2011年11月04日

六花の勇者/山形 石雄

六花の勇者 (集英社スーパーダッシュ文庫)六花の勇者 (集英社スーパーダッシュ文庫)
山形 石雄 宮城

集英社 2011-08-25
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ファンタジーとミステリーの化学反応
 
 闇の底から魔神が目覚めるとき、大陸を魔が覆う。そこに六花の勇者目覚めり。六花の勇者は6人で一人でも欠けても、増えてもいけない。必ず、6人なのだ。
だがしかし、集合の祭壇に集まった六花の勇者は何故か7人いて――!? すなわち、それは誰か一人が偽物ということになる。ミステリーファンタジーの開幕!


 戦う司書シリーズ戦う司書と恋する爆弾 BOOK1(集英社スーパーダッシュ文庫) [文庫] / 山形 石雄 (著); 前嶋 重機 (イラスト); 集英社 (刊)でお馴染みの山形先生の最新作!
これはかみおーさんのところの記事を見てから、ずっと読みたいと思っていました。ミステリーとファンタジーの掛け合わせ……いいじゃない。

 最初に総評を言うと、これは読まなきゃ損! ですね。
ミステリー色が強くもありながら、ファンタジーの剣や魔法のわくわく加減も忘れてはいない。
バトルもスピード感があってすばらしい。
まさにSD文庫はたまにこういうの出してくるから侮れないんだよなー。

キャラ立ちはいいです。
7人もいますがすぐに覚えられます。
・アドレッド……主人公。勝つためなら卑怯な手もいとわない。小細工型ヒーロー。
・ナシェッタニア……某国の姫。剣の聖者。ちょっと世間知らずな面もあり。
・フレミー……火薬の聖者。実は魔族と人間のハーフで、魔族に育てられたが裏切られたため、憎悪を抱き復讐に走る。
・ゴルドフ……ナシェッタニアの国の寡黙な騎士団長。
・チャモ……当代最強と目される、沼の聖者。ロリ系。戦い方は、自分の身体の中の沼を嘔吐して、そいつが自由意思を持って戦う。ちょっとこのロリは萌えないかな……。
・ハンス……猫のような風体の、変ななまった喋り方をする男。実は暗殺者だが頭も切れる。
・モーラ……山の聖者。この中では一番年かさ。

 まあ最初に思ったことは、誰か一人が偽物の六花の紋章をつけてるんだから、水で洗えよ。ってことでしたね。それとも現物に忠実に、刺青にでもしてあったのかなー?

 ここから下は犯人のネタバレありなのでお気をつけを。









 いやー、やっぱりナシェッタニアが犯人でしたね。
こんな感じで、ミステリーが苦手な私でも犯人がわかるぐらいです。

 中盤にかけてアドレッドが結界の仕組みをおさらいしている場面を読んでいるときにピンときました。
地域一帯に魔物を封じ込める(=中の人間も出られない)結界が作られたと錯覚させて、神殿に解呪を施そうとしつつも、実は新たな術式で本当の結界を施そうとした――イコール最後に石版に触ったナシェッタニアしかいないだろう、と。

 でもあやうくプロローグの「アドレッドさん、貴方のこと……信じてたのに!」という台詞と、アドレッドに最初に近づいてきたという「こいつがヒロインか!?」要素に惑わされそうになりました。
本当のヒロインはフレミー(女・火薬の聖者)って時点で気づくべきだったよなー。もしくは表紙のフレミーを見た時点で。

 それにしてもゴルドフ不憫すぎる……。ナシェッタニアを信じてここまでやってきたのに……。

 それでもナシェッタニアを退けた最後の最後のエピローグで新たな、ロロニアという少女がまたまた「六花の紋章」を携えてやってきます。そして「あれ……ところでみなさん、なんで7人もいるんですか?」とくる訳ですよ! 最初にふりだしやんけ!
話が全然進まなかった気がするので、このエピローグのエピソードはいらなかったなー。とっとと6人で魔神を倒しに行って欲しいです。
 その点を加味して星4つ★★★★☆ですね。

 いや、でも本当に面白いんで、是非読んでみて下さい!

posted by mukudori at 00:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 集英社SD文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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