2014年05月06日

Tとパンツとイイ話 01/本村 大志

 ゴールデンウィーク連続更新! ラストの4日目だ!
Tとパンツとイイ話 (MF文庫J)Tとパンツとイイ話 (MF文庫J)
本村大志 前田理想

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ヨウカイ遊ビ

 高校に入学したばかりの日渡陽太(ひわたり ようた)は、朝起きたら――なんとエロイ抱き枕と頭がフュージョン(合体)してました!? 道を歩けば誰もが振り返るその姿はまさに『T』! このままT人間として生きて行くのか……と悲観していたら、実は『思念力(しねんりょく)』というものを持ったぬいぐるみの仕業ということがわかり!? どうなるT! 第7回MF文庫新人賞、優秀賞受賞作!


 うーん……これはちょっと……
まず、投稿時の原型がわからないぐらいに改稿されている。最後の後付けはともかく、ラストバトルの後に「どうやってこれ締めたの?」と訊きたくなる構成。原題の「ヨウカイ遊ビ」なんかも照らし合わせると、全然マッチしてないし……。
いや、ギャグは結構はっちゃけてて面白いんですよ。主人公もヒロインも親友もね。
ただ、たった一冊(260P)に対してクリアしなければならないハードル(試練)が三つも連続で、まるで短編集のようにやってくる……というのはどうなのか。まあ、同時期に受賞した「正捕手の篠原さん」も4Pショートストーリーの詰め合わせだったので、この受賞回はそういうのが求められていたのかなあ……?

 ネタバレあらすじー。
 高校入学後の主人公・陽太、親友の影時(かげとき)が「今度大学生の姉貴が帰ってくるから、エロイやつが見つかったら捨てられるんだ! 他のはなんとか隠したが、この抱き枕だけは質量的に無理だった! 頼む、一週間でいいから預かってくれ!」と頼んできたので了承して、その抱き枕と過ごす。だがある日起きると、頭に抱き枕がくっついていてそのシルエットはまさにT! しかも抱き枕に髪の毛が生えてきて、切り離そうにも痛みを感じて……融合してきている!? 影時と幼なじみの光里(ひかり)と相談しつつも、陽太が二人に触れると――手が二人の身体とくっついて離れない!? そんな有様で学校になんとか辿り着いて、誰もいない屋上に避難。すると、天川星也(あまかわ せいや)という女子人気が高い同級生が、お札を飛ばして攻撃してくる。逃げ惑っていると、「チッ、気付かれたか!」と、動く緑色のネコのぬいるぐるみが登場。天川曰く、「このぬいぐるみのお陰で、日渡くんはこうなっているんだよ。捨てられていたこいつには『思念力』というものが宿ってね。それで波長の合った君に悪戯したんだ。ということで、諸悪の根源を滅却するね」「ぬいぐるみじゃねー! 俺には『コン』って名前があるんだぜぇ!」と、説明される。コンは光里に憑りついて逃げる。そこでとりあえず、抱き枕は陽太の頭から取れた。空地で見つけたコン&光里は、鉄骨などを合成出来る思念力で天川に対抗。そこでコンが「捨てられた俺はただ、みんなに遊んで欲しかっただけなのに……目覚めて最初に出会ったそこの天川の野郎が、『なら僕と遊ぼうか? どのぐらいの責め苦で君の命が尽きるか勝負だよ。野良思念使いは危険だからね』って俺の命を狙ってきやがったんだ! もう人間なんて信じねえ!」……と叫ぶ。コンと一旦離れたことで、光里は「コンちゃん……可哀想! こんなに可愛いのに! なら、波長が合う陽ちゃんときちんと契約したら大丈夫なんじゃない?」と涙を流す。そして利害が一致した陽太とコンは改めて契約したので天川は退散。→女子の穿いていたパンツがいつの間にか無くなる事件。実は、天川と同じ協会に所属しているお色気むんむんのお姉さま、火威美紅(ひおどし みく)という女性が、先日陽太のクラスで飼っている「天むす」という『テレポートの思念力』が使えるハムスターを捕まえていたからだった。美紅は「美少女のパンツが大好きだから集めているの!」という変態。だが変態には変態が対抗する。……そう、影時だった。天むすは影時とフィーリングを感じて、契約。影時はそこらの家から洗濯機を自分の元にテレポートさせて、「陽太! お前とコンの力でこの洗濯機を合成して、いつも話している『アレ』に俺を変身させてくれ!」と言って、陽太が渋々従うと……「ふっ……『仮面ワイパー洗王』、参上! 女子のパンツは洗って綺麗にして返さないとな!」「あ、あなた……この町に何万人の女子がいると思ってるのよ! 集めた私だってもう把握出来てないのに、そんなこと出来る訳がないわ!」「ハッ! この俺が、たった数万人ごときの女子のパンツを見分けられないとでも思っているのか?」とカッコよく決めて美紅を撃退。美紅は天川に捕まって処分を受けることに。光里のパンツは「ほらよ、光里。お前のパンツとスパッツだ」「えっ! 陽ちゃん、自分のお尻ポケットに入れてたから、返してくれないのかと思ってたよ!」「俺は変態か!」「……でも、陽ちゃんなら許すんだけどね!」とラブラブ。→ある日、光里が「陽ちゃん……私、子供が出来たの」と電話してくる。驚いた陽太が公園に駆けつけると、佐藤優子(さとう ゆうこ)という、名前以外に記憶の無い幼女が陽太と光里のことを「パパ! ママ!」と呼んでくる。影時にも連絡して探してもらっていると、天川に出会って「ちょうどいい。僕が探しているのもその子だ」と言われる。親がいなくて思念力を持った優子は孤児院にいたが、愛情に飢えて逃げ出したらしい。そして光里と出会い、優子の思念力を発動させるためのたくさんの愛情をもらって――光里を巻き込んで暴走した。天川によると、その力はゴジラ一頭分。町を破壊する戦いになりかねなかったところを、陽太たちが「優子のパワーの愛情タンクになっている光里ととりあえず分離させられれば――」と考えていると、影時が「なら、お前の声が届く距離に俺がテレポートさせてやろう」と言って光里に近付く。そして光里に近付くも、なかなか起こすための言葉が見つからないのでしどろもどろな陽太の後頭部をコンが蹴り飛ばすと、偶然――キスをしてしまった。しかしそれで「陽ちゃん……触手プレイで気を失わせて無理矢理キスだなんて、エッチだね……。まあ、陽ちゃんだから許すけど!」「アホか! 現状把握しろ!」と光里は目覚めたので、優子の暴走も止まる。そして天川曰く、「力を使い過ぎた優子には、もう思念力が残っていない。普通の女の子になったよ」と言われて、光里の家に引き取られることに。優子をここまで追い詰めた孤児院には、天川の協会から裏で圧力を掛けると言う。→エピローグ。天川の協会の上層部が、「さて、火威を倒した影時くんには我々の仲間になってもらおうかねえ……。コンの方は、いまのところは放っておいて構わないだろう」と画策していた。

 おい……なんかおかしくないか?
なんで高校入学してから間もない(作中で陽太が「高校に入学してまだそんなに経ってないのに、こんな頭で『Tの野郎』ってあだ名を付けられるのは嫌だ!」と言っていたので、おそらく四月初旬〜中旬ごろだと思われる)のに、「大学生の姉が帰郷してくる」んだよ。影時の姉はさすがに高校時代は同居していたと思うので、「姉貴がエッチなものを許さない。→姉貴が我が家を出て遠くの大学に行ったぜ! ヒャッハー! これからは俺の部屋にエロイもの集め放題だぜ!(三月〜四月にかけての影時の心境。これまで陽太にエログッズで迷惑を掛けたことが無いらしい描写から、これが最初の案件だと思われる)」……という結論になりますよね? なら姉よ、何故大学一年生の四月に一週間近くも帰ってくるんだ。四月って……一番忙しい時期だろ? せめて作中でゴールデンウィークでの帰郷(もしくは姉が大学デビュー失敗で家に帰ってきたとか)だと説明してくれ。
 あとイラストレーター、ちゃんと本文を読め。陽太の頭がまだTなのにモノクロイラストでは普通の頭だったり、光里が本文で「いつもはストレートな髪の毛を今日は活動的なポニーテールにしている」って書いてあるのに、ストレート。……編集もちゃんと仕事したのか?
 話も大きなテーマを根底に流しつつずーっと通して適度にバトルしてくれればいいのに、ぶつ切りだし……。最後で光里にも何かあるような書き方をされているけど、出てこないし……。
 まあ、光里がすごく純粋で可愛くて、陽太にべた惚れなのが救いでしょうか。

 うーん、期待していただけに残念です。星2つ★★☆☆☆。プチ地雷だよ!

posted by mukudori at 19:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | MF文庫J | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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