2014年11月01日

庵堂三兄弟の聖職/真藤 順丈

庵堂三兄弟の聖職 (角川ホラー文庫)庵堂三兄弟の聖職 (角川ホラー文庫)
真藤 順丈

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-08-25
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死体の言葉を聞く

うらぶれた町にある庵堂(あんどう)家は、代々紡がれてきた遺工師(いこうし)の家系だった。父親が死に、長男の正太郎(しょうたろう)が跡を継いだ。三男の毅巳(たけみ)は、スナックのホステスに熱を入れている。そこに東京から帰ってきた次男の久就(ひさのり)が正太郎の手伝いに入った時、この兄弟たちは団結し、そして瓦解する――。第15回日本ホラー小説大賞、大賞受賞作!


 うーん……。第15回電撃大賞、銀賞受賞者の作品だからちょっと唾付けておくか……と読んでみましたが、普通に面白くないぞぅ?
 なんつーか、これの前にものすごく素晴らしい才能で読み応えのあるものを読んでしまったから、ちょっとハードルが上がっていたのもあるでしょうが……まさか、悪い意味でこれが「日本ホラー小説大賞」の大賞受賞作とは思えない。何考えて貴志先生の「黒い家」と同じ大賞にしたんだ、審査員。
 ほとんど全てが解決してなくて、「伏線? ナニソレオイシイノ?」な作りで、ぺらっぺら。描写に対しては怖くもグロくもないし……どこを買われたんだろう?
まあ文章力がある(別名:「いらねーことばっか、長々と書き過ぎだよこの野郎」)のは認めますが……アレか? この作者が四つ同時受賞の当時の時系列がよくわからないのですが、最初に電撃大賞かポプラ大賞で受賞したのを編集たちが知ったから選考の上に上げて、それを読んだ審査員の一人のツボにものすごくハマったから推されたとかか?
私が「イイ歳のくせしてラノベばっかり読んでるから、一般文学の話の深みがわからねーんだよ馬鹿野郎」と言われても仕方ないかもしれませんが……それでも、貴志先生の「黒い家」は普通に楽しめたよ? ページ数もかなりあったけど、そこすらも忘れて引き込まれましたしね。

 愚痴はこのぐらいにして……ネタバレあらすじー。
 次男、実家に帰るとそこの工房では長男が加工途中の死体と一緒に寝ていた。この庵堂家に代々伝わる職業は……つまるところ、『死体の皮膚や骨を使っての、日用品への加工』というものだった。その所為もあって、この家の人間はちょっと他の町民たちから遠ざけられていた。→美濃田(みのた)という、いわゆるヤクザ一家の幼い一人娘が交通事故で死んだので、少し心が壊れた母親によってその少女の死体の剥製作業を頼まれる。長男が作業に渋っている時、三男はスナックに勤めている美也子(みやこ)というホステスに入れ込んでいた。三男が熱烈なアプローチをするも、美也子はそれに頷かないで逃げてばかり。その実は……美也子は、誰の子とも知れない赤子を妊娠して産んでいて、こっそりと育てていたが、ついにその赤子はぬいぐるみの切れ端を喉に詰まらせて死んだ。美也子はその事実を受け入れられず、三男が訪ねて行った美也子のマンションから逃げ出したのだった。そして長男は美濃田夫人の熱望する依頼を請けて作業していたが、後日、美濃田とその夫人が他のヤクザから恨みを買った所為で銃で撃たれて死んだので、いつも仕事を手引きしてくれる四方木(よもき)という男が「もうその死体は仕事をしなくていい。両親たちと一緒に焼いてやろう」と言ってくるが、長男は自分の何かが変わる気がして、最後まで剥製にする加工をやり遂げた。そこに三男が「赤ん坊の死体を持ち帰ろうとした」という罪で、警察に勾留される。そのころ、次男は少しボケが入っている、妻を亡くした老人のところに『完成作品』を届けるついでに自分の父親のことを訊くと、「明雄(アキオ)の息子は一人だったはずだが?」と言われて、疑問を膨らませて行く。→四方木の手引きで三男は解放されて、「この赤子の死体を遺しておきたい」と言うので、長男は「わかった。これが我が庵堂家の最後の仕事にしよう」と言って、兄弟三人掛かりで赤子の死体を加工する。そして出来たのが、渾身の作品と言っても過言ではない『皮膚を使ったティディベア』だった。美也子はまだ見つからないが、三男はそれで満足だった。→次男は四方木から話を聞いたりして、「自分(次男)だけが父親の本当の子供で、他の二人は美濃田家がヤクザ仕事で無理矢理持ってきた、『人体の生きたままの解剖』などをされたカタギではない男たちが遺した子供を父親が引き取った」……と知ったことを話すと、当時10歳だった長男は意外にもそのことを憶えていた。次男は美也子を探すらしく、「とりあえず沖縄にでも行ってくる。そこにも腕のいい細工師がいるから弟子にしてもらう」と言い、次男は東京に帰る間際に長男がまた遺工師の仕事を再開したことを聞いて、安心して故郷を離れたのだった。

 うおっ……! まさか、「腐れマ○コ」(実際の文章では伏せていません。ちなみに文庫版で221Pです)という文字列をエロ本以外の本の中で見ることになるとは……。これは別段特に内容に関係ないことなのですがねw
あー、なんかふと、「『国(クニ)』じゃねーよ! ク○ニしろよおらぁぁっっ!!」を思い出しましたね……。知りたいお方は『エデンの檻』で検索!w こっちは逆に、当時のマガジン本誌ではそのままで、単行本でわざわざ伏せ字にしたことで話題になりましたがねwww
 そして微妙な読後感……。
最後に長男が割り切ってまた仕事を再開したなら、もういいんじゃないのー? 血は繋がっていなくても、美濃田の娘を見事な剥製にするところでもう自分の才能と天職に目覚めて(死体から離れられないことに気付いて)いるんだから、最後の『兄弟三人で赤ん坊をティディベアに!』とかやらなくてもさあ……。

 読み終わって、作者が『電波ちゃんっぽいの』を意識して書いたような作品であることはわかりましたが、「恐怖」なり「気持ち悪さ」なり……どれも私の心に響くものがありませんでした
星1つ★☆☆☆☆。単純につまらない、地雷です。

posted by mukudori at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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