2015年07月31日

(仮)花嫁のやんごとなき事情 ~離婚できたら一攫千金!~/夕鷺 かのう

(仮)花嫁のやんごとなき事情 ~離婚できたら一攫千金!~ (ビーズログ文庫)(仮)花嫁のやんごとなき事情 ~離婚できたら一攫千金!~ (ビーズログ文庫)
夕鷺かのう 山下ナナオ

エンターブレイン 2012-06-15
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ド庶民根性なめんなよ!!

 孤児院で暮らす、一週間に29ものアルバイトをこなすバリバリアルバイター、フェルディア(フェル)。しかし彼女の美貌はそのユナイア王国の病弱な姫君・シレイネとうり二つなので、度々影武者生活をやらさせていた。だが、今回王国から来たのは、つい先日まで戦争をしていたエルラント国の第三皇子……通称『毒龍公(どくりゅうこう)』と畏怖の感情で呼ばれるクロヴィス(クロウ)の元に嫁ぐことだった。シレイネの兄であり若きユナイア王であるシスコンなセタンタ陛下は「次の『ワルプルギスの夜』までに嫌われて離婚してくればいいから。嫌われるだけだから簡単だろう?」と、「報酬は馬車一杯の金貨でどうだい?」というのにフェルは釣られてしまった。はたしてどうなる、「お金の方が大事ですから!!」と言い張るフェルの命!


 少女向け小説も、結構面白いのが多い!!
 この前のビーズログ文庫記事の「死神姫〜」が良かったので、本屋で少女向けラノベ棚をざっと見て、表紙&タイトル買い(笑)しました。滅多に来ない本屋だから、旅の恥は掻き捨て……とばかりに、「瑠璃龍守護録」とかやら一迅社アイリス文庫のものやら、いろいろ買いましたよ(ただしレジでは裏表紙を向けて&店員さん「カバーはお付けしま……」私「――えっ!? いえいえ、結構ですから!!」)www
 さて、この本はですね……普通のビーズログ文庫とは違う点があります。読み終わったら一度、カバーを外してみましょう。少し嬉しいですから……と、2巻以降を買った後に気付きましたw

 ネタバレあらすじー。
 フェル、いつもの王国からの呼び出しに応じると、エルラントの第三皇子・クロウの元へ嫁いで欲しいと言われ、躊躇するが報酬の大金に目が眩んで即決。→行った先のエルラントのクロウのお城は庭には毒草を生やしていたり、クロウ自身も毒草を好んで食べて耐性を持っていたり、「部屋から出るな」と言われたり、初夜には髪の毛を引っ張られて窓の外にフェルの頭を出され、剣を首に当てられて「これでわかっただろう。お前を殺すことなど躊躇しないぞ、俺は。せいぜい死にたくなければ大人しくしているんだな」と言われるも、フェルも「首を切るのは構いません。ですが、このドレスはユナイアの国民の税金で作られた大事なものです。それを血で汚さずに殺せるというのでしたら、いつでも殺していただいて構いません」と対抗する。ここまで大人しそうに見せていたシレイネ姫(フェル)からの意外な反論にはクロウも驚き、その夜は退散する。元より、この国々で広まっているワルプルギスの婚約で初夜は特段『体を繋げる』というものではなかった。→部屋に籠もっていろ、とは言われたものの、先の戦でのユナイア国に恨みのある使用人たちにもどうやらシレイネ姫は嫌われているらしく、誰も入ってきて料理を持ってきたり掃除をしたりはしなかった。なのでフェルはセタンタが持たせてくれた荷物の隠し底からこのお城のメイド服や伊達メガネを取り出すと、それを着てこっそりと部屋から抜け出す。するとラナという下女に出会い、「あなた、新入り? 夕飯を食べ損ねたなら、キッチンを使ってもいいわよ。ただし、火は使っては駄目だけどね」と、おそらくこのお城の使用人の中では一番シレイネの担当でシレイネを嫌っているらしい少女にキッチンに案内してもらえる。そこでフェルが何を食べようかと迷っていると、誰かがランプを持ってやって来たので、その人物は「新入りのメイドか? 別に、俺がいるなら火は使って構わないぞ」と言われたのでカボチャのチーズ焼きを作ると、相手がカボチャの皮を取って食べようとするのでフェルが思わず「カボチャに種の綿以外で食べられないところはありません!!」と近寄って叱ると相手は笑ったが、それでランプの方に近寄ると相手がクロウだったことに気付いてフェルが蒼ざめる。しかしフェルの変装には気付かれておらず、フェルは名前を聞かれて咄嗟に自分の名前を答えてしまう。→その後、フェルは暇なのでたまにメイド服に着替えてお城を探索したり、孤児院時代の癖で部屋の中を掃除したりしていた。だがある日、お城中の使用人がクロウによってフェルの部屋の前に呼び出され、「お前たちは、自分に与えられた仕事を放棄していたというのだな?」とクロウは怒り心頭。ラナたちを庇うためにフェルは「いいえ、旦那さま。ちゃーんと私のお部屋は掃除されていますわよ。埃や塵一つありませんわ。どうぞお確かめ下さいませ」と言って室内を見せる。確かにフェルのアルバイトスキルで室内はピカピカだったが、「なら、これはなんだ? お前は食べられるのか?」と言われて、部屋のドアの前に置かれていたスープの皿を出される。それにはジャスミンの葉っぱに似たものが添えられており、疑問を持つフェルだがクロウは「これは葉をたった三枚口にすれば死に至る猛毒だが、それでも食べられるというのか? どうやらお前たちは、一応とはいえ俺の妻を殺そうとしたらしいな」と言われたのにはフェルも言葉が詰まった。ラナは死ぬとまでは思っておらず、腹を下す程度だと思っていた、と弁解する。しかし変装姿の時に優しくしてくれたラナたちを庇うと決めた手前、いっそ最期まで庇ってその毒草を口にしようとしたフェルの手をクロウは止め、毒耐性のある自分が食べた。フェルはこの後で再度クロウに立場を自覚するように脅される。しかしその分、命を助けられたラナたちはその後日からフェルに対して従順になる。→ある日、庭のベンチでラナと一緒に刺繍の手芸をしていたフェルはシレイネ姫の影武者としての教育&アルバイトスキルで見事な刺繍を完成させていたが、後ろから貴族らしき男が刺繍を奪って布を破る。その相手は翠龍公(すいりゅうこう)――エルラント国の第二皇子であり、クロウの兄のイグレックだった。ラナが思わずフェルを庇うと、イグレックはためらいもせずにラナの顔を殴り、剣を抜いて殺そうとしたところを孤児院で院長先生から教わった体術でフェルがイグレックの剣の鞘を奪って剣筋を受け止める。対峙していたところにクロウがやって来て二人はなんとか助かった。→メイドフェルがラナのところに行って先ほどのことを話して「あいつらの毛根、ハゲてしまえ!!」などと悪口を言っていると、後ろからクロウが「残念ながら、毛根は安泰な家系なのでな」と。蒼ざめる二人。しかしクロウはラナに何かの細い水晶で「これで傷を冷やしておけ。後で使うから失くすなよ」と言って渡し、フェルは毒草園に連れて行って「この中で好きな花はなんだ?」と訊き、フェルは「(そう言われても全部毒草だし……)あ、鈴蘭ですね。これは好きですよ」と言って、シレイネ姫との思い出を語った。→また後日。イグレックが「この前の謝罪をしたい」と言ってクロウの城に来て、フェルも混ぜてお茶会に。イグレックは、「エルラントとユナイアの境界の村に出た盗賊を倒したら、着ていたのはユナイアの軍の鎧だった」と言って血に塗れた革鎧をテーブルの上に出した。目を逸らしたフェルが紅茶を飲もうとしたら、クロウがそのカップを取り上げて、自分が飲み――倒れた。イグレックが「誰かが茶に毒を盛ったぞ!!」と声高に言うと、クロウの城の召使いや兵隊たちはイグレックによってクロウの城の地下牢に閉じ込められた。イグレックに「本来なら、あの紅茶はお前が飲むはずだったのだ。そうすれば一口で死ぬはずだったのに、無駄に毒耐性のあるクロウが飲んだ所為で……。お前はあの愚弟の本当の気持ちを知らなかったのだな。せいぜい、地獄で気付いてねぎらいの言葉でも掛けてやるがいい」と言われてフェルは自分の部屋に閉じ込められる。逃げ出すためにメイド服の格好になってシーツを切り裂いたものを繋いで窓の外に出し、「ああっ、奥方さまが!」と叫ぶとイグレックの兵がドアの鎖を外して飛び込んできたところにモップなどで攻撃して気絶させる。そうして意識朦朧としているクロウとイグレックが対峙しているところにフェルは小麦粉の袋を投げ込んで、パン屋さんのバイトで教わっていた粉塵爆発を起こさせる。二人で逃げ出すが、途中で柱の陰にいたイグレックの兵の剣からフェルを庇うクロウ。その傷は深く、血の痕跡を残して行くので追手は楽々と二人を追跡する。二人は物見の塔の最上階に上る。そこでクロウは息も絶え絶えにフェルに『婚約の神誓(ゲッシュ)の言葉』を述べ、フェルからも肯定の返答を求める。しばらくして追いついたイグレックはラナたちクロウの召使いを連れて来て、一人ずつ二人の目の前で首を刎ねてやる、と言うが、しかしそこに――クロウの側近のケイという褐色の肌を持った人間が、エルラント皇帝の兵士たちを連れて来て、イグレックたちを捕縛した。クロウは前々からケイにイグレックの調査をさせていて、イグレックの城にユナイアの武器や甲冑やらがストックされており、このような状況になるのを予見していた、と言う。ラナに持たせた水晶も役立ち、使用人たちはそれで閉じ込められていたクロウの城の牢屋ではそれを使って逃げおおせることが出来たのだった。→エピローグ。「こんな事件があったのだからやっとユナイアに帰れる! あの塔のところで約束しましたわよね、旦那さま?」と思っていたフェルだったが、そこでクロウが「何を言っているんだ? そのすぐ後で交わしたじゃないか、神誓を。『二人が生きのびることが出来たら……』なんだろう?」と返す。実はクロウはとっくに『嫁いできたシレイネ姫』が五年前のパーティ会場で肉を両手いっぱいに持っていて、「(可憐な妖精みたいだな……)お前は毒が仕込まれているかもしれないものをよく食えるもんだな。俺は勘弁だ。捨ててしまえ」「食べ物を粗末にするんじゃありませーんっ! ほら、美味しいでしょう?」といきなり口にスペアリブを突っ込んで食わせてきたフェルであり、メイド服のフェルも同じだと気付いていた。しかし、嫁いできた当初は気付いていなかったので、自分の初恋の相手の首に剣を突きつけてしまったことや冷たく当たってしまったことやらをひどく後悔していたのだった…………。

 うん、甘酸っぱいな!
クロウも実は最初っからシレイネ=フェルだと気付いていたのではなく、実は後からメイド姿のフェルと話をしていてそれと擂り合せたら……と気付いて、普段はクールな表情を取り繕っているなりに後悔していた、とか笑いどころもあって面白かったですね。
 しかし、弟夫妻を殺そうとしていたイグレックの処分などを1巻のうちに詳細に語ってくれなかったのがどうにも。
あと、イグレックがラナを殴った後での若い少女であるラナの顔への痛々しい描写が「そこまでは要らないだろ」と言いたくてね……。
 とりあえず、掴みである最初のこの巻は面白かったので、星5つ★★★★★です。オススメ!

posted by mukudori at 01:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | ビーズログ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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