿だった。銃声が鳴り響き、シンが『ジグソウ』を殺ったと思ったタップだが、切られた首を止血しながら追って行くとシンはジグソウの拠点に仕掛けられた罠に引っ掛かって、上から豪雨のように降ってきた銃撃によって殺されていた。そしてタップは『ジグソウ』に深い恨みを持ち、刑事を辞め、現在もゴードンを蛇のような執念で追っているのだった。→アダムとゴードンの密室で、時間はどんどん過ぎて行く……。しびれを切らしたアダムが「おい、明かりを消してみろ! ヒントはそこにある!」と言うとゴードンは訝りつつも電灯のスイッチを消すと、自分の近くのタイル壁に蛍光塗料で『X』の文字が書かれて浮かび上がっていた。そしてその壁を壊すと小さな黒い箱が。しかしゴードンにはアダムがいきなりこのヒントを提示したことが分からないのでアダムを疑い始める。それで問い詰めると、アダムは自分に都合の悪いことは隠して「ゴードンの財布にあった、『ジグソウ』が撮ったらしきお前の妻と娘を監禁している写真に書いてあったんだ。お前が見たら、パニックになると思って抜いておいたんだ。ほら、返すよ」と言って写真を返すと、ゴードンは更に『ジグソウ』、そしてアダムへの怒りがつのる。それでもまずは冷静になってこの箱の中を確かめることに。中には受信専用の携帯電話と二本のタバコと小さなメモが。そのメモには「ゴードン先生よ。このタバコは、血液に浸すと毒性を帯びる。アダムを殺すには、別に銃なんかは要らないのさ」という『ジグソウ』からのメッセージが入っていた。そしてアダムにメモ以外のことを伝えると、「タバコだと!? 人類の発明の中では最高のものじゃないか! 一本でいいからくれよ!」とかなりのスモーカーなアダムは食いつく。そしてゴードンは中心にある死体から流れる血液をタバコの先に密かに浸し、ゴードンに投げた。――そこで電気が消される。→タバコを吸ったアダムは満足げに肺まで煙を行き渡らせると、いきなり痙攣を始めて痰のようなものを吐き出し、そして動かなくなる。ゴードンは勝ち誇った顔で「どうだ、『ジグソウ』! 俺はアダムを殺したぞ! さあ、ここから出せ!!」と言うが、その瞬間「いってぇっ!! なんか鎖から電気が流れてきたぞ!!」と言って死んだはずのアダムが跳ね起きた。そう、アダムは死んでいなかった。ゴードンがタバコを渡して明かりを消した時、カメラでしか見ていない『ジグソウ』に対して聞こえないように『死んだふり』をする作戦を伝えたのだ。しかしそれは何故か『ジグソウ』にバレてしまった。そこでアダムも自分が拉致された時のことを思い出して、それで自分が一方的にゴードンの顔を知っていることを話す。アダムはチンピラではなく、探偵のようなゴシップカメラマン。ゴードンも家族思いのただの優しい人当たりの良い医者ではなく、実は医者仲間や研修医を食いまくっている女好き。アダムは尾行とそれをタップに依頼されていてゴードンがいつもの安ホテルで研修医の女性としっぽりしようとする際を捉えようとしていた。それは、ゴードンの娘が「パパ、お部屋に男の人がいたの! 本当なの!」と言っても眠るまで軽くあやしただけで自分はこれから急患があって病院に呼ばれた……と言って拉致された日のこと。機嫌を悪くするゴードンはアダムからその依頼人の特徴を訊くと驚き、「そいつはタップ元刑事だ! あいつ、証拠品があるとかで前に僕を付け回していたんだが『ジグソウ』の根城で相棒を亡くしてからおかしくなったらしく、刑事を辞めてからは僕のストーカーのようになっていてね……。だが、まさか『ジグソウ』に対して執念深いタップが犯人だとは思えない」と推理していると、アダムが「実は糸ノコギリの入っていた袋に、俺が撮った依頼の写真たちもあったんだぜ。お前に俺の職業がバレないように隠してたけどよ。この際、どうでもいいさ。ほら、見るか?」と袋ごと投げると、その中に数枚にはゴードンの家を遠くから写したものが。ゴードンがそれをよく見てみると、窓のところには縛られている自分の妻と娘。……そして、ゴードンが働いている病院の雑用係をやっているゼップという男がニヤニヤと笑いながらその傍に立って写っていて、ゴードンは犯人がゼップだと分かってキレる。ついにゴードンがアダムを殺さないといけない時間がやってきて、『ジグソウ』(ゼップ)から「さあゴードン医師。そろそろアダムを殺さないと、君にとって大切な家族を殺すよ〜?」という放送が掛かる。→ほぼ同時刻。タップが見張っているゴードン邸。そこではゴードンの妻が意外にも格闘術に秀でていて、娘を庇いつつも縄を解いてキックやらパンチやらの応酬の末にゼップから銃を奪う。ゼップの巧みな話術で隙を突かれて銃はまた奪われて、ゼップはゴードン邸の二階から逃げ出す。それを見ていたタップは「ようやく見つけたぜ、『ジグソウ』!!」とゼップを追い掛けて行った。→ゴードンは腹を括って自分の糸ノコギリを手にし、それで鎖に繋がれている右足首を切断した。外科医なので、止血関係もシャツなどで応急処置をしていたが、それでも夥しい出血量。それで自由になったゴードンはポケットに入っていたヒントの銃弾を手にし、中央にいる頭を撃って死んだらしき男の死体から銃を奪い、それに銃弾を込めて……「や、やめろよゴードン……!」と怯えるアダムに向けて、這いずるように片足で歩きながら拳銃を向け、一発の銃撃が鳴った。→やっと全てが終わった。この密室で生きているのはゴードンだけ……と思っていたら、扉が開いてゼップが現れる。当然、憤激するゴードン。しかし片足を失っているのでゼップにとっては怖くもない。「あなたはよくやったよ、ゴードン先生。でもタイムリミットからは過ぎてしまっている。その代償は必要だ」と言ってゴードンに銃を向けるが、その身体に突然下から巻き付いてきたのはアダムだった。ゴードンはアダムの急所ではなく、血は流れてもなるべく身体機能を損なわないところを撃ったのだった。またも『死んだふり』作戦だ。そして後ろからはタップも追い掛けてきて、バランスを崩したゼップを銃で撃ち、とうとう『ジグソウ』――ゼップは絶命する。歓喜する三人。これで全員が助かった――はずだった。→まずはゴードンを病院に連れて行こうと、ゼップを撃った銃を拾おうとしたタップがいきなりどこかから撃たれて即死。振り向く二人の目の前には……これまで自殺死体だった男が立ち上がって銃を構えていた。そして特殊メイクらしき血糊などを剥がして行くと、その素顔はゼップが病院にてよく話をしていた癌が全身に転移していた余命いくばくもない患者のジョンだった。この場に生きている人間では、ゴードンしか知らない顔だ。そして実はゼップもジョンに遅効性の毒薬を仕込まれていて、この事件を手伝わないと解毒薬をもらえないという共犯者になるために脅迫されていた。そしてジョンは、オスカー俳優も真っ青の演技力で自殺死体を演じながら、最高の位置でこの舞台を見ていたのだった。まさに希代の殺人鬼――『ジグソウ』である。ついにゴードンは貧血で倒れ、ジョンはアダムが「ゴードンが生き延びる、または苦しむための材料でしかなかった」ことを告げる。足首の鎖を解錠する鍵もあったが、それは序盤にアダムの乱暴な失策で失っていた。絶望するアダムに、ジョンは糸ノコギリを渡して目の前で薄笑いを浮かべる。逆らおうにも、『ジグソウ』――ジョンは鎖から電気を流すリモコンのボタンをずっと持っていた。更なる絶望に、アダムは死に瀕しているゴードンに向けて、「なあ、医者先生なゴードンよ。教えてくれよ、上手に、痛く無くってこの糸ノコギリで切るやり方ってやつをさあ。俺はアンタみたいに、死ぬような痛みに耐えて、足を犠牲にしてでも自分の命をかけてこんな糸ノコギリで切断する相手も、守るべき財産もないんだよ……。だから馬鹿な俺に教えてくれ、誰でもいいから助けてくれよ……」そうして『ジグソウ』がアダムに設定した最後のチャンスの10分は過ぎて行った……。→密室な浴室に一人の男の声だけが響く。――「ゲームオーバー」――。


 いやあ、面白い!! 二転三転する展開は本当に読めなかった!
 しかし序盤に出てきたゼップやらジョンやらの濃い性格やら特徴やらで名前有りキャラなのにその後全然関わってこない辺りで(特にゼップ)「たぶんこいつらのどっちかが『ジグソウ』だよな……」と思って読んでいました。それにタップが『ジグソウ』の犯行を思い出す度にやけに「生きているということに感謝しろ」とか何度も何度も言っている辺りで。それで「癌が転移しまくって余命宣告されてるジョンと、病院を回っていろんな患者から生きることについて聞き、特にジョンから洗脳されまくっているゼップの単独犯か、もしくは二人組か?」、と。
 しかしながら、行川先生の後書きを読むからに映画版とはEDやキャラの死亡状況などは少し変わっているらしい。「どっちにしても、救いが無いのは共通している」とは言っているが(笑)。
 少し苦言を呈させてもらえば、ジョンの初登場時には「大腸癌が身体中に転移し、前頭葉にも摘出不可能な腫瘍がある……」と書かれていた。そしてジョンが扮する自殺死体役だが、アダムが「うおっ、傍にある拳銃といい、この出血量といい、頭部の変形具合といい……こりゃあ間違いなく死んでるな」という台詞もあるが、特殊メイクなどに安易に頼らずに『ジグソウ』には、医者でジョンを診ていたゴードンが研修医に紹介するほど稀有な症状のジョンが死体を演じている時、そこを利用してゴードンには「おい、アダム。その死体はどんな傷で死んでいるんだ?」「俺はお医者サマじゃねえから詳しくは知らねえよ。たぶん自分でドタマを撃ってるぐらいしかな。ほら、鏡を割ってやったからこれで反射して見な!」「おかしい。あの拳銃ぐらいの口径の銃痕だけじゃあこんな大きな傷にはならない……。それにこの奇形な頭蓋骨……どこかで見たような?」とか言わせて改めて時間を置かせて「これはもしかして、病院の患者のジョンの死体じゃないか?」というところまで推理させて欲しかった。
 あと、完璧に近い死体役を演じていたジョンが電気ショックのボタンをいじる時の動きにも二人が気付かないのは少しご都合主義かな。
それに全身に癌が転移している人間が、どれだけの抗がん剤を打ってたら何時間も痛みに耐えて死体役を演じられるんだよ。医療用麻薬ぐらいの強い違法麻薬、もしくは違法ドラッグを飲んでいたとしてもゼップが密室に入って来てからそのすぐ後にいきなりタップが来て、ゼップが『ジグソウ』だと思ったみんなが議論している間にタップが落としていた銃を拾うチャンスを得るまでずっと息を殺して寝転んでいたんだから、起き上がった時に長時間寝ていたことでの筋肉の強張りや血流が下肢の方に一気に廻ることよる眩暈でのふらつきぐらいはあるはずなのになあ。なのに素早く動けて反動のある銃をしっかりと操作してタップを殺せたりもするし。
 その辺りで少々腑に落ちないところがあったので、全体的には面白かったけど、少し減らして星4つ★★★★☆。オススメだよ!
 後書きでより一層気になる要素が増えたので、もしかしたらまたDVDを借りに行くかもしれない……。今度は借りる時に中身を確かめてな!www


↓こっからは別に読まなくてもいい、SAW1と脱出ゲームと逆転裁判との類似点語りと逆裁のネタバレ。

 なんとなくですが、このSAW1の話って一時期流行った『ブラウザの脱出ゲーム』に似ていますよね。そこらじゅうにヒントが隠されていて、それらを集めて順番に使うとようやく密室から脱出出来る……って辺りが。
  私も脱出ゲームはちょっとだけやりましたが、「いやいやお前! 暖炉に火を点けるのにすでにマッチは持ってるんだから、机にある本をその机の上にあるハサミを拾って紙屑にして燃やせば燃料資材になるだろ! なんでそんな『しかし燃やせるものがない……』で終わるんだよ!!」とか思うことがしばしばあり、クリアした瞬間は楽しいんですがそれまでの過程でイライラすることが度々ありましたね。
出来の良い脱出ゲームなら、もっと自由度もあったりして、一手ずつ詰めて行かないといけないやつでも理に適っていたりしたんでしょうが、最初に出会ったサイトにあったやつがちとお粗末だったんですかね。それであんまりハマらなかったですね。
 逆転裁判シリーズも、大抵一作につき四話構成だと思うんですが、1,2話辺りは簡単すぎて「え、ここでコレを突っ込んだら駄目なの!? もう傍聴人レベルでも分かってることだろ? なんでわざわざ迂遠したところから指摘して持って行かなきゃいかんの!? むしろこの小さい簡単な『ムジュン』を探して指摘する方が大変だよ!!」とストレスが溜まる溜まる……。
でも好きなんだ!!
「異議あり!!」
が通った時がスカッとするから!
でもナルホドくんの声優さんがまさかのカプコンの一般社員だったという事実には後で知って驚いたなーww

※ここから↓逆転裁判シリーズ4までのネタバレ
 そして逆裁シリーズって1から真宵ちゃん一族の憑依能力が便利すぎるからかもしれませんが……「主人公たちの師匠や親や友人が殺された!」とかキツイ展開になっても「後でどうせ憑依とかで意思疎通出来るんだろ……」という感じで感慨深くない。1は法廷デビュー後に美人お姉さま師匠が殺された事件を扱うことになるナルホドくんのメンタルすげえ……とか思ってたら、その後ロリっ子にその死んだお姉さま師匠の霊が憑依して、せっかくのロリっ子がむちむちボディのレディに……orz(一過性のものですが)。
4に至っては、就職先の有名弁護士事務所のやり手の師匠が悪人の裏切者でナルホドくんを弁護士からほぼニートの転落人生に貶めた張本人で、新主人公の新米弁護士のオドロキくんのせっかくの法廷デビューは、さっきまで隣でアドバイスをしてくれていた師匠を真犯人として訴える……というとんでもないことに。3まで青スーツでトンガリ頭で格好良かったナルホドくんがいきなりピアノを弾けないピアニストという肩書きで無精ひげ生やしていい歳してパーカー姿&ニット帽子という、ぶっちゃけホームレスみたいな姿になっているのも厳しい。そしてオドロキくんのライバル的立ち位置な、検事と売れっ子ロックバンドのリーダーを兼任している響也は親友のバンドメンバー(こいつも一応刑事)が犯罪者で絶対法廷が終わった後でマスコミに叩かれてるよな、これ…………というかなりの胸糞展開が最終話まで続く……。
キャラ個々人ではいい味を出しているので、惜しいことこの上ない。

近日発売の新作逆転裁判6 (【初回限定特典】「遊べる!  逆転劇場 2本セット」が入手できるダウンロード番号 同梱) - はどうしようか考え中ですね。
もうカプコンが逆裁の終わりを見せてくれたら、一気に一つのソフトかDLデータに全部纏めて販売してくれないかね。ソフト自体は二つぐらいには分けてでもいいので。もう1〜3までは3DSを買う時に売ってしまったし。
ただし、レイトン教授とのコラボまではもう要らない。
すでに柔らかくない私の頭では、一応買ったアレはレイトン教授たちの方に移ると、いくらヒントコインを使っても分からないところがあったりして、さすがに攻略サイトに頼らないとEDまで行けなかったぞ……。
posted by mukudori at 02:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月14日

クリムゾンの迷宮/貴志 祐介

 今回の記事は、漫画・ライアーゲームの最終巻のネタバレがありますので、ご注意ください
クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)
貴志 祐介

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シャボン玉が弾けた後には……。

 藤木(ふじき)という40歳の男は、一流の証券会社に勤めていて、バブルの時代を謳歌していた。――けれどそれも、一時のこと。すぐに転落人生を歩み、家は手放し、妻と子供とは離縁し、ホームレスへと堕ちようとしていたが、何故かある日、目覚めたところでは真っ赤な砂塵と岩の風景に囲まれていた。そこではたくさんの他の日本人もいて、おこなわれるのは他人を蹴落とすサバイバルゲーム……と推理する。はたして藤木は生き残れるのか!?


 あっ! 命が懸ったVer.ライアーゲーム(漫画のやつです。けど、ゲームに負けたら一生返せないぐらいの負債を負うこともあるので、『命が懸った』と書いてもいいかもしれませんね)だよ、コレ!!(小説のバトロワでも可)
なーんか既視感あるなー……と思いつつ、この作品をちびちびと読みながら、先日最終巻が発行されたライアーゲームLIAR GAME 19 (ヤングジャンプコミックス) -
LIAR GAME 19 (ヤングジャンプコミックス) - をネカフェに「最終巻が発売したみたいだし、10巻ぐらいまで読んでたけど纏めて読みに行くかー」と読みに行ったら、この作品とライアーゲームのラストのほとんどが似ています。
そこでまた思い出したのが、一世を風靡した小説・バトロワバトル・ロワイアル -
バトル・ロワイアル - でしたね。あの時の私はまだ鼻水垂らしていたガキでしたよ……( ´ー`)
そしてちょっと調べてみたら……この作品とバトロワって同じ年に発行されていたんですね。ノストラダムスの予言が目前に迫っている西暦1999年。
他人を退けて、自分だけが生き延びる道を探さなければいけない椅子取りゲーム……。
別にこの2作品は発行時期が近すぎるので、小説を書くのは時間が掛かるでしょうし、「どっちかの作者がアイデアをパクった!」と声高に言うつもりはないのですが……なんでしょうか。『世紀末』ということで、どちらの著者も厭世的な気分になったから書いて世に出したのでしょうかね?

 ネタバレあらすじー。
転落人生に陥った藤木、頭が痛むところを目覚めたら、周囲は赤い岩に囲まれていた。近くには少しの食糧と水と女性も倒れていたので救助。名前を藍(あい)と言って補聴器をしている職業はエロ漫画家と言う二十代らしき彼女と一緒に、バッグの中にあったゲーム機にソフトを入れて立ち上げてみる。するとディズニー的なキャラが出て来て、説明をしてきた。→説明通りに藍と一緒にその地点に向かうと、そこには他に5人の日本人がいた。どうやらここは、オーストラリアのバングル・バングルという地域らしい。各々話し合うと、それぞれのゲーム機に表示されている情報は違って、唯一藍のゲーム機だけが最初から壊れていたのでソフトごと捨てていたため、5人の内のオバサンから糾弾される。→そして全員で話し合いの末、『情報』・『食糧』・『サバイバルグッズ』・『護身用グッズ』が四方に別れているので、藤木と藍はみんなが避けている『情報』のところに行くことに。→『情報』のある北に行くと、またゲームソフトがあり、立ち上げると「よう! ここに来たお前さんたちは勘がいいな! つーことで、俺がいろいろ教えてやるよ! サバイバルグッズや護身用グッズを取りに行ったやつらとは仲良くしておいた方がいいぞ。……けどな、食糧の方に行ったやつらとは……もう会わない方がいいぜ。後半になってくりゃあわかるはずだ。ちゃんと頭と目を働かせろよ」と情報をくれた。→そして藤木は藍と二人きりでいる長い時間の中でセックスをしたり……と情を交わす。いろいろ歩いていると、最初に置かれていた鞄の中に入っていた『受信機』というものが何だかわからなかったが、すぐ近くで誰かのグループが動いているのを感じて、藤木は藍の補聴器から受信機を動かすための単三電池を借りようとするが、何故か藍はものすごく嫌がっていたので、諦めて自分のゲーム機からデータが消えるのも辞さずに電池を外して話し声を盗聴する。すると、食糧チームに行っていた楢本(ならもと)ともう一人が、7人の中で一番体格の良い妹尾(せのお)という男を殺す算段を付けていた。妹尾が殺された後、藤木が楢本たちがいたと思われる洞窟に入ると……そこには藍に噛み付いてきたヒステリーオバサンが殺されて食われていた。→戦慄する藤木たち。受信機を駆使しつつ、楢本たちから逃げようとする藤木たちだが、その途中で最初に7人が集まった時に「四方に別れて探索を」など、さり気なくゲームの導きをしていた野呂田(のろた)という男が傷を負っていたので、治療をしてやった。そこで藍は野呂田に「あなたが『ゲームマスター』なんでしょ! こんなもの、早く終わらせてよ!!」と何かを知っている様子で詰め寄っていたが、すぐに楢本たちがやって来たので、動ける藤木と藍は野呂田を置いて逃げる。→バングル・バングルには毒性の強い毒蛇がたくさんいるので、藤木は楢本たちをそいつらの巣窟におびき寄せて殺そうとする。しかし一度目は失敗。必死に東に向かって走っていると、いつの間にか草原になって、木の下で眠ってしまったところにアボリジニの青年がサンドウィッチと水を持ってきて、「どうしたんだ? 病院に連れて行ってやろうか? ちょっと待ってくれ。人手を呼んでくる」と言ってくれたが、藤木は懐疑的に見ていた。そこに青年が乗っていたと思われる車に空から落とされる、焼夷弾のような爆弾。これで、受信機を使った時点で監視カメラがあったことがわかったりと、ほとんど気付いてはいたが、藤木はこれがとんでもなく悪趣味な金持ちどもが開催&監視しているデス・ゲームなのだと心底わかった。→藍と一緒にバングル・バングルに戻り、ついに食鬼(グール)ともいえる楢本だけになった敵に向けて、夜になった周囲を火で包んだ。火を点けたと同時に、藤木と楢本は目がなかなか火の光に慣れない。なので藤木はそこまで目を閉じていた藍に手を引いてもらい、逃げる。楢本も追おうとするが、そこは――毒蛇の巣だった。楢本の絶叫を聞きながら、藤木は思う。北の『情報』で得た、「『食糧』の方に向かったチームにはもう会うなよ」という理由。それは南のルートを選択して違法薬物が入った食糧を食べて興奮させられ、ここにいる毒蛇たちも、それで興奮しているのではないのだろうか――? 関係ない民間人を簡単に殺すようなやつらだから、それぐらいはやりかねない……と。そして藤木は気絶した。→日本に戻り、優勝賞金の500万円をもらうも、あそこまでの命を賭けたゲームでは割に合わない。だからせめて、藤木はこの金を使う先として、『藍』という女がエロ漫画家でもなく、この日本には存在しておらず、スナッフムービーの線を辿ってくれ、でもそんなものって、本当にあるのかねえ? ……と顔見知りの探偵に頼んで知ることになるために使ったのだった。終わり。

 うーむ……。やっぱり、一種のパニックホラーで、いま流行りのデス・ゲームではあるのですが、貴志先生の代表作の「黒い家」のインパクトと比べたら落ちますね。
 しかし……この作品と比べたら、ライアーゲームの終わり方はちょっとマズイんじゃないか?
ライアーゲームの作者は、前作の「ワンナウツ」も良い出来だったので非常に頭が良いのはわかるのですが、もしかしたらいままでに資料として読んだ作品の中にコレがあったから、最終巻である19巻を半分以上超えたところからディーラーたちが、
「すみません、参加者のみなさん。ライアーゲームはもうお開きで−す。抜けた人たちの借金も全部チャラですよー。だって、このゲームは昔『ライアーゲーム』っていう小説を書いた人がいたんですが、面白かったのに最終巻が出版されなかったので、闇の権力者が続きを見たいあまりにお金を積んでキャラに似た性格の人間を集めて、開催したんです……18年前に。その時は失敗しまして、現在もまた……同じような状況になっています。でもみなさん、気付いたでしょう? 人々の絆が何よりも強いってことを。ここまで記録していた映像を、世界中に配信していいですかー?」「いいですよー」→後日。神崎「あっ! 福田さん、そういえば今日からyoutubeとかでupされるんですよね、私たちのライアーゲームの映像。……あれっ!? 途中で止まっちゃった!?」福田「あら、あたしが坊主頭だったところはせめて直して欲しいのにー……――えっ、削除された!? 他のネット動画サイトのも全部!?」秋山「おい、神崎……。これは、闇の権力者の持つ闇は……もっと深いってことだ……」
と、もう失笑するしかない展開ww 編集に打ち切り宣言された甲斐谷先生が切羽詰まった挙句、無意識に取り込んでいた……とかなのでしょうかね?
ただでさえ世間では「これって打ち切りじゃねえの?」「展開遅かったし、なかなか終わりが見えなかったしなー」「いっつも始めはヨコヤ有利からの秋山&神崎で攻略がデフォだしなー」「ドラマも映画もやったから、もう金稼ぎは充分なんだろw きっと『ライアーゲーム・真のFINAL』とか劇場でやるってww」と言われているのに……(最終巻を読んだ私の周りの反応では、ですので怒らないでください)。

 少し、最近少年漫画でもラノベでもドラマでも……「どこでもええから、とりあえず自殺やいじめか仲良し同士で殺し合いさせときゃあええんやーー!!」な風潮の、ある意味日本での先駆者ですね。まあ世界的に言えばスティーブン・キング先生が一等賞ですが。
 そんな感じでちょっと食傷気味なのですが……星4つ★★★★☆です。私は貴志先生のアイデアと着眼点と迫り来るような文章力は、いつも素晴らしいと思っています。
……ただちょっと、現在のデス・ゲームなフィクション作品の多さに辟易しているだけで……orz。

posted by mukudori at 00:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月05日

公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)/堀内 公太郎

公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
堀内 公太郎

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お嬢さん、お逃げなさい。

 ネットの大手掲示板を賑わせているのは【森のくまさん】という、連続殺人鬼。ただし、悪い子しか殺さないよ! 掲示板にターゲットの名前や銃所、悪質行為の所業などを書いておけば、くまさんは即座に動いてそいつを殺しにやってくる。国民や警察、マスコミたちの緊張や推理を弄ぶかのように、くまさんは今日も動くのだ。これで殺人カウントは五人を超えた。さて、次のターゲットは誰だろうか? 『このミス』大賞、最終選考作!


 あーあ……。
ここまで【森のくまさん(もりの くまさん)】って大々的にタイトルにも、面白みを出すための掲示板にもいちいちついてますからねえ……。その登場人物の名前が出た瞬間に主犯がわかりましたよ
一度読まれたら、みなさんもすぐにわかると思います。
この作者はいっそもう、最初っから犯人の正体なんて隠すつもりはなくって、単に残酷描写や森のくまさんの『お仕置き劇』を淡々と描写する感じで進んで行っているんですね。だからなのでしょうか? 約310P、結構早く読めました。

 ネタバレあらすじー。
 森のくまさんによって、世間は大賑わい。たくさんの人間が掲示板に殺して欲しい人間の情報を書き込むが、そこは運営が即時に書き込みを消去。そんな中、同じ高校の不良女子たちにいじめられている明日香(あすか)という美少女は、琴乃(ことの)という正義感が強くて太り気味な少女によく助けられていた。しかし明日香の精神はもう限界。二人でいじめっ子の城之内美加子(じょうのうち みかこ)を殺そうとするか、二人で屋上から飛び降りようとする。そこに声を掛けてきた男性がいた――。→明日香たちは城之内を殺すことを考えながら、声を掛けてきた『本物の森のくまさん』と名乗る男に、ネットカフェでの掲示板の『森のくまさんスレ』を使って、IPアドレスには細工をしてこちらの足跡を残させずに、次々とターゲットを選定する任務を遂行していた。男は準備が整ったら城之内を殺してやる、と言ってくれたが、まだいじめられている明日香はもう限界だった。→そして琴乃と一緒に城之内を急襲し、ひと気の無い廃工場に連れ込んで城之内を金属バットでボコる。明日香は指示をし、琴乃が主にバットで城之内を叩いていた。そこに現れたのは、制服姿の警察官。城之内が助けを求めるが――そいつこそが、『森のくまさん』だった。明日香たちの独断専行を少したしなめ、森くまは銃を抜き、城之内を殺そうとする。→しかしそこに、森くまの付き合っている彼女が、森くまの最近不審な言動を見て追いかけてきて、実の兄(本物の私服警官)に告げる。その兄がやって来て、「その制服も、その拳銃も、俺の上司を監視カメラに映らないところを狙って、バットで襲って奪ったものだな!?」「そうですけど、何が悪いんですか? この一見平和に見える日本で使わないものを持っていても仕方ないでしょう?」と飄々と答えてくる。そうして琴乃たちを人質に取った森くまと対峙する彼女の兄だが、なんとか森くまに致命傷は与えずに撃って無力化させる。→森くま、ついに逮捕。ネットの掲示板も大騒ぎ。そして城之内だけでなく琴乃も人質になった時に脚を撃たれていたので、病院に。明日香は最初から捕まった時のことを決めていたらしく、「全ては森くまに脅されてやった」ということにしたので、保護観察処分に。しかし、琴乃と二人きりの部屋で話しているところで明日香は豹変。「あーあ。アンタも、あんな男も信じたのが間違いだったわ。やっぱりあの人のところに行かなきゃね。知ってる? 城之内にはアンタが直接手を下したから、あたしよりも罪は重いわよ。しかもあたしってね、取調べの時に刑事たちの前で泣いてみせたの。だから同情を引けたわ。こういう時、美少女って便利よねえ? まあ、アンタみたいに気持ち悪い外見だったら使えない手段だろうけど。本当に、ここまで醜いアンタがベタベタとレズっぽく触ってくるのが不快で仕方なかったわ。じゃあね。城之内はもう一生歩けないみたいよ。でもまあ一応あたしは転校するけど、琴乃もその脚が早く治るといいわねえ?」と、全ては裏で明日香と【真の森くま】が糸を引いていたことを知らされる。友人だと思っていた明日香にも見放された琴乃は、復讐を決意し、そしてだんだんと集まる人も少なくなって行く森くまのスレッドを追っていたら明日香らしい書き込みがあったので、それにレスをしたのだった。終わり。

 うん……あのだねえー……。
致命的なのは、やはりココ!
森くまの真犯人は、やっぱり名前を見た瞬間から、「えっ!? やっぱりお前なの!? これってミスリードのために、わざと付けている偽名じゃなかったの!?」とか思って読んできましたが……最後までその通りで、ちょっと拍子抜けでしたね。
 あ、ついでに気になった&言っておきたかったことをここで一つ。
せっかく「2ちゃんらしき掲示板を使っているんだから、トリップやIDを付けて生かすなどの工夫はして欲しかった」……ってところですかね。
特に、最後のくまさんスレに、HNが「トゥモロー(おそらく、明日香)」だけが人もいなくなって行っているのに、一人だけで淡々と書き込んでいるところに、HNが「KOTO(おそらく琴乃)」が「トゥモロー」に対して「>>8 もう脚は治ったよ。近い内に会いに行くね、親友ちゃん」とか、これにトリップ(実際の2ちゃんに名前を入力するところで「#(半角シャープ)」の後に好きな文字を8文字まで入れると「◆」の後に適当なアルファベットなどが出てきて、『名無し◆abcdefgh』みたいになります)を付けていて、それに読者が気付いて実際の2ちゃんの自由な宝島社の本を語るスレやトリップ確認スレなどで確かめると、「おっ! 琴乃の氏名を全て【#】の後に入れると、『名無し◆DEATHask』になるじゃん!」とかのオマケ要素も欲しかったですかね。まあ、こんなにも綺麗なトリップが出来ることなんて滅多に無いのですけどww それだけ、作者の後書きが無いのが惜しいです。

 まあ、タイトルとあらすじのインパクトでうっかり購入してしまいましたが……やはりここは「このミス大賞」応募作であるのにミステリー要素があまりないところと、かと言って「日本ホラー大賞に応募した方が良かったんじゃない?」と思わせる要素も無い、微妙な感じ……。
「このミス大賞の最終選考にまで残った作品」というよりも「この出来ならば、やはり受賞は出来ず、最終選考で落ちる要素はふんだんにあったよなあ……」という思いが強く残ったので、星2つ★★☆☆☆。プチ地雷です。

posted by mukudori at 02:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月01日

ぼくは明日、昨日のきみとデートする/七月 隆文

 ついにやってしまった……。
一ヶ月に一回しかブログの更新をしてない、という愚行を……!!orz
ちなみに今月も結構仕事が忙しい上に、気候が暑いので、読書するよりも夜は除湿&クーラーで速やかに寝ていたい心境でございます。
でも、更新を頑張るつもりはあるんですよ! 一応ね!
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君に会えたそれだけが奇跡で始まり。

 京都の美大に通っている南山高寿(みなみやま たかとし)は、電車の中で見かけた美少女に恋をした。一目惚れだ。いてもたってもいられずに告白した彼女の名前は福寿愛美(ふくじゅ えみ)。どんどん惹かれ合う二人だが、高寿は愛美の秘密に気付いてしまう。全ては神の手の平の中での遊びなのだろうか。だからぼくは、別れが待っていようとも、「昨日の君」とデートをするのだ――。


 まずはひとつ、
「読者メーターの感想なんてものは信じるな!」
……と、声を高らかにして言いたいですね。
ちなみに私が本屋で買った時に付いていた帯にあったものです(ちなみに、この時点で九刷でした)。
「電車で読んだのが間違いだった。ここまで涙を我慢しなきゃいけないんだったら、家で読みたかった。」
 う、うおお……。こんな文面を目立つ表帯に持ってくるとか、いきなり、ものすんげえハードル上げてきてますねえ、宝島社!!
まあ読後は、「えーっと、どんだけ涙腺緩いの、この人?」とスタバのフラペチーノでも奢るから、ちょっとこの方のこれまでの読書遍歴を訊いてみたいですね。興味本位で。けしてナンパじゃないですからね!(笑)
ついでに裏の帯にも読メの読者のスイーツ()っぷりをがっちりと感じさせる三人分のコメントがありますので、本屋に入って腹筋体操をしたくなりましたら、この本を探してください。そこらのお笑い芸人よりも単純に、数秒で腹筋を鍛えさせてくれますよ。

 ネタバレあらすじー……なのかな? 今回のは「あらすじ」というにはちょっと微妙なラインです。
 高寿、美大に行くための電車の同じ車内に乗っている愛美に一目で惚れたので、愛美が降りた駅でたまらず追い掛けて行って、「一目惚れしました! 携帯電話の番号を教えて欲しい!」と告白するも撃沈した……と思いきや、高寿が美大のマンガ科で動物園に行ってクロッキーの授業をやっているところに愛美がやって来て、「そのキリン、上手いね。やっぱり教室に張られただけあるんだ。お尻のラインもいい感じ」と言われたので高寿は驚く。そして愛美も「携帯を持っていないのは本当なのよ。でも、よく考えたらやっぱりあなたと付き合いたいかも。だから、今日は逆に追い掛けてきちゃった」と言われて二人は付き合うことに。→ラブラブな日々を過ごす二人。しかし愛美の表情はだんだんと沈鬱になってきており、高寿はある日、愛美の手帳を見てしまう。そこには「五月二十三日、彼にとっては最後の日」と書かれていて、高寿は見なかったふりをするが、愛美にすぐ看破される。→愛美は自分のことを、この世界とは時間が遡行して流れているパラレルワールドから来た人間だと言う。
つまり時間軸を矢印で表すと、
…………←←数十年前の日本の関西で某大震災の日であり、高寿は家に潰されそうになっていたところを見知らぬおばさんに助けられる。
四月某日、二十歳の高寿が一目惚れ。→→→→→→→→→→ 5/23、ここまでが、高寿の人生の中で愛美がいる世界。
愛美が高寿の前から消える日。   ←←←←←←←←←← 5/23、ここから愛美の地球での短期生活は始まっていて、最初の記憶は三十路近くの辺りからどんどん若返って行き、手帳に高寿との思い出のメモを取っているが、最後はほとんど高寿との楽しい記憶が失われて行ったが、高寿に抱き締められて身体ごと消えてしまった。
そうして愛美は故郷のパラレル世界に戻るのを明かす時に、「私が五歳ぐらいの年齢になってもう一度この世界に来た時には、三十路ぐらいのおじさんがお祭りの屋台の爆発から庇ってくれた」と言っているので、おそらくは2013年の福知山での……あの事件でしょう。
このSF的設定を保持しつつ、タイトルでは「パッ!」と目を惹くように「ぼくは明日、昨日の君とデートする」という思考は読者に植え付けられていますよね。
それに加えて、事件の名前こそ出していませんが、日本人にとってはなかなか忘れることの出来ない印象深い関西方面の事件を扱っているのを含めると、この本の中でパラレルワールドを扱っている全てが見えてくる訳です。
なのでもちろん最後にパラレル世界から来た五歳の愛美がお祭りでの事故に遭った時に庇ってくれたおじさんの正体は――……これ以上語るのは、蛇足で無粋でしょうね。

 しっかし……もうちょっと愛美のキャラをパラレルワールドっぽく、いわば『あざとく』作ってくれなかったのかなあ?
 一般向け文庫だから、と言ってしまえばそうなんですが、名前も普通、性格も普通、見た目は美少女……って、これはもういっそMW文庫で出しても良かったのでは? 作者はどうやら電撃出身らしいですし。
 ついでに追及したいのは、見た瞬間にいかにもな矛盾を感じさせる愛美の台詞を言わせることになる、高寿の受けている美大の授業描写の辺りで「このクラスでは実力が図抜けている人がいて、それでいつも一位か二位の技術を争っている徳田くんは、勝手にみんなの作品を教室の内外に張るのだが〜」みたいに書いていますが、そこまで描写するなら、徳田くんのライバル(?)のことにも最後まで言及して欲しい。
こっちが勝手に「おっ! もしかしてそのライバルって、主人公は自分が気付いていないだけで、『俺って絵UMEEE!!』なやつなんじゃね?」とか思っていて楽しみだったのに、最後まで放置でした。それなら最初っから、伏線っぽく張るな。もしくは「美大で実力が図抜けている人たちはやはり頭もどこかおかしいようで、徳田くんと仲の良い林原くん。この実力者二人はいつも突拍子の無いことをしている。今日のはこの前のクロッキーで上手いものを二人が選んで張っているようだ。」とかにしてくれ(この描写は素人がテキトーに書きましたので、お許しを)。頼むから。
 それと変に詳しく描写している、「愛美とのデートを成功させるために、下見として唐揚げ屋に女子高生たちが並んでいるけれど、ぼくは誰も並んでいないピザ屋で一切れ買ってみた。それが意外と美味しいのだった。」ここもその理由とか知りたかったですね。しかもその後で唐揚げも買ってみますけど、「そこまで美味しくはなかった」と感想を言っているのに。京都での作者の実体験を表した、唐揚げ屋への皮肉描写でしょうか? 京都の人ならわかるのかな?
 高寿が美大学生な描写も上手く生きてはいませんでしたね。しかも探してみたら、作中にある木野美術大学って……高寿が乗っている実際の京都の他の造形大学なんかは実際の名称が出て来ているので探してみると、木野美大って作者の卒業した京都精華大学を隠したネーミングじゃないですか……。
なお且つ、愛美に語る高寿の夢は「イラストも描きつつ、小説家にもなりたいな。いま書いているのは、アンドロイドの女の子の話なんだけれど……」って、オイィ! お前さんの過去の作品に、まさにそういう設定のやつがあるんですけれど……?((((゜Д゜;))))
うーむ、「庶民サンプル〜」ではかなり笑わせてもらった七月先生ですが、こういう痛い側面もあったとは……。

 読メで「感動した!」「泣いた!」なんてほざいていらっしゃる人たちには悪いですが、最初の愛美の「ああ、そのクロッキーが張り出されたんだ。やっぱり上手だね」で読み始めて数ページでラストの展開がもうわかってしまったので、評価は辛辣になります。
星2つ★★☆☆☆。今後、映画化でもして古本屋で高く売れることを願っています。

posted by mukudori at 03:09 | Comment(1) | TrackBack(1) | 一般小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月10日

謎解きはディナーのあとで 01/東川 篤哉

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お嬢さまはアホではありませんか?

 東京・国立(くにたち)署の捜査一課の刑事である宝生麗子(ほうしょう れいこ)は、宝生グループ総帥の娘である、いわゆる『お嬢さま』でありながら、自分の道を行きたくて刑事になった。上司である風祭(かざまつり)警部は風祭モータースという会社の社長の息子であるため、自分のことを存分に親の七光りで照らしていた。麗子はあえて自分の素性は周囲には明かさないが、刑事事件に関わる度に頭を悩ませていた。そこで麗子付きの執事である影山(かげやま)が「お嬢さま、何故このぐらいの謎が解けないのですか?」と麗子を馬鹿にした口調で言ってくる……。ドラマ&映画化もした人気シリーズ!


 ……無いわー……。
この作品は、作者の東川先生が「広島出身の岡大法学部卒」というのでかなりシンパシーを受けて買ってみました。
月9でドラマ化したのは知っていましたが、全然見ていませんので、「小説では○○だったけど、ドラマだったら××に改変されてた」とか良い改変がされてあることを望みますね。
 まず、どれもトリックが単純すぎる。読んでいて、「おいおい、麗子。ここまで材料が揃っているのに、どうしてわからない?」と突っ込みたくなりますね。
 次に致命的なのは、普段の麗子の口調が「ありえないだろ!」と言いたくなるぐらいに『お嬢さま』ではないんですよ……。
「――んで? このあたしの推理のどこが悪いってーのよ、影山?」とか、影山も「……んで? それがどうかしましたか、お嬢さま?」とかね……。まあ、後者の影山の方はあえて麗子を馬鹿にするためにそんな口調になっていたんだとは解釈出来るのですがね。
お嬢さまなのに、下町気質っぽい一人称の「あたし」とか「んで?」「謝って済むなら、警察いらんっつーの!」とかの略式言葉はやめてくれよ、麗子……orz
 ついでに、東川先生の「風祭警部の推理に、麗子は嫌な予感。」とか「〜にて、ワイングラスにまた注いでくる影山。」とかの、あんまり効果を成しておらずに、読んでいる途中にやけに違和感を覚えさせる体言止めの多用。これはマジで勘弁してくれ。

 ネタバレあらすじー。
1話……吉本瞳(よしもと ひとみ)という女性が自分のアパートの室内で、編み上げブーツを履いたまま絞殺された事件。靴を履いたままの死体だったので、どこかで絞殺された後で自分の部屋に運ばれた→つまり、男性が犯人の可能性が高い! と風祭警部は推理する。そこで瞳と付き合いのあったエリートリーマンな田代裕也(たしろ ゆうや)が上げられたが、田代にはアリバイがあった。麗子が自宅に帰ってきて影山に愚痴ると、「お嬢さまはアホでいらっしゃいますか」と言われて、影山の推理を披露される。瞳は出掛けようとしたところで天気が曇り空になってきたことに気付き、元から無精な性格でもあったから、自室でブーツを履いたまま四つん這いのような姿勢になって歩き、ベランダの洗濯物を取り込んだ。そこに居合わせたのが、田代のもう一人の恋人の女で、土曜日に田代が釣りに行っている間に瞳の部屋の合鍵を使って侵入していた。だが、出掛けたと思っていた瞳が戻ってきたので鉢合わせをしてしまい、思わず殺してしまったのだった。
2話……若林辰夫(わかばやし たつお)という、動物病院を経営している老年の男性が毒殺される。妻を早くに亡くしていた辰夫は、最近になって三十代の家政婦の女性との再婚を家族に伝えていたが、「自分たちがもらえる予定だった辰夫の財産が減る」とのことで、あまり歓迎はされなかった。またも難航する捜査に、辰夫の孫の雄太(ゆうた)から「昨日の夜、トイレに行きたくなって起きておじいちゃんの部屋を見たら、ガラスの窓の向こうに何か火みたいなものがゆらゆらと点いてたよ」という重要証言が取れた。しかしそれでも犯人がわからないので麗子が自宅でまたしても影山に情報を喋ると、あっさりと犯人がわかる。雄太が見た火の正体(イコール、犯人のこと)は、家族の中に喫煙者が数人いるが、その中でも一度点火したら蓋を閉じない限り火が点いている、オイルジッポーライターを使っている人間が犯人だ、と。
3話……『藤倉(ふじくら)グループ』の家にて、そこの息子の俊夫(としお)が銀座の飲み屋にて出会い、惚れて連れてきた高原恭子(たかはら きょうこ)という美女が藤倉家のバラ園にて殺された。捜査が難航したので麗子は〜(以下略)。それでまあ、恭子の飼っていた黒猫が右脚を怪我していたので、その時に主人である恭子を殺した犯人の手を引っ掻いたのではないか=つまり、恭子の死体をあえてバラ園に置いてバラの蔓を絡ませ、その後で発見したのを装い、「恭子が生きているかもしれないし、可哀想だから」という理由を付けて自分の手にバラの棘で引っ掻いたような傷をわざと付けた人間で、恭子の死体を運ぶために藤倉家の物置にベビーカーがあるのを知っているぐらいの知識がある人間が犯人だと行き当たった。
4話……麗子の大学時代の後輩だった沢村有里(さわむら ゆり)が結婚式を挙げるのに、麗子は「なんで後輩のあの子があたしよりも先に……」と、ぶつくさ言いつつも白金台にある有里の家に行く。その家には没落華族の西園寺(さいおんじ)家の末裔たちも住んでいて、影山が自分よりも年上の老年執事に対して珍しく尊敬の意を示していた。式が終わって披露宴の時、有里の悲鳴が聞こえたので部屋に向かうとその部屋には鍵が掛かっており、外から鍵を開けると胸をナイフで刺された有里がいたが、麗子たちの応急処置によってなんとか命は助かった。影山はその場で西園寺琴江(ことえ)という老年女性に対し、「先ほどのあなたさまは、どうして私が麗子さまを呼んだ『お嬢さま』という言葉に振り向かれたのですか? この家の執事の吉田(よしだ)さんも、どうやらあなたさまのことだけを『お嬢さま』と呼んでいらっしゃいますよね? ここから考えるに、鍵を取ってきて真っ先に有里さまの部屋に入った吉田さんは、部屋の中に隠れていたあなたさまの姿を見て、けれども長く恩のある西園寺家を庇うために黙っているのではないでしょうか?」と看破した。
5話……身長が低いのがコンプレックスな四股男、野崎伸一(のざき しんいち)が自室の中で誰かに殺された。野崎とその彼女が部屋に入って行くのを見た宮下(みやした)という隣の部屋の男は、「その時の女性は確か、150cmぐらいの身長でしたよ」と証言するが、次に杉原(すぎはら)という力士志望の男は「170cmぐらいの女性が出て行くのを見ましたよ」……この矛盾する二つの証言に当て嵌まる女性がいない。麗子はまたも影山に(ry そうしたら、約160cmの野崎はいつもシークレットシューズを履いていたことに気付き、犯人は犯行後に野崎のシークレットシューズを使ったとわかる。なので普段は160cmぐらいの身長な女性に絞れて、一方の女性は野崎と海水浴に行っていたこともあるので、もう一人の方だ、とわかった。
6話……悪徳金融会社を営んでいる児玉絹江(こだま きぬえ)が夜中に頭部をトロフィーで殴打されて殺された。窓ガラスが割れた音に家族が気付き、みんなが集まったその場に絹江だけがいないことで探していると、そこではまだ体温の残っている絹江が事切れており、血文字でのダイイング・メッセージらしきものの跡が残っていたが、気付いた犯人によって消されたようだった。犯行に使われたトロフィーが2階の窓に投げつけられていたことから、絹江の姪っ子で13歳の娘の里美(さとみ)は「トロフィーを投げる筋力が足りない」として除外される。初日の捜査の終わり際で何かを言おうとしていた里美だが、その場で泡を吹いて気絶してしまった。病院に運んで目が覚めても、麗子たちには何も言ってくれない。麗子が影山に(ry そして影山は「もしかして里美は、従兄で次男の吾郎を好いていてアリバイを作ってやったのではないか。それならば、高校時代にプロも目を留める野球選手として名高い存在だったが大学に上がって肩を壊した吾郎も自分と同じように除外されると思ったのではないか」と考えた。しかし影山は、更にもう一歩踏み込んだ推理を披露した。→深夜、ベッドで寝ている麗子を襲ってきたのは日本刀を持った暴漢だった。麗子が寝ていたところは――里美の部屋だった。真犯人はそれを知らずに、自分の犯行に変な手助けをしてくる里美を脅威だと思って寝ている里美(麗子)を襲い、隠れていた影山がきちんと麗子を守って真犯人とバトル。影山が捕まえた真犯人は――絹江の秘書兼運転手である前田俊之(まえだ としゆき)だった。前田は「あの女の所為で、俺の恋人は自殺を――」と理由を語るが、麗子の「あ、そういうのは署で聞くからいいわ」とすっ飛ばす。どうして吾郎ではなくて前田だと影山が思ったのかは、絹江が殺されたその夜の夕飯の席で、絹江と夫の和夫(かずお)が口論をしており、犯行を擦り付けるには和夫がまさに適役なのに、ダイイング・メッセージで「ゴロー」と書いていたのはその場にいなかった人間しか考えられない……という理由だった。
オマケ……自宅で優雅に過ごす麗子の下にプレゼントの箱が届いて、開くと黒い仔犬が入っていた。麗子が「バトラー」と名前を付けた仔犬と遊んでいると、影山が「ちょっと失礼を」と仔犬に付いていた首輪を壊すと、そこには機械――盗聴器が埋め込まれていた。麗子は「あたしのファン? もしかして、風祭警部の仕業かしら?」と疑問に抱くが、影山は「いえ、この仔犬の入っていた箱、運送会社、首輪のメーカー……いずれも、我らが宝生グループの商品でございます。そして、お嬢さまの私生活を忙しい時間を縫ってこうしてまで覗きたい人物を推測しますと……総帥であられるお父上さまの仕業かと」「まあ、お父さまが!? 我が家で一番変なのってお父さまかもしれないわね……」と、麗子は今日も世界を飛び回っている自分の父親に向けて溜め息を吐いたのだった。

 うーん……微妙、というよりも読むのが苦行でした。
何故か、っていうと……毎回パターンが同じなんですよね。
殺人or殺人未遂の犯行→麗子、風祭警部と一緒に捜査。緩いギャグ展開→謎が解けないので影山に相談して解決……という。
様式美……と言ってしまえばそうなんでしょうが、文庫一冊の中でパターン化しすぎており、「ハイハイ。早く影山カモーンщ(゜Д゜щ)」と思うことがしばしば。
 最後の「解説」ではミステリ評論家の千街晶之(せんがい あきゆき)氏が、「影山の毒舌が出て来た時点で、読者は一度本を閉じて、情報を整理して理詰めで推理するべきである。そうすればなんとなく真相に近いところに辿り着けるから」と書かれていますが……えっ? そういうのをわざわざ読者に強制するのか? つーか、もうこの「解説」を読んでいる時点で本書を読破してるのに? そういう情報を出すなら、せめて前書きの方にしておいてくれよ……と、突っ込みたくて仕方ありませんでした。
なにせ、人物&情報&アリバイが出て来て麗子が自宅に帰った時点でもう読者は八割方、「こんなにヒントがあってもなんで犯人に気付かないんだよ、馬鹿女……」と思ってますからね。
正直、影山の存在は「ビブリア古書堂の〜」などが流行ったように、ライトミステリ小説、もしくはキャラミステリ小説を作者が狙って作って出したようにしか思えませんね。いやまあ、今回の話は「ビブリア〜1巻」の発刊よりも一年ほど前に出ているんですがね。そういう意味では、嗅覚の良い&センスのある作者だと思います。

 評価は……星1つ★☆☆☆☆かな。地雷です。でも成人未満……中高生ぐらいの子が読んだら面白いのかもしれません。
しかし、おそらくよほどのことがない限り、ドラマ版の方が良く出来ているような気がします。こっち(原作)は一話の密度がかなり低いので、一時間尺のドラマにするにはたぶんかなり他のアイドル俳優萌え要素を入れていたと思いますから。

posted by mukudori at 05:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月02日

紗央里ちゃんの家/矢部 嵩

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そこは狂気の内側か?

ぼく≠ヘ夏休み恒例の叔母さんの家に父さんと一緒に泊まりに行くことになった。そこには従姉の紗央里(さおり)ちゃんがいるはずだ。しかし叔母さんの家に紗央里ちゃんはおらず、おばあちゃんすらも「風邪をこじらせて亡くなったから勝手に葬儀を上げた」ということになっていた。そしてぼく≠ヘ、異臭のするこの家の風呂場で、一本の小指を見つけたのだった――。第13回日本ホラー小説大賞受賞作!


 これの作者を、「お前さあ、なんでこんな文章書けるの?」って問い詰めたいぐらいに狂ってるなあ……。
例:
電話先の姉「紗央里ちゃんの家で人の小指を見つけた? 私に訊くんじゃなくって、110番しなよ」
ぼく「うん」
110?「はい、110です」
ぼく「あの、見つけたんです」
110「何を? 殺人自販機をですか?」
ぼく「いえ、小指を」
110「なんですか。こっちは忙しいんです。いまもあいつらがババッ。やってきてググッ。ああ、西條さんが、西條さんがあああああ!!」

とか、
ぼく「今日のぼくの焼きそばにはウインナーが入っていた」
叔父「いいなあウインナーぼくも食べたいなあ食べたいなあ」
叔母「我慢しなさい。一つしかなかったの」
叔父「我慢出来ないよ。食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい」
ぼく「ぼくのをあげましょうか?」
叔父「いや、君のじゃなくって普通にウインナーが食べたいんだ」
叔母「うるさいわね。ウインナーを入れる代わりに、この子の焼きそばには虫を入れたのよ」
ぼく「ああ、本当だ。黒いアゲハチョウの羽が入ってる。胴体は探しても見つからないから、きっともう食べてしまったのだろう。」

……こんな感じです。
ちなみにこの作者、1986年生まれで大学生時代の2006年での受賞ですから……普通に考えて、20歳の時にこんな狂った文章を書いていた……ということになりますね。ある意味ホラーな方向に才能が溢れていて末恐ろしいのですが、いま現在何をしているのかなー、と調べたら普通に角川ホラー文庫で出版してました(笑)。興味のある方はどうぞー。

 さて、ネタバレあらすじー。
 小学五年生なぼくと父が中学二年生の紗央里ちゃんの家に行くも、そこに彼女はおらず、叔父さん・叔母さん・おじいちゃん……の三人しかいなかった。しかも叔母さんは血塗れなエプロン姿で、その家の中は異臭で溢れていた。三泊四日の滞在予定で、まず初日に洗濯機の裏から皺の入った小指を見つけてしまい、ぼくはポケットに仕舞う。→「きっとおばあちゃんのものだ」と思って他にもあるかなー、と探していると紗央里ちゃんの部屋で漫画本の間に足首やベッドの布団の下に太腿、ペンケースの中にぎちぎちに十本の指、ドーナツ電灯の代わりに腸がぐるぐる巻きにされている……などとどんどん死骸を見つけて行く。→そうして二日目の夜にもよおしてトイレに起きたぼくは、普段は叔母さんがいるので近寄れない台所に行ってみると、冷蔵庫の中にはおばあちゃんが丸々と解体されて詰まっていた。そこでおかしなことに気付く。この冷蔵庫の中にはおばあちゃんが丸ごと入っている。……けれど、それならなんで洗濯機や紗央里ちゃんの部屋のところにあった手の指たちは――合計十一本なんだ? ……と。その瞬間、ぼくは左頭部に衝撃を感じて気を失ったのだった。→車で家に帰る日。とうとう紗央里ちゃんとは出会えなかった。そしてぼくの身体は――髪の毛は叔母さんに抜かれてぼろぼろ。爪も全部剥がされた。左耳の上半分は切り取られていて、もう無い。気付いた時には、叔母さんがぼくの髪の毛をブチブチと抜いていて、そこから逃げたぼくに父さんが黙って手当てをしてくれたのだった。帰路に着いているところで、ぼくは父さんに「おかしいと思わなかったの?」としつこく問い掛けると、父さんはキレて「うるせえなあ。俺は別に俺以外のことなら、どうでもいいんだよ!」と車を停めてクラクションを何度も鳴らす。そうしてぼくが何も言わないところに――「まあ、普通の人ならそうですよね。あの家は、どこかおかしいんですよ。だから、私もいずれ殺されるだろうと思って逃げてきました。でも君さあ、なんで攻撃された後もすぐに帰らなかったの? 普通、逃げるでしょ」「え? だって、最初っから三泊四日の予定だったし」……後部座席には紗央里ちゃんが座っていて、ぼくらと入れ違いになるように、ぼくらが滞在している四日間はずーっとそこに逃げていた、と言う。紗央里ちゃんは、紗央里ちゃんのものだと思っていた第二の死体はたぶんおじいちゃんのものだろう、と。ぼくが滞在している間におじいちゃんに会ったことを話すと「それはきっと幽霊よ。おばあちゃんはまだ生きている時も死んでいるようだったけど……あの人たちは、とうとう堪らずに自分たちの手でやっちゃったのね」と言われて、紗央里ちゃんはとりあえずぼくの家に来ることになったのだった。

 まあこんな感じなんですが、ともかく登場人物の行動が意味不明で、笑えない上に、ぼく≠熾ス気で虫や死体の指を口に入れたりするから共感出来ないので「読者に恐怖を感じさせること」を考えていないようで、もう訳がわからない!
「読んでいるこっちを狂わせたいのか?」と思わせるような筆致をあえてしているんだとしたら……うん、すごいね……。
だけど、最後まで「叔母たちが祖母たちを殺した理由」がわからないから読後感も微妙……。
ああ、そうだ。「B.A.D」に似てるんですよ、コレ。特に3巻の。綾里作者先生はもしやコレを読んだ後に書いたんじゃねーのか……?
主人公の姉が諦観者でまともだと思っていたら、やっぱり誰もまともじゃなかったり。一人称が前半と後半で気持ち悪く変わるところとか……ね。

 さあ、星はいくつかなー? って、訊かれなくても大体わかりますよねー……。ええ、星1つ★☆☆☆☆の地雷ですよ! この野郎!!

 とりあえずこれで連続更新は終わりですが……うーん、明日か明後日も余裕があれば更新する予定ですー。その代わりに週明けの休み明けが地獄だぜ!(笑)

posted by mukudori at 23:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月01日

庵堂三兄弟の聖職/真藤 順丈

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真藤 順丈

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-08-25
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死体の言葉を聞く

うらぶれた町にある庵堂(あんどう)家は、代々紡がれてきた遺工師(いこうし)の家系だった。父親が死に、長男の正太郎(しょうたろう)が跡を継いだ。三男の毅巳(たけみ)は、スナックのホステスに熱を入れている。そこに東京から帰ってきた次男の久就(ひさのり)が正太郎の手伝いに入った時、この兄弟たちは団結し、そして瓦解する――。第15回日本ホラー小説大賞、大賞受賞作!


 うーん……。第15回電撃大賞、銀賞受賞者の作品だからちょっと唾付けておくか……と読んでみましたが、普通に面白くないぞぅ?
 なんつーか、これの前にものすごく素晴らしい才能で読み応えのあるものを読んでしまったから、ちょっとハードルが上がっていたのもあるでしょうが……まさか、悪い意味でこれが「日本ホラー小説大賞」の大賞受賞作とは思えない。何考えて貴志先生の「黒い家」と同じ大賞にしたんだ、審査員。
 ほとんど全てが解決してなくて、「伏線? ナニソレオイシイノ?」な作りで、ぺらっぺら。描写に対しては怖くもグロくもないし……どこを買われたんだろう?
まあ文章力がある(別名:「いらねーことばっか、長々と書き過ぎだよこの野郎」)のは認めますが……アレか? この作者が四つ同時受賞の当時の時系列がよくわからないのですが、最初に電撃大賞かポプラ大賞で受賞したのを編集たちが知ったから選考の上に上げて、それを読んだ審査員の一人のツボにものすごくハマったから推されたとかか?
私が「イイ歳のくせしてラノベばっかり読んでるから、一般文学の話の深みがわからねーんだよ馬鹿野郎」と言われても仕方ないかもしれませんが……それでも、貴志先生の「黒い家」は普通に楽しめたよ? ページ数もかなりあったけど、そこすらも忘れて引き込まれましたしね。

 愚痴はこのぐらいにして……ネタバレあらすじー。
 次男、実家に帰るとそこの工房では長男が加工途中の死体と一緒に寝ていた。この庵堂家に代々伝わる職業は……つまるところ、『死体の皮膚や骨を使っての、日用品への加工』というものだった。その所為もあって、この家の人間はちょっと他の町民たちから遠ざけられていた。→美濃田(みのた)という、いわゆるヤクザ一家の幼い一人娘が交通事故で死んだので、少し心が壊れた母親によってその少女の死体の剥製作業を頼まれる。長男が作業に渋っている時、三男はスナックに勤めている美也子(みやこ)というホステスに入れ込んでいた。三男が熱烈なアプローチをするも、美也子はそれに頷かないで逃げてばかり。その実は……美也子は、誰の子とも知れない赤子を妊娠して産んでいて、こっそりと育てていたが、ついにその赤子はぬいぐるみの切れ端を喉に詰まらせて死んだ。美也子はその事実を受け入れられず、三男が訪ねて行った美也子のマンションから逃げ出したのだった。そして長男は美濃田夫人の熱望する依頼を請けて作業していたが、後日、美濃田とその夫人が他のヤクザから恨みを買った所為で銃で撃たれて死んだので、いつも仕事を手引きしてくれる四方木(よもき)という男が「もうその死体は仕事をしなくていい。両親たちと一緒に焼いてやろう」と言ってくるが、長男は自分の何かが変わる気がして、最後まで剥製にする加工をやり遂げた。そこに三男が「赤ん坊の死体を持ち帰ろうとした」という罪で、警察に勾留される。そのころ、次男は少しボケが入っている、妻を亡くした老人のところに『完成作品』を届けるついでに自分の父親のことを訊くと、「明雄(アキオ)の息子は一人だったはずだが?」と言われて、疑問を膨らませて行く。→四方木の手引きで三男は解放されて、「この赤子の死体を遺しておきたい」と言うので、長男は「わかった。これが我が庵堂家の最後の仕事にしよう」と言って、兄弟三人掛かりで赤子の死体を加工する。そして出来たのが、渾身の作品と言っても過言ではない『皮膚を使ったティディベア』だった。美也子はまだ見つからないが、三男はそれで満足だった。→次男は四方木から話を聞いたりして、「自分(次男)だけが父親の本当の子供で、他の二人は美濃田家がヤクザ仕事で無理矢理持ってきた、『人体の生きたままの解剖』などをされたカタギではない男たちが遺した子供を父親が引き取った」……と知ったことを話すと、当時10歳だった長男は意外にもそのことを憶えていた。次男は美也子を探すらしく、「とりあえず沖縄にでも行ってくる。そこにも腕のいい細工師がいるから弟子にしてもらう」と言い、次男は東京に帰る間際に長男がまた遺工師の仕事を再開したことを聞いて、安心して故郷を離れたのだった。

 うおっ……! まさか、「腐れマ○コ」(実際の文章では伏せていません。ちなみに文庫版で221Pです)という文字列をエロ本以外の本の中で見ることになるとは……。これは別段特に内容に関係ないことなのですがねw
あー、なんかふと、「『国(クニ)』じゃねーよ! ク○ニしろよおらぁぁっっ!!」を思い出しましたね……。知りたいお方は『エデンの檻』で検索!w こっちは逆に、当時のマガジン本誌ではそのままで、単行本でわざわざ伏せ字にしたことで話題になりましたがねwww
 そして微妙な読後感……。
最後に長男が割り切ってまた仕事を再開したなら、もういいんじゃないのー? 血は繋がっていなくても、美濃田の娘を見事な剥製にするところでもう自分の才能と天職に目覚めて(死体から離れられないことに気付いて)いるんだから、最後の『兄弟三人で赤ん坊をティディベアに!』とかやらなくてもさあ……。

 読み終わって、作者が『電波ちゃんっぽいの』を意識して書いたような作品であることはわかりましたが、「恐怖」なり「気持ち悪さ」なり……どれも私の心に響くものがありませんでした
星1つ★☆☆☆☆。単純につまらない、地雷です。

posted by mukudori at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月16日

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い/西尾 維新

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西尾 維新

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並んで歩く

赤神(あかがみ)財閥の令嬢、赤神イリアによって、京都の北の沖にある鴉の濡れ羽島(からすのぬればじま)に集められた、五人の天才たち。その中の一人、玖渚友(くなぎさ とも)に付いて来たのは――ぼく。幼なじみである玖渚の言うところの「いーちゃん」だ。そして天才たちが殺されて行く悲劇を止めようと、「ぼく」たちは奮闘する。第23回メフィスト賞受賞の、一世を風靡し続けている、西尾維新のデビュー作! いや、ここまでが戯言だけどね。なーんちゃって。


 やった……。やっと読み終えたぜ!!
我が家のお茶をデカいヤカンで沸かす時の待ち時間で一日10ページ以上を目標にして読むこと一ヶ月強……。ついに、後書きまで含めて全553ページを読破! 分厚いんだよ、チクショー!!
 まあ「そんで、内容はどうだったのよ?」と言われると、「最初っから最後まで、『西尾節』の片鱗が見えたよ!」……としか言えませんね。
うん、面白くない訳ではないんだけど……さすが、応募原稿のページ数上限の無いメフィスト賞に応募しただけあって、ページ数がちょっと多いんじゃね?と感じましたね。
別段要らない知識や、偉人の言葉の引用や、最後まで意味不明な玖渚の役立たずな立ち位置とか……。いやまあ、玖渚がいることで、「ぼく」もちゃんと玖渚を守るために、結果的に探偵役をこなしているんですけどね。
 でも500ページ超えで分厚いのに、最初っから最後まで西尾節を貫いたのはすごいなあ。
なんだかんだで、島での後半の「やっと一回裏、今度は僕様ちゃんたちの攻撃のターンだよ、いーちゃん。僕様ちゃんは三番キャッチャー、四番のピッチャーはいーちゃんだよ」と来てからは、面白くって一気に読んでしまいましたね。「お茶よ、もっとゆっくり沸いていいんだよ……?」と思ってコンロの火を弱めつつ(笑)。
 つか、この本の元タイトルの「並んで歩く」を探していると、どうやらメフィスト賞の審査員である編集さんたちが「こいつ(西尾先生)って、よくもまあ、長文な原稿をうちに頻繁に送ってくるなあ。仕方ねえ、そろそろ受賞させてやっか」「でも、まだ若いし……ここでこの作者の進路を決めてもいいんすかね?w」「この人にちょっと会ってきたんですけど、一週間に350P書けるってよw」「「「スゲー!!!」」」(一同)的な裏事情を載せているページに当たったんですが……?w 確かにこれ(クビキリサイクル)がそのまま送られて来たなら、二十歳にしては文章力とか引用の引き出しとかがすごいとは思いますが……作家デビューに至るのって、そういうのも「アリ」なんですか?w

 ネタバレあらすじー。登場人物の名前ですが、変換が面倒なのでかなり省かせてくださいね。
 島の主人1人、天才5人、メイド3人、主人の御付1人、天才の付き人2人(一人はいーちゃんです。ちなみにどっちも男。他のキャラは全員女です)……な島の屋敷で、まず芸術の天才の伊吹かなみ(いぶき -)が首を切られて殺される。偶然地震が起こった後だったので、部屋の中にはペンキの大きな川が出来ていて、つまりその奥にいるかなみの死体には誰も触れられなかった『密室殺人』だと言われる。→次は、怪しいと思って密室に閉じ込めていた、学術の天才な『七愚人(しちぐじん)』の園山赤音(そのやま あかね)もまた、首を切られて殺された。→だけど主人公は、誰かの「どっちも首を切られて、肩と同じようにあんなに平らにされて……」という言葉で、全てがわかった。→犯人ではない、と見当を付けた人たちを集めて、一芝居を打つ。そこで一人になった時に襲ってきたのは――なんと、死んだと思っていた赤音だった。そこに他のメイドさんたちもやってきて主人公を守ったりしてくれて、かなみの付き人だった深夜(しんや)という男も共犯として吊し上げる。トリックは単純で、どっちも首無しな死体なのをいいことに、最初に殺されたかなみの死体をリサイクルして赤音の服を着せて、新たな一人の死体を作ったのだった。なので赤音は生きていた。言及しておくと、島の主人のイリアは昔に人を殺していたので警察が嫌い。なので今回の事件も警察に言うつもりは無かった。→そしてめでたしめでたし……とはならずに、主人公が京都の本屋で買い物をしていると、哀川潤(あいかわ じゅん)という、イリアがとても信頼していた『人類最強の人間』と出会って、無理矢理車に乗せられて拉致られる。その道中で、実は「島に来る前から、かなみは赤音と入れ替わっていた」という推理を聞かされて、それで主人公も「深夜が何故か赤音に協力していた理由」がわかってすっきりする。そして連れて行かれたのは……玖渚のマンションだった。終わり。

 うーん、簡潔に纏めるとこんな感じです。
たぶんこんなプロットを元にして他の作家さんが書くと、本作の半分のページ数にも行かないんじゃないだろうか?
それぐらい、ちと、要らない情報なんかが多過ぎるのですが……私が端折った最後の纏めに入って行く辺りでは、きっと「おお、こんな伏線があったとは!」と感動するかもしれませんね。
 ところで、どっかの誰かさんみたいに、「いーちゃん」ってあだ名な名前の無い主人公は、もしかして作者本人のことだったりしますか? 『I』SIN先生? なーんつって(笑)。
 ついでに書くことが少ないのでプチトリビアを披露すると……西尾先生のペンネームは、ローマ字での回文なのですよ。
上から読んでも、下から読んでも「NISIOISIN」!

 評価は……序盤は星3.5ぐらいだけど、最後の100ページの怒涛の追い上げが良かったので、繰り上げて星4つ★★★★☆かな? 2巻も楽しみです!

posted by mukudori at 01:07 | Comment(4) | TrackBack(0) | 一般小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする