2015年01月18日

バカとテストと召喚獣 2/井上 堅二

バカとテストと召喚獣 2 (ファミ通文庫)バカとテストと召喚獣 2 (ファミ通文庫)
井上 堅二 葉賀 ユイ

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すったもんだの学園祭!

 文月学園の学園祭――清涼祭。明久たち二年Fクラスは中華喫茶をやることに。しかし、それとは別に一般客も楽しめて、この学園の最新テクノロジーを見せびらかせる、『召喚獣バトル大会』というのもあり!? 別に参加するつもりはなかった明久だが、雄二と一緒に学園長に呼び出されて密約を交わし、どうしても優勝しなければいけなくなった! 陰謀渦巻く学園祭に突入!


 うむ、面白い!
なんでだろう、すごく読みやすいんですよね。同じファミ通文庫でも「犬ハサ」とか「B.A.D」とかは読んでいると「くそっ、なんでこんなに文字を詰め込んでんだよ……。あーはいはい。笑えないパロと言い回しだけ凝った風に見せかけている厨二病乙ー」とか思っちゃうんですが、バカテスはそれが無い! まあぶっちゃけ、「のうりん」でも「チクショウ……。長文台詞の時は、読みやすいようにたまにでいいから改行してくれよ。次の挿絵はよ来いやー!」とか思ってましたからね(笑)。
そういう点では井上先生はかなりのリーダビリティ溢れる文章力スキル持ちだと思います。

 ネタバレあらすじー。
 明久と雄二、学園長に頼まれて学園祭での『召喚大会』にて優勝しなければいけなくなる。ただしその見返りは――身体の弱い瑞希のためのFクラスの物品修繕だった。学園長は「優勝賞品で、如月(きさらぎ)ハイランドのプレオープンチケットを用意したんだけど、これを誰かに取られて行かれたら、そこの『ジンクス作り』のためにちゃーんと別れずに『結婚』までしてもらわなきゃいけないからねえ……」と言うので承諾。→しかし中華喫茶もやっていると、そこには三年A組のモヒカンや坊主頭の男子たち(別名:常夏コンビ)がやってきて、中華喫茶の評判を落とそうとされるので翔子たちがやっているメイド喫茶の力も借りたりして退治しつつ、召喚大会で勝ち上がって行く二人。瑞希と美波も、明久への恋心を秘めているので『如月ハイランドのプレオープンチケット』が欲しいので参加していたが、協力してもらって降参させる。→そして学園祭の二日目にして最終日、学園長がこっそりとFクラスにやってきて、「実は……プレオープンチケットよりも、もう一つの賞品……『白金の腕輪』の方が重要なのよ。アレは賞品に出してしまった後から不具合が見つかってねぇ……。『高得点者が使うとおかしいことが起こる』っていうもんだから、取る点数は低くても強いアンタらにしか頼めなかったんだよ」と言われて、より一層気合いを入れる二人。途中でセクシーチャイナドレスを着た瑞希たちが常夏コンビに攫われたりするも、喧嘩が鬼強い雄二や根性見せた明久によって救出される。→決勝戦。もちろん相手は、学園長の座を狙っている教頭に『大学の推薦状』を書いてもらうことを約束した常夏コンビ。卑怯な手で襲ってこられるが、ここで雄二が学園長に最初話を持ち掛けられた時、「じゃあせめて、そのバトルの試験科目は俺らが決められるってことにしてもらえませんか?」と言っていたのが効いており、二人はこの決勝戦では「日本史」に絞って勉強してきたため、かなりの得点を持って常夏コンビに相対した。明久は『監察処分者』のため召喚獣と意識やダメージを共有しており、常夏コンビの攻撃でのかなりの痛みに耐えつつも、最後は自分の左腕を犠牲にしつつも「肉を切らせて骨を断つ」的な感じで優勝。→学園長に報告に行くと、そこで明久と雄二たちは「それで、この白金の腕輪はどうしますか? 欠陥品ならもう要らないですよねー……」「――明久、黙れ! もしかしたら……」「あっ、この部屋って盗聴されているかも!?」「ほら、やっぱりあの常夏コンビが逃げて行くぞ! さっきの言葉を録音されたのを全校に流されたら、学園長は終わりだ! みんな、あいつらを探し出せ!」とFクラス全員で学内を探し出すが、ようやく見つけた……と思ったら、そこは遠い新校舎の屋上だった。しかしそこで雄二の召喚獣が装備した白金の腕輪が光る。それが作動すると、『先生がいなくても、召喚バトルのフィールドを作れる』というものなので、明久は自分の召喚獣を出して学園祭の終わりに打ち上げる花火を見つけて、屋上の常夏コンビを狙って大筒で発射。ついでに、教頭先生の部屋にも打ち込む。すると教頭先生の部屋にも「部屋を直す」という大義名分を掲げた強制捜査が入り、明久は「勝手に花火を使ったこと」では鉄人先生に怒られるが、鉄人も裏事情がわかっているらしく、それだけで済んだ。→そうして全て片付けた後は……打ち上げパーティだった。しかしそこに混ざってあったのは……『お酒に近いようでお酒なジュース』であり、それを飲んだ瑞希がへべれけになって明久に対して積極的に迫り……「だから、明久くんは私と――」という意味深な言葉を残して眠ってしまった。次の日、瑞希にそこを訊ねると「ごめんなさい。覚えてないです〜」と言われてしまったのだった。

 うーむ、やっぱり面白いですねー。
でも最後の打ち上げパーティで「ジュースに混じっているチューハイを飲んでしまい、酔ったので本心暴露」というのは、どうにもこうにも既視感がバリバリにありますね。
その辺は井上先生の手腕でオリジナリティあるものにして欲しかったです。……まあ、オリジナリティがあったらあったで、「おかま」はそこも上手くパクっていたような気もしますがww

ですが、全体的にするすると読み進めて行けるので、星5つ★★★★★あげちゃいます。ちょっと甘い評価ですがね。

posted by mukudori at 02:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | ファミ通文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月21日

バカとテストと召喚獣01/井上 堅二

 お久しぶりです、みなさんが忘れたころにやってくる……mukudoriです!
ちょっと仕事が年末進行で忙しくて……という言い訳から始まるのですが、今回選んだ「いまさらレビューかよ……感」が拭えないバカテス1巻は、まさその見込み通りで短時間で読めましたので更新しています(笑)。
そうそう、年末年始はちゃんと休みが取れましたので、今年も『アレ』やるよー! レーベルは全部ばらけて、三日間か四日間連続の予定です。
バカとテストと召喚獣 (ファミ通文庫)バカとテストと召喚獣 (ファミ通文庫)
井上 堅二 葉賀 ユイ

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若者よ、筆(ペン)を握れ!

 テストの点数が全てを決める、私立文月(ふみづき)学園――。そこの生徒たちは自分の成績の分身たる『召喚獣』を持ち、テストの点数によって愕然たる差別環境に置かれている。二年生に上がった吉井明久(よしい あきひさ)は最低ランクのFクラスに入れられるが、学園のマドンナたる才女の姫路瑞希(ひめじ みずき)も何故か同じクラスで!? 彼女に惚れている明久は、瑞希のために『試召戦争(ししょうせんそう)』を用いて、Fクラスからの下剋上を起こす――! アニメ化もされた、ファミ通文庫の超人気作!


 あー、予定通り早く読み終わったのでめっちゃ嬉しい……w
 この作者、フォントいじりはもちろんのこと。オマケで文章の区切りに『テストの珍解答集』を入れてくれるんですよね。それが面白いことこの上ない!!
最初に笑ったのをちょっと挙げますと、
問い:「悪いことが起きた上に、更に悪いことが起きるという意味のことわざを書きなさい」
に対して
正解(瑞希の解答):「泣きっ面に蜂」
先生のコメント:「正解です。他にも、『踏んだり蹴ったり』などいろいろありますね」
明久の解答:「泣きっ面蹴ったり
先生のコメント:「君は鬼ですか」

どwwうwwしwwてww ネタとはいえ、こんな珍解答を思いつくんですか、井上先生wwww 科目の先生のコメントも適度に冷静でイイ!w
でもね……ちょっと、いや、お馬鹿エロ好きな私ですらかなり引いたやつはあったなあ……(後述します)。
 あと、最初のカラーページが漫画形式というのもいいですねー。面白かったし、主要キャラ紹介もされていてすんなりと物語に入り込めました。

 ネタバレあらすじー。
 体調不良で進級テストをリタイアしたためにFクラスに入れられた瑞希のために、奮起する明久。友人である馬鹿友達の雄二(ゆうじ)や秀吉(ひでよし)、ムッツリーニや美波(みなみ)も協力して、Fクラス全体を盛り上げて、まずは小手調べのEクラスに召喚戦争をして勝利。主に雄二の策略によって、次々と下剋上して行く。その間に美波がデレたり、瑞希がラブレターっぽいものを書いているところに出くわしたりするが、自分に向けられている矢印に気付かない明久。→Bクラスも下し、とうとうAクラスに挑むことに。雄二はAクラスの代表で学年首席の霧島翔子(きりしま しょうこ)と幼なじみということを利用して、「あいつは一度覚えたことは忘れないんだ。そして俺はあいつに昔、『大化の改新は625年(本当は645年)だ』と間違ったことを教えてしまった。だから、そのことを利用すれば勝てる」と言って勝負を仕掛ける。雄二と翔子のテスト勝負は『小学生のレベルの歴史問題。百点満点形式』というのを先生にお願いして作ってもらう。つまり、大化の改新の問題が出ればいくら才女の翔子と言えど、雄二が満点を取れば負けることは無い……という作戦だった。しかし結果は――翔子:97点 雄二:53点 ……だった。昔は神童と呼ばれており、小学生レベルの問題と言えど、これまで勉強をサボってきてなお且つ現在Fクラス代表な雄二には満点を取るのは無理だった。そして明久たちのFクラスの設備は……机が卓袱台からミカン箱になったのだった。翔子は大好きな雄二を思うままにし、瑞希は明久とずっと一緒にいられることで元気を出し、美波もアプローチをしまくって、これから二年生の生活が始まろうとしていた。

 うーん、面白かった!
基本は明久の一人称で進むんですが、これがもう、秀逸な突っ込み具合でイイ!
数学指導の喪女・船越先生を上手く誘導するためにクラスメイトが放送を掛けて、
「船越先生、体育館裏で吉井明久くんが待っていますのでお越しください。先生と生徒の垣根を越えた大事な話があるそうです」
 オイ! 船越先生は単位を盾に、生徒に結婚を迫るんだよ!? ……よし、包丁は家庭科室からパクってきたし、靴下に砂も詰めてある! この放送をしたやつはどこだ!

 ちょっと経緯をわかり易く纏めてみましたが、こんな感じですw
 んー、でも私が引いたのは……オマケの『テスト珍解答』の保健体育の部門ですよ……。
なんでさあ、
問い:「思春期を迎える女子の身体に起こる第二次性徴の証はなんでしょう」
とかいう問題を出すの?(ちなみに正解は「初経」です)
それに女子たる瑞希が平然と答えているのも結構「これ、正解者を出さないといけないとはいえ、まさに思春期女子な瑞希に答えさせていいのか? セクハラじゃねえの!? せめて明久に答えさせて先生に『君は意外とこちらの分野だけは得意なようですね』と突っ込みさせるとかさー」とか思いましたが、ムッツリーニの解答でやけに詳しくて途中で省略するぐらいまでに描写して、なお且つ担当の先生にも「詳し過ぎです」と突っ込まれるのはどうにもこうにもいただけませんでした……。
しかもその次の生物のテストの珍解答にもまだムッツリーニが初経の話を引き摺って続けて語ってるし……正直、気持ち悪い流れとしか言いようがありません。
 あと、雄二の最後の作戦がおかしいぐらいにすんなり行き過ぎている。「小学生レベルの歴史問題で勝負だ!」と言っても、なんでそんなにピンポイントに大化の改新の年号を答える問題が出てくるの? 小学生レベルの問題でも範囲は意外と広いから関係した問題自体が出て来る可能性も低いし、もし出てもそこは「645年の大化の改新の中心となった人物を一名挙げなさい」とかになってもおかしくないだろ?
この辺がご都合主義でしたね。イマイチ、最後のバトルなのに盛り上がれませんでした。

 でも読んでいてかなり笑わせてもらったのもあったので、評定は星4つ★★★★☆です。オススメー!

井上先生はお笑い(ギャグ)書き分野に関しては非凡な才能をお持ちのようですね。こりゃあ、「おかま事件」の作者もネタをパクリたくなるわな……(笑)。

posted by mukudori at 04:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ファミ通文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月05日

ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件 01/野村 美月

 前の更新から、かなり時間が空いてしまっていてすみません!
ちょっと夏バテして体調を壊してしまいましてね……。女子なら喜べるんでしょうけど、体重すげえ減りましたからねw ガリチビだぜ!!
ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件 (ファミ通文庫)ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件 (ファミ通文庫)
野村 美月 karory

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女装がバレたら縛り首!?

17歳で浪人生活を送っているシャーロック=ドイル(シャール)の元にやってきたのは、いま居るウィストリア皇国の外交官!? 双子の姉で万能の天才のグリンダが協定国のエーレンから逃げたので、外交官のヘルムートが「シャールくん。君ならグリンダ嬢の代わりが出来ます。国王命令です。やらなきゃ君を縛り首ですよ。なあに、エーレンの幼い王子や王女たちの家庭教師ですから、一応受験勉強している君ぐらいなら簡単でしょう? ただし、女装がばれたらエーレンで縛り首になりますよ」と脅されて、渋々エーレンに赴くシャール(以下、面倒なのでグリンダと呼びます)。そこでは歓迎されつつも、一癖あるエーレンの人たちにバレないように暮らして行く日々が始まったのだった……。野村美月の描く、女装男子ラブコメ!?


 う、うーん……これは面白いのか……?
野村先生がヒカル3巻の時に「『ドレ僕シリーズ』も並行刊行していますので、そちらも是非買って、売り上げに貢献してください!」と仰っていたので買ってみたのですが……なんというかこれまでに読んだ野村先生の作品とはいろいろと違っていて、これまでのにはイラストの竹岡さん補正がかなり掛かって読んでいたんでしょうか……?
 わざと文体をギャグ寄せにしているんなら「器用だなー」と思いますが、それとはあんまり関係していない細かいところで突っ込みどころがありすぎて、悲しいですね。
 あと、今回のレビューは『お名前に漢数字が入っているお方』には後半の私の突っ込みでちょっとカチンと来るかもしれませんので、最初に謝っておきます。ごめんなさい!m( . _ . )m
なので、「カチンと来そうな方は読まないで飛ばしてください」or「『俺(私)なら心広いし、メンタル強いから平気だし〜』と思って読まれても、『偏見差別な決め付けすんな!』とか、後で言わないでください」……以上です。
でも私も名前に「祖母が有名な占者に姓名判断してもらって決められた、産まれに全く関係ない漢数字」が入ってますから、ある意味自虐な突っ込みなので許してちょんまげ!(古い)

 ネタバレあらすじー。
 このままではニート一直線だったシャール、グリンダの代わりにエーレン国に行く。そこでは五人の王子&姫たちがいて、国王のシザエルから「では、これからこの子たちの家庭教師をお願いするよ」と言われる。なお、ここまでにシャールのグリンダ風にした女装はヘルムート以外の誰にもばれなかった。→グリンダ(シャール)は逃げようとするが、そこで11歳で第一王子な竜樹(リュウジュ)や第一王女の聖羅(セイラ)の風呂を覗いてしまう。特に聖羅の時では「あれ? 聖羅王女のお風呂の中で気絶したのを着替えさせてくれてる……? まさか、聖羅王女に女装がばれた!?」と危惧するが、聖羅は淡々としていて何も言ってこない。そしてさっそく双子姫の更紗(サラサ)と織絵(オリエ)が「お父さまの心は、もう5年も前から閉ざされているの」「そう、わたしたちのお母さんが真(シン)の次の子の出産の時に亡くなってから……ずっと。でもグリンダがそれを埋めるためにやってきてくれたのね! あんなに楽しそうなお父さま、久しぶりに見たもの!」と言われて、グリンダは「なら、シザエル王は僕を嫁にしたいのか!? 僕は本物のグリンダじゃなくて男なのに!」と慄く。だが数週間が経過して玉前に呼ばれたので「すみません! 私、実は水虫持ちで足がめちゃくちゃ臭いんです!」と国王に迫られないようにするが、そこにはいままで自分の面倒を見てくれていて「可愛い子だなー。僕が女装してなかったら彼女にしたいよ!」ぐらいに好意を持っていた雪(ユキ)というメイドさんが国王の本当の王妃であることをばらされる。しかもその腕の中には幼い赤ちゃんがいて、「グリンダのお陰でやっとこの子の名前を考えられたの。鈴七(リンナ)よ」……と言われ、グリンダは自分を騙した双子王女たちの尻を叩く。その後、二人きりの時に聖羅に「あなたは何故女装をしているんですか?」と言われて大ピンチ。偉ぶった大臣にも連れられて行って、いろんなところで「完全無欠の天才のグリンダ嬢なら、このぐらい出来るだろう!」と無理難題を押し付けられるが、全てラッキーで解決。→国王主催のエーレンのマラソン大会が開かれる。そこでは以前のグリンダのラッキーでの活躍を見た臣下たちが「グリンダ嬢は女子供と一緒だと速すぎるんで、男のコースに行くらしい!」「その上、優勝出来なかったら犬耳を付けてスカートで逆立ちして、『ぎゃふんっ! わんわん!』と鳴くらしいぞ!」……などと勝手に噂されて、マラソン大会(男コース)に出るがあっという間にビリっけつになって、後からスタートする女子供コースの先頭にいた竜樹が追い付いてくる。そこになんと、エーレンに対立する国からの刺客が来て、竜樹が攫われそうになったところをグリンダが助けに入って、刺客たちがもたもたしている間に国の兵士たちが助けに来てくれる。そしてグリンダは足を捻った竜樹をちゃんとゴールさせるために、背中に背負ってゴール。それで「グリンダ嬢が竜樹王子が誘拐されそうになるところを助けたらしいいぞ!」「ああ、だからそれでわざと最後尾にいたのか!」「さすが天才! やっぱり本当の一位はグリンダ嬢だぜ!!」と持て囃されて、結果的に一位のトロフィーをもらう。しかしその後でグリンダはこっそり国王のところに行って、「今回の竜樹さまの誘拐未遂事件……国王さまは狙っていましたね?」「そうだよ。このような行事なら、テロリストや反対派を炙り出すのにちょうどいいと思っていてね。だから竜樹が走る際の護衛だけはわざと少なくしておいたんだ」と、国王の本性を暴く。国王の腹黒さに負けそうになったところで、聖羅が助けに入ってくれる。お礼を言いたいグリンダだが、ついでに「僕が男だって言わないようにしてくれる?」と頼んだら、「私が一番欲しいものを送ってくれたらいいですよ」と返されて悩む。→エーレンでは『ラーナの日』という、現代の外国(イギリスとか)でバレンタインデーに近いものが催されることに。そんな中でグリンダは聖羅の欲しいものを考えるが……その途中でエーレンの市場でグリンダそっくりの女が現れた、と言われてグリンダ(シャール)は「本物のグリンダが帰ってきたんだ!」と考えて、変装して城下に行く。しかしグリンダの情報は出てくるが、最終的に追いつく寸前にグリンダは船で出港していて別の国に行ったことを知る。それで脱力してふらふらとして城に帰ってきたグリンダ(シャール)は、思わず聖羅に当たってしまい、後で冷静になって謝ろうとしたところで聖羅が一人で部屋で泣いていることを知る。→ラーナの日。グリンダは「君の欲しいものがわかったよ。君は本当のグリンダ――君と同じ天才的頭脳を持った『理解者』が欲しかったんだね。でも、僕でも君のことを受け止めてあげられるよ」と言って、「僕の国では、ラーナの日には好きな相手に音楽を贈るんだよ」と聖羅の得意なバイオリンの曲を一緒に作って、ラーナの日のプレゼントとして母の雪に聴かせることにする。グリンダも鈴の楽器で補助をした。そして雪王妃が一番喜んだ後、聖羅を抱き締めてそれに聖羅も素直に甘えた。国王にも「よく聖羅の一番欲しいものがわかったね。さすがはグリンダ嬢だ」と褒められた。その後で聖羅だけに「秘密だよ」と自分の本名を教えて、しかも聖羅に初めて「先生」と呼んでもらえる。グリンダが一人になったところで竜樹と騎士兵のギルマーがやってきて「「これを受け取れ!!」」とどちらもグリンダ(シャール)に惚れたようで、宝石の付いたアクセサリーを寄越してきたのだった。
番外編:ギルマーの日記が面白いw ……え、ちょっと待って。遠い異国から来た雪王妃が『元歌姫(アイドル)』で『社長』の下で学んでいたって……!? ストップ。待った。タンマ。でもこのエーレンやら描写された近隣の国とかいかにもファンタジーで、携帯やインターネットやパソコンすら誰も知らなさそうなのですが……? こういう設定の話では完全完璧に「ファンタジー!」ってやって欲しかったですね。こんな設定を番外編なんかのちょっとしたところで出されたら、グリンダがみんなよりも何歩も先にいる天才なのはこっそりIT発明に触れたから……とか後から理由付け出来ますし。詰めが甘い……っていうか、編集もこんな微妙な世界観をぶち壊す設定通すなよ……。

 うーむ……最後まで読んだけど、ちょっとこの主人公には引くわー……。
 なんで双子姉妹姫たちの嘘がわかった時に、「よくもこの僕を騙しやがって! 人(僕)の心を弄ぶな! お仕置きにスパンキングじゃーっっ!!」なの? そこは「嘘や冗談で、人……しかも自分たちのお母さんや妹を殺すなんて、何考えてんだお前ら!!」って人道を説く方が良いと思うんだが。
 あと、国王&雪王妃たちによる子供の名前付けですが……大概、厨二ネーミングですよね……。いや、「四番目の王女で、全員でも六番目の子に、まさかの全く関係のない『七』の名付け」とかも痛い感じはするのですが(全国にお住まいの、名前に自分や家族に何も関係無い数字を入れられていたり、姓名判断でいい画数にしたかったがために、長兄なのに『虎二』、長女なのに『亜美』(『亜』、というのは基本的な意味では二番目か次のことを指す漢字です。例としては『亜熱帯』とかよく言われていますね。セーラームーンファンの方々、怒らないでください)とか付けられた方々には、このような否定っぽい発言をしてしまってすみません。個人的に一番否定したいのは、野村先生の感性です)。せめて、「この世界にある楽器の『鈴(シェリ・野村先生が考えたらしい楽器です)』の鈴の数と同じにして七を入れてその鈴の意味を持った子に〜」なら、「鈴四(リンシ)」や「鈴六(リンリorリンム)」じゃいけなかったの? それか『オリジナル設定の楽器じゃなくて、本当に現実にも存在する楽器』から取ってくるとかさあ……現に聖羅の特技のバイオリンはここでも存在してるんだし。『鈴(シェリ)』は野村先生が考えたこの世界だけの楽器なんだから、鈴の数なんていくらでも変えられるでしょう? そこまでこの世界で『七』という数字を神聖視する理由も説明も無いので、鈴の数と子供として産まれた順番の数字を一緒にして欲しかった。他の子供たちの名前には漢数字が入ってないのに、いきなり「この子の名前は鈴七よ!」と言われて、読者に「あれ? この国の王子と王女って上に六人いたっけ……? 五人じゃなかったか?」と思わせること必至。せめて、「『鈴(シェリ)』の鈴の数とそれに含まれた意味でそれを持った子に育って欲しいのですが、ちょうどこの子が『七の日(または月)』に産まれたのもあるのですよ」とか、もう一言深く切り込んだ説明が欲しかった。でなきゃ、この「鈴七」のネーミング由来はちょっとなあ……。
 それに加えて中盤の「グリンダがいろんな場面で大活躍!」……は元より、シャールが「古代の歴史好き!」とかいうちゃんとした趣味の設定があるんだから、全部テキトーな指摘やラッキーで済ませるのではなくって、「グリンダ嬢、この川はよく氾濫を起こすのですが、このような堤防の設計で大丈夫でしょうか?」には、「(あっ、これは昔のイスピス王国(私がテキトーに考えました)にあった絶対の防御を誇った川の堤防と似てる……けど、この国の地形と現代的に合わせるなら、ここがおかしいかな?)えーと、この辺りを考え直されてはどうでしょう?」とシャール自身の知識も合わせて切り抜けてもらいたかった。そうしたらもっと主人公への好感度が高くなるのになあ。芸術センスを発揮するのに絵の具を溶かしたバケツを壁にぶっ掛けただけで「素晴らしい躍動感だ!」「国王さまに進言して、国宝に認定してもらおう!」……えっ、アンタらの目ん玉は節穴ですか? それなら、本場ニューヨークのストリートアートなんかは、もう世界遺産レベルだろ? お前、要らない時にだけ「あー、そう言えばこの人って国王になる前は『蒼き妖魔』とか呼ばれてたな……おお、怖い怖い」とか言ってんじゃねーよ。読んでいて、「もしかしてこのテキトーなグリンダを褒めてばっかりいる人たち……大臣の指示でわざと褒めて天狗にさせて、グリンダの致命的な失敗を招こうとさせているのか?」と考えていましたが、杞憂も杞憂でしたよ。
 ギルマーとの武術試合でも、「グリンダ嬢は剣で戦うのかと思ったら、ギルマーの突進を避けて、更に自分の力を加えて投げるとは!」「あの瞬間の見切りの判断がすごいな!」「くそっ! まさかこの俺が女に投げ飛ばされるなんて!!」って……? えーと、ギルマーよ……お前は実際にグリンダに投げ飛ばされたんだったら、普通にグリンダの手の感触とか感じるよね? 第一、グリンダは「僕は何もやってない。膝を着いて謝って許してもらおうとした時に、お前が勝手に躓いて転んだんだよ……」とか思ってるのに、ギルマーはなんで自分で躓いたことに気付かないの?
 そんで、マラソン大会に出る前に「ゴールのすぐ手前にバナナやドリンクの樽があるから、それにこの下剤を仕込めば……」じゃねーだろ。あの……普通、そういう栄養・水分摂る系は中間地点ぐらいに置くものじゃあないでしょうか、野村先生? オリンピックでもなんでもいいんで、本当のマラソン見たことあるの? ゴールのすぐ手前だったら、栄養も水分も補給してもほとんど意味ねーよ。悪くても、「ゴールした者から好きなだけ食べていいぞ!」っていう参加賞・ご褒美的な提案になるでしょう? でももしゴール手前でライバルたちに食わせても、主人公は元々体力無くて脚が遅いんだから、追いつくまでに這ってでもゴールするやついるよね? つか、実際「下剤バナナ」食ったギルマーがあまりの腹痛でスタートダッシュしてゴールまで一直線で一位獲ってますから、食べたみんなは余計にゴールの方にあると思われるトイレに行きたくなるんじゃねーの?
 それと本物のグリンダが来た時、「一晩で古書店な我が家の商品を読破して、今朝までうちにいたけどそのお礼に処方してくれたハーブの入浴剤が、これがまた悩んでいた肩こりに良く効いたんだ!」と店主が言っていたけど……あの、エーレンって朝と夜のどっちも風呂に入るの? しかも即効性あり過ぎだろ……。

 女装主人公一人称のテンポは良かったし、内容もいろいろ考えていたようだけど……なんだかこの本では稚拙なところがやけに目立ちました。表記してある野村先生の名前はもしかしたら私の幻覚ではないのか、と思うぐらいに……。失礼ですが、あまりに忙し過ぎてゴーストライターでも雇いましたか?(それにしては全然、『ゴースト』らしい役割すら果たせていないけど)
星2つ★★☆☆☆……プチ地雷ですね。

posted by mukudori at 04:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | ファミ通文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月07日

“若紫” ヒカルが地球にいたころ……(3)/野村 美月

 更新遅れてごめんなさい!
7月はどうしても7日の七夕に更新して、カレンダーに更新マーカーを付けたかったんです! えっ、それなら2回更新しろって!? ちょいとスケジュールが詰まっているので、そいつは出来ない相談だな……。私は速読が出来ないので、波長の合う文章以外だと読むのに時間掛かるんですよ。
うーん、でもせっかくの七夕だけど、生憎と晴れの国・岡山も雨模様で天の川は見れないっぽいですけどね……。まあ、一昨年の長渕剛の倉敷コンサートライブが7日にあったので、それで記念日なんですよ(笑)。
“若紫” ヒカルが地球にいたころ……(3) (ファミ通文庫)“若紫” ヒカルが地球にいたころ……(3) (ファミ通文庫)
野村 美月 竹岡 美穂

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お前の犬になってやる

 ヒカルの今度の「願いを叶えたい相手」は――なんと9歳の美少女小学生!? おい、そいつはやばいぞ。周囲に誤解されねえか……と是光が危惧するも、それはやはり現実となって!? でも、その小学生……紫織子(しおりこ)が内に抱えているものは、その小さな身体に対してあまりにも大きく重くて!? はたして、是光は今度も女子を救えるのか! 源氏物語シリーズ、第3弾!


 うおっ! こいつは……いままでの2つの話よりも段違いにヘビーだなあ……。
 あと、どこを取ってもロリコン(笑)
冒頭のしーこ(紫織子のあだ名)に「お兄ちゃんなの……? あのね、ヒカルとの約束通り、しーこのバージン奪ってくれるんでしょう?」のインパクト(笑)。それに加えて母親が十五歳の中学生の時にしーこを妊娠して産んだってところ……。うーん、ロリコン垂涎!w

 ネタバレあらすじー。
 前巻で式部さんに告白されたことをもやもやと抱えつつ、ヒカルの頼みでペットショップでゴツイ首輪を買わされて、更にそれを装備させられて小学校に。そしてそこで若木(わかぎ)紫織子というツインテールの美少女が待っていて、「お兄ちゃんが、ヒカルがくれた最後のプレゼントなのね。じゃあ、しーこのバージン、奪ってくれる?」と言って、小学校のシャワールームに連れて行かれる。だが、しーこが「ああっ、足が痛いわっ!」と言ってしゃがんで、是光が「大丈夫か?」と屈んだところを、しーこの携帯で写メられる。そこでしーこは豹変して、「……ふん。これをばら撒かれたくなければ、あたしに協力しなさいよね、駄犬!」と言う。→ヒカルに訊くと、「騙してごめんねー、是光。実はしーこは、ぼくと出会った時、そこらのオヤジに『あたしのバージン、百万円で買ってくれませんか?』って言ってたからら、ぼくが『君のような美しい少女に対して、たった百万円は安いね。ぼくの方が、高く買ってあげられるよ』って言って、仲良くなったんだ。それで、その時に『強面の凶暴な忠犬が欲しいわ』って言ってたし。うん、君にぴったりだよ!」「お前、ロリコンじゃねーか」「やだなあ。ちゃんとしーこが大人になるまで待つつもりだったよ」と、事情を聞く。しーこは、母親を早くに亡くしたのでいまは祖父と一緒に暮らしていて、囲碁のプロ棋士だった祖父が、知り合いの保証人になったお陰で騙されて実家を手放してしまい、それを取り戻すために必要な6400万円を集めているのだと言う。ちなみに一応、しーことの約束通りにヒカルはしーこの実家を生前に買い戻していたが、しーこに「別にもうぼくのものなんだから、しーことおじいさんで住んでいいんだよ?」と言うが、「ううん。たまにこうやって遊びに来させてくれるだけでいいわ。ヒカルとの約束をちゃんと果たしたら、おじいちゃんと一緒に住むの」と言っていた。そのため&生活費稼ぎにしーこがおこなっているのが……「雀狩り」という名目の「ロリコンオヤジ狩り」。自分の外見を利用して、そこらのオヤジに体当たりしてこけて、オヤジが心配しているところに是光を呼んで「お兄ちゃん! このおじさんがあたしにエッチなことをするの! あっ、でも、この界隈で一番喧嘩の強いお兄ちゃんの鉄拳で殴らないであげて! あたしは……そうね、慰謝料ぐらいをもらえれば大丈夫だから!」と言ってオヤジは青ざめるが、是光は逆にしーこを怒って、「すみません、こいつが迷惑掛けました。もう行ってくれていいですよ」「ちょっと! なんで得物を逃がすのよ、この駄犬! 役立たず!」と言われる。なので是光はしーこに「お前、若いうちからそういうことをしてたら、いつか痛い目を見るんだからな」と苦言を呈するが、しーこは聞かない。だがその上、久世宗一郎(くぜ そういちろう)という大手食品会社の会長のおじいさんに今度は体当たりして懐いて、自分の「偽の可哀想な境遇」を吐いて同情を引いて信頼を築いて行く。「あいつがあたしの最大のターゲットなのよ。絶対に許さないんだから!」としーこは言うが、是光はその時コンビニで『十年前の、島根県でハンバーガー食中毒事件の真相!? 自殺した責任者の吉国守(よしくに まもる)氏は無実だった!?』という記事が載っている雑誌を見つける。記事では、その会社の当時の社長の久世が、食中毒事件の責任を全て秘書だった吉国に被せて自殺に追い込んだ……と書かれていた。それをしーこが、「その人がたぶん、あたしの本当のお父さんよ。だから久世に復讐してやるの。だって、おじいちゃんの箪笥の中から、お母さんに宛てた手紙を見つけたんだから! だから、あの手紙を機会を待って持ち出して、世間に公表してやるぞ、って脅せば久世のやつも6400万円ぐらい……」と真相を話す。だけど、その矢先に朋彦(ともひこ)という、元々心臓を悪くしていたしーこの祖父が倒れて病院に。その上、実は……祖父は、とっくに認知症になっており、しーこのことをずっと「リコ」という、しーこの母親と勘違いして暮らしていたことを是光は知る。→是光は、とりあえず病院からしーこを連れ出して、自分の家に叔母と祖父に事情を話して連れ帰る。それで一緒に遊んでやったりして、しーこをなんとか慰めようとする。だが二日目の夜にしーこはみんなに黙って出て行ったので、ヒカルが「幽霊のぼくは見ていたよ。しーこは、携帯を開くとそれを見て、こっそりと出て行ったんだ。でも、なんでぼくはこういう大事な時に、是光に干渉出来ないんだろう! 君を起こしたかったよ!」と言う。事情を知った是光は、叔母と祖父にも探してもらうが、とりあえず学校に行ってブログを持っている式部さんや、久世のことを知っている葵にも事情を話して協力してもらう。すると葵から「可愛い小さな女の子が、久世さんの会社の幹部である郷原(ごうはら)さんと一緒にホテルでお食事をしていた、という目撃情報が入りました」と言ってきたので、是光は「しーこはとうとう久世に挑むつもりか!?」と思い至って、そのホテルに向かう。だがそこで、郷原に「いまこの部屋で会社の重役会議が開かれているから、マヌケな自分の子供を後釜に据えようとしている久世を引きずり落とすチャンスなんだ。そして私が社長に……ぐふふ。偶然、吉国くんの子供の君に出会えて本当に良かったよ。そして、先日の夜中に連絡をくれてね」と言われていたしーこは手紙を握り締めて郷原と一緒に乗り込むも……――そこの広い会場には、久世が一人で花を生けていただけだった。久世は穏やかな笑みを浮かべつつ、「おや、どうしたんだね、郷原くんに紫織子ちゃん。ああ、そういえば君の秘書くんは、ずっと私の腹心でねえ。……さて、郷原くんは出て行ってくれないかね? ちょっと、紫織子ちゃんとお話があるんだ」と、全ては久世の手の平の中だったことを二人は思い知らされる。そして紫織子は久世に手紙を見せるも、「これは……なんだい、単なる吉国くんから君のお母さんへの近況報告じゃあないかい。悪いけど、こんなものではあの事故の証拠にならないよ?」と言われて絶望する。そこに是光が現れて、ヒカルの推測を代わりに全て話す。「ちょっと待て! その手紙にはちゃんと意味がある! だって紫織子は――アンタの、実の娘なんだからな! 当時14歳だった孫ぐらいの歳の子に手ぇ出してんじゃねーよ、このロリコン野郎! その手紙の中で、吉国さんは『入籍をするのに、父親の許しをもらわなければなりませんね』って書いてるだろ! でもその吉国さんが天涯孤独だったことは、アンタも知ってるはずだ! なのに『父親に許しを〜』っておかしいと思うだろ!? なら、アンタの秘書だった吉国さんが、代わりに紫織子のお母さんに手紙で報告してたんだ! そしてその手紙の中で、『春及殿(しんきゅうでん)に羆(ひぐま)を飼い〜』とか訳のわかんねー単語が書き連ねられてあるのは――全部、アンタの好きな蘭に付けられた、品種の名前だっ!!」「なんだと……!? もしかして、紫織子ちゃんは……若木、翠里子(みどりこ)……デビュー前の芸名、『riko』だった子の娘なのかい!?」「本当なの、駄犬!?」「ああ、そうだ。疑うんなら、DNA鑑定でもしてみろ!!」と言い放つ。そこに、携帯の音が鳴る。取ると――紫織子の祖父の朋彦が亡くなった、という病院からの電話だった。→朋彦は最期の最期で死の間際に意識を取り戻して、「しーこ、庭の夏椿が綺麗だねえ」と、ちゃんと孫のしーこに向けて話していた、と看護師が語った。そして葬儀の場で久世がしーこに「私の元に来てくれないか」と言ったのに、しーこは少し悩んだ後……頷いた。そして是光は、「しーこにとって、家族と一緒に暮らせる、これが一番いいんだよな。マンションも教えてもらったし、いつでも会えるのは会えるんだし」と思っていたが、是光のことを嫌っている同級生の斎賀朝衣(さいが あさい)に「あなたは甘いわね。久世氏には、ちゃんとした家族がいるのよ? だからあの子はきっと、これから認知もされずに全寮制の学校に入れられて、養育費を受け取るだけの生活……幸せだと思うの?」と糾弾されて、「そうだ! しーこはじいさんの葬式の時から――悲しいはずなのに、一度も泣いてねーじゃねえか!」「ぼくも――しーこを久世さんに任せたくないよっ!」とヒカルと一緒に思い至って、学校をサボってしーこのところに行く。そこではしーこがまさに車で全寮制の学校に連れて行かれようとしていた。その前に立ちはだかる、是光。「俺のところに来いっ! 大人になるまでお前の犬になって守ってやる、って約束しただろーが!!」と言われて、そこでしーこは初めて、『駄犬』ではなくて、是光の名前を呼んで車から出て泣きながら是光の胸に飛び込む。久世が「私の娘を返してくれないかね」というが、ヒカルの助言で「悪いができねー相談だな。だがしーこの代わりに、吉国さんの事件の真相を黙っててやる、ってことでどうだ?」と持ち掛ける。「何をまだ言っているのかね。その手紙には意味が無い、と言っただろう?」「いいや。この手紙の消印は――島根県であの食中毒事件が起こった当日だ。なのに吉国さんは、『これから父親に会って許しを〜』と書いている。なら、『父親』は吉国さんの側にいたってことだ。でもアンタはその日、都内にいて知人と食事をしていたんだったな? こりゃあどういうことだ? つまり真相は――アンタもその日、島根県にいて、吉国さんに罪をおっ被せたんだよ!」「そ、そんな手紙など……いくらでも偽造出来る!」「そうかもな? でも、いまの会社での権力が衰えたアンタにこの追い打ち――後釜を狙ってる郷原とかいうやつらが、こぞって糾弾するだろうな? 警察に言って、更に十年前の事件を掘り返されるかもしれねーぞ? 今度破滅するのは……お前だ、久世宗一郎!」……これには、久世も地面に膝を着いた。そしてしーこは是光に着いて行き、「でも、小学生を養うのって、お金掛かるのよ!? いいの?」「馬鹿言え。それぐらい、俺がバイトでもして稼いでやるよ。『雀狩り』なんてまたやったら、天井に吊るしてやるからな。ああ、そうだ。お前さ、ヒカルに言いたいこととかねーのか? いまなら、きっとヒカルも聞いてるぜ」「うん――。ヒカル、あなたのこと、大好きだったわ!」としーこはまた涙を見せた。→エピローグ。是光の赤城家にしーこは叔母と祖父の許しを得て引き取られる。しかもそのすぐ後、久世が政治家への献金問題で任意同行されたのをニュースで知り、更にその政治家が十年前の事件で久世のアリバイを作っていたことを追及され、警察も十年前の事件を掘り返すことに。しーこも複雑そうな表情でそのニュースを見ていたが、赤城家への引っ越しが完了するころにはちゃんと笑顔を取り戻していた。近くの小学校に転校して、是光のことも「是光お兄ちゃん!」と屈託なく可愛い笑顔で呼んでくれる。だが、「じゃあ、やっぱりヒカルの代わりに是光お兄ちゃんがあたしのバージンをもらって、女にしてね! 約束よ!」と言ってきたのには、是光は目を剥いた。そして今回の件で世話になったみんなに礼を言って回ると、葵に「あの、赤城くんっ! わたしの――彼氏になってくださいっ!」といきなり言われたのだった。
おまけの「朝ちゃんの休日」……ここまで読まれると、久世が突然捕まった理由などがわかります。それと朝ちゃんが感動系映画をわざわざ見て、「雪の降り方が不自然だわ……人工雪ね」「なんでこいつら、明日にも自分のレストランが潰れるかもしれないのに、犬小屋を作ってるの?」「まあ、最後に病気になった犬が、意味不明な『奇跡』なんかで助からなくて、ちゃんと死んだのは良かったわね」……とかw やべえ、朝ちゃんのこういうところ好きだw 彼女にしたいぞ!w

 うーん、微妙に本編は後味悪いなあ……。
 久世が最初は「優しいおじいさん」だったのに、話の構成的に仕方ないのかもしれませんが、最終的に「悪い大人」に貶められたことで、「テレビ局のスポンサーとしての権力を使って、デビュー前の14歳の子供に手を出して妊娠させた」という事実がもう完璧に変態のロリコンジジイの行為として全く擁護出来ないので、母親を汚されたしーこが可哀想ですね。でも、吉国のことをうやむやにせずに、懲悪を突き通したのはいいと思います。
 つーか、「雀狩り」って……いくらなんでも、こじつけ過ぎな単語だと思います。いくら源氏物語で光源氏が若紫と出会った時に、雀がいなくなって泣いているところに惚れた、っていうのを当て嵌めたくてもなあ……。普通に「オヤジ狩り」か「ロリコン狩り」でいいじゃん。こういうところは、ちとマイナスポイントですね。
 あと突っ込みたいのが、年金受給のおじいさんと一緒にかつかつの生活環境で暮らしていたはずのしーこが、なんで「携帯なんていう高級品」を持ってるの? 「雀狩り」に必要だとはいえ、認知症を患っているおじいさんを保証人にして携帯ショップに連れて行って必要書類を書かせるのとか、結構難しいと思うんですが?
まあ、しーこのことだから、ヒカルが生きているうちになんとかしてもらったのかもしれませんね。それか、その当時はおじいさんがまだちゃんとご健在だったか。
 それといい加減(まあ、今日の更新の時点でもうこの源氏物語シリーズは完結しているのですが)、ヒカルはもう幽霊なんだから、ヒカルの台詞を普通の「」でくくるのはやめてくれないかな……。普通の人間との会話の途中にもヒカルが普通の「」で茶々を入れてくるので、「あれ? これって誰が喋ってんだよ?」と思って混乱するところがしばしば。
 でも、朋彦の最期の言葉とか……祖父・祖母の死とかを使う、こういうのに弱いんだよ! 私はじーちゃん・ばーちゃんっ子だからな! そこでは思わず目がちょっと潤みました。

 評定は……星4つ★★★★☆かな。オススメです。
しーこも全体的には生意気でありつつも、ピュアで祖父想いなところがあって、最終的な「是光お兄ちゃん!」がたまりませんね。
つーか野村先生、後書きで「『ドレ僕シリーズ』も並行刊行していますので、そちらも是非買って、売り上げに貢献してください!」ってぶっちゃけちゃうのはどうなのw いやアンタ、もうベテランだからある程度の固定ファン付いてるでしょ?

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2014年02月02日

リーガル・ファンタジー 1 勇者弾劾裁判/羽田 遼亮

 今回レビューするラノベは、著者である羽田先生自らメールをくれてご献本いただいたんだよ! わーい! あ、でも、いつものmukudoriお兄さん&お姉さんらしく、「ツルツルちゃん」の時みたいに、悪いところは悪いって言うのでよろしく! さあみんな、括目せよ!
 ……あ、ところでメールのやり取りをしている際に本へのサインをお願いしたのですが、羽田先生のサインの文字、超可愛い! ついでに付いてきた猫ちゃんの顔文字とか……羽田先生の本当の中身は女子高生じゃないのか!? と言いたくなりましたww
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異議あり!

 法治国家であるセレズニア王国。そこの王都に住んでいる法律学校を卒業したばかりの見習い弁護士の少女、フィオナは『勝率99%の法廷の魔女』の二つ名を持つエルフの弁護士、スミオ・マリアヘルの法律事務所に入った……が。スミオは大の守銭奴であり、「貧乏人からは依頼は受けぬ」という信念を聞かされて、平民上がりのフィオナはさっそくスミオに辞職届を叩きつけた。そして今度は、小さいけれど民衆の味方であるダビド事務所に所属したが、スミオの計略で破産。スミオに借金のカタとして働かされているフィオナが受けた依頼人は――300年前に魔王を倒した勇者!? 第15回えんため大賞優秀賞受賞作!


 フィオナちゃん可愛いよフィオナちゃん! スミオいいよ、スミオ!!
……あ、サーセン! 内容の感想を述べなきゃいけませんね! 萌え萌えしてる場合じゃなかったw
はっきり言って……結構面白かったです!
 あと、キャラクターの造形がいいですね。フィオナはもちろんですが、スミオも傲慢ながらも優しいところや基本的に公明正大な性格なので好感が持てました。ウガも可愛い!
スミオが「『わかっておるではないか、小娘』と言って、フィオナの髪の毛をぐしゃぐしゃと掻き混ぜた。」とか、姉妹みたいで微笑ましい!
……でも、それらへの好感度を覆すほどに勇者への好感度が低いんですよね……。これについてはネタバレあらすじを最後まで読んでいただければわかると思います。

 ネタバレあらすじー。
 フィオナ、スミオ法律事務所で採用されるが、「お前は妾より胸が小さいから採用したのじゃ」「貧乏人の相手はせぬ」という傲慢で守銭奴なスミオに見切りをつけて、初老の男性がやっているダビド法律事務所に入る。初法廷は子供たちの親権を巡る離婚裁判。最初は上手く行っていたが、スミオの手腕と口であっという間に負けてしまう。しかも翌日から所長のダビドが出奔する。ついでにフィオナはダビドの借金の保証人になっていたので、お先真っ暗。そこに来たのがスミオで、「妾にもう一度仕えるなら、借金を肩代わりしてやろうか?」と言ってきて、フィオナは降伏した。それもそのはず。フィオナを気に入ったスミオが暗躍して、ダビドに小金を渡してフィオナを騙すように、と裏で手を回していただのだった。→スミオ事務所でこきつかわれるフィオナ。そこに王国の宰相がやって来て、スミオに依頼するが断られる。それを見ていたフィオナがこっそり宰相にアポを取ると、「実は被告人は――その300年前の救国の勇者さまなんだよ」と告げられた。実際に会ってみた300歳の勇者アルスは不老不死の身体に寄り掛かって、酒浸りでセクハラ三昧の駄目男だった。→フィオナはこっそりスミオにもメイドのメープルにも内緒で、自分のアパートでウガという「親父を殺すまでカカさまの元に帰れない」という身元不明の少女を匿っていた。だがウガをお風呂に入れると、お尻に変な突起物と蝙蝠のような闇色の羽が現れた。ウガは、魔族の子供だったのだ。→『勇者弾劾裁判』では、300年前に「勇者よ、我と世界を分かち合わないか」という魔王からの誘い掛けに、なんとアルスが「YES」と頷いたのを、「あの時勇者が『NO』と言ってくれていれば、もっと聖魔戦争の犠牲も少なかったんじゃないか」という現代の考えを持った人間たちによって、アルスが告発されたことによるのだった。法廷で、検事によってアルスはこれまでの悪行(例:効率がいいから、とメタルアメーバを狩りまくって絶滅寸前に追い込む)を連ねられるが、スミオは口八丁で切り抜ける。だが、酒場の主人の証言で「ちっ、こんな糞みたいな世界になるんだったら、あの時の手打ち金を魔王からもっともらっておくんだった」というアルスの一言で場のムードは逆転。休憩に入り、スミオはアルスを怒りのままに滅多打ちにする。とりあえず「勇者は魔族から何も受け取っていない」ということを押し通して、裁判は一時休廷。後日に持ち越す。そしてアルスに有利な証人を集める際に、些細なことでフィオナとスミオが喧嘩してしまう。だけど二人は二人でカジノで有益な情報を手に入れていたり、ウガの言う「カカさま」実は魔族の王――女魔王だったことを知る。→裁判日、ウガを証人として法廷に呼ぶ。そしてウガを魔族で魔王とアルスの娘だとみんなに認めさせた上で、「この少女の魔力は一般の魔導師の30倍ぐらいはある。母親なら、なおさらあるだろう。それで、勇者が魔王を誑し込んでいなければ、今日のこの日に悠長に裁判などとやっておれたかのう?」とスミオが締めて、裁判はまた後日に回される。→最終弁論の日。スミオの自宅から、アルスと酒場の主人の証言に矛盾が生じることを記した、切り札の書類が何者かによって盗まれた。ということで、スミオは劣勢。その上、清廉潔白で公平だと思っていた裁判長がアルスの息子であり、たった一代で家庭の財産を食い潰した父親を憎んでいるということも。そして――切り札の書類を盗んだのが、フィオナだということも……スミオの心を苦しめていた。――そう、フィオナは実は……アルスの娘であり現在敵対しているグレンモア検事と裁判長の腹違いの妹であった。幼いころにフィオナと仲の良かったお姉ちゃんを自殺に追い込んだ原因のアルスを、どうしても許しておけなかったのだ。スミオはスミオで、昔フィオナの村に、『村に被害をもたらした、悪徳霊薬会社』を訴える裁判のために行った時、「べんごしさんはすごいんでしょ? お父さん(アルス)が妹の病気のために禁漁区のユニコーンの角を獲りに行ったのを許してもらうために、べんごしさん、わたしのいらいをうけてください!」と子供の小遣い程度の報酬でフィオナの依頼を受けた過去があり、その縁でフィオナを事務所に採用することとなったのを思い返していた。そんなスミオは、証人としてフィオナを「勇者の娘だ」と言って証言台に上げる。フィオナは父親(アルス)にされて一番つらかったことを語る。「わたしが法律学校に通いながらバイトをしているファストフード店に……来たんです。『キッズセットをくれ』って。その両手には、優しそうなお母さんと……可愛い娘さんがいて」と。場が沈黙するが、フィオナは「世界一憎いお父さんだけど、それでもわたしは――」可憐な少女の涙ながらの証言で、勇者は見事無罪を勝ち取ったのだった。→エピローグ。「いやあ、ありがとうな、フィオナ! やっぱり持つべきは愚鈍な息子よりも冴えた娘だ!」とアルスがフィオナに言ってくるところに――決まるフィオナの右ストレート。フィオナはこれまでいろんな人々に迷惑を掛けた父親をその分殴ることで清算させようとした。法廷内だが、誰もそれを止めようとはしなかった。以降、アルスは王国で暮らしているが、フィオナを見ると震え上がるようになったそうだ。

 ふう……読み応えあったなあ!
 うーん、でも「ご期待のシーン(フィオナの着替え)には、残念だが謎の光で隠させてもらう。青色円盤特典で補完してもらおう」とかいう地の文でファンタジー世界に存在しないブツを持ってこられてもなあ……。そういうメタ的なネタを持ってこられると、せっかくそのちょっと前(二章の最初の方)で思いっきり四方ばっちり固められていたファンタジーな世界観がぶち壊されましたね。あ、ウガの「ファッ○!」もそんな感じがしました。英語をそんなに使わず、普通に「クソッタレ!」で良かったんじゃないでしょうか? それに201Pで「『争いは同じレベルの者同士でしか発生しない』というのは、至言であり金言であるが……」と語っていますが、それは漫画の「神のみぞ知るセカイ」が元ネタなので、「えっ!? このファンタジー世界で使っちゃっていいの!?」……と、ものすごく違和感を覚えました。フィオナとスミオの「無理ゲーだわ……」という台詞にも。この世界にやろうとしても無理なテレビゲームがあるんかい。
 それと、勇者の名前(『アルス』って……『ロトの紋章』かい!ww 賢者ポロンの合体魔法とか好きだったなぁ……しみじみ)「国際法で勇者は人の家に勝手に上がり込んで物を強奪することを認められている」とか、「大盗賊カンダタ」、159Pの「助けた王女を連れて宿屋で一晩」、「アイーダの酒場で仲間募集」、「婚約者に富豪の娘か幼なじみか、どちらかを選ぶ」とか……ちょっと読者側にドラクエ知識を要求してくる&ドラクエネタに頼り過ぎなファンタジー世界観ですね。知ってたら少しだけ笑えるけど、知らなかったら「? そんな法律あるんかい?」って違和感を覚えます。
 そんでもって、168Pの「そりゃ、アルちゃん(アルスのこと)が最初に俺の酒場に来た時なんか、『どこのホストクラブだ』っていう飲み方をしてたね」……これは、なんでホストクラブ? アルスは女好きなんだから、『キャバクラ』で良かったんじゃないの?
 ついでに編集さんに文句を言いたいのですが、「偏(ひとえ)に」、「吝嗇(りんしょく。意味:ケチなこと)」、「馭者(ぎょしゃ。これは普通に一般的な『御者』の方を使って欲しかったですね)」……これらを、中高生で一発で読める子なんてほとんどいないと思います。ちゃんとルビ振ってください。

 面白くて、女の子キャラには好感が持てましたが、勇者への好感度がかーなーり、マイナスです。
 でも続刊が出たら読みたいぐらいなので、星4つ★★★★☆かな。オススメです!
 羽田先生、この度はご献本ありがとうございました! 『法廷ファンタジー』という物語の性質上、『悪役』もしくは『馬鹿キャラ』は作らないといけないのでしょうが……次巻では、もうちょっとストレスフリーなキャラでお願いします! 今巻の勇者、マジクズのマダ男でしたわ(真顔)。

posted by mukudori at 02:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | ファミ通文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月20日

東雲侑子は全ての小説をあいしつづける/森橋 ビンゴ

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あいしつづける

 英太と東雲は高校三年生になった。クラスもばらばらになった。受験の年なので、二人が出会った図書委員も、もうすぐ終わる。東雲は行きたい大学をもう見据えているが、英太は進路に迷う。そんな時、喜多川が恋愛相談をしてきて――!? 東雲侑子シリーズ、第三弾にして最終巻!


 くっ、森橋先生のボディブローは効くぜ!
話は今回で終わりですが、打ち切りではなくて『終わり』なのです。
後書きには「最初からこのぐらいの巻数で締めようと思ってました」とありました。
もうちょっと二人を見ていたくはありますが、あの綺麗なラストで締められたら拍手せざるを得ないぜ!

 ということで、ネタバレあらすじー。
 高校三年生になった二人。クラスも別々だが、基本的に主人公が東雲のクラスに遊びに行くので無問題。そんな時、喜多川が「教育実習生の人に告白されたけど、どうすればいいのかわからない」と主人公に相談を持ちかける。東雲にも話した結果、喜多川はその実習生の実習期間が終わって、自分が高校を卒業したら付き合うことになる。主人公の友達も、「友達の彼女を好きになった」、司書さんも「行きつけのパン屋さんを好きになった」、とラブハリケーンが渦巻く。それらにぶつかって行くうちに、モチーフにして東雲は一冊の恋愛短編集を書くことに。→主人公が進路に迷っているところに、東雲が「ここ、私が好きな評論家の先生が教授をしてるから行きたいの」と言って、主人公には少しレベルの高い大学の問題集を一緒に解いたりする。→夏休み。東雲と主人公は京都・大阪までの旅行を計画。「夫婦善哉」のお店に行ったり、たこ焼きを食べたり、漫喫する。だがホテルのツイン部屋で主人公はたまらなくなって東雲にキスをする。そして自分の進路を告白。「俺、アメリカの大学に行こうと思うんだ。それで翻訳家になって、東雲の小説を全世界の人に見てもらいたいから」と。主人公は両親が行っているアメリカに行こうとしているのだった。最低でも四年以上離れることで東雲は泣くが、「そんなに嬉しいこと言われたら反対出来ないじゃない……」と主人公を応援する。→エピローグ。アメリカ――ではなく英語の練習のため、カナダの家にホームステイしている主人公の元に一冊の本と手紙が届く。本のタイトルは『恋愛学舎』。東雲がこの一年でぶつかってきた恋愛問題を取り扱った短編集だった。相変わらず「主人公とは『長編小説が書けるまでのお付き合い』」という最初の理由付けが怖くて、主人公とはちゃんと付き合っているが長編小説は書けない。だが、短編小説ばかり読んでいた東雲は全ての小説を好むようになった。そんな『恋愛学舎』の冒頭には――「この本を、私の一番大事な人に捧げます。」とあった。それを見るだけで、主人公は胸がときめく。返す手紙には、「こちらこそ、俺と出会ってくれてありがとう」と東雲と同じ文章を書いたのだった。

 うーむ。読後感が素晴らしい!
こんな高校生活送りたかった! これに尽きますね。
読後は後書きページも必見です。

 星5つ★★★★★もってけドロボー!w

posted by mukudori at 21:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | ファミ通文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月16日

東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる/森橋 ビンゴ

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あいしはじめる

 三並英太が東雲侑子と付き合いだして――特に進展はない。ただ、学校で東雲が小説家だということがばれてしまった。そんな折の修学旅行で喜多川(きたがわ)というクラスメイトの女子が英太に告白してきて!? 自分の兄たちの恋愛も気になる、東雲侑子シリーズ第二弾!


 うむ。今回も満足満足
なんで森橋先生は、こんなに高校生に戻りたくなっちゃうような文章書けるんだろう!
 にしても、これで四方の名字が出揃ったかー。
東……東雲、西……西園、南……三並、北……喜多川、……ってね!

 ネタバレあらすじー。
 新聞部所属の喜多川が後輩の副島(そえじま)という本が好きな女子から「よたか」という文学誌に載っている東雲の写真を見せてこられて、主人公に鎌をかける。東雲がその日は休みだったので、主人公もちょっとぐらいなら影響はないと思って肯定する。→そして喜多川は東雲に「学園祭の演劇の台本を書いて欲しい」と頼み込み、東雲も承諾。そのころ主人公は兄の恋人であり、もう家族のような存在の有美(あるみ)さんから「景介(けいすけ・主人公の兄)が知らない女の子と話してた。英太、本当なのか訊いてきて」と相談を持ちかけられていた。兄に訊くと、あっさり「確かにその女子に告白された」と答える。だが主人公はそんな真実は伝えてやらない方が有美さんが落ち着くだろう、と思って黙っている。→修学旅行で沖縄に。女子に囲まれてビーチで水着姿を披露されるが、東雲は学校指定のスクール水着だった。最後の夜、喜多川に「あたしの方が……東雲さんより三並のことが好きかなって思ったの」と衝撃の告白。→スランプ中な東雲と、少し距離を置く。すると喜多川が映画デートに誘ってくるので承諾。その映画の帰り、お茶をしているところを東雲に見られる。主人公、追い駆けるし電話もするが、見つからない。有美さんと兄は、兄が初めて有美さんに手料理をふるまった時の「思い出のカレー」を作ったことで仲が修復。東雲も、スランプながらも学園祭の脚本は完成させ、「この原稿のデータが入ってるCD-R、一枚は三並くんに読んで欲しいの」と言って主人公に渡してくる。→その脚本、『いとしくにくい』を読んだ主人公と喜多川は「「東雲の感情を誤解していた。感情が薄いように見えるけど、本当はもっと起伏のある女子なんだ」」という答えに辿り着く。そして主人公はもう二度と喜多川と二人で会ったりしない、と誓う。夜中、駅前のシンボルに東雲を呼び出して、「俺、やっぱり東雲が好きだ」と主人公が告白。東雲も「三並くんのことを考えているうちに、喜多川さんと一緒にいるところを見たら、『なんでそこにいるのが私じゃないんだろう』って思うようになったの……」。そうして、『いとしくにくい』は出来上がったのだった。その上で東雲は「私のこんな感情全てで……三並くんのことが好きなの」と告白する。二人は、抱き合ってキスをしたのだった。→学園祭、『いとしくにくい』はラストをハッピーエンドにして上映されることに。そして東雲は、「私、次の小説は恋愛小説にしようと思うの」と言って主人公を驚かせたのだった。

 うーん、いい話だねえ。
欲を言えば、もうちょっと兄と有美さんの出番が欲しかったかな?
主人公と東雲のスパイスは喜多川で充分足りているので、兄たちの役割みたいなのが欲しいのですよ。

 そんなこんなで今回は星4つ★★★★☆。次回更新は3巻を予定しています。

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2013年10月06日

東雲侑子は短編小説をあいしている/森橋 ビンゴ

東雲侑子は短編小説をあいしている (ファミ通文庫)東雲侑子は短編小説をあいしている (ファミ通文庫)
森橋ビンゴ Nardack

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あいしている

 三並英太(みなみ えいた)は普通の高校生だ。全員部活か委員会に加入というこの高校の制度により、「楽そうだから」という理由で図書委員になった。昼休みと放課後、自分と一緒に図書委員を勤める少女、東雲侑子(しののめ ゆうこ)。短編小説しか読まない彼女のことが気になって……? 東雲侑子シリーズ第一弾!


 うおーーーーーーーーーーーー!!
読後、めっちゃ叫びたくなりました。
何この甘酸っぱさ! 青春! 「東雲」、「三並くん」……たまんねえ!
 ……でもあらすじにするとすごく短くなるんだよなあ。

 ということでネタバレあらすじー。
 同じ図書委員の東雲が短編小説しか読まないことを知り、自分も短編小説を読もうと思って本を探していたら、主人公、侑子が「西園幽子(にしぞの ゆうこ)」というペンネームで短編小説家としてデビューしていることを知る。→そして話し掛けると、侑子は「編集さんに長編の恋愛ものにも手を伸ばしたらどうかって言われたんだけど、私そういう経験とかなくって……。良かったら三並くん、取材のために私と付き合ってくれない?」と言われ、主人公は一瞬フリーズするが承諾する。→そして主人公、悶々としながら侑子といろんなデートのプランを考える。ショッピングをしたり、映画を見たり、遊園地に行ったり……ラブホテルにも行ったりするが、何もせず。いつしか、主人公は取材の手伝いでもなんでもなく、侑子のことを好きになっていると気付く。→侑子の担当編集さんに会う。そして侑子が新作の恋愛もの長編を書いたが没にし、短編を書いたということを知らされ、侑子に「なんで短編なんだ? 俺じゃあ取材にならなかったか?」と詰問する。侑子は「だって、長編を書くと三並くんが……」と言葉を濁すので、主人公、「なら、俺は東雲が満足の行く長編が書けるまで東雲と付き合いたい。駄目か?」と訊く。侑子はそれに頷き、二人はまた手を繋いだ。侑子が満足が行く長編が書けるのが先か、二人がごまかしでなく付き合うのが先かは――まだわからない。

 うーん、いい読後感。
文章も読みやすくて最高! というか、私があらすじを書いたらほんの数行で収まるのに、それを一冊の本に出来るまで、目に浮かぶような描写を追加しているのがすごい!

 文句なし、星5つ★★★★★あげちゃうよー。

posted by mukudori at 19:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | ファミ通文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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