2016年09月11日

あくまで魔王の究極菜譜 ~行列のできる魔王食堂~/多宇部貞人

今回の更新は、去年の電撃大賞で金賞受賞のヴァルハラの晩ご飯 〜イノシシとドラゴンの串料理〜<ヴァルハラの晩ご飯> (電撃文庫) -
ヴァルハラの晩ご飯 〜イノシシとドラゴンの串料理〜<ヴァルハラの晩ご飯> (電撃文庫) -
↑こいつと一緒に読み比べしていたら、こっちのつい2ヶ月前発売のやつの方が先に読めてしまったので、たぶんこの時の自分はかなり腹減ってたんでしょうね。記憶から忘れないうちにこっちの方をアップさせていただきます、サーセン。
いや、私も今も腹減って夕食に日清のUFOを2つ食ってしまうという暴食王的な感じな有り様なんですがw でもソースと塩で味には変化を求めてみたよ!(そういう問題でもない)その辺りで本作の主人公に共感してサクサク読めたんでしょうか(笑)。

あくまで魔王の究極菜譜 ~行列のできる魔王食堂~ (電撃文庫) (電撃文庫)
多宇部貞人 zpolice

KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2016-07-09
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余の仲間になれば、世界の半分……いや料理の半分をお前にやろう。

 暴食王・ベルゼブブ……彼が魔界を統一した理由は「最高の美味を味わいたいから」。そしてそんな彼が魔界統一記念に部下の四艶公(よんえんこう)を呼んで魔界の『究極菜譜』でのパーティを開こうとしていた時、勇者一味が襲撃してきて!? だがベルゼブブは勇者たちの攻撃など意にも介さない……どころか出されてくる料理たちに目を奪われているのに、魔法使いの魔法も蠅が引っ掻いてきたぐらいのレベルだ。しかし戦闘中で城が壊れてきて、料理に埃が舞い落ちろうとしていた時、ベルゼブブが身を挺して料理を守ろうとした。まだ一口も食べていない……そこを突いての勇者たちの攻撃でベルゼブブは命を落とす。次に目覚めた時、ベルゼブブは人界の赤子として転生していた。魔王としての知識と魔力は持ったまま。そして自分の両親は食堂を経営していて父親は腕の良い料理人だという。赤子らしくなく、ニヤリと笑ったその顔を、今は誰も知らない……。


 後で気付きましたが……これ、シロクロネクロより面白かったですよ作者先生。
……んなことを言ってても時間の経過もありますから、デビュー作と比較しても自然とスキルアップはしてますよね。

 さて、そんなネタバレあらすじは――今日もボルテージMAXで行くぜ!!(夕飯の焼きそばテンションがまだ残っている)
 魔王ベルゼブブ、魔界統一記念に助力してくれた四艶公を招待した晩餐会(祝賀会)を開く。そこに出す料理は『暴食大公(美食王)』なベルゼブブが魔界の超凶悪な魔物たちからこのベルゼブブ自らが狩りに行ったりもした超難関食材たちをも含む、木っ端悪魔だが手先が器用なインプたちが作る『究極菜譜(ターブル・ドット)』。しかし料理は出来ても、待てども待てども来ない四艶公たちにベルゼブブは「我慢ならん!」となって料理の匂いを嗅ぐだけに留めるが、それでもまだ来ない四艶公。そうしているとベルゼブブの屋敷に勇者たち三人のパーティがベルゼブブを退治しにやって来る……がベルゼブブは料理の匂いを嗅ぐのに陶酔しており、屋敷を管理しているインプ族たちが「魔王さま! ゆ、勇者たちが攻めて来てえぇっ……げふうっっ!!」と殺されているのにも気付かずに「おお、おまえたちよ。なんと素敵な姿をしておる。全部で三匹か……くっくっく、食いごたえがあるのう(妖精の蒸し焼きを見ながら)」「な、なんだと!? 魔王ベルゼブブのやつ、振り向きもせずにこっちのパーティの人数が分かるというのか!? 敵ながら、手強い……」とかまるでアンジャッシュの言葉勘違い系コントのような遣り取りをしているが、勇者たちとインプ族(料理にうっとりしている魔王は除く)の間で戦いがなされ、剣や魔法によってただでさえぼろくなっていた魔王城が壊れ始める。そこで魔王は「なんだ? さっきから周りがうるさい上に天井から埃が……――いかん! これではせっかくの料理が台無しになるではないか!!」と思って慌てて料理たちを避難させようとした魔王に隙が出来て、そこを勇者パーティが合体技を喰らわせるとついに魔王城は崩壊。それにはさすがに魔王ベルゼブブも敵わなかったようで、自分の身体よりも一口も食べれなかった『究極菜譜』を気にし、魔王ベルゼブブとしての生を終えた。→そして魔王が転生したのは、地上のハーヴェスタという冒険者が集う、活気のある土地であった。そこにいる料理人ジンとその妻ミモザ。魔王ベルゼブブはベルという名前を授けられて……なんと、前世の魔王としての記憶も魔力も持ったまま産まれ落ちてきた。そして最初の授乳の時には「こんなにも乳児の身体が求めてやまないものがあるのか! ママ殿、感謝する。他の母親のものも飲んでみたいが……さすがにみんなが寝静まった深夜に動くか……」と結構やりたい放題。決行時は自分の乳児の身体ではさすがに歩き回れないので、魔力を使って宙に浮き、隣のベッドに行こうとしたところをミモザや夜回りの看護婦に見つかって、翌日には魔法学校の講師を呼ばれて「この赤子はとてつもない魔力を秘めている! 大きくなったら是非とも私のいる魔法学校に!」とスカウトされる。→そして大きくなったベルは魔法学校に行かされ、暇な時は父親・ジンの経営する『スカイパレス』という大衆食堂の手伝いをして料理スキルを高める。その裏では正直、魔王時代の経験で主席の成績なんて鼻でもほじりながら取れる魔法学校なんて辞めて、さっさと人間世界の『究極菜譜』を作りたかった。そうした日々を送っていると、店の常連の冒険者・アドニスによってジンがいきなり倒れてしまって病院に搬送されたと聞かされる。原因は腱鞘炎だったが、ミモザがあまりに心配するしベルも良い機会だと思って「この機会にパパ殿はゆっくり休むがよい。余がその間、店を切り盛りしてみせよう」と告げる。ジンはしばらく渋っていたが、ミモザのお願いもあって頷いた。→そしてベルが店に戻ってこれからのことを考えていると、いきなり魔族っぽい角や剣を装備をした銀髪の少女が現れる。ベルは驚くが、しばらくして「その剣……お前は四艶公の一人のアースタ・ロット(愛称:アーシェ)か?」と言うが「そうだ! だがお前からは陛下の魔力を感じるが、神々しき陛下の御姿ではない!! どこにやった! 返せ、私の愛しき尊敬する陛下を!!」といきなり斬り掛かる。耳を貸さないアーシェにベルは市場で買ったフルーツをアーシェの剣を避けつつ、なお且つその剣でフルーツの皮を剥きながらフルーツロールケーキを作って喰わせた。すると甘党なアーシェは「こ、これは懐かしき陛下のロールケーキの味!! ま、まさか貴方が本当に魔王ベルゼブブ陛下なのですか……?」と言って土下座してくるところに四艶公の一人のメフィが「あーやっぱりこの人が陛下だったにゃー」と駆け寄ってくる。そうしてスカイパレスに集う四艶公の他二人、几帳面なフルーレと妖艶なルキ。全員、ベルゼブブが死んだ晩餐会の時は勇者たちの軍勢がそれぞれの城に押し寄せて来ていたため、晩餐会に行く余裕も無かったと言う。それで特に魔王にメロメロなアーシェは「きっと陛下はどこかで生き延びていらっしゃる!!」と考え、探すために人間界に下りて来た。それで四人は目下、ベルの野望のお手伝いをすることに。だって人間の寿命は魔族に比べて短いのだから。ちなみにこっそり魔王時代のベルゼブブに踏まれてぐちゃぐちゃのスライムにされることを望んでいたドMな魔軍師のアゲイト(男)も来ていたが、町民たちに踏まれまくって、這這の体で山奥に逃げ出しているとそこのログハウスに住んでいた老人に助けられ、どうやらその老人も魔族らしかった……。→四人の美少女(魔法で人間体に変身した)ウエイトレスが入って食堂は更に大繁盛。そうしていると、上層階から来たギルドのお達しが。なんでも、ベルの父親であるジンは昔上層階にあった貴族などが住み、上級者が集まる冒険者ギルドの食堂ギルドを束ねていたNo.1料理人であったが、現在の下層部に集うお金の無い住民や冒険者たちは栄養も無く不味い食事しか食べられないことを知り、その当時の名声を勝手に捨てていまの『スカイパレス』を開いたという。それで下層部の民たちはジンに恩義を感じてアーチを作ったり、カーテンを縫ってやったり、食堂のテーブルを作ってプレゼントしてやった……という涙ちょちょぎれる、ベルが産まれる以前の話があった。そのことを現在も上層ギルドの連中は恨んでおり、「ジンが入院している今だ!」と考えて一週間以内にスカイパレスの立ち退きを命じた。これには上層ギルドを統治して冒険者を束ねる『豪商会議』にて富と名声が周知されている五人の大物豪商たちが3:0の多数決にて(ただし無効票となった2票はその豪商たちが仕事に忙殺されて出席していなかったので無効票)決めているので、覆すには難しい。それでベルは諜報活動に長けているメフィに現在街にいる3人の動向を監視させるが、鼻持ちならないフランシスと元・冒険者なホークは見つかるが鉱山王のソーベインは遠目からでしかも姿しか見えなかった、と言われる。そしてベルは一番ジンのことを恨んでいるらしいフランシスに挑戦状を叩き付け、逆にフランシスに「それならば、自分の経営する料理ギルドの精鋭との料理勝負の場を設けましょう。判定人はそれぞれ、ホーク殿とソーベイン殿で。そうしたら、この会議の過半数も覆りますでしょう」と言われてベルは思わずその喧嘩を買った。→最初のホークに提供する料理はホークが昔冒険者だったころに食べた非常に強い『エンシャント(古代の、という意味)ドラゴン』を狩った際に食べたドラゴンステーキの味が、二度と食べられないので今でも忘れられない……という情報を訊いたので、ベルたちは勝つための『肉』を調達しに行った……。→勝負当日。対戦相手はフランシスのお抱え料理人のスコーピオン。微妙なエセ中国語でベルに軽口叩きながら調理して行くが、その技術は本物。出来上がるのはスコーピオンが早く、ベルは遅れを取り、スコーピオンの激辛丼料理に中毒を持たされたかのように食べているホークにベルは自分の肉丼のとある部分の肉を食べさせると舌が復活する。その部分は――タン(舌)。そしてベルの肉丼の肉の真実に気付いたホークの目からは思わず涙。そう、それはベルや四艶公が朝早くからエンシャント・ドラゴンを狩りに行って、鮮度が落ちないうちに〆て調理をしたものだった。ホークはこの肉の味をまた食べれたことに驚くが、ベルの言うところによると「実は、エンシャントドラゴンも普通のドラゴンも市場に出された時には味はあまり変わらんのだ。ただ、エンシャントドラゴンは狩ってから鮮度が落ちるのがとてつもなく速いのでな。それをホーク殿は狩った際、すぐにステーキにして食べた味を舌が憶えていたということだろう」と告げる。もちろん、この勝者はベル。→次は鉱山王ソーベインの説得。しかしソーベインは滅多に人前に出ないため、メフィの探知技術でも足取りが掴めない。そこにやって来たのはドMの魔軍師アゲイト。ソーベインに助けられたことをベルたちに教えると、アーシェが「――ハッ!? そういえば……以前私の父が人間界に侵略に行こうとした際……そのぅ、人にはちょっと言えないすこ〜〜し変わった性癖の持ち主の部下が一人いなくなったと言っていたような……」と言うので、ベルは「なるほど、アーシェのところの魔族ならば、その土地の特産品である知恵の実たる魔界の林檎が好物だろう。獲りに行ってくるか」と言ってみんなで一旦魔界に戻ることに。→魔法で魔界のアーシェの一族の治める土地の近くに転送されると、ベルたちはアーシェの城が他の魔族――ベルとあまり仲良くなかったルシファーの部下であるサタナエルたちの軍が攻め込んでいて、知恵の実を取るどころではなくなっているので慌てて全員でサタナエル軍を追い払うことに。雑魚たちは四艶公たちが担当するが、サタナエルだけは「貴様……知恵の実だけでなく、よくも畑を荒らして育っている野菜たちを足蹴にしたな!」と直々に成敗する構えを見せた。ベルは魔法で巨大なフライパンを出現させてサタナエルに応戦する。それでサタナエルは少年(ベル)がベルゼブブだと理解し、それに驚いている間にベルは宣戦布告とばかりにサタナエルを巨大フライパンをフルスイングで空に殴り出し、ルシファーの居城にヒットさせた。→サタナエル軍による侵攻戦争が終わり、アーシェが民に知恵の実を譲って欲しいと頼むが戦火が知恵の実の畑にも移っていて、残ったのはこの一つだけですが……と言われて最後の一つを自分たちの命を助けてくれたベルに渡そうとするが、ベルは「……要らぬ。この実はまだ熟しておらぬ! お主らは見事、この実を余の舌が満足するレベルまでに改良し、繁殖させてみよ!!」と言ってまた人間界に戻って行った。→料理勝負の前の日。スカイパレスに誰かがやって来る。その相手はフランシスが遣わした料理人であり――ベルゼブブの八代前の魔王だった『貪食王のベヘモット』だった。そしてベヘモットはポケットからベルがアーシェの土地の民に返した知恵の実を出して来て、「お前らにとってはよく見覚えがある果物だろう? まあ、所詮こんなものは二流の食材だから俺の腕に見合った物ではないから勝負には使わないがな」と言って挑発してくる。その上、ソーベインが魔族であることを知っていて自分が勝負の場に出す物であるベヘモットの所為で絶滅した『リヴァイアサンのヒレの煮込み』まで置き土産にして行って、その味にベルたちは敵ながら感嘆してしまい、次の勝負に頭を抱えた。→勝負当日。ベヘモットは警告通り、『リヴァイアサンのヒレの姿煮』を出して来た。魔族であるソーベインはそれを一口食べただけでもう脳内が魅了されてベヘモットの言うことを聞くようになる。ベルも高級食材のエビのクリームパスタを作る予定だったが、それを見てしまっては心の中で負けを認めざるを得なかった。厨房で立ち竦んでしまったベルだが、病床の父親が言っていた言葉を思い出し、いきなり適当な籠から林檎を取り出し、『グラタン・コンプレ(林檎のグラタン)』を作りだす。そんなベルに四艶公も敵も呆気に取られるが、ベルはほんのりと笑いながら調理をこなして行った。そして完成した林檎のグラタンを食べさせようとするが、ベヘモットが「あやつの料理は食べるでないぞ。そして俺の勝ちだと宣言しろ!」と命ずるので、ベルも観戦席にいるフルーレを呼び出して「フルーレ、命令……いや罵倒も含んだ口調でソーベインにこのグラタンを食べろ、と言え。居丈高に、だ」と命ずるとフルーレが罵倒も入れながらソーベインに命令するとベヘモットの暗示が解けたかのようで、ベルのグラタンを口にした。そう、ソーベインの小屋の中には何故か三角木馬や手枷やチェーンや鞭などの怪しげな物があった……とベルは思い出していて、昔人間界に来てそのまま魔界に戻らなかった時もアーシェの言う「人にはあまり言えない性癖の持ち主」→「ソーベインはドM」→「ドSな人間の女性に出会ったから、惚れ込んで魔界に帰ることを止めた」という理論でSッ気のあるフルーレの命令なら聞くだろうという策が成功した。そして正気に戻ったソーベインは「心を暖かくしてくれたベルの料理の勝ち」だと宣言した。その判定に憤るベヘモットは知恵の実をポケットから取り出すと、拳で砕こうとする。しかしベルはじっと静かに見守っているままで、「ベヘモットよ、お前にその実を砕くことは出来ぬよ。お主の料理を一口でも食べれば理解る。貴様もすでに根っからの料理人になっておるのだ。食材を無駄にすることなど出来ぬはずだ」というベルの言葉にベヘモットはその通りだったらしく、負けを認めて知恵の実をベルに投げて返して、また修行の旅に出掛けて行った。アーシェに知恵の実を渡すと、アーシェは感極まってベルに抱き着く。しかし四艶公の中でも戦闘向きで怪力なアーシェはベルの背骨に多大なダメージを与えたのだった。→エピローグ。父の見舞いに行ったベルは最後の勝負の顛末を話すとジンは息子が自分の言ったことの意味が理解ってくれたようで安心していた。そこでベルは父のために林檎を剥いてやることに。向こうが透けて見えるほど薄い皮、そして病床の父が食べやすいように小さくカットした林檎にした。なお、林檎の皮は一筆書きにされていて、「はやくげんきになってね」とベルの照れ隠しの文字が皿の上に書かれていた。この場には親子三人のほのぼのとした空間が広がっていた。きっとベルはジンが復帰した後も『究極菜譜』を求めて邁進して行くのだろう――。


 まさに魔王時代も転生時代も「(美味しい食事のために)一狩り行こうぜ!!」って感じでしたねww
 しかし難点としては主人公の名前が魔王時代が「ベルゼブブ」だから→人間名「ベル」というのは……ちょっとどこかの某GA文庫さんの看板タイトル作品の主人公を思い起こさせますね。ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか (GA文庫) -
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか (GA文庫) -
 それに魔王時代からのベルゼブブですが、「究極菜譜であっても、料理は独りで食べるより、気心の知れた大人数で食べた方が圧倒的に美味いのでな」などという我が儘ではありますし、基本的に特に料理に対しては敵地を侵略したりする暴君でしたが、普通の一般人らしいことも考えていたりして……。その辺りをヒントにして、だんだんと親父さんをも超える料理人になれるといいさ、ベル。
これで親父さんがベルゼブブの先代の魔王とかだったら面白いんだけどww
 それとちょっと気になったのが、あらすじの下手さ(この場合の『あらすじ』はうちで取り扱っているような『ネタバレあらすじ』的なあらすじではなく、普通に本屋に並んでいる紙の本に記載してあるような編集者が考えて書く(たぶん)あらすじです)。
「表紙の女キャラのデザイン見りゃわかるだろ!」と言われればそれまでですが、帯の裏に書いてあるのを見ても、魔王のベルゼブブが転生した先が「人間界で〜」と書いてあるだけなので、それに電撃文庫から出ているお話なのでついつい『はたらく魔王さま』はたらく魔王さま! (電撃文庫) -
はたらく魔王さま! (電撃文庫) -

を想起してしまうんですよね。だからこっちの普通のジャパン的な人間世界に転生させた方が制約がたくさんあって、高校生ぐらいの子供が厨房を切り盛りするので親的に子供の学業や衛生面を心配して「ベル、店は任せるが……一ヶ月だけだ! お前が高校でトップクラスの成績なのは知っているが、それ以上を過ぎたら俺は這ってでも退院するからな!! 高校にはちゃんと行けよ!」「うむ、あい理解ったぞ、パパ殿!」「でも心配だわ、ベルちゃん独りで切り盛りするなんて……。それなら、私も常にベルちゃんと一緒にお店に居た方がいいわよね? パパのことは心配だけれど」「いや、ママ殿もこれまで通りにパパ殿の見舞いに毎日行くのは構わんが、とりあえず衛生管理者免状取得のために明日の一日だけは講習に通いに行って免許を貰って来てくれ! 今の我が家の店の免状の管理者名義はパパ殿なのでな。それに店を手伝ってくれるという昔の配下……いや、高校のクラスメイトも見つけているのでな」「それぐらいでいいの? 分かったわ!」「……ということで四艶公も、店を開けたら手洗いはしっかりするように! O-157を始めとする食中毒には気をつけねばな!」とか現代の法律に縛られたりして面白いじゃん? とか思えてしまったり。
 また、普通に本書の料理勝負でも
スコーピオン「くくく、ワタシの捌きたての柔らかい肉質の仔牛のロースト(適当)に敵う訳がないだろアルね!」
ベル「甘いな。人工甘味料のような甘さだな、お主の考えは。突っ込む気力も失せたわ」
ホーク「スコーピオン、確かに美味かったぜ。そんで、そっちの兄ちゃんは何を出してくれるんでえ?」
ベル「余の料理はこれだ」
スコーピオン&ホーク「「ナニィィ!?」」
スコーピオン「ワタシのと同じ料理じゃないアルか! パクリある! パクリには謝罪を(ry」
ベル「一食即解(食えば解る)」
ホーク「わかったよ……ん? これは、先に出されたスコーピオンのより、断然ウメェエエエエ!!」
スコーピオン「ど、どういうことアルか!?」
ベル「料理人の端くれともあろう者が、『イノシン酸』の効果を知らないのか。魚も肉も……実は獲れたてよりも数日熟成させてイノシン酸、つまり『旨味』が増した頃合いが最高に美味なのだ。ホーク殿の食した昔の思い出のものも、捌きたての仔牛ではなくそこの牧場主がケチって嘘を吐いたのかは知らんが捌いてしばらく置いていたものを使ったのだろうな」
スコーピオン&ホーク「「な、なんだってー!?」」

みたいな感じで。
 というか、最初はそういう現実的な蘊蓄も交えてくるのも期待していたのに、読んでみたら「え、やっぱり料理っていう題材を扱っていても、結局最終的にファンタジー食材だからギャグにする異世界設定なのかよ……」と思って少し期待外れでしたね。
 それとスコーピオンが勝負に使った『雨雲豚』なんですが……いくらファンタジー世界のファンタジー食材で揚げ焼きにしたとしても、現在の地球にあるような『無菌豚』のような表記はされていないので、ベルが地の文で「外はカリッと、中はレアになっているのか!?」とか書かれていたので、この後のホークは確実に病院直行コースだよな……と思いましたね。
それと、スコーピオンの『めっちゃ辛い揚げ豚肉丼』を食べた後ではホークの舌が麻痺して、後から出したベルの肉丼を食べても味がしない……という展開は新装版 中華一番!(1) (講談社漫画文庫) -
新装版 中華一番!(1) (講談社漫画文庫) -
で見ましたね。でもアレでは悔しくも味方側のレオンが負けてしまいましたが、こっちはベルが魔王的無双をしてくれたのでスッキリしました。ええ、これこそ同位同食(医食同源)ですよ。この作者先生、絶対中華一番ファンだと確信しましたぜ……!!
 いろいろと難癖付けましたが、読み始めてみたら意外とぐいぐいと引き込まれる感じだったので、もう少しばかり料理と食べたキャラクターの演出に意外性があれば良かったです。一番面白かったのはやはり最初の授乳シーンだったので。だって普通のラノベで主人公が赤ちゃんの時に授乳のテイスティングを読者(視聴者)に伝えるシーンとか無いですよ! これだけでこの本を買った半額程度の価値はありましたね。
次に全員でのエンシャントドラゴン狩り。ベルたちは自分たちの利益のためにやっているけれど、近くの村人とドラゴンの生贄にされる娘にとってはもう語り継がれる伝説レベルになっているのには、本編から少しずれているけれどそういう背景を見せてくれるから納得が行くし、別の面でも「俺TUEEE!」で他の部分に(生贄を差し出す村人たち)も僥倖的イベントになっているから一石二鳥で食前に出されたドリンクというか、お得感というプライスレスな感じを与えてくれるんですよね。
 ですが最後の最後でアドニスが「まー、魔王の記憶も魔力も持ってるようだけど、意外と人間界に馴染んでるようだし、一般人に危害を及ぼさない限りはもうちょっと見守っていようかねえ。何かあれば俺が出る、って感じで」とか言ってて、「は? お前らが、魔王ベルゼブブの城に特攻しに来た時はマジで魔王の小指一本ぐらいで殺されるぐらいだったのに、あくまで偶然魔王の時のベルゼブブが死んだことを理解しとけよ? そして倒せたと思っているのは本当に勘違いだからな?」……という感じでしたので最後の最後でクソ不味いデザートを出された気分でしたね。

 そんな感じで星4つ★★★★☆。
でも普通の料理漫画が好きな人には逆にあまりオススメ出来ない……。ですが一風変わった「俺TUEEE!」が読みたい人にはオススメです。
あ、食戟のソーマが好きな人にはオススメかもしれません(笑)。四艶公、カワユスですから。でも食事を食べて「はあ、はあ……もう駄目ぇ……」「もっと食べたいのぉ……」とかしどけなく言ってますけど服が弾けているとかの描写や挿絵は無いのであしからず。
四艶公の中では表紙で一番目立っている「陛下、陛下!」と仔犬のように懐いているアーシェが個人的にはやっぱり一押しですが、ルキは現在の人間であまり金品を持っていないベルには恋愛感情とかは無さげなので除外してフルーレとメフィが今後デレてくれることを期待しています。
posted by mukudori at 04:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月25日

ロウきゅーぶ!〈2〉/蒼山 サグ

 なんだか最近、ちょっと真面目なやつ()しか更新していない気がしたので、原点に立ち返ってこれだ!! まあその……ぶっちゃけ帯があっても、実店舗で買うのに、小学生の赤ブルマは厳しいよね……。正直、「コミックLO」(ロリ系の成人コミック雑誌です)の方がまだ買いやすいような。
うん? 私のことかい? 「このロリコン野郎!!」と蔑んだ感じで呼んでくれても構わないぜ!!
ロウきゅーぶ!〈2〉 (電撃文庫)ロウきゅーぶ!〈2〉 (電撃文庫)
蒼山 サグ てぃんくる

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「俺でさえ、小学生は4人なのに……」byばらスィー

 1巻で昴(すばる)との約束を達成した智花(ともか)は、まだ朝の登校前に昴の家に通っていた。溢れる智花のバスケセンスと技術が成長して行くのを見届けるため、昴は毎日智花が来るのを待っている。しかし、近く智花の学校では球技大会があり、バスケの種目にエントリーした智花たち仲良し5人組。足りない控えの1人の選手は――前巻で倒した男子クラスメイトの竹中夏陽(たけなか なつひ)!? 竹中と真帆は竜虎の仲であるので、そこをなんとか取り持って欲しい……と従姉の美星(みほし)に頼まれ、昴は奔走する。やっぱり小学生は最高だぜ! 近くに15巻が発売されるそうですよ! まだ5巻までしか読んでないのに……とか言っている場合ではないのに……という100%私情の籠もったネタバレレビュー!!


 あー、これだよ。こういうテンションが懐かしいんだよねー!(孤独のグルメのゴローちゃん風に)
イラストレーターのてぃんくるさんが忙しくって、ラノベ一冊分に入っている平均的な枚数のモノクロイラスト(大体6〜10枚)にまでは着手出来ていないのかもしれませんが、ところどころ、章の区切りにキャラのラフ画を見せてくれたり、蒼山先生が考えたのか、編集さんが考えたのかは知りませんが、女子バスケ部五人での、現在で言うLINEみたいなチャットも息抜き加減であってくれたり……――あ! 蒼山先生って流行の一歩先を読んでいる慧眼をお持ちでいらっしゃるのかな? それなら「狼と香辛料」の支倉先生と組めば一攫千金が狙えるやもしれませんね。

 ネタバレあらすじー。
 智花の学園。球技大会があって、他のクラスとの勝負の天下の分け目的な感じでバスケ対決が期待されている。なので美星は昴に女子バスケ部の5人(主に真帆)と竹中の確執をなんとかしてくれ、と頼む。→美星の策略で、昴は週末に智花たちの通う慧心学園にて球技大会のバスケ種目出場メンバーであるこの6人を集めて合宿をすることに。しかし美星は「たーだーし! お前の指導下でみんなにバスケはやらせるなよ。この合宿だってかなり無茶して来させてんのに、他のクラスの子に『贔屓』だって言われるからな」と言いつけられた。昴は智花だけにはこの計画を教えていて、協力してもらうことにする。しかし、かなり無理矢理連れてきた竹中に話を訊く限り、「真帆はいつでもなんでも、みんなの中で一番最初に物事が出来た。こっちがやっとのことで追いついても、『え? 何だよそれ。もう飽きたし。それより違うことして遊ぼうぜー!』とか言うヤツなんだぞ!!」と憤っている。ひとつ間違えば恋心にも成り得るのに、ある種の嫌悪にも似た、真帆への感情だった。→次の日も昼ご飯の後に昴と竹中がまた話す機会があって、少しだけ心の内を見せてくれた。他の女子たちは自由行動の時間にしている。昴がボール回しをしていると、竹中にそれを教えてくれ、と頼まれたので週末とは言えど他に部活動で来ている生徒たちにバレないような場所を教えてもらうことに。山の方の神社のところに結構広い公園があると言われて2人で行くと、5人の女子たちの気配があったのでこっそりと観察。見ていると、5人は愛莉が真帆を肩車してゴミとして捨てられていた穴空きバケツを木の高いところに括り付けようとしていた。簡易なバスケットゴールを作ろうとしているのだ、とわかる。そこで堪らず竹中が出て行って、昴も「な? 自由時間なのにこんなことをするぐらい、あの子たちもバスケが好きなんだよ。真帆も今度ばかりはかなり本気みたいだぞ」と追い掛けて竹中を肩車。二組の肩車が協力して、簡易のバスケットゴールは出来上がった。その後は3on3で軽く対決。→合宿が終わり、球技大会が一週間後に迫ることに。竹中は合宿が解散する前に、「自分が控えに回る……というか、『バスケには出ない』から、女子バスケ部のみんなが主にコートに出て、因縁のある6-D組を倒して見せろ」と言う。しかしその宣言を竹中の逃げや妥協ではないと感じた昴は「それなら、お前は俺と同じくコーチに回れよ。真帆とひなたちゃんの担当でな」と告げた。→一週間きっちりと女子バスケ部メンバーにコーチをした昴と竹中。竹中はサッカーの組に回ったがやはりそこでも決勝で6-D組に負けたらしく、このバスケ対決が山場になっているらしい。昴も本当なら部外者なので試合を見れなかったが、美星の提案で跳び箱の中に入って、隙間から試合を見ることに。→試合開始で最初は男子を含む6-D組が先制点を取る。しかし意外にも、D組が歯牙にもかけていなかったひなたがゴールを決めたことで焦る。その後は女子バスケ部の息の合ったパスの応酬でどんどん点が追加されて行く。一旦休憩で6-D組の士気が顧問に一喝を入れられて復活するも、こちら側もまだ見せていない作戦を敷く。それはディフェンスを片側に敷いたもので、一芸を持った選手を特攻させて行くもの。その攻撃役を請け負ったのは真帆で――ほとんど『ブザービート』と言ってもいいシュートを、コートの枠線ぎりぎり。ゴール枠からほぼ0度な位置から打ったのだった。→エピローグ。以前もあった、七芝高校の男子高校生のわいせつ行為! 今度は小学校の体育館に侵入して女子児童の着替えの覗き見&盗撮行為か!? ……真実は、あなたの目でお確かめください(笑)。

 けれどまあ今巻では、180Pの竹中が可愛いんですよ!(本日一番声を大きくしたいところ) 竹中よ……お前って実は男の娘じゃね?(ぼそっ)
「お前が真帆に教えたんだろ? 指先でやるボール回し、教えてくれよ。あいつは出来てたのに、俺が出来ないのは悔しいし」と言われて竹中にちょっと懐かれている昴は「裏山!」だと思いました。しかも昴からも「うん、俺もこいつ、嫌いじゃないわ」とかなー! オイ! なんだよアレ! 肩車もするしな! 小学生男子の太腿は柔らかいのか!?w 昴はロリじゃあなく、ショタにも目覚めてすぐに手が出せる楽園(パラダイス)にいるのか! 悔しい! 蒼山先生……「ショ、タっきゅーぶ!(たぶん卓球部の話です)」……出してもいいんですよ?(チラッ)
 あ、萌えに燃えた今巻ですが、40Pの葵のモノクロイラストは、ちょっとなあ……orz JKの縞パンチラで嬉しいはずなのに、どうにもキックの構えをしている葵の右脚が右の股関節を脱臼している感じで……orz
 それとちょっと引っ掛かったのが、先述した竹中の「真帆はいつでもなんでも一番先に出来るけど、俺たちが追い付くころにはもう飽きて〜」という台詞が、私が「いま一番ジャンプで熱い漫画っすわ!」(笑)と愛読しているワールドトリガーの村上鋼のサイドエフェクト(超能力みたいなやつです)&性格と真逆な感じで、この2つを同時に読んでみたら、「なるほどなー」と真帆と鋼の能力は似ているのに相反するお互いの性格と、鋼が真剣に向き合っている能力への苦悩がよくわかりますね。だから同じく男子なのもあるのでしょうが、竹中の心境は鋼に近くって、性格も鋼に似てるんだなーと思って、最初にこの2巻を発売当時に読んだ時よりも竹中のキャラが手に取るようにわかりやすかったです。
 そしてひなたちゃんよ……。君ねぇ、イイ歳して(まだ小6の11歳ですが)「自分の白いおぱんつをハンカチと間違えて持ち歩く」のはやめましょうか。キャラ作りのためとはいえ、「純粋無垢キャラ通り越して頭の弱い子なの?」と考えて切ない心境になりますから……ね?

 今回も面白かったです。星5つ★★★★★!! 超オススメだ!!

posted by mukudori at 02:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月26日

神様のメモ帳 (9)/杉井 光

 どうも、クズ野郎です!(挨拶)
「一週に一回ぐらいの頻度」が「二週に一回の頻度の更新」になってしまいました……。すみません。今月はたぶんこの2回しか更新出来ないと思います。でも未来のことは誰にもわからないので、この2月もあと3日ありますが、短時間で読めるやつあるかな?
 でもね、記念すべき「電撃文庫カテゴリ」の100作目の更新なので、思い入れのある作品をどうしても入れたかったのですよ!
 ……まあ、「例のあの事件」の後の初杉井作品レビューなので、ちょっと穿った感じの更新になったかもしれませんね……。かなりきっついこと言ってますので、杉井&杉井ファン&岸田メルファンの人は見ないようにしてください。
神様のメモ帳 (9) (電撃文庫)神様のメモ帳 (9) (電撃文庫)
杉井 光 岸田 メル

KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-09-10
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たったひとつの冴えたやりかた

 高校の三年生に進級するのを目前に、鳴海が誰かにいきなり車で拉致された。その相手は、紫苑寺茉莉(しおんじ まり)という、アリスに良く似たアリスの姉だった。そこから始まる紫苑寺一族の財産争いに巻き込まれた鳴海。アリスは鳴海に問い掛ける。「君は、ぼくのことをどう思っているんだい?」と。ニート探偵最後の事件は、助手が推理をするのだった。


 う、うん……。アレだね、アレですね……。
とりあえず、メルメルはもうちょっとお仕事を頑張ろうか?(´・ω・`)
前にレビューしましたが、メルメルの絵を目当てに買っている今月のビーズログの死神姫の新刊には、少女向けラノベは基本的にカラーイラストを表紙だけにして、それで文庫本自体を安価にして少女たちの手に取り易くさせている……という戦略はまあわかるんですが、モノクロイラストがゼロでしかも次の巻からは絵師が変わるとか今月の死神姫の新刊をパラパラめくっていて最後に小野上先生の後書きの後に更にお詫びの文章を見て目玉が飛び出るかと思いましたよ、おい。死神姫はあと三冊ほど出せば終わるように小野上先生がプロットを練っているそうですが、それぐらいならまだやれるだろ? 小野上先生と何年付き合ってきてるんだよ、おまえ。
いや、メルにも「少女向けラノベのイラストは基本買い切りだから旨みが無いし。俺にも生活があるんだよ!」(これはあくまで私の想像です)とかで描く順番を後回しにする気持ちも社会人としてわからないではないのですが……それでも日本人としては義理と人情は忘れないでくれ。死神姫1巻のイラストとか、いま見たら結構荒くてひどいぞ? それでも内容が良かったのか続刊出来てずっと使ってくれてたのに……。メルよ、ツイッターで「金沢でのイベントの開催日前に行ってるけど、居酒屋でのホッケが美味い!」「おー、これはリアルポニョだな!」とかやってる暇があったら、絵の一枚でも描いてくれ。
おそらくビーズログ編集部はかなり売り上げの良い死神姫シリーズを頻繁に出したかったんでしょうが、メルの都合の所為で今月の死神姫の新刊が本当に約一年ぶりで、且つ小野上先生もなんとなく後書きからは「メルの都合が悪くて、それで死神姫の新刊がこんなに遅れた。だから他のシリーズも書いてたけど、死神姫ぐらいまでの売り上げは出なかった。残念だけど、私はさっさと発刊したいので、次の巻からは絵師が変わります」みたいなことを書いてましたよ(私なりの翻訳です。実際の文章はもっとオブラートに包んでいて柔らかいので、店頭でどうぞ!)。そう考えれば、小野上先生がビーズログで他の絵師さんと組んでのシリーズをいくつも並行して出していることも納得しましたね。やっぱり速筆なんですねー。
 そして杉井も集英社とかで新刊出したりしていますし、電撃からはまあ……かなりアレな事件とかありましたけど、メル絵には罪は無いし最後の巻だし……と思って買いましたよ。
ですが、まさかのカラーピンナップは使い回しで、モノクロイラストは約340Pの中で4枚のみ……という、「え、ギャグですか?」と訊きたくなる代物でしたね。しかも他の仕事でカラーばっかり描いている弊害なのかは知りませんが、なんだか線がぼやけた感じで……正直、神メモ4〜6巻の時がメルメルの絶頂期でしたね。
そんでもって、帯のあらすじには「茉莉というアリスにそっくりな姉が〜」とかありますが、一枚だけモノクロイラストに出てきた茉莉……ごめん、全然似てねえわ。後述しますが、ここちょっと重要ポイントです。
しかし、「メルルのアトリエ+」が面白いことは認めましょう! ……って、あれはメル絵だけじゃあなくてもガストの製作側が上手いんですよねww

 メルメルへの愚痴はここでちょっとだけ一区切りして、ネタバレあらすじー。
 高校三年に上がる予定の鳴海、進路をみんなに訊かれて悩んでいるところにアリスの姉の茉莉がやってきて、車で高級マンションに拉致される。そこで茉莉が海外で「マリィ・ショーン」という名前でモデル&ファッションブランドの社長をやっているアリスの実姉だということと、アリスとパリで一緒に暮らしたい……ということを聞かされる。解放された鳴海がアリスのところに行っていろいろ聞いているうちに、「もしや、君はぼくの姉様に会ったのか。何を言われても、ぼくはこの部屋からどこにも行かないよ」と看破されたので真実を話すことに。→後日、アリスから鳴海の携帯に着たメールで「○○ビルのアスタ・タタリクスというところに行きたまえ」と命令されたので行ってみると、そこにはなんと紫苑寺一族のアリスの親戚である螢一(けいいち)という、アリスそっくりの環境でパソコンを操っている男がいた。独特な喋り方と横柄な性格とパソコンにやけに詳しいことから、「まさか、あなたがアリスのメールアカウントを乗っ取って僕にここまで来させるためのメールを!?」「そうだよ。君は有子(ゆうこ・アリスの本名です)の助手だけあって、意外と頭は回るようだね」と、事態を把握した。それで鳴海が螢一にもらった名刺を持ってアリスのところに帰ると、すぐさまそのアパートに医者やら弁護士やらが来ていてアリスの部屋のドアの前に集っていた。今度こそ本物のアリスに携帯メールで「隣の部屋からベランダ伝いに入ってくるんだ!」と言われたので、普通の住人を装って隣の部屋に入ってアリスのところに潜入する。すると、年がら年中冷房をガンガンに効かせているアリスの部屋のエアコンが停められて、マシンたちが熱暴走。その隙を狙った螢一がアリスのパソコンにクラッキングしてきて、「やあ、久しぶりだね、有子。ソフトウェアよりもハードウェアが重要だと教えただろう? このパソコンたちの権限を返して欲しければ、私に従いなさい。外に出て、紫苑寺家御用達の病院に行くよ。そこで話があるんだ」と、見事にやられてしまった。何故螢一にいまのアリスの居場所がわかったのかというと、鳴海がもらってきた名刺に薄い探知チップが仕込まれていたからだった。→病院に行くと決めたアリスだが、鳴海に付き添いを頼む。その病院には紫苑寺家の現在の当主である老人の光厳(みつとし)と、その妹(照美・故人)の息子である光紀(みつき・アリスと茉莉の実父だが、いまは植物状態)が入院しており、あと一日か二日が限界で昏睡状態な光厳は遺言書に「全財産は甥の光紀に」と書いていたので、他の親族たちがなんとか光厳がその遺言を撤回して、自分たちにも財産が渡るようにしたくて集まっていた。しかし部外者の鳴海はとりあえずのところは光厳が死ぬかしない限り、外にいまの紫苑寺家の情報を流されては困るので、紫苑寺家専用の棟を持っている病院にある精神病患者を隔離していたと思われる施設にてほぼ監禁状態にされた。深夜になって、茉莉が一人で鳴海のための食事を持って来てくれる。「大丈夫かしら、鳴海くん? アリスや私たちは大丈夫よ。あの子は、紫苑寺家の中に閉じ込められていた時、螢一さんがマシンの扱いを育てた子だからね。ねえ、君はアリスのことをどう思ってるのかな?」「そうですね。――かけがえのない相棒、でしょうか」「そう。きっとアリスも――」などと喋って茉莉が去ったその後でうるさい警報が鳴り響き、焦っている様子の螢一が鳴海に「先ほど君に食事を持ってきたのは茉莉さんか!? それは何時何分だった!?」と訊かれて、暇なので腕時計を見るしかなかった鳴海は茉莉と過ごした時間を正確に答えると、「ナースも『すれ違った』と言っていたし、ということは……やはり犯人は……」「あの、何がですか?」「さっきの警報は聞いたかい?」「はい」「死んだんだよ……」「もしや、アリスのお祖父さんがですか?」「違うんだ。光紀の方が、だ。その時のアリバイが……有子だけには無かった」と、アリスが父親殺しの容疑者にされて、鳴海はそのまま屈強なボディガードに連れられて自宅に戻される。アリスは警察には渡されず、またしても紫苑寺家に閉じ込められることになった。→数日が経ち、アリスから動画付きのメールがやってくる。そこには「探偵事務所とぬいぐるみたちをよろしく頼む」「いままでよく働いてくれたね。残りのドクペは君への報酬だよ」とは言っているが、少し痩せているアリスが映っていた。探偵事務所に行くと、やはり物足りないものを感じ、三人のニートたちと四代目にアリスを取り戻すことを依頼する。→少佐がアリスからの動画に入っていた雑音から近隣の駅を探し出し、『アスタ・タタリクス社』の入っているビルだとわかるが、それは螢一がわざと入れたフェイクの情報だった。ビルに行って、螢一にそう笑われ、ついでに「ところで、この後で光厳祖父さんが死んだら、光紀はいないので私の祖父に財産相続権は移ることになるな。有子はいまのところ私が保護しているけど、私の祖父がどうやら狙っているようでね。そうそう、あの子はドクターペッパーと麺と具抜きのラーメンだけは食べるんじゃあなかったのか? いまのところ、何も口にしないから衰弱しているんだ」「じゃあ、いますぐアリスを解放してくださいよ!」「いやいや、私はそれでも有子の生きた美しい人生だったと思っているよ。緩やかな死を選んだんだろう」と、マジキチな返答をされる。しかし数日のテツの監視でそこに医者なども出入りしていることがわかり、やはりアリスはそのビルにいるらしいと目途を付ける。鳴海は最後の事件でも、自分が詐欺師になることを選び、立ち向かう。→決行日。螢一が出勤してくるところを待ち伏せて、一緒にビルのエレベーターに。十四階で降り、そこでいつものアスタ・タタリクス社の受付嬢と挨拶をした螢一は鳴海を社長室に入れてくれる。それで鳴海は事前に前から顔見知りだったゾディアック社の社長たち(黄兄妹)に「このタイミングでこんなニュースをネットに流して欲しい」と依頼していて、螢一に「アスタ・タタリクス社が顧客情報を流出!」というニュースを携帯で見せて、螢一は一瞬焦って自分のパソコンでも情報を確認しようとするが、「……などと、そんな情報ぐらいで私が焦ってこのパソコンをいじって、それを窓の外から望遠鏡などでタイピングを覗いてクラッキングでもするつもりでしたか? 甘いですね。このパソコンにはパスワードの他にも私の指紋認証が必要なんですよ。まあ、念を入れて窓のカーテンは閉めますがね」「そうですか。では、どうぞ」「な、何っ!? これは私のマシンでは……ない!!」「すみません、それは実は……アリスのものですよ。探偵事務所に同じものがあったので、すり替えるのは楽でした」「いつの間に……!?」「昨日のうちです。この部屋は……実は、十四階ではなく、ゾディアック社が管理している『十二階』の部屋ですよ。エレベーターの表示をいじったんです。それと受付嬢さんにも。この女性には本当に申し訳ないと思っていますが、こっちのジゴロな仲間に落としてもらいました」と鳴海が螢一を嵌め、そうやってアリスが自分のパソコンの師匠である螢一に付け入る隙を与えた。アリスはよろよろと監禁されていた部屋から出るも、そこには螢一が前に「自分の祖父がアリスを狙っている」と言っていたカタギではない黒服がいて捕まえようとするが、螢一の咄嗟の行動でまたパソコンを素早くいじって自分の権限を戻し、アリスを閉じ込めていた扉を閉めてガタイの良い黒服を挟む。鳴海のいるところまでやってきたアリスを鳴海は抱き締め、下からも黒服がやってくるので意を決してアリスに「絶対に僕から離れるなよ」と言って、十二階の窓を抜け、そこに少佐が事前に用意してくれていた縄を掴んで、下まで降りた。アリス奪還作戦はここに完遂した。→そして後日、光厳が死んだことを知らされ、アリスは喪服ドレスを纏って鳴海と一緒に病院に行く。今回の探偵は鳴海なので、アリスは螢一に預けておいて、光厳のそばにずっと付いていた茉莉と二人で話す。光紀を殺したのは、茉莉だった。あの夜、鳴海に食事を持ってきてくれた茉莉は――実は茉莉のブラウスを着たアリスで、茉莉の行為を知ったアリスが身代わりになるために光紀の命を繋いでいる警報の作動時間をいじったり、わざと食事のトレイを持った姿でナースとすれ違ったりしたのだった。さらに鳴海が語るのは、光厳がやけに光紀を可愛がっていて財産を相続させようとしたのは……四代目の推測だったが、実は光紀は光厳とその実妹の照美の間に出来た子供ではないか、ということ。そして茉莉とアリスの母親だと思っていた光紀の愛人のホステスは、アリスが産まれるよりも前に自殺しており、つまりここから導き出されるのは――茉莉が実の父親の光紀と関係を持って、それで産まれたのがアリス。茉莉は姉ではなく、十一歳でアリスを産んだ実の母親だったから、他の親族たちが財産相続権を巡って「ホステスとの間に出来た子供になど、相続権があるのか?」「他の男とのものじゃあないのか?」「ならばDNA鑑定でもしてみるか」と言われて、このまま光厳が光紀よりも先に死んだら光紀が財産を受け取ることになるとどうしても茉莉とアリスのDNA鑑定を実施するであろう親族たちなので、それを考えた挙句の行為は、「光紀に先に死んでもらって、財産相続権を光厳の弟である螢一の祖父に渡るようにする」というものだった。「有子にはどうしても隠しておきたかったのに、ばれちゃったのね……」と茉莉は力無く語るが、鳴海は「いえ、アリスはたぶん知っていましたよ。あいつがお父さんにもらった本で、好きな作家さんのペンネーム……『ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア』っていうんですが、本名は『アリス・シェルドン』なんです」「それが……どうしたの?」「本の後書きにもあるんですが、そのアリスの母親の名前は――『マリィ』なんですよ」「っ!!」「もしかしたら、アリスのお父さんはアリスに気付いて欲しくてあの本をプレゼントしたのかもしれませんね。そしてアリスも、わざと『アリス』とこれまで名乗っていたのだとするかも……」最後まで推理を聞いた茉莉は泣き、最後は自分で警察に出頭した。→エピローグ。時間は流れ、あのアパートから出て引っ越しをしたアリス。ヒロはジゴロをきっぱりと辞め、ミンさんと結婚をして二人でラーメンはなまるを人気店に。テツは相変わらず。少佐はミリタリーFPSゲームの会社を立ち上げ、マニアからの人気を。四代目も会社などを大きく手広く手掛けている。彩夏は少佐の大学に進学。鳴海は結局進路が決まらずにニート暮らしをしているが、書いていた小説が賞を獲ったので作家に。最終巻を書き上げて、編集者にデータを送ろうとしていたら、スマホのコロラド・ブルドッグが鳴って、それに出ると玄関の前にはアリスがいた。身長も少し伸びたが、変わらない生意気な表情で「君の小説にはところどころに直したいところがあるんだよ。まったく、ぬいぐるみたちやぼくの描写はなんだい! 編集者に送る前に直すぞ! さあ、家に上げたまえ。君に語りたいことは千夜一夜では終わらないからな!」そうして、ニート探偵はまた二人になったのだった。

 よし、読んだ! 読み終えた!!
 けどな、杉井よ……。仮にも一時期は思いっきりファンだったんだから余計につらいんだ。
やめてくれよそういう陳腐なラストはさあ……(別名:主人公はこの作品を執筆している作者かもしれませんね☆病)。
こういう主人公=作者な作品で駄目な例としては、以前私がレビューしたことのあるコレとか、「王様ゲーム」シリーズですね。なんでみんな、主人公に自分の本名かPNを付けたがるんだ、この野郎。
どうして一人称小説の最後の最後で「その通り。あなたが現在読んでいるこれがその本なんですよ。タイトルは『神様のメモ帳』です」とか安易にメタ表現に走るんだ……? 私はジャンプに連載していた「めだかボックス」でかなり西尾節に打ちのめされて、「もうそういうメタ遊びとかはお腹一杯ですよ……」な心持ちなので、今巻のこれはきつかったなあ(´;ω;`) あ、そういえば杉井は例の事件が発覚した時に書き込んでいたスレを見る限りでは、ジャンプ読んでましたね。何? めだかに毒されて、主人公願望とか芽生えたの?
 そして、アリス奪還作戦はなかなか面白かったんですが、この巻を読んでから時間を置くごとに「たった一夜でその部屋の主人が気付かないぐらいに部屋を入れ替えることが出来る」とか……アレですよね。「デスノート」の「ジェバンニが一晩でやってくれました」って感じで、荒唐無稽に思えましたね。月と同じく、螢一もなかなかに神経質そうだから気付くと思うんだけどなあ。
 そんでもって、茉莉とアリスの真相ですが、まず最初に載っていた家系図で「なんで茉莉はこんなに個性的な名前なのに、アリスは『有子』で母親の『藍子(あいこ)』っぽく引き継がせているんだ?」と疑問を覚えたら、次に茉莉が登場してニートたちの話題に(主にヒロの)なった時に「彼女のことは知ってるよ。モデルもやってて、自分のブランドの服は自分で着てショーに出るんだけど、いままでに水着姿にはなったことがないよ。水着自体はブランドから出してるんだけどねー」とか言わせたら、もうすぐに「あっ、これは茉莉には誰にも見せられない傷とかがあるんだな。そんでもってさっきの名前の件も考えたら……」とすぐわかりましたよ。読者的に嫌な予感がね。そういう伏線()張りたいなら、ヒロには「彼女の水着姿とかも是非見てみたいんだけど、残念ながらあんまり露出の多い服は作らないんだよねー」と言わせた方が良かったのでは? 
 まあそんな気持ちもわかr……いや、全然わからんのだが、茉莉よ……「あの時は、お母さんがいなくなって寂しい思いをしているお父さんを慰めてあげたかったのよ……」じゃねーよ。小学校で変なところだけ習ってんな、この(一応)令嬢は。それとも藍子が「せめて子供(茉莉)には英才教育を!」と思って雇った外国人の家政婦どもが教えたのか? 嫌な意味合いでの『慰め』じゃねーか、カスが。十一歳の子供に実父とセッ○スさせる? 精神的に弱っていたとしても、実父は手ぇ出すなよ。そして茉莉は……なんで産んだの? 紫苑寺家が当時(その前にも、兄・光厳と妹・照美との間に出来た子である光紀の出産時の口止めに使用しています)病院を丸ごと買い取って、いまも植物状態の患者不審死事件を闇に葬るぐらいの財力と権力があるんなら、違法手段でいいから妊娠22週以降でも堕胎させろよ。アリスの年齢がわからないので茉莉の妊娠発覚当時が何年だったかわかりませんが、母体保護法(1996年以前は『優性保護法』という名前でした)でもなんでも使ってやれ。ですがこれで光厳が「自分の血を引いた子供(光紀)から出来た孫(茉莉)の更に子供(アリス・曾孫)……。これを逃したら、また子供が産まれずに、紫苑寺家の直系の血を残せないことになるかもしれん!」とか考えて産ませてたら、光厳おまえ、それは単に関わったみんなが苦しむだけだからな? と言いたいですね。鳴海が最後で「いえ、あなたがアリスを産んでくれて良かったです。僕はアリスと会えて楽しいことだらけになりましたから」とか感動をもたらすように言ってますけど……そういう難しい環境で産まれた子供は幸せにならない、って実際に作中でもアリスが軟禁状態で生かされていた紫苑寺家から逃げ出そうとする描写がされてますよね? 
 けれどまあ……アリスとその親の名前については、「たったひとつの冴えたやりかた」というアメリカの小説作品を自分の小説の中で使おう! と執筆当時から杉井は決めていたんでしょうが、茉莉と関係で「たったひとつの〜」の原作者のジェイムズ・ティプトリー・ジュニアが若いころに妊娠したが、堕胎に失敗して二度と子供を産めない身体になった……というのに対して皮肉的に、と言ったらMs.ジェイムズに失礼かもしれませんが、茉莉が頑張って帝王切開までしてアリスを産んだことにしたのは良かったですよ。
――が、しかし! 相手の男(実父)と当時の茉莉の年齢(十一歳)が全部ぶち壊しにしているがな!!
 そしてここまで読んでくれたお方たちに匂わせる程度に先述してわざと取っておいたことを述べますが……鳴海たちの「すごい、茉莉さんはまるでアリスと瓜二つな容姿だ」って、おいいいいい!! あのさ、茉莉のモノクロイラストと表紙のアリスや最後の鳴海と手を繋いでいるモノクロイラストのアリスって……もうかなりのレベルで別人なんですが? 「本当にそっくりだ」とかじゃあなくて、「アリスが大人になったら、このぐらいの顔立ちになって色気が出るんだろうか」ぐらいにしてくれ。
 そして事件の日に茉莉のブラウスだけを着て鳴海のところに行っても、どうしてナースたちだけじゃあなくって鳴海も誤魔化せると思ったんだよ、アリス。まあ……ちょっと私が落ち着いて、広い心になって捉えれば……辺りが薄暗かったから、声だけで鳴海は判断出来なかったのだと思っていても、鳴海が伏線()っぽく格子越しの会話でアリスの身長をかさ増ししていた台座のことに言及するなら、なんでこの紫苑寺家専用病棟のナース(ここポイントです)から「あの時すれ違った(ここもポイントです。『遠くから見掛けた』ならともかく、『すれ違った』なら、自分と茉莉(アリス)頭の位置の身長などを比較出来ている訳です)茉莉さまはいつもより小さかった」とかの証言を取れなかったの? 茉莉はモデルを出来るぐらいに身長あるんだから、ここまでの1〜8巻まで追ってきた摂取栄養偏っていて成長発達不良のアリスが文字通り背伸びをしても茉莉の真似は出来ないっつーの。もうこれで犯人わかるよなあ? 別にアリスの肉体的成長が悪いという訳ではないのですが(事実、エピローグで鳴海に再会しての「馬鹿にするなよ! ぼくの身長ももう六センチも伸びたんだぞ!」と言っているアリスは可愛いと思っています)、なんだかこれまで「クマパジャマもロリな服も似合う、小柄なアリス可愛いなあ。萌える萌える」と追っかけてきたファンたちを豆腐屋の車……じゃなく、軽トラの荷台に載せて深夜の山道の急カーブを時速120kmで攻めるような頭文字D的な振り落としをされた気分です。
 以上、仕方なくイラストを入れたあまりに……けれど、読者的にはその人物のイラストが無いと怒りたくなるような、誰よりも一番編集さんがメルにイラストの依頼をする時に頭を悩ませたであろう部分への突っ込みでした。

 結局、「この家(紫苑寺家)は狂気にまみれているんだよ」とか言っていた、狂人を演じていた螢一が最終的に私の中で株が上がりましたね。なんだよ、こいつが一番紫苑寺家の中で吾郎おじさんを抜いたら良識人じゃん……って(笑)。
 そうそう、最後に91Pな。フリガナのミス。「お母さん」が「お母(おか)さん」になってますよ、編集さん。
 あー、評定を下すのが私としても遺憾ですが、星1つ★☆☆☆☆。地雷だよ! 記念すべき最終巻なのに、こんなクソを見せてくれてありがとうよ! 杉井にメルメル!!
……しかし、「楽聖少女」がまだ残っていることを私は覚えていなければいけない。アーメン。

posted by mukudori at 04:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月30日

明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。 (3)/藤まる

明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。 (3) (電撃文庫)明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。 (3) (電撃文庫)
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おまえの寿命の残り全てで彼女を生き返らせてやろうか?

 光の出てこれる時間は、刻一刻と短くなって行った。二人はこれの打開策を練るため、ネットに暗号的な文章を投稿! イタズラな情報もあったが、秋月と光はようやく事情をわかっている人間たちに出会う! 人格入れ替わり物語、最終巻!


 …………素晴らしい!
なんでこんなに読みやすくて笑える文章なんだ!
妹もかすみちゃんも可愛いし、薫の行動には笑うし、秋月ともぴりんは不憫だと思いつつも笑えるし……w
読み終わってしまうのがつらいぐらいでしたよ!

 ネタばれあらすじー。
 秋月と光は「ネットのいろんなところに『死んだ相手を生き返らせる方法を知ってるやつ、いるか? いたらこのメアドにメールをくれ』って投稿したらどうだ? それで『寿命の半分』って答えてくれたやつなら、何かわかるだろ!」と計画すると、神奈川県にいる高校生からドンピシャなメールが来たので会いに行く。→その子は女子で車椅子に座っており、名前は千秋(ちあき)。中に入っているのが心筋梗塞で死んだ幼なじみの隼人(はやと)だという。この二人はボイスレコーダーを使ってお互いの近況を伝え合っていた。そして秋月に隼人から『知ってるけど、タダでは教えないぞ! ミッションその一! 千秋と仲良くなること!』というボイスメモがあったので、かたくなにクールを装っている千秋に対して秋月はだんだんと近づいて行って、千秋も秋月の外見からは想像出来ない優しさに絆されて仲良くなる。隼人からのミッションは五まであって、それらは全て、自分が消えた後に残された千秋が寂しくないように秋月と仲良くなるためのものだった。最後のミッションは『千秋に告白して付き合え!』というものだったが、千秋に「私には、まだ隼人くんがいますから。……お友達から始めましょう?」と言われて断られる。そしてミッションを全て達成すると、隼人が自分たちの高校に伝わっている七不思議的なものの一つで『アトリエの日記』というものがあり、自分たちの症状はそこに書かれていたものと同じだ、と言われたので、秋月が日記を探し出して読むと、「死者を蘇らせてから444日後の同じ時間にその場所に行って願うとどちらかの魂が消える」と書かれてあったので、秋月は光と相談してそれまでに悔いが残らないように暮らすことに。→そして444日後――の、前。秋月はわざと光には内緒にしていたが、本当は、「蘇らせた時のちょうどその時間に現場に行くこと」だったので、自分が消えようと思ってあの交差点に行くも、そこには風城くんがいて「光に頼まれたんだ。おまえが何か隠しているのを光はちゃんとわかってたんだよ」と、秋月の死を阻止する。そうして、光は消えた――はずだった。家に帰ると、室内のそこら中に光の残した小さなメモ書きがあって、秋月はそこで初めて泣いた。→それから三年が経ち、秋月は光のいない寂しさを紛らわせるかのように勉強に明け暮れて、結構イイところの大学に入って独り暮らし。実家に帰った時、また光からのメモを見つけるが、そこには「坂本くん! よくぞ見つけた! 独り暮らしは大変だろうけど、頑張れ!」という内容のものがあったので、最初は懐かしんでいたが、よく考えればこのメモの内容がおかしいことに気付いた秋月は交換日記を開いて、光がいつかまたこれに書いてくれることを願ったのだった。

 いいねえ……。
うん、いいよ! まあ3巻打ち切りということはやはり売り上げが芳しくなかったのでしょうけれど、この内容がイイ! 笑いあり、涙あり……の3冊でした。
 あえて難点を言えば、もっと続けさせろよ編集部……ということでしょうか(笑)。
あと、モノクロイラストも少ないのが残念……。
まあ、実質四冊目の短編集がついこの前に出ていますので、そっちを楽しみにして読みますかね。

 評価は星5つ★★★★★! 超オススメです!

posted by mukudori at 21:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月16日

男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 (2) ―Time to Play― (下)/時雨沢 恵一

男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 (2) ―Time to Play― (下) (電撃文庫)男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 (2) ―Time to Play― (下) (電撃文庫)
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ついに、首絞めの真相が明らかに!?

 似鳥に首を絞められている『僕』は、どうしてこんな風になったのだろう? 似鳥は泣きながら首を絞めている。薄れる意識の中で僕は――。なんだかわかるようなわからないような、首絞め物語、ついに下巻!


 ……ごめん、よくわかんねえわ似鳥の心境……。
上巻ではかなり酷評しましたが、声優でも作家でもない自分が、そこまで『キャラクター』というものに執着していなかった所為もあるのでしょうが、下巻を読んでもあんまり納得が行きませんでした。現在出ている3巻も読めば納得行くのでしょうかね?

 ネタバレあらすじー。めっちゃ短いよ!
 似鳥は実はステラ・ハミルトンという金髪・オッドアイ・ハーフの少女だった。それも、昔に主人公の書いたラノベに感動して、アメリカから「このお話を読んで、元気になりました!」というファンレターをくれた人間。→『ヴァイス・ヴァーサ』の次の巻で似鳥が演じるホムンクルスのミークはあっさりと死ぬ予定。その原稿をこっそり読んで激昂した似鳥に首を絞められた主人公。だが車掌さんに発見されてあやうく死ぬ寸前で助けられるが、似鳥を庇うために「俺たち、首絞めプレイをしてたんでーす☆ 落ちる瞬間、超気持ちいいから☆」と馬鹿っぽく嘘を吐く。→その日から主人公を避けている似鳥のために、主人公は高校の『朗読』の時間で「これは僕の好きなライトノベルの隠れたお話なのですが〜」と、突貫で仕上げた話を持ってきて、似鳥が同じクラスにいる時に朗読する。その内容は、あっさりと死んでしまったミークの死を劇中劇の主人公やミークの主人が悼んでいる、といったもの。それで似鳥は元気を出して、主人公も似鳥の正体に気付いたようで、「貸しにしとくぜ、ステラ!」と似鳥に言うと、似鳥は泣いた。その後、クラスメイトの女子に「この前の朗読のお話、面白かった! 私、実はその作品のファンなんだー!」と言われてありがたいと思いつつも、似鳥以外には作家ということを隠している主人公は、困ったのだった。→続くらしい。

 うん、私が上巻の時に指摘した「なんで似鳥はこんなに日本語が不自由なんだ?」とか「時系列よくわかんねえ」「つか、上巻だけではわかんないこと多過ぎ」などといったことにはフォローがされていますね。
 でも『それだけ』です。
これなら分割の二巻構成にしなくても、ちょっと分厚く……いっそ、川上先生の鈍器GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン (1)上 (電撃文庫) -
GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン (1)上 (電撃文庫) - みたいにしてくれても良かったのよ……? ちょいとお高くても、時雨沢先生の作品ですから、たぶん固定ファンは買ったでしょうし。
 あとこれは突っ込んでいいのか悪いのか……今巻の表紙って、おそらく左がミークで右が似鳥ですよね?
作中で何度も「ミークは左目がイエローで右目がワインレッドのオッドアイ」と出てきているのですが、どう見ても「左がオレンジで右がグリーン」ですよね……。
黒星紅白さんの設定ぶっちぎり根性すげえww でもこれを許可したなら、時雨沢先生の考えることは高尚過ぎてわからない……というのがなんとなく私の心境です。あ、時雨沢先生、「著者校閲の大切さを伝えるために、わざと間違えさせてやったんだよ!」というお気持ちでしたら、ファンだったのにそれを汲めずに申し訳ないです><
 あ、上巻では「電撃大賞に応募する人にオススメです!」とか書きましたが、今巻は「小説家を目指す人にはプチトリビア満載でオススメだよ!」とでも言っておきます(笑)。

 伏線回収はお見事。ファンレターをくれたステラのことなんて忘れてましたしねw 私がもっと短期間にて怒涛のごとく続けて読めばもっと良かったのかもしれませんが……星3つ★★★☆☆かな。普通評価です。

posted by mukudori at 02:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月08日

エロマンガ先生 (3) 妹と妖精の島/伏見 つかさ

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伏見つかさ かんざきひろ

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待望の水着回!!

『ラノベ天下一決定戦』の打ち上げで、マサムネ、エルフ、ムラマサ、獅童国光(しどう くにみつ)というラノベ作家たちが和泉家に集まって打ち上げパーティを! そこからトントン拍子に進んで行くのは、エルフの持っている南の島でのバカンス!? 第一部完な3巻目!!


 やっぱり、伏見先生の文章、大好きだ!!
たとえ300P以上あろうとも、すっきりするすると読める!
肝心なタイトルこそ『アレ』だけどね(笑)。近所のTUTAYAで予約注文する時がすっげえ恥ずかしいですからね!w 綺麗なリア充的な女性店員さんに「え、エロ……? あの、タイトルをもう一度お願い出来ますか?」と言われた時は恥ずか死ぬかと思いましたよ……w 当分は行けないww

 ネタバレあらすじー。
『ラノベ天下一決定戦』で優勝したマサムネ、エルフたちの提案で自宅でパーティを開く。そこには同じくラノベ天下一〜で戦った、同性の年長作家である獅童先生もやってくる。そうしてみんな(+顔をお面で隠して、スカイプで参加しているエロマンガ先生も)で「お祭りに行った気分になる夜店パーティ」を開く。話の流れで、エルフが持っているタイの島にあるリゾート地へ行くことに。紗霧は引き籠もりなので留守番。→エルフの兄である山田クリス編集の監督の下、エルフ家の持っている別荘に着いて、そこでエルフの悩殺攻撃やらムラマサの水着攻撃やらノーパン攻撃を喰らう。マジで「本物のエルフ」っぽいクリス編集に勘違いされて、「妹をよろしく頼む」とか言われたりも。→みんなで和気藹々と過ごすが、やはり編集さんがいるので、普段はヒッキー執筆生活をしているみんなは暑い外の海で遊ぶことよりも、涼しいクーラーが効いている室内で執筆活動をしていたり。缶詰めにされているエルフが抜け出して、王様ゲームとかもやったり。そこでムラマサのヤンデレな面が見られて、マサムネは慄く。→タイから帰ってくると、紗霧が「兄さん、わたしの水着も……見たかったり、する?」とまあ可愛いことを言ってくれるので頷くと、いつものパーカーの下に水着を着ているのを見せてくれる。→天下一〜で優勝した「世界一可愛い妹」が出版されて店頭に並ぶのを、マサムネとエロマンガ先生(タブレットPCから)でアキバに行って確認。そこでちょいオタクな女子たちが「これ面白そう〜」とか言って買ってくれた瞬間をマサムネたちは見て、二人で喜ぶ。しかしその後家に帰ると……なんと、いつものエロマンガ先生のPCに「俺が本物のエロマンガ先生だ!」というエロマンガ先生と同じお面やらを被った男らしき人物が現れて、二人で驚いていた……。第一部、完!

 面白いんだよ……。私の乏しい語彙では伝えきれないほど面白いんだよ!
 途中のムラマサが「私は、原稿の締め切りを落とす度に、爪を一枚剥いでいる」とかのヤンデレ加減とか! エルフの「そりゃ、異性の人間に自分の原稿を『面白い』って言われて落ちない訳ないじゃない」という、マサムネへの迂遠したアプローチとか!
 でも獅童は出て来た意味があったのだろうか……? そりゃ、お祭りパーティの時にマサムネがエロマンガ先生(獅童には男だと思われてる)と仲良しなところを見て、タイのリゾート地で「えっ、僕、男色の人と同じ部屋なのはちょっと……」と言った辺りは面白かったですけどね!w

 アレだね。「つまらない」や「中身が無い」場合も当て嵌まるのですが……あんまり面白過ぎると、書くこと少ない!

星5つ★★★★★。持ってけドロボー!!

posted by mukudori at 20:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月23日

断章のグリム〈1〉灰かぶり/甲田 学人

断章のグリム〈1〉灰かぶり (電撃文庫)断章のグリム〈1〉灰かぶり (電撃文庫)
甲田 学人 三日月 かける

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それは、人間の狂気が生み出した悪夢の灰かぶり――。

白野蒼衣(しらの あおい)は進学校の生徒だ。だがクラスメイトの杜塚眞衣子(もりづか まいこ)が休んだ時、プリントを持って行くために眞衣子のマンションの階段で出会ったのは、両目を抉られた女性!? 女性に襲われそうになった時、そこに時槻雪乃(ときつき ゆきの)というゴシック服の美少女が現れて、自分の身体にある傷口からの炎で女性を倒す。そして雪乃から聞かされる、自分は『泡禍(バブル・ペリルorほうか)』という、特殊な人間たちが自分の心から生み出した悪夢たちが実体化するのを倒す、『泡禍騎士団』の一員で『騎士』ある、と――。そんな空間に入ってこれた蒼衣にも何かがあると感じた雪乃は、以来蒼衣の側にいる。前作の「Missing」で異様なまでのホラーやオカルト知識を見せた、電撃文庫の誇るグロ作家の作品!


 あ、普通に面白い!
この作者の甲田先生は『あの津山三十人殺し事件』の舞台の岡山県津山市出身ということで……県民を愛していてグロも大好きな私としては期待大でしたが、見事にグロ描写に応えてくれますねえ……(ニヤリ)。県知事さん、いまからでも甲田先生に名誉県民賞とか与えてあげてくださいよ!(笑)
 後で語りますが、読んでいて「……ゴクリ。よくこんな新しいグロ描写考えたな……」と思いましたね。

 ネタバレあらすじー。
 蒼衣は眞衣子にプリントを渡しに行くところで、マンションの階段でなんだか変な空気に包まれて、両目が無いゾンビのような女性が襲ってくる。そこにゴスロリ姿の雪乃が助けに入って、「あなたが今回の所持者(ホルダー)なの? 否定しても駄目よ。この後は嘘が効かない人のところに連れて行くから」と言われて、『神狩屋(かがりや)』という骨董店に連れて行かれて、そこで鹿狩雅孝(かがり まさたか)という男性店主と田上颯姫(たのうえ さつき)という小学生ぐらいの幼女を紹介されて、鹿狩に「さっきの事件はこの子じゃないね。確かに何かは持っているようだけど」と言われて解放されるも、以来雪乃は蒼衣のお目付け役になった。→杜塚眞衣子の母親は、末期の癌で余命もあと少し。本人の希望で自宅療養だった。母親と二人暮らしな眞衣子は、母のことは好きだが昔から母に虐待されていた左足に無数にあるタバコの火の痕などを見ると、その気持ちも薄れていた。眞衣子は蒼衣と一緒の進学校なので勉強もしなければならないが、癌との闘病生活で苦しんでいる母が眞衣子に頻繁に当たるので、それを我慢しながらも家事をしていた。特に、母の好きな缶詰めの桃とプリンを抉って差し出す時は、幸せを感じていた。だが母は「学校なんか行かずにずっと私の世話をしていろ!」と言うので、眞衣子が優しい従姉の夏恵(なつえ)お姉ちゃんに自分の代わりに日中の母の世話を頼んだが、その日のマンションに夏恵は来なかった。夏恵の両親も心配しており、夏恵は行方不明として扱われることに。→蒼衣は『神狩屋』によく行って、鹿狩から「颯姫は人の記憶を消せる虫を飼っている能力なんだ。だからその弊害で、颯姫は一日しか物事を覚えていられない。しかも戸籍も無いので学校には行っていない」、「ここには他に夏木夢見子(なつき ゆみこ)という喋らない子がいるが、その子の予知能力で次に起こる事件を予測出来るんだ。……ああ、今回は灰かぶりらしいね。知っているかい?」「それってシンデレラのことですよね?」「うん、そうだけど原作は違うんだよ。ドイツの民話をグリム兄弟が童話らしく親しみやすく変えただけで、本物はかなりえぐいんだ。最後に灰かぶりが可愛がっていた鳩が飛んできて、意地悪な姉たちの目を抉ったりね」……などと話して過ごしているうちに、眞衣子の母が死ぬ。そこで雪乃たちが「――くっ、もうもしかしたら間に合わないかもしれない!」と言って青ざめる。→葬式にやってきたのは眞衣子の母の兄や姉たちの親しい親族のみ。そこで眞衣子は「ああ、お母さんのこの骨って白くてカリカリしてて美味しそう……」と思った瞬間、お骨拾いをしていた親戚たちがまだ焼けたばかりで熱い眞衣子母の骨を食べだす。その上、お骨拾いには眞衣子を除いて7人いたが、みんなでお互いの目玉を抉り出して食べる。眞衣子は悪夢のような光景に逃げ出すが、左の靴が脱げたので左足はぼろぼろに。目玉を食べ合っている親戚たちの顔からは、なんと鳩の手足や顔などが出てきていた。そこに騎士団のメンバーが集まって、颯姫の能力で被害者以外の記憶消去や大男の瀧(たき)と美人な可南子(かなこ)という葬儀屋コンビも来て、被害者たちをバラバラに解体して帰って行く。→眞衣子は翌日の高校に早くから来て、自分の上履きを履こうとするが、ずる剥けた皮などで履けないので「靴が履けない、履けない! 役立たずならこんなもの……!!」と要らない皮などはむしり取って、流血したままで靴を履き、廊下で出会った佐藤先生という男性教師が「杜塚、お前その足は……」と言った瞬間、眞衣子は母親に食事を与えている時に使っていたスプーンで先生の片目を刳り抜いて食べる。「目玉は罪なの。だから目玉は取って食べてあげなきゃ……」ともう片方も刳り抜こうとしていると、そこに雪乃と蒼衣が駆け付けてくる。雪乃は「正常な所持者なら、大人しくさせて悪夢を抜くことも出来るんだけど……」と言うが、もう眞衣子の心は壊れているので戦うしかなかった。雪乃はいつもカッターナイフを持っていて、自分の左手首を切り裂いてそこからの業火で応戦する。ただし、その際にもちろん雪乃にも痛みは感じる。眞衣子は屋上へと逃げるが、追う雪乃たちは眞衣子の足からの血から生み出された異形の鳩たちが廊下に付いた足跡から出てくるので、その血を踏んだ蒼衣たちの足にも鳩たちが湧き上がってきて、雪乃などは脇腹にまで駆け上がってきて、内臓を鳩につつかれて食われる。そこに現れたのは、いままで雪乃にしか見えていなかった、雪乃の双子の姉でいまはもう両親を殺して自分も亡くなっている風乃(かぜの)だった。何故か蒼衣にも見えて会話が出来る。そして風乃は「ほおら、雪乃ちゃん。お姉ちゃんに助けを求めてごらんなさい? そうしたら何もかも、私の『魔女の火炙り』で焼いてあげるから。あなたはいつも、私の下位互換だものねえ?」と囁いてくるので、危険だとわかっていながらもピンチな雪乃は風乃に懇願すると、一瞬で鳩たちは焼かれて消えた。鳩による脇腹の傷の所為で、もう戦う力が無い雪乃の代わりに蒼衣が眞衣子を追いかけ、眞衣子自身も自分の泡禍に食われているところを目にする。そこで蒼衣は風乃に「ほら、行ってあげなさいよ、王子さま?」と眞衣子の靴を渡され、「はい、杜塚さん。君の靴だよ。王子じゃなくてごめんね。でももう君のことは誰も縛ったりなんかしない。だから――変われ!」と叫ぶと、そこに鳩たちが集まってきて、残ったのは炎で少し焦げた眞衣子の制服だけだった。蒼衣は、『所持者の物語を自分の中で許容するかどうか』の断章(異能力)を持っているのだった。→蒼衣は子供のころの幼なじみで葉耶(はや)という女の子と仲良しだった。でも葉耶は変わった女の子で、魔法陣を書いて「この中にいる蒼衣ちゃんとわたし以外の人は死にますよーに。わたしの本当を知っているのは蒼衣ちゃんだけ。本当の蒼衣ちゃんを知ってるのもわたしだけ」などということをするので、蒼衣も付き合いに嫌気がさしてついに、「本当の僕って何? 僕には葉耶ちゃん以外にも友達はいるし、普通の生活があるんだ! だから葉耶ちゃんも現実を見ようよ!」と言った瞬間、蒼衣に拒絶された葉耶は持っていたカッターナイフで自分の首を切ったのだった。そこから泡禍があって、葉耶の身体は蟲や鳥たちが集まってきて瞬く間に喰らいつくされた。→エピローグ。神狩屋に来た蒼衣は、鹿狩に「そうか。やっぱり君も泡禍を経験しての『断章(だんしょう)』持ちだったんだね」「はい、だからこれからは……僕も騎士団に入れてください」「それは良い知らせだ。君みたいな断章はレアだからね。ところで今回の鳥葬は、意味をわかっていてしたのかい?」と喋る。そうして蒼衣は騎士団の一騎士となったのだった。

 最初は「この人ってグロ書きって言われてるけど、どんなもんよ?」と思っていたのですが……うん、なかなかやるなあ。鳩の脚や顔が自分の脚や顔から生えてきたら嫌ですよね……。前述したのはここの描写です。
 でも眼球抉りのシーンはこの前のこれで耐性は付いていたので(でも甲田先生の描写の方がはるかにグロイですが)、あんまり恐怖は感じなかったなあ。つかこっちの本が出版されたのって、2006年なんですが……例のおかま事件みたいにパクリとは言いませんけど、もしかしたら鮎川先生は書くための参考ぐらいにはしたと思いますね。でもあっち「眼球を一つでも抉ったら、頭や神経に届いて死んじゃうの☆」だったのに対して、甲田先生の方は佐藤先生が眞衣子に乱暴に目玉を抉られても生きている不思議!w 夏恵なんか両目を抉られてても動いていましたしね。眞衣子の断章が働いていたのもあるのでしょうが。
 でも最後に記憶を消す前の佐藤先生が「なんで杜塚はあんなにむごいことをされなきゃいけなかったんだ?」と言っていましたが……鹿狩の言う通りに眞衣子は「鳥葬」で死んだのなら、そこもちゃんと描写して欲しかったですね。本文では「〜鳩たちが眞衣子の身体に集まって行き、散会した時には白い鳩が一匹、開いている窓から空へと飛んで行った。」だけじゃあなくって、眞衣子の悲鳴とか、「ひぎっ、ぐひゃっ! お母さん、やっと会える……」とか叫ばせるとか、地の文で細かく鳥葬の様子を「眞衣子の肌が裂ける。ピンクの内臓が鳩たちの嘴で引き出されてつつかれ〜」とかして欲しかったかなあ。買ったこっちは作者の性癖(というか、書く内容)はわかっていますし、帯の時点から明るいエンディングじゃねえな……と感じていますし。だから、眞衣子の最期が上記したような感じで終わったのがちょいと不満です。
 あと三日月かけるさんのイラストは……表紙だけは良かった。表紙だけは。口絵カラーはちょっと手抜きっぽく塗ってあって、モノクロ挿絵もインパクトが弱い。なんだか昔のコバルト系の少女小説っぽいイラストです。瀧と可南子が来た時の絵なんて、『葬儀屋』なんて呼ばれている怖さが全然無かったですね。「どうも。今回で一応イラストレーターのプロデビューです!」とか折り返しに書いてありましたけど……『もうちょっと頑張りま賞』ですね。これからの躍進に期待。まあ、このシリーズの全17冊を一気に買ったので、17巻と1巻を見比べて「三日月さん、成長したなあ……」と思わせてくれるかな? ネタバレは聞くのもするのも好きな私ですが、そこは楽しみに取っておきましょう。

 イラストの分をちょっと引くのと、眞衣子の最期の不満、バトルで雪乃が怪我してばかりであんまり活躍しなかったので星4つ★★★★☆かな。でもオススメです!

posted by mukudori at 01:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月16日

男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 (1) ―Time to Play― (上)/時雨沢 恵一

男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 (1) ―Time to Play― (上) (電撃文庫)男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 (1) ―Time to Play― (上) (電撃文庫)
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楽しいライトノベルの書き方

 私立高校の二年生に上がった「僕」は、さっそく新しい高校デビューに失敗してしまった。以前は公立の高校にいて、一年間休学していたのだ。その事情は――実は僕は、現役で自作品がアニメ化もするぐらいの売れっ子な電撃文庫のライトノベル作家なのだ。なので時間の融通の利く私立高校に転校したのだが……そこで出会った、似鳥絵里(にたどり えり)という女子のクラスメイト。彼女はなんと……この度アニメ化になる僕の作品『ヴァイス・ヴァーサ』の登場人物の一人を演じるプロの声優だった。彼女に首を絞められながら、僕はこれまでのことを走馬灯のように思い出して行く――。「キノの旅」の著者の書く、ラノベ執筆入門書!?


 うっわぁ……。
……すみません。私はライトノベルは小学生〜中学生のころに買った電撃文庫の「キノの旅」から始まって、「ブギーポップ」などを読んで行ったので、「ライトノベルって面白い!」と思わせてくれた時雨沢先生にはとてつもなく敬意を抱いているのですが……この作品は、ひどい!(時雨沢先生の大ファンの方、すみません。怒らないでください。逆に私は泣きたいぐらいです)
当ブログで時雨沢先生の作品を最初にレビューを最初にすることになったのがこんな作品で、ものすごく悲しいです。
でも思い出の「キノの旅」はもう私の中で神格化しているので、星5つ★★★★★ですら付けるのも烏滸がましい気がして、このブログでレビューが出来ないことをご理解ください。

 そういうことで、ネタバレあらすじー。
この本……ぶっちゃけ半分以上ぐらいな分量で、電撃大賞に応募する際の注意点&電撃大賞の受賞関連の裏話&ラノベ業界の裏事情を語っています(笑)。なので、その辺は特に話の大筋に関係ないっぽいので端折っていますので、今回のネタバレあらすじは結構短いです。
 僕(主人公。話が一人称で進むので、最後まで名前は出てきません)は、似鳥に首を絞められながら、走馬灯のようにこれまでのことを思い返していた。→主人公、編入してきた私立高校のクラスの自己紹介で、失敗してしまう。その後の似鳥の自己紹介は「好きな食べ物は、三食それでもいいぐらいに『馬刺し』です。ちなみに犬を飼っていますので、興味がある人はスマホに写真がありますので、いつでも見に来てください」……と人心をがっちり掴む素晴らしいもので、記憶に残る。→主人公の作品のアニメのアフレコに参加するために東京に行くための特急列車に乗っていると、そこに似鳥が。「あなた、『ヴァイス・ヴァーサ』の先生でしょう?」と言われて驚くが、以前アニメ化が決定してスタッフたちが集まって主人公が出て著者紹介と挨拶をしたところに似鳥もいたので、主人公の方は覚えていなくても顔を知られていたのだった。それで毎週金曜日に主人公もアフレコに参加するために出る同じ特急列車に乗った時には、似鳥がお菓子やお茶などを買ってきて、主人公のこれまでの執筆歴などの話を聞く。→主人公は小さいころから本を読むのが好きで、中学のころにパソコンを買ってもらって小説を書こうとするがいろいろ苦心しつつ、最初に書き上げた『ヴァイス・ヴァーサ』を電撃大賞に応募したら拾い上げされるが、「本当は受賞レベルだったが、応募当時に15歳だったという経歴のために、受験などの主人公の将来を編集部全体で考えて受賞は見送られて拾い上げという形にされた」という実情を担当から聞く。そして無事高校に受かった主人公はどんどん作品を出して、アニメ化に至ることに。ここまでの間に、おそらく時雨沢先生の経験されておられる出版事情やファンレターなどのいろんな裏事情を羅列されます。新人賞や出版に興味のある人にとっては面白いでしょう。→そして最後にも、主人公は「ど、う、して――!?」とまだまだ似鳥に首を絞められている。上巻終わり。

 ……もう、苦笑しか出てこない部分がしばしば
229Pで「〜って先生は言いいたのね〜」単純な誤字があるにも関わらず、その後で主人公が似鳥に対して「校正」や「校閲」の重要さを語ることには……もう「ハハハ……」と乾いた笑いしか出てきませんでした。私が持っているのは初版なのですが、多分探せばもっと誤字・脱字なんかがあると思います。こんなテーマの小説の教則本みたいな作品なら、もっとしっかりと著者校閲をして欲しかったですね。
 その後の会話でも、
「『てにをは』を僕はよく間違えるんだ」
「『テニヲハ』? それって、何?」
「んー、簡単に言えば助詞のことで……」
「『ジョシ』って? まさか、女子を怪しいことに使って……」
「いや、違うから!」

……という会話には、「『助詞』がわからないなんて……似鳥よ、お前は本当に高校二年生なのか!?」と、中学生でもわかることなのに(確か、中学生ぐらいで習いますよね? 早ければ小学生高学年の時に作文の作法を習う時にも)あまりに馬鹿過ぎる会話に眩暈がしました
 あと、主人公がノートパソコンを買ってもらって一年ちょっとでタイピングも上達して文章力も上がって、初めて書いて応募した一作目で拾い上げされてデビュー!(実質、受賞レベルだった) というのは、ちょっとチート過ぎませんか? 「魔法科高校〜」の主人公レベルに。
これならよっぽど、同じようなテーマ(主人公が高校生で中学の時に電撃文庫からデビューした現役ライトノベル作家)を扱っている「エロマンガ先生」1巻2巻の方が、かなりフィクションが入っていても(もしくは、『フィクションがかなり入っているから』?)面白かったですよ。あっちの方が「14歳の時に(おそらく電撃大賞の)一番下の奨励賞受賞」「俺、超速筆なんです!」(もっとも、こっちの「僕」の方も高校を一年休んでいるのもありますが、約一年で7冊ほどを出すほどの速筆ですが)……などのチート具合を加味しても。この作品を読んだいまなら、エロマンガ先生1巻の方には星4つ★★★★☆ぐらいあげますね。
 そんでもって……こんなに困惑したのは私だけでしょうか? 時系列が少し分かり難い。タイトルをよく見た後に本文を読み始めて、「なるほど、いま主人公が高校二年生なら、ヒロインは高校一年生なのか? でも、『クラスメイトの女子』って書いてあるよな? スキップ制度か?」と思いつつ読んで行って、主人公の拾い上げの真相などを聞いて「ああ! それなら、とりあえず公立高校に合格した後に母親も編集さんも安心させて頑張って執筆して、一年生の時は休学することにして、人気になってアニメ化も決まったから、私立高校の二年生に編入することに……って、あれ? それだと単位が足りないから、いくら私立でも二年生にはなれないんじゃないのか?」と思っていたら、「16歳から17歳の春……僕は高校を一年間休学した。」と最初に書いてあったのが、「休学したのは公立高校一年生の時」ではなくて、公立高校一年生の時は普通に勉強しつつちょっとばかり執筆しならがも普通に過ごし、「本当に休学したのは高校二年生に当たるところ」だと、二回読み返したらわかったので「わかりづらい書き方すんなよ!」と言いたくなりました。時雨沢先生の文章は変な言い回しや着飾った文章ではなくて読みやすいのですが……たまーに、わかりづらい書き方をされるんですよね……。

 とりあえず、言いたいことは……
「俺は小説家(ライトノベル作家)になりたい! ……けど、小説の書き方がわからないんだ!!」と強く思っていて、「電撃大賞」や他のラノベ小説賞に応募される方の入門書としては、この上巻はかなりオススメなのですが……他の方には、上巻だけではあまりオススメ出来ないラノベ……ということですね。Amazonなどの他の方々のレビューを参考にする限り、読むとしたら上巻&下巻を一気に買って読まれた方が良いみたいです。
なのでこの上巻だけの評価は……星1つ★☆☆☆☆な地雷です。
まあ上下巻構成なので、下巻を読んだら評価が一変して「さすがは時雨沢先生だ! まさかあれが伏線だったとは!? 星5つ★★★★★あげちゃうぜ!」などと、もしかしたらあっさり手の平を返すかもしれませんが(笑)……この上巻だけでの評価はこんなものです。
下巻のレビューをお楽しみに!

 あ! それともしこの本を買われた方は……カバーを外しましょう。カバーを外しましょう。(大事なことなので(ry
そうしたら、少しは元が取れるかもしれません。

posted by mukudori at 21:20 | Comment(4) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする