2014年07月16日

男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 (1) ―Time to Play― (上)/時雨沢 恵一

男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 (1) ―Time to Play― (上) (電撃文庫)男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 (1) ―Time to Play― (上) (電撃文庫)
時雨沢 恵一 黒星 紅白

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楽しいライトノベルの書き方

 私立高校の二年生に上がった「僕」は、さっそく新しい高校デビューに失敗してしまった。以前は公立の高校にいて、一年間休学していたのだ。その事情は――実は僕は、現役で自作品がアニメ化もするぐらいの売れっ子な電撃文庫のライトノベル作家なのだ。なので時間の融通の利く私立高校に転校したのだが……そこで出会った、似鳥絵里(にたどり えり)という女子のクラスメイト。彼女はなんと……この度アニメ化になる僕の作品『ヴァイス・ヴァーサ』の登場人物の一人を演じるプロの声優だった。彼女に首を絞められながら、僕はこれまでのことを走馬灯のように思い出して行く――。「キノの旅」の著者の書く、ラノベ執筆入門書!?


 うっわぁ……。
……すみません。私はライトノベルは小学生〜中学生のころに買った電撃文庫の「キノの旅」から始まって、「ブギーポップ」などを読んで行ったので、「ライトノベルって面白い!」と思わせてくれた時雨沢先生にはとてつもなく敬意を抱いているのですが……この作品は、ひどい!(時雨沢先生の大ファンの方、すみません。怒らないでください。逆に私は泣きたいぐらいです)
当ブログで時雨沢先生の作品を最初にレビューを最初にすることになったのがこんな作品で、ものすごく悲しいです。
でも思い出の「キノの旅」はもう私の中で神格化しているので、星5つ★★★★★ですら付けるのも烏滸がましい気がして、このブログでレビューが出来ないことをご理解ください。

 そういうことで、ネタバレあらすじー。
この本……ぶっちゃけ半分以上ぐらいな分量で、電撃大賞に応募する際の注意点&電撃大賞の受賞関連の裏話&ラノベ業界の裏事情を語っています(笑)。なので、その辺は特に話の大筋に関係ないっぽいので端折っていますので、今回のネタバレあらすじは結構短いです。
 僕(主人公。話が一人称で進むので、最後まで名前は出てきません)は、似鳥に首を絞められながら、走馬灯のようにこれまでのことを思い返していた。→主人公、編入してきた私立高校のクラスの自己紹介で、失敗してしまう。その後の似鳥の自己紹介は「好きな食べ物は、三食それでもいいぐらいに『馬刺し』です。ちなみに犬を飼っていますので、興味がある人はスマホに写真がありますので、いつでも見に来てください」……と人心をがっちり掴む素晴らしいもので、記憶に残る。→主人公の作品のアニメのアフレコに参加するために東京に行くための特急列車に乗っていると、そこに似鳥が。「あなた、『ヴァイス・ヴァーサ』の先生でしょう?」と言われて驚くが、以前アニメ化が決定してスタッフたちが集まって主人公が出て著者紹介と挨拶をしたところに似鳥もいたので、主人公の方は覚えていなくても顔を知られていたのだった。それで毎週金曜日に主人公もアフレコに参加するために出る同じ特急列車に乗った時には、似鳥がお菓子やお茶などを買ってきて、主人公のこれまでの執筆歴などの話を聞く。→主人公は小さいころから本を読むのが好きで、中学のころにパソコンを買ってもらって小説を書こうとするがいろいろ苦心しつつ、最初に書き上げた『ヴァイス・ヴァーサ』を電撃大賞に応募したら拾い上げされるが、「本当は受賞レベルだったが、応募当時に15歳だったという経歴のために、受験などの主人公の将来を編集部全体で考えて受賞は見送られて拾い上げという形にされた」という実情を担当から聞く。そして無事高校に受かった主人公はどんどん作品を出して、アニメ化に至ることに。ここまでの間に、おそらく時雨沢先生の経験されておられる出版事情やファンレターなどのいろんな裏事情を羅列されます。新人賞や出版に興味のある人にとっては面白いでしょう。→そして最後にも、主人公は「ど、う、して――!?」とまだまだ似鳥に首を絞められている。上巻終わり。

 ……もう、苦笑しか出てこない部分がしばしば
229Pで「〜って先生は言いいたのね〜」単純な誤字があるにも関わらず、その後で主人公が似鳥に対して「校正」や「校閲」の重要さを語ることには……もう「ハハハ……」と乾いた笑いしか出てきませんでした。私が持っているのは初版なのですが、多分探せばもっと誤字・脱字なんかがあると思います。こんなテーマの小説の教則本みたいな作品なら、もっとしっかりと著者校閲をして欲しかったですね。
 その後の会話でも、
「『てにをは』を僕はよく間違えるんだ」
「『テニヲハ』? それって、何?」
「んー、簡単に言えば助詞のことで……」
「『ジョシ』って? まさか、女子を怪しいことに使って……」
「いや、違うから!」

……という会話には、「『助詞』がわからないなんて……似鳥よ、お前は本当に高校二年生なのか!?」と、中学生でもわかることなのに(確か、中学生ぐらいで習いますよね? 早ければ小学生高学年の時に作文の作法を習う時にも)あまりに馬鹿過ぎる会話に眩暈がしました
 あと、主人公がノートパソコンを買ってもらって一年ちょっとでタイピングも上達して文章力も上がって、初めて書いて応募した一作目で拾い上げされてデビュー!(実質、受賞レベルだった) というのは、ちょっとチート過ぎませんか? 「魔法科高校〜」の主人公レベルに。
これならよっぽど、同じようなテーマ(主人公が高校生で中学の時に電撃文庫からデビューした現役ライトノベル作家)を扱っている「エロマンガ先生」1巻2巻の方が、かなりフィクションが入っていても(もしくは、『フィクションがかなり入っているから』?)面白かったですよ。あっちの方が「14歳の時に(おそらく電撃大賞の)一番下の奨励賞受賞」「俺、超速筆なんです!」(もっとも、こっちの「僕」の方も高校を一年休んでいるのもありますが、約一年で7冊ほどを出すほどの速筆ですが)……などのチート具合を加味しても。この作品を読んだいまなら、エロマンガ先生1巻の方には星4つ★★★★☆ぐらいあげますね。
 そんでもって……こんなに困惑したのは私だけでしょうか? 時系列が少し分かり難い。タイトルをよく見た後に本文を読み始めて、「なるほど、いま主人公が高校二年生なら、ヒロインは高校一年生なのか? でも、『クラスメイトの女子』って書いてあるよな? スキップ制度か?」と思いつつ読んで行って、主人公の拾い上げの真相などを聞いて「ああ! それなら、とりあえず公立高校に合格した後に母親も編集さんも安心させて頑張って執筆して、一年生の時は休学することにして、人気になってアニメ化も決まったから、私立高校の二年生に編入することに……って、あれ? それだと単位が足りないから、いくら私立でも二年生にはなれないんじゃないのか?」と思っていたら、「16歳から17歳の春……僕は高校を一年間休学した。」と最初に書いてあったのが、「休学したのは公立高校一年生の時」ではなくて、公立高校一年生の時は普通に勉強しつつちょっとばかり執筆しならがも普通に過ごし、「本当に休学したのは高校二年生に当たるところ」だと、二回読み返したらわかったので「わかりづらい書き方すんなよ!」と言いたくなりました。時雨沢先生の文章は変な言い回しや着飾った文章ではなくて読みやすいのですが……たまーに、わかりづらい書き方をされるんですよね……。

 とりあえず、言いたいことは……
「俺は小説家(ライトノベル作家)になりたい! ……けど、小説の書き方がわからないんだ!!」と強く思っていて、「電撃大賞」や他のラノベ小説賞に応募される方の入門書としては、この上巻はかなりオススメなのですが……他の方には、上巻だけではあまりオススメ出来ないラノベ……ということですね。Amazonなどの他の方々のレビューを参考にする限り、読むとしたら上巻&下巻を一気に買って読まれた方が良いみたいです。
なのでこの上巻だけの評価は……星1つ★☆☆☆☆な地雷です。
まあ上下巻構成なので、下巻を読んだら評価が一変して「さすがは時雨沢先生だ! まさかあれが伏線だったとは!? 星5つ★★★★★あげちゃうぜ!」などと、もしかしたらあっさり手の平を返すかもしれませんが(笑)……この上巻だけでの評価はこんなものです。
下巻のレビューをお楽しみに!

 あ! それともしこの本を買われた方は……カバーを外しましょう。カバーを外しましょう。(大事なことなので(ry
そうしたら、少しは元が取れるかもしれません。

posted by mukudori at 21:20 | Comment(4) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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