2015年06月14日

クリムゾンの迷宮/貴志 祐介

 今回の記事は、漫画・ライアーゲームの最終巻のネタバレがありますので、ご注意ください
クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)
貴志 祐介

角川書店(角川グループパブリッシング) 1999-04-09
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シャボン玉が弾けた後には……。

 藤木(ふじき)という40歳の男は、一流の証券会社に勤めていて、バブルの時代を謳歌していた。――けれどそれも、一時のこと。すぐに転落人生を歩み、家は手放し、妻と子供とは離縁し、ホームレスへと堕ちようとしていたが、何故かある日、目覚めたところでは真っ赤な砂塵と岩の風景に囲まれていた。そこではたくさんの他の日本人もいて、おこなわれるのは他人を蹴落とすサバイバルゲーム……と推理する。はたして藤木は生き残れるのか!?


 あっ! 命が懸ったVer.ライアーゲーム(漫画のやつです。けど、ゲームに負けたら一生返せないぐらいの負債を負うこともあるので、『命が懸った』と書いてもいいかもしれませんね)だよ、コレ!!(小説のバトロワでも可)
なーんか既視感あるなー……と思いつつ、この作品をちびちびと読みながら、先日最終巻が発行されたライアーゲームLIAR GAME 19 (ヤングジャンプコミックス) -
LIAR GAME 19 (ヤングジャンプコミックス) - をネカフェに「最終巻が発売したみたいだし、10巻ぐらいまで読んでたけど纏めて読みに行くかー」と読みに行ったら、この作品とライアーゲームのラストのほとんどが似ています。
そこでまた思い出したのが、一世を風靡した小説・バトロワバトル・ロワイアル -
バトル・ロワイアル - でしたね。あの時の私はまだ鼻水垂らしていたガキでしたよ……( ´ー`)
そしてちょっと調べてみたら……この作品とバトロワって同じ年に発行されていたんですね。ノストラダムスの予言が目前に迫っている西暦1999年。
他人を退けて、自分だけが生き延びる道を探さなければいけない椅子取りゲーム……。
別にこの2作品は発行時期が近すぎるので、小説を書くのは時間が掛かるでしょうし、「どっちかの作者がアイデアをパクった!」と声高に言うつもりはないのですが……なんでしょうか。『世紀末』ということで、どちらの著者も厭世的な気分になったから書いて世に出したのでしょうかね?

 ネタバレあらすじー。
転落人生に陥った藤木、頭が痛むところを目覚めたら、周囲は赤い岩に囲まれていた。近くには少しの食糧と水と女性も倒れていたので救助。名前を藍(あい)と言って補聴器をしている職業はエロ漫画家と言う二十代らしき彼女と一緒に、バッグの中にあったゲーム機にソフトを入れて立ち上げてみる。するとディズニー的なキャラが出て来て、説明をしてきた。→説明通りに藍と一緒にその地点に向かうと、そこには他に5人の日本人がいた。どうやらここは、オーストラリアのバングル・バングルという地域らしい。各々話し合うと、それぞれのゲーム機に表示されている情報は違って、唯一藍のゲーム機だけが最初から壊れていたのでソフトごと捨てていたため、5人の内のオバサンから糾弾される。→そして全員で話し合いの末、『情報』・『食糧』・『サバイバルグッズ』・『護身用グッズ』が四方に別れているので、藤木と藍はみんなが避けている『情報』のところに行くことに。→『情報』のある北に行くと、またゲームソフトがあり、立ち上げると「よう! ここに来たお前さんたちは勘がいいな! つーことで、俺がいろいろ教えてやるよ! サバイバルグッズや護身用グッズを取りに行ったやつらとは仲良くしておいた方がいいぞ。……けどな、食糧の方に行ったやつらとは……もう会わない方がいいぜ。後半になってくりゃあわかるはずだ。ちゃんと頭と目を働かせろよ」と情報をくれた。→そして藤木は藍と二人きりでいる長い時間の中でセックスをしたり……と情を交わす。いろいろ歩いていると、最初に置かれていた鞄の中に入っていた『受信機』というものが何だかわからなかったが、すぐ近くで誰かのグループが動いているのを感じて、藤木は藍の補聴器から受信機を動かすための単三電池を借りようとするが、何故か藍はものすごく嫌がっていたので、諦めて自分のゲーム機からデータが消えるのも辞さずに電池を外して話し声を盗聴する。すると、食糧チームに行っていた楢本(ならもと)ともう一人が、7人の中で一番体格の良い妹尾(せのお)という男を殺す算段を付けていた。妹尾が殺された後、藤木が楢本たちがいたと思われる洞窟に入ると……そこには藍に噛み付いてきたヒステリーオバサンが殺されて食われていた。→戦慄する藤木たち。受信機を駆使しつつ、楢本たちから逃げようとする藤木たちだが、その途中で最初に7人が集まった時に「四方に別れて探索を」など、さり気なくゲームの導きをしていた野呂田(のろた)という男が傷を負っていたので、治療をしてやった。そこで藍は野呂田に「あなたが『ゲームマスター』なんでしょ! こんなもの、早く終わらせてよ!!」と何かを知っている様子で詰め寄っていたが、すぐに楢本たちがやって来たので、動ける藤木と藍は野呂田を置いて逃げる。→バングル・バングルには毒性の強い毒蛇がたくさんいるので、藤木は楢本たちをそいつらの巣窟におびき寄せて殺そうとする。しかし一度目は失敗。必死に東に向かって走っていると、いつの間にか草原になって、木の下で眠ってしまったところにアボリジニの青年がサンドウィッチと水を持ってきて、「どうしたんだ? 病院に連れて行ってやろうか? ちょっと待ってくれ。人手を呼んでくる」と言ってくれたが、藤木は懐疑的に見ていた。そこに青年が乗っていたと思われる車に空から落とされる、焼夷弾のような爆弾。これで、受信機を使った時点で監視カメラがあったことがわかったりと、ほとんど気付いてはいたが、藤木はこれがとんでもなく悪趣味な金持ちどもが開催&監視しているデス・ゲームなのだと心底わかった。→藍と一緒にバングル・バングルに戻り、ついに食鬼(グール)ともいえる楢本だけになった敵に向けて、夜になった周囲を火で包んだ。火を点けたと同時に、藤木と楢本は目がなかなか火の光に慣れない。なので藤木はそこまで目を閉じていた藍に手を引いてもらい、逃げる。楢本も追おうとするが、そこは――毒蛇の巣だった。楢本の絶叫を聞きながら、藤木は思う。北の『情報』で得た、「『食糧』の方に向かったチームにはもう会うなよ」という理由。それは南のルートを選択して違法薬物が入った食糧を食べて興奮させられ、ここにいる毒蛇たちも、それで興奮しているのではないのだろうか――? 関係ない民間人を簡単に殺すようなやつらだから、それぐらいはやりかねない……と。そして藤木は気絶した。→日本に戻り、優勝賞金の500万円をもらうも、あそこまでの命を賭けたゲームでは割に合わない。だからせめて、藤木はこの金を使う先として、『藍』という女がエロ漫画家でもなく、この日本には存在しておらず、スナッフムービーの線を辿ってくれ、でもそんなものって、本当にあるのかねえ? ……と顔見知りの探偵に頼んで知ることになるために使ったのだった。終わり。

 うーむ……。やっぱり、一種のパニックホラーで、いま流行りのデス・ゲームではあるのですが、貴志先生の代表作の「黒い家」のインパクトと比べたら落ちますね。
 しかし……この作品と比べたら、ライアーゲームの終わり方はちょっとマズイんじゃないか?
ライアーゲームの作者は、前作の「ワンナウツ」も良い出来だったので非常に頭が良いのはわかるのですが、もしかしたらいままでに資料として読んだ作品の中にコレがあったから、最終巻である19巻を半分以上超えたところからディーラーたちが、
「すみません、参加者のみなさん。ライアーゲームはもうお開きで−す。抜けた人たちの借金も全部チャラですよー。だって、このゲームは昔『ライアーゲーム』っていう小説を書いた人がいたんですが、面白かったのに最終巻が出版されなかったので、闇の権力者が続きを見たいあまりにお金を積んでキャラに似た性格の人間を集めて、開催したんです……18年前に。その時は失敗しまして、現在もまた……同じような状況になっています。でもみなさん、気付いたでしょう? 人々の絆が何よりも強いってことを。ここまで記録していた映像を、世界中に配信していいですかー?」「いいですよー」→後日。神崎「あっ! 福田さん、そういえば今日からyoutubeとかでupされるんですよね、私たちのライアーゲームの映像。……あれっ!? 途中で止まっちゃった!?」福田「あら、あたしが坊主頭だったところはせめて直して欲しいのにー……――えっ、削除された!? 他のネット動画サイトのも全部!?」秋山「おい、神崎……。これは、闇の権力者の持つ闇は……もっと深いってことだ……」
と、もう失笑するしかない展開ww 編集に打ち切り宣言された甲斐谷先生が切羽詰まった挙句、無意識に取り込んでいた……とかなのでしょうかね?
ただでさえ世間では「これって打ち切りじゃねえの?」「展開遅かったし、なかなか終わりが見えなかったしなー」「いっつも始めはヨコヤ有利からの秋山&神崎で攻略がデフォだしなー」「ドラマも映画もやったから、もう金稼ぎは充分なんだろw きっと『ライアーゲーム・真のFINAL』とか劇場でやるってww」と言われているのに……(最終巻を読んだ私の周りの反応では、ですので怒らないでください)。

 少し、最近少年漫画でもラノベでもドラマでも……「どこでもええから、とりあえず自殺やいじめか仲良し同士で殺し合いさせときゃあええんやーー!!」な風潮の、ある意味日本での先駆者ですね。まあ世界的に言えばスティーブン・キング先生が一等賞ですが。
 そんな感じでちょっと食傷気味なのですが……星4つ★★★★☆です。私は貴志先生のアイデアと着眼点と迫り来るような文章力は、いつも素晴らしいと思っています。
……ただちょっと、現在のデス・ゲームなフィクション作品の多さに辟易しているだけで……orz。

posted by mukudori at 00:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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