2010年総決算ということで、今日から1月1日まで3日間連日更新したいと思います!
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なるたま〜あるいは学園パズル
生徒会の主催する「迷わない子ひつじの会」。生徒会メンバーである成田真一郎(なるた まいちろう)は寄せられる一風変わった悩み事相談に、奔走中! だがそんな中の救いの主は、生徒会室の隣の部屋をねぐらにしているダラダラ娘、仙波明希(せんば あき)だった。真一郎が「子ひつじの会」の悩み事相談を持ちかけると、彼女の指摘は何故か的を射ていて――!? 学園パズルコメディ小説!
3日連続更新の1日目はこれです。今年度スニーカー大賞最優秀賞受賞作品!
すでにコミック化やドラマCD化も決まっている! というとんでもなく前評判の高い作品なわけです。
でもこれ、ほんっとうにヒロイン(?)の仙波が真一郎を嫌っているんですよね。
たとえば
「真面目な人は普通に好き」
「……成田くんは真面目ではないですか?」
「台所に出てくる黒いのだって、類を見ないほど真摯に生きているし、争って脅威になる相手じゃないけど、気配を感じるだけで嫌な気分になるでしょ。あれはその類だから」
とか、地の文でも
「――さっきと似たような視線が返ってきた。『このスカタン野郎が』と目で語っていた。」
「ただ、眼鏡の奥の忌々しげな視線はまだ僕に向けられていた。『解らない奴だな、このオマヌケ野郎』と語っていた。」
……という風に。
もう読んでいて可哀想なくらい。っていうかこの物語、ヒロイン居んの!? と思いました。佐々原さんもヒロインっぽくはないしなあ……。
あと、この物語さすが原題が「なるたま〜あるいは学園パズル」と言うだけあって、ミステリではないです。パズルです。それも100ピースぐらいの100均で買えるような、しょぼいやつ。それが4編詰まっていると思っていて間違いないでしょう。
その1、「どの鹿野さんだ!? ラブレター事件」は「加納さん」というキャラの名前が出てきた瞬間に犯人がわかりました。だって「かのう」とも読むし。
その2、「宍倉謀略事件」は梗概を聞いていて真っ先に犯人がわかりました。
これを読んでて最後まで犯人がわからないようでしたら、貴方はきっとライトノベルかギャルゲーの鈍感な主人公です(笑)自分では気づいていないかもしれませんが、貴方の周りに実は美少女ハーレムが形成されているかもしれませんよ!w
その3、「宇宙怪獣討伐事件」は、これも「その1」と同じで簡単な文字遊びですね。読んでて少し違和感か既視感をある部分に覚えてみたらそこをローマ字に変えてみるとよいかと。陳腐です。
その4、「鹿野さん思い詰め事件」はただの杞憂でした。それも仙波の説教で解決されました。謎など一片もありゃしません。血液型の件も、「世界仰天ニュース」か「アンビリバボー」でも毎週見てればおのずとわかるってもんですよ。あ、ちなみに管理人はどっちも毎週見てます(関係ない)。
そして最後。エピローグはメイドさんがなにやら事件を持ってきて……? で、次巻に続く、です。
正直これがなんで最優秀賞なのかわからない。
ストーリーは陳腐、パズルは安っぽい、キャラクターは仙波以外薄い、掛け合いは面白くない。
……キツイこと言いますが、キャラクターの配置と構図が似ていたので第二のハルヒを目論んだ編集が無理に最優秀賞に押し込んだと言ってもいいと思います。
しかも新人の1巻のくせに完結してないじゃん! これは編集の改悪と言ってもいいですね。おそらく投稿作の時点では完結してたんでしょうけど、シュガーダークの二の舞を踏まないように(これは「シュガーダーク 作者 続刊」で検索していただければわかります)編集が無理に次巻に続けさせられるようにわざわざエピローグを書かせたんでしょうね。投稿作の時点での結末を見てみたかったです。
それでもまあ、一箇所だけ面白いと思った掛け合いの部分を抜き出してみました。
これは真一郎が仙波にテープ台を投げつけられた後日の会話です。
「ああ、頭が痛い……まるで底面ラバーのばげ落ちた年代物のテープ台を容赦ない勢いでぶつけられたくらい痛いなぁ……軽く傷害罪が立件出来るレベルで!」
「っ……それは後頭部だけじゃ寂しいから、正面からも下さいという意思表示?」
まあ「スニーカー大賞作品」に期待しすぎたという意味で星3つ★★★☆☆です。
ヒロインにとことん嫌われたい! というMな方は買っても損はないと思います。



