2014年07月29日

クイックセーブ&ロード 01/鮎川 歩

クイックセーブ&ロード (ガガガ文庫)クイックセーブ&ロード (ガガガ文庫)
鮎川 歩 染谷

小学館 2009-08-18
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上書きセーブの恐怖

榊潔人(さかき きよと)は、進学校である貴苗(たかなえ)中学校への入学試験テストでまさかの凡ミス。完璧に落ちた……と思って帰路に着いていると、そこに大型トラックが来て事故死――したはずが、何故かテストの日の朝に戻っていて!? そして楽々受験は突破し、潔人はこの能力を「セーブ」と「ロード」と名付けた。セーブは好きな時に出来る。ただし上書き式。そしてロードは自分が死ぬ度に、セーブ地点に戻る……というものだ。だがある日、いつも通り死のう……とビルの屋上から飛び降りようとしたところに、向かいのビルから飛び降りていたのは幼なじみの梓結衣(あずさ ゆい)!? 明るかった彼女にいったい何が……。第3回小学館ライトノベル大賞、優秀賞受賞作!!

 ミステリー調で結構面白いなあ……と思っていたら、最後の方でまさかのグズグズ駄目っぷりがひどい!
うーん、中盤でなかなかヒヤヒヤさせてくれたのはいいです。
でも改稿によって余儀なくされたのか……その後からくる、二転三転が面倒
最終的には「なんでここで上書きしてたんだ! 馬鹿か、僕は!」ですからね……。うん、本当に馬鹿だと思うよ、お前。「上書きセーブしか出来ない」なら、私なら毎朝ベッドで起きた直後にセーブすることにして、後は手間が掛かっても好きな地点まで自分の行動をなぞって選択肢(行動の岐路)まで行くようにしますね。

 ネタバレあらすじー。
 潔人、失敗した中学受験の帰りにこの能力に目覚める。そしてリセットして受かった進学中学校ではテストの度に「セーブ」→「リセット」でテスト問題を知った上で受けているのでいい成績を連発して、先生たちに「神童!」「これまでいなかった天才少年!!」と持て囃される。だが中学2年生のある日、常盤夢乃(ときわ ゆめの)という高等部一年生のメガネの女子の先輩に「あなたはもしかして、他の人とは違う時間を生きていますか?」と図星を当てられる。そしてずるずると『超能力研究会』に入らされる。→その年の十二月十日……由衣が飛び降りるのを止めるために何度もリセットするが、止められない。その内、常盤先輩にも知られて手伝われる。由衣の中学校に潜入すると、そこで望月京太郎(もちづき きょうたろう)という校務員の老人に怒られるが、常盤先輩が知り合いだったので老人(愛称:モッチー)も一緒に由衣の跡をつける。しかもモッチー老人は、貴苗中学校のOBで『超能力研究会』の発足者だと言われる。すると、いま近隣で起きている『眼球抉り』という、若い女子の眼球を片方だけを抉って殺す連続殺人事件(その内の1件だけは、被害者が助かっている)の現場に遭遇する。由衣はその現場に連続して3件も行って、その度に隠していた死体を暴いて、残されたもう片方の眼球を抉っていたのだった。そして由衣を捕まえた潔人たちは、喫茶店に。それで由衣を問い詰めていると、「実は……お母さんの再婚相手の誠一(せいいち)さんが『眼球抉り』の犯人なのよ! あの人の書斎を漁ってたら眼球をホルマリン漬けにしたものが出てきて、うっかり割っちゃったの! そうして今日学校に行ってたら、携帯にあの人から『壊した分の眼球を拾ってこい』……ってメールが着たの! それで、妹の双葉(ふたば)が人質にされてるの! 小学校に連絡したら、『今日は双葉ちゃんは風邪でお休みなのでは?』って言われたし!」そこで由衣の携帯にメールが着たので、それを見た由衣は一目散に逃げつつ家に帰って行った。常盤先輩は「ちょっと私は自分で探らせて」と言っていて喫茶店にはいなかったので、モッチー老人と一緒に由衣の家に行くも……そこではすでに常盤先輩も双葉も眼球を抉られて殺されていた。常盤先輩はメガネを握りながら……。由衣は涙を流しつつ血塗れな姿で、またビルから飛び降りようと逃げる。潔人もやり直すために一緒に飛び降りた。→「リセット」が起きる。ベッドで目覚めるなり由衣の携帯に電話を掛け、「由衣のいまの悩みを知っている。僕が助ける。もう大丈夫だ」と言って安心させる。それで誠一を捕まえることに。そこで由衣の家に行くと双葉がいて、「えっ、なんで休んでるのか……って? やだなあ、今日はキョート兄の誕生日じゃん! だからクッキー作ってるんだよ! お母さんも『それなら好きなだけ休みなさい』って言ってくれたし!」と一人きりの双葉がいたので、いまのうちに証拠物件の眼球を書斎から探す。そこに誠一が一時帰宅してきたので、のらりくらりと躱すが……証拠の「眼球が入ったカメラケース」は誠一に取られた。なので双葉も一緒に誠一の跡をつけると、入って行ったそこは暴力団の屋敷だった。そこに玲子(れいこ)というジャーナリストでメガネを掛けた由衣と双葉の母親(誠一と再婚した女)が現れたので、潔人は双葉を言いくるめて玲子に預けて屋敷に潜入。そこでなんと誠一と話していたのは――モッチー老人だった。本名は黐木京一郎(もちき きょういちろう)で、暴力団の組長。暇を見つけては、偽名の「望月京太郎」で孫娘の中学校の校務員をしているのが趣味で過保護……な人間。そこに潔人が現れて二人を「お前らが『眼球抉り』の犯人なのか! よくも騙しやがって!」と糾弾して誠一のカメラバッグを手にするが、逆にやられてしまって組の牢屋っぽいところに入れられて、目覚めるとそこには結衣と同じ公立中学校の制服で片目を髪の毛で隠した女子が。黐木慧(もちき けい)というモッチー老人の孫娘は……あの眼球抉りから命だけは助かった唯一の被害者だと言って、髪の毛で隠していた右目を見せる。そこに常盤先輩もやってきて、潔人の能力をモッチー老人や誠一(実は玲子と同じくジャーナリストではなくって、この組の若頭補佐役)に説明して、なんとか解放される。ちなみに誠一のカメラバッグには眼球なんて入ってなかった。なので「誠一の携帯をいじって由衣にメールを送っても不自然でない相手」、「今回のリセットの前に常盤先輩が最期に握っていたメガネは先輩のではなくて、あのフレームは他のメガネを掛けた人間のもの……!」と真相に気付いた潔人は急いで由衣の家に行くが……すでに双葉は眼球を抉られて殺されていた。由衣が飛び降りる予定のビルに向かうも、もう由衣は飛び降りた後で、その後からいくつもの眼球が落ちてきて玲子も飛び降りてきた。潔人、すぐさまリセットを決行。→だが、潔人は「黐木組でカメラバッグを奪った時点」で上書きセーブしてしまっていた。そこから何度も何度もリセットを繰り返すが、「双葉を玲子に預けた時点」なので、何をしても全ての解決に間に合わない十二月十日を何度も過ごす。虚ろになった潔人は部室の常盤先輩の元に行く。「おや、なんだかとても疲れた表情をしているね。今日は『何回目の今日』なんだい?」と言われる。そして常盤先輩は「実はね……君の能力がわかったのは……私の兄も、君と同じ能力者だったんだ。君も同じ目をしていたからわかった。兄は『自分に本当の死は待っていない』ということに絶望していたよ。これがゲームで言う『詰み』の状況なんだ、とね。それから兄は行方を晦ましたんだ」と言われる。それで潔人は「これがゲームの詰みの状況なら……『リセット』でなくても『ニューゲーム』が選べる?」と思い至る。常盤先輩は「次の時代でも、またお友達になってくださいね」と涙を流して潔人を送り出した。潔人は校舎の屋上から一度セーブをして飛び降りて、もう一度この場面になる。「これで、いまのセーブは『ノーデータ』な状況だよな……? ここからまた飛び降りれば……!」と言って飛び降りた。→潔人は普通に14年間を過ごし、またまた由衣が巻き込まれている惨劇に足を突っ込み、そして黐木組に忍び込んだ辺りで……ようやく前の記憶を取り戻した。前の記憶よりも時間にして15分ぐらいの余力は、なんとか双葉を助けることに間に合う。そこで犯人――梓玲子と対決するも、何度玲子に殺されても、梓家に入る事前にセーブをしていたので、潔人は甦る。そこで催涙スプレーを持っていたので吹き掛け、それで玲子が逃げたところを「きっと逃げる場所は、由衣が飛び降りるあのビルだ!」と考えた潔人は追う。そこには由衣がいて、「えっ、あの男との眼球の受け渡し場所なのに、なんでここに母さんと潔人が!?」と驚くも、すぐに玲子に人質にされる。玲子は「綺麗な目なら、天国に行けるの! だから私、これまでに嘘を吐いた分の十三個を集めたのよ! なのにこの子がせっかく私が集めた目を壊すから……! いつもこの子の所為よ! 二年前のあの日も、貴苗の受験に落ちたこの子を私が殴ったりしなければ、和夫(かずお)さんも迎えに出て行くことはなかったのに……。でも綺麗な目を十三個集めた私がそれで天国に行ったら、二年前の由衣を迎えに行ったあの時に交通事故で死んじゃった和夫さんもきっと喜んでくれるわ!!」と、子供の童話的な話を信じて錯乱したことを述べる。そして由衣が「残念だけど……私はそんなの持ってきてないわ! 今朝、キョートに言われたもの!」と言うと玲子は「あらそうなの……? でも、ここに『綺麗なのが四つ』もあるじゃあない?」と由衣にナイフを向けるが――そこに、常盤先輩がゴム弾in散弾銃を親友の慧の黐木組から持ってきて助けに入る。ゴム弾で指を折られた玲子は「十個しかないけど、神さまなら優しいから許してくれるわよねっ!」と言って屋上から飛び降りる――ところに、潔人も一緒に飛び降りて、玲子を抱えながらパイプ管に指を引っ掛ける。ひと二人の重量を抱えている指はもちろん折れてしまって死ぬほど痛いが、ここまでやってきたことを無駄にしたくなかった。そして梓玲子は、常盤先輩の呼んできた警察に捕まった。→エピローグ。一ヶ月後。誠一は玲子が捕まっても、二人の義娘のことは面倒を見ていた。双葉はなんとか笑顔を取り戻したが、全ての発端が自分だということに気付いた由衣は塞いで引き籠もっていた。そこに潔人が部屋に押し入り、「ほら、こんなところに籠もってるんじゃないよ。『こんな汚いところに籠もってたら、キノコが生えちゃう』んだろう?」と、ずうっと昔に由衣が自分を家から連れ出してくれた時の言葉を贈りながら、潔人は由衣の手を引っ張って、外の虹を見に行った。

 ……えっ?
ちょ、ちょっと待てよ……!?
普通のゲームって、セーブデータをロードしても、元のデータは消えませんよね? 常盤先輩のお兄さんも作中でそう言ってるじゃん? なのに「これで一回死んだから、セーブデータは空白だな」って……何? ファミコンの初期のドラクエ並みのセーブなのか、こいつの能力は? 「パスワードが間違っています」で全データ初期化か? ふざけんな。
 お前、何度も何度も繰り返してきた悲劇の中で、「あっ、やべ! そろそろここ辺りでセーブしとかなきゃ!」とか思ってやってきたの? それならゲーム感覚パネェな……。だからここの3章の最後で「この人生では駄目だったから、最初っからやり直し!」という潔人の心境で白けてしまいましたよ……。「強くてニューゲーム」なんていう作者の逃げに入らずに「これはもう、ゲームで言う『詰み』なんだ……」って言ってる状況から、なんとか策略を講じて纏めて欲しかったなあ。まあ、いろんな部分の尖り具合は「さすがGAGAGAの受賞作だな!(笑)」、って感じですが。
 あと、229P。改行後の一文字空けが出来てませんよー。

 評価は……星2つ★★☆☆☆かな。設定(発想)は良かった。中盤もわくわくしながら読めた。
ただし、最終的な犯人の錯乱し過ぎている動機と問題解決の方法が残念でした。プチ地雷です。

posted by mukudori at 23:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ガガガ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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