2011年06月02日

ケモノガリ1巻/東出 祐一郎

ケモノガリ (ガガガ文庫)ケモノガリ (ガガガ文庫)
東出 祐一郎 品川 宏樹(GAINAX)

小学館 2009-07-17
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高校生セガール、現る

 赤神楼樹は平凡な人間だった。自分には才能なんてないと思っていた。しかし奇しくもその才能は開花することとなる――。修学旅行の先でのクラス集団拉致、それは『クラブ』と呼ばれる組織による殺人ゲームの幕開けだった。そこで楼樹の隠された才能――『殺戮の才能』が目覚めることとなったのだった。青春が疾駆する、新感覚殺戮スプラッタアクション!


 これは素晴らしい。いや、凄まじい
 なんだろう、読後に感じたのは一つのハリウッド超大作を見せられたような爽快感。と、『スクリーム』や『デッドコースター』などを連続して見せられた後味の悪さ。そしてほのかに残滓を残す、甘酸っぱい青春の香り。
 もの凄い作品をドガンとぶつけられてきた感じです。さすがは『あやかしびと』あやかしびと -幻妖異聞録- portable ベスト版 / BOOST ONのシナリオライター。やってくれるぜ!

 ちなみに私は会長&刀子さんルートのバッドエンドが一番好きです。最後に双七くんが、空の上から刀子さんを「待っているよ」ってところが切なくて、好きで仕方ありません。

 さて、殺人ヒャッハー! 発禁上等! なこの作品ですが、そこに一筋の『青春』を感じるのには理由があります。それは主人公を含む主要な生徒たちがこれまでの16年間を凝縮してきたような形で、生を実感しているから。「今しかない」という刹那の瞬間を感じ取っているから。
 それは終盤の楼樹とあやなの会話に凝縮されています。

「――もう会えないの?」
「――もう、会わない」
 僕は僕自身を解き放ってしまった。僕はケモノであり、それ以上の何かだ。側にいたい。抱き締めたい、あやなにキスしたい。でも、出来ない。僕はここに残る。僕が、僕であることを証明するために。そして世界中の人間に宣言する。僕は許さない。あいつらを許さないって。僕にはそれが出来る。
 互いにもはや、人間としての枠組みから抜け出した怪物みたいなものだ。僕も、彼らもケモノだ。
 ――いや、違うか。
 僕は彼らとは違う。彼らが人を狩るケモノであるならば、僕はケモノを狩ろう。この命をチップにして、全てを彼らの『死』に賭け続けよう。
 僕は人でもケモノでもない、『ケモノガリ』になろう。


 どうでしょう、この『唯一の命をチップにした刹那的な少年の誓い』は。青臭く、泥臭く、けれど純粋できらめいたものがあります。

 序盤の展開でちょっと楼樹の覚醒が早すぎたかも? バトロワみたいに他の生徒の奮闘(というより一方的な虐殺?)も見てみたかったという点を除けばほぼパーフェクトに近いですね。
最後のロビン・フッドとの戦いは手に汗握るものがありました。しかし、まだ1巻なのにここで楼樹の片目を失ったのは痛いなー。それだけロビン・フッドが強敵ということを示したのはいいと思いますが。

 なんにせよ、読後、興奮で眠れなかったのはこの作品が初めてです。脳内アドレナリンが分泌されまくること間違いなしです。星5つ★★★★★。
 あ、ちなみにかなりのグロ&スプラッタ描写アリなのでオススメですが苦手な方は要注意です。

posted by mukudori at 20:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | ガガガ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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